この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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勢いで本日も二話投稿だこらぁ!
だいぶ短いですけど……どうぞ


20話 『UNISON SQUARE GARDEN』 (中)

 

 

あの後すぐに荷物を取りに行き、現在舞台裏で準備中だ。偶然にも音響の設定などは現在のプログラムから流用できたのが救いだった。それでもこまめな調整が必要となるが。

 

「よし、こっちは取り敢えず準備完了だ。そっちは?」

「は、はい!此方も周囲への連絡は既に完了しました。会長達へも連絡繋がりましたので、許可は貰えてます!」

「許可貰えなかったら、そもそも演奏すら出来んけどな……」

 

なんとか形にはなりそうだ。しかし角谷も無茶を言う。しかも当の本人は「楽しみに待っとくから、期待裏切らないでね〜」なんて言って会場側に移動しやがった。何て人使いの荒い奴なんだ。

 

「島田、本当大丈夫か?まだ我々が変われるぞ?」

 

一方でアンチョビは舞台裏まで様子を見に来てくれている。心配しているのか声までかけてくれる。

 

「アンチョビ、流石にもう遅いよ。それにそんな心配しなくても大丈夫だって。うちじゃ日常茶飯事だ」

「しかしなぁ、あくまで他校の生徒だし、そもそもお前達は今回のイベントを楽しむ側である客だぞ?」

「まぁまぁ、ここまで来ちまったし、乗りかかった船だ、がっつり盛り上げてやるぜ」

 

しかし、無名な人間が自作曲(扱い的に)をいきなりこんな会場で歌うなんて、盛り上がるかどうか分からんが。

 

「うーん、よし!じゃあ後は任せたぞ!」

「おう、アンチョビも楽しませる側じゃなくて、今だけは楽しむ側に回ってくれて構わないぞ」

「やけに自信満々だな、さっきから。やっぱり緊張してるのか?」

「……そりゃな、はー久し振りにこんな大勢の人前でやるよ」

 

しかも今日のイベントの成功にも関わってるんだ。ここでこけたら洒落にならんだろ。

 

「ふぅ……よし、そんじゃ行ってくる」

「あぁ、頼んだぞ!」

「頼まれた!任せろドゥーチェ!」

 

そして俺は会場へと出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱアンツィオ高校のイベントはいいもんだなぁ、テレビ的にも映える」

「ここまで大々的に賑やかにしてくれますもんね」

 

俺たちは現在、アンツィオ高校に訪れ、行われているイベントの取材をしている。小さな静岡限定の番組だが、これを取材しない訳にはいかない。

 

なんせアンツィオ高校は進学したい高校No.1の学校なのだ。内情がより詳しく分かるイベントの際の取材は一気に視聴率が上がる。

 

「先輩、次のプログラム始まりますよ〜」

「よしよし、ちゃんといいの撮れよな」

「分かってますよ〜……あれ?」

「どうした?」

「いえ、舞台に上がってきたのが男の子なので」

「はぁ?アンツィオは女子校なはずだろ?……本当だ」

「誰でしょうか?」

「……よし、取り敢えずカメラ止めるなよ?こりゃ、例年にはなかった何かが起こるぞ。それと早くレポートキャスターを誘導しろ!」

「はい!」

 

そして、その男の子が舞台上から話し始める。さて、あの生徒は一体何者だ?

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ色々あって、実は俺って今回アンツィオ高校の皆さんに呼ばれた別の高校の生徒会なんですよ〜」

 

よし、何とか受け入れられた。野次とか来たらどうしようかと思ったけど……さて、こっからが本番だな。

 

「てな訳で、格好から分かるようにこの場を借りてライブさせてもらおうと思う!」

 

観客達は周囲を見渡している。そりゃいきなりライブって言われてもだよな。けどここで折れるわけにはいかない。観客達の心を鷲掴みにしろ。視線を釘付けにして、魅了するんだ!

 

「ノリと勢いならアンツィオ高校の生徒達と比べても負けない自信があるぞ!」

 

なにをー!っと生徒達が吠える。よしよし、流石にアンツィオ、ノリがいいな。

 

「置いてかれたくなけりゃ、付いて来てみろ!」

 

アンツィオ高校に似合う曲……いっぱいあって迷うけれど、この人達の曲で行かせてもらう!

 

「そんじゃ一曲目いくぜ!」

 

『kid,I like quartet』

 

 

 

 

 

 

 

「凄い……」

 

会場は最初こそ静まっていたものの、途中から熱気に包まれていた。ノリと勢いのあるアンツィオの生徒達とはいえ、ここまで初めて聴く曲に熱くなれるものなのか?

 

何よりも聴いてて楽しい。島田自身もすごい楽しそうに歌っているのもそう思わせる一つの理由だろう。

 

「ドゥーチェ!凄いなあのお客様!歌くっそうまいじゃねぇか!やるじゃん!」

「歌だけじゃないわよ、ペパロニ。あの演奏も相当だと思うわ。これで他のメンバーがいたらどれだけの迫力なんでしょうね」

「……お前たち!もっとノれ!もっと楽しめ!これは宴会だー!!」

「わぁ!ドゥーチェいきなりどうしたんですか?」

「これが大人しくしてられるか!島田め、最高だ!」

 

 

 

 

 

 

 

よっし!掴みはオッケー!てか会場の人たちノリ良すぎてまだ一曲目なのにすっげー熱気だな。

 

ここまで盛り上がってくれるならこちとら負ける訳にはいかねぇ!

 

「皆、ありがとー!!けど休ませる暇なんてないぜ、こっからが連続で行くぞ!じゃあ二曲目!」

 

 

『リニアブルーを聴きながら』

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは予想外の収穫だぞ!」

「そっすね!先輩」

 

アンツィオ高校の恒例イベントの取材に来ていたが、謎のアーティスト登場!会場をすぐに自分の虜にしてしまうほどの美声!これで決まりだな!

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい!まだ二曲目なのに、息上がってる奴はいないよなぁ!止まるんじゃねぇぞ、ちゃんと付いて来いよな!」

 

『シグナルABC』

 

『Invisible Sensation』

 

 

 

 

 

 

 

会場は今や熱気どころでは無い。ボルテージは最高潮、誰もがテンションMaxで舞台に立つ彼を見つめている。

 

「なかなかやんじゃん、予想外だなぁ流石に」

 

会場の端で舞台にいる彼を観客の1人として私も見つめている。

 

「全然久し振りの舞台とは思えないし、それにあんだけ楽しそうにやってれば連れて来た甲斐があったよ」

 

アンツィオ高校という環境は、ライブをする場所として素人ながらいい場所と思いつき、彼を連れて行くことにした。大洗という親しんだ場所とは違い、初めての場所でのライブは何かしら感じるものがあるのではと思ったのだ。

 

まぁサンダースやらプラウダやらに行ってるし、余計なお世話とは思ったけれど。それに実際手伝える人間は欲しかったしね。

 

ただまぁ、ここまでの物とは完全に予想できなかった。

 

「頼んでるあれは上手く出来てるかなぁ……それに楽しそうでよかったよ、島田」

 

 

彼女は同級生を見つめる。その体は小さくリズムを刻んでいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

やべぇー、体力がもたねぇ。こんくらいなら普通まだまだ行けんのに、ノリと勢いに任せて飛ばしまくってたらだいぶしんどい。

 

けどそろそろ頃合いだろう。よし、次で締めるか。

 

「みんなあんがとー!けどそろそろ終わりの時間が来たみたいだ」

 

周りからえぇー!だとか、もっと聴かせろだとか聞こえてくる。

 

あー、ほんと楽しい。今もなお先人達の力は借りているけれど、それでも今この瞬間のこの感情は本物であり、嘘なんかじゃ無い。

 

「こっちだって勿体ないぜ、こんないい場所で演奏出来てるってのにさ!けど最後なのは事実、次でラスト一曲行くよ!」

 

みんな、もっと声出して、体動かして、楽しんでくれよな!

 

 

『シュガーソングとビターステップ』

 

 






UNISON SQUARE GARDENより
kid,I like quintetto
リニアブルーを聴きながら
シグナルABC
Invisible Sensation
シュガーソングとビターステップ
以上の五曲でした。是非聴いてみてください。
正直、アンツィオはすごい似合う曲いくつもがあって迷いました。その中で、「別に一曲じゃなくてもよくね?」と考え、ノリと勢いに全部採用しました。
他の人の曲もあったのですが……一つのバンドに合わせようかなと、
……40分と作中は言っていますが、まぁ他の曲も歌っていたという事で。
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