東方神聖魔   作:東来

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かぁ……のどと腹が痛い……
風邪は辛いものだよ……まぁ、普通の人よりは回復力はあるから明日には治っているだろう。
テスト1週間前……何してんだ俺は……

感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。




満月の前夜

さて、あれから2日の時が過ぎた。その間に輝夜が難題を出した貴族たちが屋敷に入ってきた。

まず1人目、石作皇子の『仏の御石の鉢』は遥々インドで手に入れたものらしいが、本来の『仏の御石の鉢』は磨けば磨くほど光り輝くはずなのだが、その鉢は磨いても光らず偽物だとばれてしまったらしい。

2人目、藤原不比等『蓬莱の玉の枝』は初め輝夜自身も本物かと思っていたらしいが、想雅が部屋に入ってきて輝夜に耳打ちをした。その内容は「庭先にたくさんの職人たちが藤原不比等に『蓬莱の玉の枝』からお駄賃をくれ」と言ったのだ。

そのことを聞いた輝夜は呆れ、その職人たちを自分たちの部屋の近くの庭に呼び出し、藤原不比等もろども追い出した。

3人目、右大臣阿倍御主人の『火鼠の裘』は商人から高いお金を支払って『火鼠の裘』らしきものを輝夜の元まで持ってきた。そして、彼は自信たっぷりな表情で「火に入れてみましょう」といいその皮衣を火の中に放り込んだ。しかし、たちまちその皮衣は燃えていき跡形もなく灰となってしまった。さすがの右大臣阿倍御主人も騙されたと言いながら怒って屋敷を出た。

4人目、大納言大伴御行の『龍の首の珠』は龍を探しに海へと出たらしいのだが、その道中に嵐に巻きもまれてしまい彼は「生きた心地もありません」と天に向かって祈り続けた。その願いが届いたのかたちまちその嵐が静まり、何も持っていないのでは輝夜に見せる顔が無いためなのかそれっきり輝夜のところへと姿を合わせることが無かった。

最後の5人目、中納言石上麻呂の『燕の産んだ子安貝』は自分の屋敷の軒先に燕が巣を作っているのを見て、部下たちにすぐにやぐらを組ませて燕の巣の中へと手を入れた。しかし、掴んだのは『燕の産んだ子安貝』ではなくその巣の中にいた燕のヒナの糞だった。

恥をかかされたと思った中納言石上麻呂は輝夜の屋敷に乗り込み無理やりでも輝夜に求婚をした。だが、想雅と爺ちゃんの手によってそれはあっけなく終わってしまった。

 

「えーと、後いるものは……と」

 

想雅はただいま今晩の夕食の食材を買っていた。

羅生門の近くはお店とかが広がっているためいろんなものが売っていて食材には困ら無さそうだ。しかし、まぁ、昔というわけでオリーブオイルやバターと言った西洋の調味料などが無いというわけだ。でも僕はオリーブオイル……っていうわけにもいけないというわけだ。もこ○ち涙目。

 

「魚とネギだったと思います」

 

「おっ、サンキュ」

 

忘れてかけていた想雅に耳打ちをするようにノエルが言った。

その場から移動し魚とネギを買うと、買うことは済ましたため寄り道せずに帰ろうとした。しかし……

 

「触らないでッ!」

 

どこからか嫌がる女性の声が聞こえた。

想雅自身はこの声と声量だったためただ事ではないと察した。視界を広げるとあるところだけ人が集中しているところがあった。その現状を見てただ事ではないということがわかった想雅たちは寄り道をしないと決めていたが気になったためその場所まで言った。

人込みを掻い潜り、人の目線が集まっていると思われている1人の少女と数人の男たちがその少女に絡んでいた。

 

「いいじゃねぇかよ、なっ、俺たちと遊ぼうじゃないか?」

 

あー、何だ遊びの誘いですか……しかし、嫌だと言っているのにその少女の言葉を無視していやがるな。無理やりでも遊びたいのか?なら余所でやっとれよな……まぁ、見るからに悪いのは少女に突っかかっている男たちだな。

想雅はその男たちに呆れたのか見てられなくなったのか「はぁ……」と息を出し深呼吸をした。

 

「その娘が嫌がっているだろ、それぐらいわからないのか?」

 

人々の視線が想雅に集中した。想雅はそのことを気にせず前へと歩いて行った。ザ……ザ……ザ……と確実に地面を捕らえているような歩き方で……

流石の男たちもその威圧感で一瞬、背筋が凍ったがその動作をしているのはただのガキであったためその恐怖感は一気になくなっていった。

 

「なんだぁ?小僧、やる気かぁ?」

 

1人の男は拳をポキポキと鳴らしながら想雅に言った。おいおい、そんなにポキポキやっていると指の関節が曲がるぞ。

 

「やる気など無い。ただ大人しく帰ってもらうだけでいい」

 

想雅の表情は真剣そのものだった。しかし、その言葉を聞いた男たちは「ガハハハハッ!」と大笑いしていた。

 

「ふんっ、その減らず口を叩く口からやってやるぞ」

 

ブンッ!男が想雅の口に向け拳を揮った。しかし、想雅はその攻撃は今までの経験上もっとも低い位置に徹するぐらいの見切りやすかった攻撃だった。

その拳を受け流しながら掴み、そのまま自分の近くまで持っていった。そして、そのままの状態で男の脚に足払いを掛け体勢を崩してから『魔』の力を腕に少しだけ流し込み、回転をかけるかのように腕を上に振るった。

 

「ガッ!」

 

男は訳が分からないまま宙を舞い、気付いた時には腰と頭を中心とした部分が地面に当たり悶絶をしていた。

 

「―――――野郎ッ!」

 

その男の仲間の一人が腰の鞘から刀を抜き、想雅に斬りかかった。ホントこの時代になると容赦がねぇな……

想雅は内心を思いながら斬りかかってくる刀を避け、男の手元を狙い蹴り上げた。

 

「グッ!」

 

蹴られた為、その刀は宙を舞い想雅の近くの地面に刺さった。想雅はそれを使い、刃ではない方の部分を使い男の腹にみねうちを入れた。

 

「……ッ!」

 

言葉にならないほど痛いためか、一言も発さずにその場に倒れた。

「ふぃ……」と額にできた汗を拭いながら想雅は少女につかかっている残りの男たちに目線を向けた。

 

「なぁ、倒れている奴と共にこの場から大人しく退散してくれないか?無駄なやり合いはノーだからな」

 

想雅はそう言って早くいなくなってくれとヘタレらしく祈るばかりだった。今度は大人しく少女から離れその場から退散した。これによりたくさんあった人込みは無くなりいつもどうりの風景が視線に広がった。

 

「人込みも無くなったしそろそろ帰るか……」

 

そう呟いた想雅はノエルのところへと戻ろうとした。

 

「お、お待ちくださいッ!」

 

あの助けた少女から声がかかった。

想雅は振り返り彼女を見た。黒髪のロングヘヤー、着物も来ておりどこか貴族らしい雰囲気だった。そういえば、この時代に来てからゴタゴタに巻き込まれやすいな……

 

「助けていただきありがとうございます」

 

「いや、そんな感謝されるとこじゃない」

 

「どうかお礼でも……」

 

「必要ないさ、俺は俺の意志で動いただけだ。自分勝手な行動をお許しください」

 

「いいえ、そんなに改めないでください」

 

想雅はそう笑顔で言うと少女もニッコリと笑顔を浮かべた。

数分後、だいたいの話が終わり、買い物の食材が腐ってしまうためその場から去ろうとしていた。その時に少女から声がかかった。

 

「あ、あなたの名前だけでも教えいただけないでしょうか?」

 

想雅は「あー……」と言いながら考えた。まぁ、この時代だし名乗っても大きな問題ではないだろう。

 

「天上想雅だ」

 

「天上想雅さん……私は藤原妹紅です」

 

少女の名前も訊くとに背中を見せながら手を振った。

 

 

 

 

 

-----○●○------

 

 

 

 

 

 

輝夜の屋敷に帰るとすぐさまに調理に向かった。

台所には婆ちゃんがいたため2人と手伝いをやるといったノエルの3人で調理することにした。

まぁ、今回は婆ちゃんがいるため得意のフランス料理ではなく日本料理を作ることになった。だが、貴族の食べ物は塩っ気が強く、野菜も少ないため健康に良くないと聞いたことがあった。しかし、婆ちゃんが作る料理はどれも栄養バランスが整っており輝夜のことを考えていると感じた。

数分後、料理が完成したため居間まで運び込み、席には爺ちゃんと婆ちゃんがいて、俺の隣りにはノエルがいた。しかし、いつもなら自分の目の前にいるはずの輝夜の姿が無かった。

 

「少し輝夜の様子を見てきます」

 

そう言うと席から離れ渡り廊下を歩いた先の輝夜の部屋の前へとたどり着いた。障子に手を掛けようとしたが少しスキマが空いておりそこから光も漏れていた。一応覗いて見たがその部屋には誰もいなかった。

 

「待っておくか……」

 

一応、渡り廊下で会わなかったため輝夜自身が部屋に戻ってくる可能性も考えて想雅は輝夜の部屋で待つことにした。

部屋の隅に置いてあった椅子に目を逸らしてみるとそこには一枚の紙が広げてあった。人のプライバシーの侵害になると思ったが興味本心には勝つことができず、そっと静かにその内容を見た。

 

『姫様。次の晩の満月の夜にお迎えに上がります。御私宅の準備をお願いします』

 

と、最後の文がこう書いてあったのだ。差出人は不明。しかし、この『満月の夜にお迎えに上がります』というのはとうとう竹取物語の終盤、かぐや姫が月に帰る時が来たというわけになる。

だが、なぜ輝夜が地上にいたということに疑問に思う。それと時代が時代だ、俺とノエルが時間を遡ってから結構な年月が経っているはずだ。しかし、輝夜はまだ若々しかった。

疑問の上にまた疑問と、輝夜に訊き忘れていたことばかりが脳裏をよぎっていた。

 

 

パシャッ

 

 

想雅の後ろから障子が開く音がした。

誰かが来たということ……つまりこの部屋にいるはずの輝夜自身だった。しかし、想雅は振り返らずただどこかを真っ直ぐ見つめていた。

まぁ……簡単に言えば怖かったのだ。人のものを勝手に見た挙句、たぶん見せたくないものだと思う手紙を見てしまった。まったく、興味本心には人間勝てないな……

 

「見たの?」

 

輝夜が言い始めた。

その言葉は少し悲しいように思えた。だが、あくまで予想だ。輝夜の顔なんて背を向けていたら見ることができないからだ。例え首を動かしただけでも確認しにくく距離感もつかめない。

 

「あぁ……」

 

ただただしがない返事をした。しかし、返事だけではない。輝夜には聞かなければならないことがあったのだ。

 

「単純なことを忘れていた。あの時、輝夜はロケットに乗って月に向かったはず、なぜ地上にいる?」

 

想雅がそう言いながら振り向こうとし、正面を向いた瞬間に輝夜に抱き着かれた。戸惑った想雅だが輝夜の肩が振るいていることに気付いた。

その時、輝夜の頭が上がり、その表情は久しぶりに出会った時と同じ表情だった。そして、想雅に訴えた。

 

「想雅たちを探しに来たのよッ!」

 

衝撃な発言に想雅は言葉を亡くした。

確かあの時は「輝夜たちを避難させてから行く」と輝夜が言って俺が「あぁ」と返事をした。そうだ、一緒に行かなかったからこそ輝夜が地上に戻ってきてしまった。一緒に行くというのは嘘だということはわかっていた。そうでも言わない限り輝夜は「ここに残る」と言いかねないからだ。つまり幼い輝夜に言った言葉はその場しのぎみたいなものだった。

 

「心配かけたのはすまなかった。それよりどうやって地上に来た」

 

第一の関門はクリアした。次の問題はどうやって地上に来たということだ。

輝夜が地上に行こうとしても少なからず誰かが止めるはずだ。まぁ、永琳は確かだろうが……

 

「罪を犯したの……」

 

「つ、罪ッ!?」

 

想雅はまさかと思った。

輝夜……お前は俺たちに会い行きたいがために誰かを殺めたのか?それとも何かを盗んだりしたのか?

そんな心配をしていた想雅は次の言葉で一気に落ち着きを取り戻した。

 

「不老不死になったのよ。心臓に刺しても死なないの」

 

不老不死……そのおかげで輝夜は長年美しい身体を保ってきた、と想雅はわかった。想雅自身も存外ではないが……

 

「蓬莱の薬を飲み、不老不死になることは月の都での禁忌……それで私は地球に島流しになったのよ」

 

「島流しって……その域超えて天体流しじゃねぇかよ……」

 

「はぁ……」と月の都がやる島流しに顔を抑え、呆れを現しながらため息をついた。

何やってんだよ、月の人たちは……月に長年居すぎて頭のネジが吹っ飛んだんかよ……無重力無酸素空間での世界で俺がいない間どうなったんだよ。

それよりだ。

蓬莱の薬……聞いたことは無いが、不老不死の薬というのは竹取物語でかぐや姫が帝に渡したということがあるが、たぶん蓬莱の薬と不老不死の薬は同一と考えていいだろう。

 

「その蓬莱の薬というのを作ったのが、永琳だな」

 

「正解よ」

 

アイツの事だ。輝夜が地上に行こうとすると止めることは目に見えているが、まぁ……密かに作っていたと思われる蓬莱の薬を輝夜が飲んで島流しにされる。月の掟に逆らえば自分の命だけではなく輝夜の後までが危うくなる。いい判断だ、永琳よ。

 

「質問は終わり?」

 

「あぁ、これ以上はいい。ノエルにも伝えていいか?」

 

「私から伝えるわ」

 

「爺ちゃん婆ちゃんは?」

 

「……それも私から」

 

伝えることが辛いためなのか一瞬口を噤んだ輝夜。しかし、いつかは言わないといけないものだったため自分から伝えると言った。

 

「そういえば、私からもいい?」

 

「あぁ、答えれることはな……」

 

まぁ、こっちもずいぶん聞いたしな。それぐらいは、な……

 

「想雅とノエルちゃんは不老不死なの?」

 

あー、やっぱり訊いてきたか……まぁ、当たり前だな。何年たったか知らないが結構な月日が経っている。初めて出会った時と変わっていない外見に不思議を持っても当たり前。

 

「まぁ……そうだな。俺とノエルは不老不死だが輝夜とは少し違うな……」

 

「違う?」

 

「輝夜は心臓を刺しても死なない完璧の不老不死だが、俺たちは不老不死だが心臓や脳と言った即死の急所をやられると死ぬ」

 

想雅は自分の頭を指で刺しながら言った。

流石のチャラ神も絶対なる命を与えるわけにもいかないだろう。万が一、気が狂い神の恐怖になることがあるとしたらいくらやったとしても死なないだろう。

その質問の答えを聞いた輝夜は「これ以上いいわ」と言いながら想雅から離れた。

 

「そういえば、飯ができたぞ」

 

「わかったわ、今行く」

 

想雅は輝夜にそう言うと、急に輝夜に腕を掴まれた。

しかし、無理やりは離そうとはしなかった。こうやって触れ合えるのはあと1日だということだからだ……

 

 

 

 

 

 






もうすぐで2回目のタイムトラベルは終わります。まぁ、次回話なんですけどねぇ……
次の更新は2週間後ぐらいになりそうです。前書きでも書いた通りテストがありますので……

感想待っています!
次回もお楽しみに!

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