凄い反応があって驚きを隠せません。本当に感謝の極みです。
あと凄い今更なんですが、低評価の方はできれば理由もよろしくお願いします。訂正できる点はしていきたいのです。
まぁ、譲れない部分も勿論あるので、内容次第ですが……
「おーい、朝だぞ。起きろ」
「うーん……あと、1時間」
「遅刻どころか流石にそど子も門前にいないぞ!」
「朝からうるさいなぁ、湊先輩は」
布団から出ようとすらしない冷泉を見て、流石に溜息が出る。どんだけ警戒してないんだよ……と思う。
夏休みも終わり、既に紅葉が景色に映え、縁側に座りながらお茶でも味わいたいこの頃だが、寒くなっていく一方で冷泉はさらに起きるのが遅くなってくる。
……お前の送り迎え始めてから、ライブをする時には道具をわざわざ家へ取りに帰らないと行けないんだからな?
ノンナさんの課題をクリアしてから、それほど時間が経たずにもう一つクリアしたみたいだ。それはケイが隊長になった事。驚かせるついでにケイへおめでとうと連絡を入れた。
すると、電話がかかってきて「何でもう知ってるの!?折角のsurpriseにしようと思ったのにー!」なんて言われた。その後「まさかアンジーの仕業?いや、でもアンジーは戦車道やってないし、そもそも誰にもバレてないはずなのに……」なんて言ってた。
え?角谷さん、ケイさんと知り合いなんですか?確かに原作でも気さくに話しかけていましたけども、あれケイさんの人柄的に最初からあぁだったのかと思ってましたわ。
やっと家主は起きてきたみたいだ。……いつの間にか成り行きで朝飯まで作り始めたんだが、流石にやりすぎかな?
いやーでも、冷泉って世話焼きたくなっちまうんだよなぁ。妹っぽいし。
「あーもう、また髪ぐしゃぐしゃだぞ」
「別に構わん、誰かに見せるもんでもない」
「いや、普通はこうお洒落に気を使うもんじゃないか?」
「私は特に気を使ってるわけじゃないからな」
「はぁ……」
溜息が止まらず、俺は髪を梳かし始める。これに関しては愛理寿にもよくやってあげてたし、慣れているからな。……飯を作るのは嫌いではなかったけど、得意でもなかったから練習してる最中だ。愛里寿の好きだった目玉焼きハンバーグは既に練習し完璧だがな。
「さて、準備も出来たしそろそろ行くぞ」
「あぁ、わかった」
そう言って自転車に乗り、冷泉も後ろに乗り背中を掴む。既に恒例となってしまい、互いに慣れている……冷泉は最初からだったな。てことは俺だけ慣れたってことか、慣れって怖いなぁ。
秋風が吹き、肌寒くなって来た季節だが、順調に平穏な生活を送っているのだった。
「ミナトー!それ取ってくれー」
「はいよ!ナカジマー、モンキープリーズ」
「おっけー」
自動車部にも手馴れたもんだ。ツチヤも雰囲気に慣れたのか、緊張する事なく作業している。
夏休み前半には、部費を賭けたレースを校長合わせて六人でやったが、案の定俺がビリだった。やだ、校長早すぎ……
「うーん、曲かけながらやろっかー」
そう言ってスズキは自動車部の小屋に、いつのまにか置かれるようになった音楽プレイヤーに手を伸ばし、曲をかける。
何曲か過ぎた後、聴こえてくるのはハネウマライダーだった。
「お?私はハネウマライダーが好きなんだよなぁ」
「えー私はやっぱDriver's Highかなぁ」
「うーん、私は会心の一撃かな。あの全力さと疾走感、アップテンポなのが堪らないんだ」
「先輩方と誰とも被らない……私はAnother Worldですかねー」
「うぉ、ツチヤ意外だな」
「いやーあのテンションは上がりつつも切ない歌詞が、ゆっくりとドライブする時にも飛ばす時にも最適なんですよ」
上からスズキ、ナカジマ、ホシノ、ツチヤだ。側から聞いてて嬉しい反面、流してる声は俺のだから恥ずかしい。以前から流されてたけど、慣れるものではないな。
「「「「ミナト」」」先輩!どれが好き!?」
「それを俺に聞くのかよ!」
いや、どれも愛着あるし、大好きだから歌っているんだけど!?
「しかしファンクラブの中ではどの曲が人気なんだろうな」
「うーん、分からんね流石に」
「てか、流石に教室に来て「毎日の島田くんについて教えて!」ってくるの勘弁して欲しいんだけどなぁ」
「先輩方もっすかー。私の所にも来るんですよねー、私も最初はびっくりしましたけど、ミナト先輩普段はこんなんなのに」
「おい、こんなんってなんだ、こんなんって」
「えーそれはねー、意外と抜けててー」
「運転スピードは遅いしー」
「ブレーキ掛けるの早すぎだしー」
「ドリフトもキレが甘いっすからねぇ」
「自動車部の常識で語るのやめてくれ、俺は人を卒業したくない」
なんて奴らだ。ツチヤまでも先輩に対してなんて扱いだ。
「ほら、迅速に丁寧に確実に整備を終わらせて早くレースするぞ!」
「「「おー!」」」
「今日もすんのかよ!」
自動車部での日常も過ぎていく。正直何も変わってない。むしろツチヤも加わって騒がしくなった。はぁ……体力が持たん。
その後たくさんレースした。
「うぃー島田ーこれよろー」
「おい」
「島田!こっちの書類まだか!」
「おい」
「湊くん、こっち来てー。運びたいものあるのー」
「おいっつってんだろ!何で俺こんな手伝わされてんの!?」
あれからも定期的に生徒会に手伝いに来ている。来ているが……
「俺、役員じゃないでしょ!生徒会じゃないでしょ!?なのになんだ、この仕事量!」
「島田がいたら助かるなー仕事が進むなー」
「会長の為だ。身を粉にして働け!」
「ごめんねー、でもすごく助かってるのも事実だし」
小山がオアシスだ……角谷と河嶋てめぇら覚えとけよ!
「まぁでも湊くん、何でもやってくれるし、使いやすいし……」
おい、オアシスから凄い言葉が聞こえて来たぞ。意外と腹黒いな。一瞬でこの場に敵しか居なくなった。
「ほんと勘弁してくれ……体がいくつあっても足りな……ん?何だこれ」
「あ、やっべ」
そこにあった資料には、とあるビデオの詳細が書いてある。
「んーなになに……アンツィオ高校で入手した、島田湊の珍しいライブ会場での、ライブ映像……だってぇぇぇえええ!?
おい、角谷!これはなんだ!?俺何も聞かされてないぞ!?」
「あーははは……あん時個人的にビデオ撮っててなんかに使えないかなぁって……」
「一言くらい言え!……いや、言っても許可しなかったけど!」
「はいはい……チッ」
「舌打ちしやがった!?」
「あぁでも、回収出来ない分もあるから勘弁してねー」
まじかよ……
休む暇なんてないくらい働かされた挙句、何の為に撮られたか分からないライブ映像が存在することもわかり、肉体的にも精神的にも疲弊していくのであった。
『……ナトーシャ!?聞いてるの?』
「聞いてる聞いてる」
決勝戦の録画を見ながら、カチューシャの解説を聞いてる。まずは一人で見たが、結末はやはり原作と同じだった。しかしその過程がより詳しく分かり、正直一人の戦車道ファンとして、この試合もかなり熱い展開だ。
カチューシャ、本当原作で寝らず本気だしとけばやばかったろうに……カチューシャの凄さが分かる試合内容だった。
『どう?分かった!』
「あぁ、説明されて一つ一つの行動や作戦の意味がよく理解できた。俺じゃ真似できんな、本当にすげぇよ」
『ふふん!これが新生プラウダの実力よ!』
嬉しそうに語るカチューシャ。ドヤ顔して胸張ってるんだろうなぁ、容易にその姿が想像できる。
けど、最後のアクシデントの場所を説明する時だけは声色が落ちた。やっぱり……
「カチューシャ」
『何かしら、ナトーシャ』
「大丈夫か?」
『ッ!……何の話?』
「周りから色々言われてんだろ?」
『ふん!周りには好き勝手言わせとけばいいのよ!』
「そうだよな、好き勝手言わせとけばいいさ」
『……!』
そんなの当たり前じゃねぇか。試合内容見たらそんなもん一目瞭然だよ。むしろこれを見てそんなこと言う奴らの気が知れない。俺が言えた事じゃないが、本当に戦車道分かってんのかよ。
「これは独り言なんだけどな?
序盤の見事な誘導により黒森峰のチームを分断し、あの西住姉妹を離れさせる。その後も決して合流させない立ち回りに、各個撃破のお手本のような攻めで敵主力の迎撃。そしてフラッグ車含めたチームの退路を塞ぎつつ陣の形成。ここまでされちまったらあの黒森峰とは言えど、どうしようもない。
だからこそ、崖の地面が泥濘み、荒れている川の側を移動しなきゃいけなかったんだ。当然リスクは付き纏う。そのリスクは黒森峰側も重々承知だったはずさ。
その結果があのトラブルだ。あのリスクが高い行動をしなければならない状況まで追い詰めたのは、紛れもなくカチューシャの実力だ。
そんな事を分かってない、理解していない周囲の意見など無視してしまえ」
『……』
「それに、カチューシャが気にしているのはそこじゃないだろ?口は多少悪いけど、それでも優しいカチューシャ、加えてこの一年間、相談に乗って来た俺だから分かるけど、チームメイト一人一人を大事にしているカチューシャの事だ。
助かりはしたものの、その時沈んでしまった戦車の乗員と、誰が見ても正しい行動である、救助を選択した西住妹が謂れもない悪質な意見に晒されているのが納得いかないんだろ?」
『そんな事……私言ってないじゃない。聞かないでよ、独り言なんでしょ?』
「悪い悪い。多分優しい相手の高校の隊長は気にしてるんだと思う。
まぁなんだ、気にするなとは言わない。けど、お前が気に病む必要はないさ」
『……気にしてる訳ないじゃない!私はプラウダ高校の隊長よ!何的外れなこと言ってんのよ。これだからまだまだなのよ、ナトーシャは!』
「あはは!まだ認めてもらえないみたいだ!これからも精進するよ」
『えぇ、早くこの私に認められるという名誉が貰えるように努力しなさいよね!』
そう言ってカチューシャとの会話が終わった。声に張りが戻ったし、カチューシャの方は大丈夫かな……
しかしみほちゃんに対するバッシングがここまで酷いなんてな。戦車道に関する本や新聞、雑誌を見れば一目瞭然だ。誰も救助なんて書いてやしねぇ。
それに合わせてお母さん-西住しほさんからはあんな事言われんだろ?そんなもん逃げたくなるに決まってんじゃねぇか。
しほさんも優しい人だとは知ってるけど、母さんと比べたら、戦車道・そして西住流を優先してる節があるし、まほも原作通り何も言えないだろう。てかまほは結構口下手だと思う、原作的に。
黒森峰は後回しでいいとか思ってたけど、そんな事ねぇ、むしろ今対応しなくちゃいけない。俺が行って何ができるって話だけど、ケイやカチューシャの時みたいに上手くいく保証はどこにもないけれど。
それでも俺は行かなきゃならない。戦車道ファンとして、そして、好きなものから一度逃げてしまい苦しんだ者として。
そろそろ冬休み、タイミングはそこしかねぇな。
そう考えて俺は黒森峰-熊本県へ行く計画を練り始めた。
自動車部で語られていた楽曲です。
Driver's HighはL'Arc〜en〜Cielで以前紹介しましたね。
残りは
ポルノグラフィティ より ハネウマライダー
RADWIMPS より 会心の一撃
Gackt よりAnother World
となります。是非聞いてみてください。
西住みほの好きなものから離れる、いや好きかどうか分からなくなってしまった、それ重ねたかったからこその主人公回をしました。逆にそれをしたかっただけなんですがね笑
まだまだアンケートは待ちます。今のところこのまま通りでいいとの事ですので、本編で歌ってはないのですが、前回の話で載せるか迷ったノンナさんのイメージ曲載せます!
天野月子 さんより スナイパー
有名な砲手は沢山いますが、この曲はノンナさんにぴったりだと考えております。是非聴いてみてください!