この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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初めましての方は初めまして。
既に書いてるものがあるのに、ちょっと此方も書いて見たいなと思い書き始めました。仕事の都合でペースは遅いかもしれませんが、よろしくお願いします。
とりあえずは導入ということで。


1話 転生

 

俺は転生者だ。

就職も決まり、あとは高校を卒業すれば晴れて社会人。仕事って口で言うには簡単だが、いざ自分がこれからしていかなければならないと考えた時、どんなものなんだろうと億劫になりながらも楽しみであった。勿論、一人暮らしにも憧れていた。家の事もあってバイトや部活は出来ず、せめてと思い生徒会なんてものもやった。実際何かしたかと問われれば、正直何も出来ていないのだろう。けど、とっても楽しかった。

 

 高校に対して思い入れはそれなりにあったし、将来のことも自分なりに頑張って行こうと考えていた。そんな矢先に、死んだらしい。原因は路上で通り魔に刺された事。厳密には、狙われていた女の子を庇って刺されたが、それでもこいつを離すと女の子が危ない、絶対に離してなるもんかとずっと引っ付いていたら滅多刺しだ。正直途中から意識なんてなかったが、女の子には無事であってくれと願うばかりだった。

 

 次に目を覚ましたら、なんと赤ちゃんだった、と思う。曖昧なのは多分思考することが出来なかったからだろうと思っている。ネットとかでよく見る転生ものって赤ちゃんの頃から意識あるけど、赤ちゃんだった状態で物事を考えるとか無理だろ!と後から思ったものだ。

 

 実際完全に自覚したのは3歳くらいの頃か、それでも早いと思ったが、前世の記憶を持ってここまで考えられる、そんな状況なのだ。受け入れるしかないだろうと楽観的に考えていた。

 

 成長して行くたびに、これから何をしたいか、して行こうかと計画していた。前世の記憶を持っているとはいえ、社会経験もない高校を卒業したばかりの人間だ。具体的なものは思い浮かばないが、言ってしまえば今の状況は強くてニューゲームみたいなもんだ。勉強だってどうせやるんだったら真面目にして行こうと思う。その中でやはり今までやったことが無いことをして行こうと思ってた時だった。

 

 なんて言うか、親の名前や、妹の名前で何となくだが予想はしていたが、どうやらこの世界には「戦車道」と言うものがあるらしい。

 

 俺は前世と同じように男として生まれたからすることは無いと思うが、家系が家系だから何かしら関係のある事をやらされるのだろうか。でも、流石に戦車の整備とか運転とか、戦車それぞれの役割だって出来る気がしないぞ!この世界の女の子達は逞しすぎる。努力次第だろと思うだろうが、正直戦車にがっつり興味あるかと問われればあんまり無い。それだったらバンドなどの楽器だったり、野球とかスポーツにのめり込みたい。

 

 

 

 ぶっちゃけよう。ガルパンの世界なんて最高じゃねぇーか!西住姉妹は勿論のこと、ダージリンの格言なんて生で聞いてみたいし、ローズヒップのお淑やか()なんて絶対面白い。肩車されてるカチューシャを眺めたいし、満足してるノンナさん見たい。サンダースのケイさんのスキンシップに魅了されたいし、アリサに対して落ち着けと一言声を掛けてあげたい。ミカのカンテレ弾きながら戦車で爆走したいし、色々と最高だな。

 

 しかし実際問題、戦車道を男としてする訳ないし、女として生まれてたとしてもそんな都合良く仲良くなれないとも思う。

 

 それに、正直欲を言えば確かに仲良くなりたいと下心はあるけれど、現状で満足しているのも事実だ。なぜなら俺が一番好きだったキャラであり、生まれて来てからずっと共に過ごし、キャラだとか関係無く大切な妹がいるからだ。

 

 妹なんて前世には居なかったし、出来たらめちゃくちゃ可愛がろうと思ってたから、母さんと一緒になって妹をめっちゃくちゃ可愛がっている。照れてる仕草や家族以外には見せないであろう態度を見ることが出来て、本当に最高で役得すぎる。

 

 今日は戦車道の練習も早く終わり、そろそろ妹が帰ってくる時間だ。大好きな目玉焼きハンバーグに、苦手克服の為にトマトを添えて置く。ご飯食べ終わったら勉強を一緒にして、その後は一緒にボコでも見ようか。実際ボコをずっと見ているとほんと応援したくなる。俺もファンになっちゃうわ。

 

 

「ただいま!」

 

 

 勢いよく玄関が開き、元気な声が家に響く。周囲の人からすればいつもクールで静かなイメージがあるみたいだから驚かれるが、結構家では(というか俺の前では。母さんが甘えてくれないと嘆いてはいたが)元気な姿を見せてくれるからその点もギャップがあってニヤけてくる。

 

 

「おつかれさん、ちゃんと手を洗ってな。ご飯は出来てるぞ、お前の大好きな目玉焼きハンバーグだ!」

 

「やった!ありがと!お兄ちゃん!」

 

 

 ぐっは!満面の笑みの妹からお兄ちゃんと呼ばれる。最高すぎて死にそう。しかも家の外ではお兄様呼びである。お兄様、という響きも勿論堪らないんだが、家の中限定でお兄ちゃんとはもうなんだかな、最高過ぎて語彙力が行方不明。

 

 

「じゃあ食べようか、愛里寿」

 

「うん!……お兄ちゃん、トマトあげ」

 

「ちゃんと食べなさい。食べたらなんでもしてあげるから。戦車道でも頑張ってるし」

 

「うぅ……うん」

 

「じゃあ、手を合わせて」

 

「「いただきます」」

 

 

 島田湊、中学1年。今夢中になってる事はアコギを用いた弾き語り。大好きなのは愛里寿。シスコンと言われてもしょうがないレベルです。こんな第二の人生ですが悔い無く過ごせて居ます。

 




愛里寿最高!

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