私のテンションが有頂天過ぎてやばい。
そしてお気に入りも100件を突破し、ほんと感謝の念が止まりません。
拙い作品ですが、今後ともよろしくお願いします。
今回も設定の捏造があります。また視点を変えてみてます……どうですかね?
他の奴らはなんて自分に甘いんだ。
体格も取り巻く環境もいいはずなのに、自分の出来ないことは出来ないと割り切り、諦める。
そんなのだから手を伸ばせば届く勝利にも、届かない。
目先の楽だけしか考えず、日々を自堕落に過ごし、「自分はこれだけやったんだ」と自己満足で終わらせる。
現状に妥協し、先へ進もうとしない奴らなど私の進む道にはいらない。
また今後について、私が提案すれば、思考停止してそれを蹴る。
練習していれば、小さい癖にと馬鹿にしてくる。
私が一年なのにも関わらず、実力で勝ち取った隊長という地位にケチばかり付けてくる。
そんなに気に食わないのならば、私を上回ればいい。
現在において取り巻く環境は同じ、そして何よりも私の方には覆せない体格の差があるというのにも関わらず、自らの努力を怠り、他者を罵ることしかできない奴らなんて……
そして、周りで縮こまってる奴らも同罪だ。私に付こうが、彼方に付こうがどちらでも構わない。ただ、自分の意見すら言えず流される奴らなど、いざという時に役になど立つわけが無い。
私の側にずっと一緒に居てくれたのはノンナだ。彼女が居てくれたから、心折れずここまでやってこれた。ここまで辿り着く事が出来たのだ。私の相棒と、右腕と、そして対等な友達と呼べるのは彼女しか有り得ない。
しかし、そんな彼女が「私と一緒にいるだけで」馬鹿にされるなんて、許せるはずもない。私と共にこれまでを歩み、努力を怠らずやってきた彼女が馬鹿にされるなんてあっていい筈がない。
実力なぞ一目瞭然だ。猿でも分かるはずなのに、それが理解出来ず、年が上と言うだけで文句しか言わない奴らなど必要ないのだ。私が取り合う必要性など本来なら有り得ない。無視しておけばよかったはずだ
だけど……それでも……
しかし、奴らが言った「
私こそが本当の無能なのか?ノンナに頼りきりすぎていたのか?現になにも言い返せなくなった。思わずその場から逃げてしまった。これまでそんな事無かったのに。逃げるなんてした事無かったのに。
「あぁ……ノンナ……」
弱音を吐くと同時に自然と出る彼女の名前。こんな時でも、彼女に頼ってしまう自分は本当に無能なのか。
これまでの努力に自信なんて付いてきておらず、彼女にただおんぶに抱っこされていただけなのか?
そして気付いたのだ。私は彼女に依存しきっていたのだと。私を体で、見てくれだけで判断せず、認めてくれていた彼女に、安息の居場所を求め逃げていたのだ。
私はどれだけ愚かだったんだ。これでは、馬鹿にしていた奴らと同じではないか。いや、それ以下なのかもしれない。
「カチューシャは……カチューシャはどうすればいいの?」
「……こんな夜遅くに、女の子が出歩いちゃ駄目だろ」
そんな時、ぜぇぜぇと息を切らした男が私の前へやってきた。
今思い返せば、これが私の人生の分岐点だったのかもしれない。
「おいおい、何処にいるんだ?カチューシャの奴」
ノンナ達と別れ、だいぶ時間が経った。日も既に落ち、辺りは真っ暗だ。彼女達からの連絡も無い為、あちらも見つけられてないのだろう。刻一刻と時間が過ぎる中、焦りだけが募っていく。
「くそー、体力落ちてんなぁ。もっと運動しとけば良かった」
明らかに息が上がり始めている。休憩の代わりに、ちょくちょく立ち止まり周囲を見渡していたりしたが、そろそろ限界だ。
「……でも見つけられるまで帰れねぇよなぁ。何よりも」
課題とか関係なく、一方的にしか知らないとは言え、知っている人を見捨てる様な真似は出来ねぇよな。
これがなにも無かったら、全然問題ない。むしろそちらの方がいい。ただ、万が一の事を考えたら、ここで足を止める事など有り得ないのだ。
「しかし、体がそろそろ限界なのもまた事実……ん?」
ちらっと視界の端に、街灯が照らした先に金色が見えた。そちらへ近寄ると、小さい金髪の女の子がいた。
やっと、見つけられたか……と思い、何事も無かった事に安堵し近寄ると、小さい声で確かに聞こえた。
「カチューシャは……カチューシャはどうすればいいの?」
……どれだけ思いつめてんだよ。こんなキャラじゃないのは俺でもわかんぞ。一体何があったんだ。
取り敢えず、ノンナ達にカチューシャを見つけたことと、場所についての報告のメールを送る。
さて、俺に出来ることなんてあんのかな。色々思案しながら、話し掛ける。
「……こんな夜遅くに、女の子が出歩いちゃ駄目だろ」
その瞬間、彼女は思い切り顔を上げる。……なんてひでぇ顔してるんだ。俺の知ってるカチューシャって、いつも胸を張って、笑いながら、唯我独尊を地で行く姿なんだが。
彼女は袖で顔を拭き、こちらを睨んでくる。しかし、迫力なんて感じない。
「……アンタだれ?カチューシャはアンタの事なんて知らないんだけど」
「はい、そこ。知らない相手に自分の名前を言わない」
「うっさい!なんの目的よ!」
「目的はもう達成したんだがな……ちょっと迷子がいるらしくてその捜索」
「なに!?カチューシャの事を迷子だって言うの?馬鹿にして!」
「落ち着け落ち着け。すまん、此方から挑発する様な真似して。君を探していると話を聞いたんだ。ノンナさんに」
「……ノンナに?」
そう言うと、彼女は再び顔を俯かせる。うーん、ノンナ絡みで何かあったのか?
「俺は君の事を知らないけれど、何かあったのか?」
「アンタの様な知らない怪しい奴に、話すことなんてこれっぽっちも無いわ。早くどっか行きなさい」
「いやーほんと、君を探しに来てるからどっかに行くってのはなぁ……証拠としてノンナさんに電話繋がると思うけど、電話するか?」
「!?……いや、いい。今は……ノンナと話したくない」
おいおいまじかよ。あのカチューシャがノンナと話したくないって?ほんとやべぇなんかが起きてるとしか思えん。
「いやいや、話したくないって。寮に帰らなきゃいけないし、結局会って話すことになるだろ」
「……帰らない」
「すげぇ心配してたぞ、ノンナさん。なんで話したくないんだよ」
「アンタに言う必要ないでしょ?さっさとどっか行きない」
「まぁまぁ……そうそう、よく言う事だけどさ、意外と知らない誰かに相談するだけで物事が進む事あるんだぞ?」
「……実際そんな事あるわけないでしょ」
「まじまじ、俺の経験談、相談された側の。そうだ、知ってるかもしれんな。戦車道で期待の新人のうちの1人、サンダースのケイから相談されたんだよ」
「サンダース……ですって?」
悪りぃ、ケイ。名前出しちゃった。でも思い切り食い付いてきたな。
「そうそう。あのケイだって、活躍した先の全国大会前にいろいろ抱えてたもんだ。たまたまライブしてた俺と話す機会があってね」
「ライブ?」
「おっと、それは置いといて。どうだい?話だけなら聞くよ?どうせ寮にまだ帰らないんだろ?女の子1人こんな夜遅くに放置するなんて出来ねぇし、な?」
「……アンタの意見なんて聞いてあげないんだから」
そう言って彼女は話し始める。まぁ、ノンナさん達には連絡入れてるから来ると思うけど、まだ時間掛かるだろうしやれるだけの事はやってみよう。
「なるほどなぁ……」
「何よ……言いたい事あるなら言いなさいよ」
さっきと言ってる事真逆じゃないですかねぇ。しかしこれは酷いな。
話を纏めると、ケイと似たような感じだな最初は。先輩達が自分達より実力のあるカチューシャに嫉妬なのか恨めしがっているのか。しかし、カチューシャは気に留めずに自らを高める事に専念していたし、これまではそれで良かった。
ここからは推測だが、このままでは、カチューシャが隊長に選ばれた後の、チーム内の空気が最悪になって、連携どころではないと言うのは分かるな。
また、そこに今日の口論が重なってしまった。理由は、自分はともかくノンナまで馬鹿にされた事だ。しかしその際に先輩達から言われた、「ノンナと一緒に居なければ何も出来ない奴」というこの一言に、何も言い返す事が出来ずにここまで飛び出してきたという事だ。
「カチューシャは……ノンナに依存してたのよ。私はあのノンナに頼られてるって思い込んで」
「1人じゃ結局何も出来ないのよ。カチューシャはノンナに釣り合わないの。こんなんじゃノンナに合わせる顔がないわ。」
「これからどう付き合っていけばいいか分からない。……カチューシャは……ここに居ていいの?」
うーん……
「今の話を聞いて思った事は……
正直カチューシャが何に悩んでるか分かんない」
「はぁ!?アンタ何を聞いてた訳!?ふざけてんの?」
「いや、だってカチューシャは自分でわかってんじゃん。ノンナから頼られてるって。それは自惚れでも何でもない。事実だ」
「まずカチューシャは1つ勘違いというか、思い違いをしている。別にお前はノンナに依存なんかしてねぇよ。いや、ちょっとはあるかもしれないが。
俺はカチューシャのこと何も知らねーけどさ。多分先輩の言葉で混乱してるだけだ。
カチューシャがノンナさんに対して思ってる事は依存ではなく、信頼だよ。
今までずっと一緒に過ごして来て、一緒に戦車道して、切磋琢磨して来たんだろ?
確かにノンナさんに頼っているところはあるかもしれない。けどそれは信頼しているからこそ、ノンナさんに任せているんだ。
逆にノンナさんが依存してそうな気がするけどな〜。カチューシャ探してる時、すげぇ形相だったもん。まぁ依存云々は抜きにして、ノンナさんもお前が心配で心配で堪らないから探してるんだよ。
結果的にこんな時間まで帰ってないから探してて正解だけど、実際のとこ高校生が喧嘩して飛び出したくらいで、その後すぐに探しに出るか?日中から。
そんくらいノンナさんもカチューシャの事を想ってて、考えてんだよ。だからカチューシャ、あんま気にしなくていんじゃねぇか?」
最初は、この私が決意して相談した事に対して、何に悩んでるか分かんないとかほざいてきて、切れそうになった。
けど、その後に続いた言葉に少しずつ、少しずつだけど、気が楽になって来た。
「それにさ、カチューシャ自身も言ったじゃん。相棒だって、私の右腕だって。そして、唯一の対等な友達だって。
だからさ、合わせる顔がないとかじゃなくて、いつも通りに会えばいいと思うんだよ」
本当に、一緒に居て良いのかな?
「いや、それを決めるのはカチューシャとノンナさんでしょ。まぁ、様子を見るに寧ろ一緒にいて欲しそうだけどね、向こうは。
それに、カチューシャが思わず言い返して、口論になった事だって仕方ねぇよ。だって友達が馬鹿にされてんだから。そこに先輩も後輩も関係ない」
何でこんな知らない奴の言葉で、安心出来るんだろう。互いに互いの事を全然知らないはずなのに。
「まぁ俺から言えるのはこんくらいかな。……てか、初対面の俺が上から目線で二人の間柄を語ってるって、何様のつもりって話だけどさ」
目の前の男は笑う。
「……そうよ、私とノンナの何が分かるのよ、アンタに!私はプラウダ高校の地吹雪のカチューシャよ!」
ほんの少し、ほんの少しだけだけど、元気出て来た。
「やっと笑ったな」
彼がそう言った。ハッと気付いて、睨みつける。
「おー怖いな。けど元気あった方がカチューシャには似合うと思うぜ。……さて、後は任せるかな」
彼がそう言って、彼が来た方向を見る。すると二人の影が見える。
「そんじゃ、カチューシャ。俺は先に帰るわ」
「ちょっと待ちなさいよ!勝手に帰る気!?」
「そりゃもう良い時間だろ」
「私が許さないわ!」
「なんて自分勝手な……。そうだなぁ、じゃあ帰る時、駅方向へ行くだろ?そん時駅前に顔出してみ」
彼はそう言って、足早に去っていく。入れ替わるようにノンナ達がやってくる。
ノンナには抱き着かれた。凄い泣いてた。私も思わず涙が出ちゃった。私が思ってた事、考えてた事全部が止まらずに口からこぼれていく。全部吐き出した後も、ノンナは抱き着くことをやめず、むしろ抱きしめる力が強くなった。
私たちはしばらくその場で話し合った。これまでの事、これからの事。あぁ、こんなに簡単だったんだ。
これからも今まで以上に世話をかけるかもしれない。けど、よろしくね、ノンナ。
結構夜遅くに始めたのに人集まってくれるのか。嬉しいけど、今日の主役は……お?来たようだ。なんだなんだ、手まで繋いで、仲よすぎだろ。隣にいるチームメイトも苦笑いしてるよ。
「おーい、カチューシャ。こっちこっち」
そういうとカチューシャ達が駆け寄ってくる。
「アンタ、何やってんの?こんな所で」
「見てわからんか?路上ライブだよ」
「……こんな時間に、しかも寒いのに良くやるわね」
「俺もそう思うわ、てかお前たち待ってたんだよ。……ノンナさん何でそんな睨んでんの?」
「カチューシャを見つけてくれた事は、感謝しています。……仲、良いみたいですね」
「ノンナさんとカチューシャには負けるわ、俺が割って入る隙間なんてないですよ。だから、そんな睨まないでくれると嬉しい。ちょー怖い」
「アンタらも仲良さそうね……んで、ここにカチューシャたちを呼んで何なの?」
「そうだな……
ここにいる間にもう過ぎちまってたけどさ。クリスマスだったろ?そんで、二人の友情の再確認と、そして元気無かったカチューシャにプレゼントだ」
「え?」
「先輩たちの事を許せ、とは言わないけどさ。それでも、カチューシャはもう少しだけ、周りを見ても良いと思うんだ。ノンナさんに対する信頼程じゃなくても、きっとお前の周りにもお前を認めてくれる、見ていてくれる人がいると思うから。
あぁ、それと今更なんだけど自己紹介だ。俺の名前は島田湊。お前達と同じ高一だ。
周りの見てくれてる人達、すいません。この一曲はこの子、カチューシャへ、そしてその周囲へ贈る歌です。
借り物の歌だけど、カチューシャにピッタリな歌だと思うから。それじゃ聴いてください」
『太陽』
BITE THE LUNG の 太陽 です。是非聴いてみて下さい。
実際、カチューシャって過去に色々あったと思うです。それに、身体のコンプレックスも描写されてないだけであると思うのです。
まぁ、全て捏造ですが……
しかし、ケイの時もですが、このssの設定抜きにしても、この 太陽 という曲はカチューシャにピッタリだと思います。厳密に言えば、カチューシャと、ノンナやクラーラ・プラウダ高校の仲間達という、カチューシャと、取り巻く周囲の皆に似合うと、個人的な意見ですが……