東方神聖魔   作:東来

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冬休みがこんなにも暇だと感じたのは初めてや。
なんか何もやる気がでないし、除夜の鐘が鳴る前に煩悩が消えた気分だ。
さて、あと3日で今年は終わり。
悔いは無い今年だった。

感想ありがとうございました。
では、ごゆっくり。




久しぶり、みんな。そして、ただいま。

満月の空を下に、神社で賑やかに宴をやっている。

お酒を飲み交わしたり、話し合いなどをしたり、至るところに酔っ払いなどがいるがそれがいつもの光景である。

 

「想雅がいなくなってそろそろ1ヵ月ね……」

 

お賽銭箱の前の小さな階段に座って霊夢が酒を一腹交わしていた。

 

「そうだな、もうそんなに経ったのか……」

 

時間が流れるのは早いなと言わんばかりに隣りに座っている魔理沙が団子を食べている。

 

「宴会が実は『異変』だとは思わなかったぜ……」

 

この宴会が始まる数週間前、3日おきに何処かしらで宴会が行われていた。

参加する方もされる方もたまったものじゃないほどの多さだった。しかし、単に宴会が多いだけなら『異変』とは言いきれなかったのだ。

実はそれと同時に、より物騒なものが幻想郷を覆い尽くしていたのだ。

それは、空気に混じって漂う、ごく微かな妖気。

けれど誰かしらに危害を及ぼすでもなく、そもそも居るのか居ないのかさえも分からないぐらいの濃度だっため、誰も別段気に留めないまま度重なる宴会に興じていた。

無論、それは表面上の話だ。

実際のところは宴会の度に、腹の探り合いをしていたのだ。

そんな中、埒が明かないと思った霊夢たちは、本格的に真相解明のために動き出した。

それがつい先ほどに解決されたのだ。

3日おきの宴会は無くなっても異変解決の祝勝の宴会は無くならないのだ。

 

「まったく……異変が終わった後も宴会なんてどんだけどんちゃん騒ぎが好きなのよ。後片付けは私がやるのよ?それぐらい考えてほしいわ」

 

「まぁまぁ、楽しければ片付け何て苦じゃないぜ?」

 

魔理沙は苦笑いしながら手元の杯を手に取った。

2人の目の前に誰かが酔っているのか少しフラフラしているように近づいてきた。

 

「お二人さん、あそこには加わらないのか?」

 

薄い茶色のロングヘアーを先っぽのほうで一つにまとめており、真紅の瞳を持ち、その頭の左右から身長と不釣り合いに長くねじれた角が二本生えている。

服装は白のノースリーブに紫のロングスカートで、頭に赤の大きなリボンをつけ、左の角にも青のリボンを巻いている。

片手には伊吹瓢という紫の瓢箪を持ち、三角錐、球、立方体の分銅を腰などから鎖で吊るしている。

 

「妖怪の輪に入ったら私自身どうなるかたまったもんじゃないわ」

 

力を抜いたように霊夢は後ろに寝転び、しばしの疲れをとるようにした。

その霊夢の顔を覗くように少女が見下ろしている。

 

「……で、何か用でもあるの、萃香?あなたのせいで後片付けの方も疲れそうなんだけど」

 

萃香と呼ばれた少女……伊吹萃香は先ほどまでの異変『三日おきの百鬼夜行』を実行した張本人である。

この前の異変『春雪異変 ~怨霊騒動異変~』の影響で幻想郷から春を集めてしまったせいで桜の季節が梅雨前の短い期間だけになり、幻想郷では宴会が減ってしまった。そのことを不満に思い、能力で人を萃め霊夢たちに3日おきに宴会を行わせ、その騒ぎで他の鬼たちを幻想郷に戻そうとしたのだ。

しかし、結果は失敗に終わった。

本人には自覚は無いが、霊夢の能力によって萃香の『人攫い』が幻想郷の住人に通用しなかったことが原因だったらしい。

 

「しょうがない、それが博麗の巫女の仕事だろう?」

 

「異変解決が仕事よッ!」

 

萃香は笑いながら瓢箪に入っている酒を飲んだ。

この瓢箪は酒虫という少量の水を多量の酒に変える生物の体液が塗布されていることによって酒が無限に沸き出るようになっている。ただし、転倒防止のためのストッパーが付いており、一度に出る酒の量は瓢箪の大きさ分のみである。

出てくる酒は鬼専用の相当キツい酒なので、人間等が飲むと大変な事になるらしい。

萃香は「ぷはぁ!」と言い霊夢の隣りに座った。

 

「しっかし……神殺し、天上に抗えし爪牙、幻想英雄……天上想雅という人間が消えて1ヶ月も経つのか……ホントに二つ名通りに幻想になっちまったのかねぇ……」

 

萃香は実のところ、幻想英雄、即ち想雅と一度手合せをしたかったらしい。

今回の異変を起こした理由の第二の目的でもあったらしいが、その1ヵ月前に想雅自身の存在が幻想郷からまるっきりなくなったためその目的は果たせぬものとなっていたのだ。

 

「うまい事を言ったつもりだと思うが、想雅は幻想じゃなくて現実だぜ。まぁ、アイツの能力は幻想的なところはあるがな」

 

間近で見てる霊夢、魔理沙にとってあの能力たちは幻想以外の何物でもなかった。

悪を浄化し癒す『聖』の力、強大な力を持ちして悪を挫く『魔』の力、森羅万象を凌駕する『言霊』……

考えてみればどれも外の世界で忘れられてきている存在たちだった。

紫が想雅を幻想郷に連れてきたことに理由がつく。

 

「あら?お二人さん。今更気付いたのかしら?」

 

3人の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「さらっと心の中読まないでくれる?」

 

霊夢が後ろを振り向くと、スキマの中から上半身だけをひょこりと出している紫の姿があった。その表情は変わらず胡散臭そうな表情だった。

 

「相変わらず神出鬼没だな、スキマ妖怪」

 

「久しぶりね、萃香」

 

2人はどうやら顔見知りらしい。

何年前に知り合ったのか、下手したら数百、数千年……いや、数万、数億年……全く予測がつかない。

彼女たちは妖怪だ。数億年も生きるのは出来ないことはない。

 

「あんたも宴会を楽しみに来たのか?」

 

「えぇ、下見も兼ねてね」

 

紫は近くに置いてあった杯を取ると自分の口に持ていった。

 

「それ私のお酒ッ!」

 

「いいじゃない、いくらでもあるのだから」

 

紫はスキマから4,5升のお酒を取り出した。

それを見た霊夢本人も「まったく」と言いながら取り出されたお酒をとり、杯に注いだ。

 

「あっ、そういえば……」

 

紫が何かを思い出したかのような口ぶりをした。

 

「ついさっき幻想郷に強い霊力を持った存在と、不思議な力をもつ存在2つが急に出現したわ。強い霊力のほうは霊夢ほどじゃないけれどね」

 

「なに?また異変なの?」

 

霊夢は予想通りの面倒くさそうな表情をした。

 

「でもね、何処か懐かしさがあるのよ……」

 

紫は夜空に浮かぶ月を見ながら言った。

そう、あの日、満月の日にいなくなった彼の霊力に似ていると……

 

「ん?何か見えないか?」

 

魔理沙が急に顔をしかめたような表情をした。

その視線の先には満月の光で、上空に飛んでいる3つの人影。

1つは小柄な少女でもう1つは女性のような姿、その真ん中に飛んでいる影は男性の形をしていた。

その存在たちは、上空からこちらへと高度を落としてきてる。

木と同じ高さまで来たときにそこで速度を落とし、ゆっくりと博麗神社の目の前に着地した。

 

 

 

 

 

-----○●○-----

 

 

 

 

 

濃い黄色の髪をサイドテールにまとめ、その上からナイトキャップを被っている。 瞳の色は真紅。服装も真紅を基調としており、半袖とミニスカートを着用しており、 またその背中からは、一対の枝に七色の結晶がぶら下ったような特殊な翼が生えている少女。

髪は黄色のロングヘアー。 白黒の洋服を身につけ、スカートはロングである。 見た目は大人の女性を思わせる雰囲気だが、少し子供っぽいところもある。

この2人は姿がはっきりしてからすぐに分かったが、その中心に立っている男性……

 

「なぁ、これ俺だとばれないよな?」

 

想雅が2人に聞こえるぐらいの声量で小言で話した。

 

「うん、たぶんまだばれてないよ」

 

フランは笑顔で想雅に言った。

想雅がばれるかばれないか心配の理由、それは……

 

 

見た目から想雅の特徴がない。

 

 

髪はうなじまで伸びており、耳が隠れるほどの白髪、瞳の色はいつもの青から紅に変化している。

まさに別人のような雰囲気だったが、顔立ちや体系などといった特徴は変わってはいなかった。もしかしたら勘が良い人ならわかるかもしれない。

漆黒のように深い黒のワイシャツとレザーパンツ。上から血のように紅いロングコートを羽織っており、背中にはフランドールの狂気を浄化するときに見た棺の薔薇に十字架の模様が描かれていた。

服装もたいへん想雅と異なっていた。

そして、より想雅だと感づかれないように、犬歯がより長く鋭くなり、背中からは蝙蝠のような翼が生えている。

まさに吸血鬼のような……いや、吸血鬼そのものだった。

このようになった理由は、ルーミアとフランが言うにはみんなにドッキリを仕掛けようと提案だった。

想雅自身それは案外乗る気でいたが、まさか自分が人間をやめることになるとは予想もしていなかった。

 

「人間またやめちまったよ……」

 

想雅は微笑をした。

その目の前に霊夢、魔理沙、紫、見覚えのない角が生えた少女がいた。

 

「あなた何者?」

 

霊夢が鋭い目つきでこちらを見てきた。

 

「吸血鬼……とでも言っておこうか……」

 

とりあえず自分だとばればいようにボロが出ないように気を付けて口調を変えた。ついでに声も少し低くした。

兎に角、今はばれていないな……紫とかそこら辺には少しの変化ぐらいなら感じられそうだがな。

 

「へぇ、吸血鬼ねぇ。私たち以外にももう1人いたのね」

 

後ろから聞き覚えのある少女の声がした。

首を動かし、その主の姿を見る。

 

「レミリア……スカーレット、か」

 

「私の名前を気安く呼ばれるなんて相当の上から目線ね」

 

いや、あなたの方が上から目線なんですけど、とツッコみをいれたかったが今の状態ではやった瞬間にばれる可能性が高まる。

 

「……で、何でフランとルーミアがそいつと一緒にいるのよ」

 

レミリアは呆れたような口ぶりで言った。

その質問に想雅は焦った。どう答えれば良いのかと……

適当な事を答えると怪しまれるし、最悪の場合、弾幕の嵐が起こる。

涼しい顔を見せているが、額には汗がこぼれ始めている。

 

「私はただついてきただけ!ねっ?お兄様っ!」

 

フランはそう言うと想雅の片腕にしがみついた。

 

「ちょっ!フランっ!?」

 

いきなりの出来事だったため想雅の口から間が抜けたような声が聞こえた。

それに気付いた本人はすぐさまクールな表情へと戻した。

 

「お兄様って……想雅じゃなかったの?」

 

想雅という言葉が出た瞬間、フランの体がビクッと跳ねた。そして、少しおどおどしている。

 

「私は……」

 

フランを庇うようにルーミアがその間に入って出た。

 

「この人と婚約することにしたわ」

 

その爆弾発言にしばしの沈黙が宴会で起こった。そして……

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」」」」」

 

周りも驚いたが、想雅本人も驚いた。

 

「お、おいッ!ルーミアッ!何言っているんだよッ!」

 

流石に自分を誤魔化すというのは現状では想雅は出来なかった。

 

「あら?この声って……」

 

紫が先ほどの吸血鬼(想雅)の大声で何か引っかかったらしい。

ルーミアは空いている片方の腕にしがみついた。

その時、想雅の腰が急に光りだし、目の前に銀髪の美少女が現れた。

 

「マスターは誰にも渡せません」

 

美少女……ノエルは想雅に抱き着くように飛びかかってきた。

 

「の、ノエルまでかッ!」

 

すでにクールな吸血鬼の化けの皮が剥がれてしまった。

その少女を見たルーミアが笑っているのに笑っていないような黒い笑みで想雅を見つめた。

 

「ねぇ?『想雅(・・)』。この子は誰なの?」

 

「何だその笑っていそうで笑っていない笑顔は……」

 

ルーミアから予想外の言葉が出たため、周りの人たちは少しざわついたが、一呼吸置くと息を合わせたかのように同時に言った。

 

「「「「「『想雅』……?」」」」」

 

ビクッと吸血鬼(想雅)の体が振動した。

想雅はくっついているフランとルーミアの顔を見ると「ばれちゃったね」と言わんばかりのてへぺろ☆みたいな表情をしてた。

 

「はぁ……とりあえず3人共離れてくれ」

 

そう言うと、素直に3人共離れた。

想雅は着ていたコートをバサッと脱ぐとその瞬間に言霊を解いた。するとそこには……

髪はうなじまで伸びており、耳が隠れるほどの茶髪、瞳の色はいつもの青に戻り、いつもの優しい想雅の姿が目の前に現れた。

 

「簡単にもばれちゃったか……」

 

やれやれといったような表情で頭をかいた。

 

「まぁ、それより……久しぶり、みんな。そして、ただいま」

 

ニッコリと笑顔を浮かべ、やっと戻ってきたんだなと実感が湧いたのだった。






今年中にやっと終わらせれた……
さてと次回はどーしよっか……またオリジナルの物語かな?
何か幻想郷から離れて、外の世界での展開になりそうな気が……

感想待ってます
次回もお楽しみに

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