この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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今回はだいぶ短くなっています。
ちょっとこの話も賛否両論あるかと思いますが、何かあればよろしくお願いします。


14話 裏側

 

 

全く思い通りに歌えない。歌おうとしても必ず脳裏にあの言葉が蘇る。

 

 

『君が歌っていた曲の中に、君自身が大いに欠如してると感じたのさ』

 

 

『ミナトは何の為に歌ってるんだい?』

 

 

何故こんなにもミカの言葉が離れないんだ。それは恐らく俺自身何かを感じてるからなんだろう。それがわからない、俺は現状に物足りなさを感じてるのか?不満があるのか?いや、それらは無い筈なんだ。

 

色んな事を考えてる内に、今まで歌っていた曲を歌おうとすると強烈な違和感を覚える。この歌もあの歌もこんなだったっけ……?

 

新しい曲を作成しようとしても途中で断念する。いや、こんなリズムじゃ無かったと思う。こんな音じゃ無かったと思う。ダメだ、全く上手くいかない。

 

悩んでる内に、こんなんじゃいけないなと思い、他の事をする事にした。自動車部への参加を増やして遅くまで残ったり、生徒会からは要請が来るので断らず手伝ったり。その時は何も考えなくていいし、それに歌う時に感じるような物は一切感じず、やりたいようにできる。

 

と思っていたら、ナカジマやスズキ、ホシノに心配されてしまってたらしい。バレないように振舞っていたと思うんだが、確かにライブ回数減らしすぎたかな……?

 

色々と相談に乗ってもらい、ナカジマたちの前でライブをする事になったが、結果はやはり他の人たちと一緒だった。別に変わってないと、むしろ良いんじゃないかって。あぁ、違う、この歌(彼らの歌)はこんなもんじゃない筈なんだ。

 

ズルズルと時は経っていく。最近はライブをする事が無くなっていた。満足に声を出せなくなっていた。発声練習や普通になら声は出る。しかし歌おうとした時に出せないんだ。

 

周囲も気を使ってなのか話しかけて来ない。まぁナカジマ達や生徒会くらいなもんだ。自動車部の先輩が卒業する時に「シマダ、あんま気構えんな。気楽に過ごせ」と言い残してくれた。後から聞いたら、最後に歌を聞きたかったらしい。俺は後輩失格だ。

 

そして入学式も終わり一年生が入ってきた。主席挨拶は冷泉麻子だ。おー、ちっこい。流石に原作二年生組はそんなには変化無いな。会長挨拶は勿論角谷。ああいう場に立てば生徒会長!っていう貫禄はあるんだが……けどかなり暗躍してるって話だし、何をしてるかなんて俺には分からんなぁ。

 

ケイやカチューシャからはメールが来る。ノンナさんはカチューシャからメールが来た後すぐに電話が来る。最近になってそれらの頻度が凄いんだが、他愛の無い話ばかり。凛ちゃんは今までと同じ調子だけどね。

 

ケイやカチューシャはこっち招待するーとか、旅行でもいいから来なさいとか来るけれど、そんな暇なんてそうそう無いぞ。継続……は知らんけど、俺たちは普通に学校あるんだから。

 

 

 

練習はもはや日課だ。毎日続けている。それでも自分の感覚に歯車が噛み合うような、そんな感覚が全く無い。そんな練習しつつも日々悶々な日々を過ごしていたそんな時だった。

 

 

「島田ー」

 

 

角谷から呼ばれた。また生徒会関係の仕事かな?

 

 

「どうした?」

 

「いやー、頼みたい仕事があってねー」

 

「だろうと思ったよ、んでなんだ?」

 

「今月末からGWがあるでしょ?それで行ってもらいたいとこあるんだよ」

 

「えぇ……まさかの休日出勤かよ」

 

「まぁまぁ、旅行と思ってさー。頼もうと思ってる事も一日どころか半日あれば終わるからほんと楽にしてよ」

 

「はぁ……ちなみに何処だよ?」

 

「そうだね、場所は」

 

 

福岡県だよー

 

 

何ともまぁ、家族とは早い再会になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「会長、どうして湊くんを?」

 

「何が?」

 

「いえ、GWに陸地へわざわざ行ってもらうような事を?」

 

「そんな深い意味はないよ、ただねぇ……」

 

 

「あいつが元気だしてもらわないと、皆が元気無くなるからねぇ」

 

 

「そうですか……ふふっ」

 

「んー?何だ小山、意味ありげな顔してさ」

 

「そんな事ありませんよー、ただ会長も湊くんのファンなんだなぁ〜って」

 

「まぁ、嫌いじゃなかったしね、島田の歌」

 

「そう言う事にしときましょうか。けど理由余りにも適当過ぎません?福岡限定の干し芋があるから買って来てって」

 

「まぁまぁ、その分滞在費を含めてこっちがお金出してるんだし」

 

「職権乱用ですよ?」

 

「この学園と、学園艦の雰囲気考えたら安いもんだと思うけどね〜」

「確かにそうですね」

 

 

そう、あいつには元気を取り戻して貰わないと困る。だって彼がここに来てからたった一年しか経っていないが、それでもこの大洗に住む人の中には彼のライブが生活の一部と感じてる人もいる。それだけ彼が親しまれてるんだ。あいつ自身分かってないんだろうけどね。

 

 

「ところで、なんで福岡県なんですか?」

 

「それはね、彼の実家があるんだよ。詳しくは知らないけど」

 

 

彼の生徒情報の中に家族の連絡先が勿論ある。一大事の際には連絡する必要があるからだ。簡単に言えばそこへ連絡しただけの事だ。なんか気品が溢れる雰囲気を感じる女の人が出たけど、母親かな?

 

 

「それもまた、職権乱用ですね」

 

「えぇー、これも一大事に含まれると思うけどなぁー」

 

 

 

「彼がここで一番親しい自動車部がダメだったんだ。後は家族に任せるしかないでしょ」

 




と、言うわけで、1話ぶりにまた家族の元へ帰ります。、

正直これは展開を早くし過ぎたかなぁと思いますが、このままズルズルと引きずるのもあれですし、ガルパンキャラを見たいが為に見てる方も居るので、サクッとやってしまおうかと。

何話か挟んでもどんどん主人公がめんどくさそうな奴になるかなとも思ったので(現時点でめんどくさいというのは勘弁下さいな)

早く原作へ突入したいっすねー

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