この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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お気に入り800突破うわぁぁぁ!!
本当にありがとうございます!!
これからも完結まで走りますので、よろしくお願いします!

今日はがっつり書くぞー!


23話 『おいらボコだぜ!』 (上)

高校生になっての2回目の冬休み。いやー、九州とはいえ寒いね!

 

てか日本の北側は窓や扉が二重になっていたりと多くの工夫が施されているため、意外と室内は暖かい。

 

そもそも南だろうが北だろうが、寒いに違いないのだ。吐く息が白い。これからどうしよう。

 

熊本に来たのは別にいいが、何と黒森峰学園艦の周囲ではライブ許可は下りなかった。あー初っ端からつまづいたなぁ。その後も駅近くや商店街といろいろ考えたけれど、相次ぐ注意によりライブを断念。

 

いやー上手くは行かないとは覚悟してたけど、ケイやカチューシャの事もあって、心の何処かで何とかなると思っていたのも事実。

 

こりゃやばいっすね、何もできねぇ。

 

そう言いながら取り敢えず出来ることは無いかと熊本を探索するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

やばい、何がやばいって三日間何もしてねぇ。普通に観光してるだけじゃん!

 

一応西住さんのお宅ってかなり有名らしくて、すぐ分かったけど行くわけには行かないじゃん流石に!

 

てかこっち来て分かった事だけど、黒森峰って冬休みもずっと戦車道の練習してるんだって。夏に負けた事もあり、それはもう厳しい練習だそうで……

 

 

会える訳ないじゃん!え?これ駄目じゃね?けど何か案がある訳じゃないし、今年も島田家に帰る約束がある。時間も残り少なく、正直何も出来る気がしない。

 

そもそも出会えたとして警戒されるだけだなー。ケイの時はケイ自身がライブを見に来てたみたいだし、カチューシャの時はノンナ達が探している事もあり、最低限の信用はあった。アンツィオじゃむしろライブしてくれーだったし。

 

ここでは何もしてないし、何も関係がない。みほちゃんの性格考えたら警戒されて怯えさせる事間違いなし。あ、これ詰みましたわ。

 

「最悪、恐らくだけど大洗には来るはずだからその点は大丈夫だけど……」

 

それでも、やっぱほっとけないんだよなぁ。しかし出来る事がないのも事実。これは大人しく帰るべきなのか。

 

「いや、猶予はまだある。出来る限り粘ってみよう」

 

そう決意し、案を考えながら俺はまた歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目だこりゃ」

 

明日には長崎に向かわなければならない。特に何も出来た訳でもなく、ただぶらぶらしていただけに過ぎない。

 

心の何処かでは己を過信していた。何が出来る事があるんじゃないかって、西住みほに何か言葉をかける事が出来るんじゃないかって。けど人生そんな上手く行かない。むしろ今までが運が良かっただけなんだ。

 

「悔しいなぁ……」

 

既に辺りは暗く、俺は一人で公園のベンチに座りコーヒーを飲んでいる。そんな時だった。

 

誰かがとぼとぼと歩いて近寄ってくる音がする。その人物は対面のベンチに座り、項垂れている。あの感じだと、周囲に人がいるなんて気付いてないよな、てか俺しかいないし。

 

しかし、俺は気付いた。一瞬で分かったのだ。その人は、彼女は西住みほだ。何故こんな時間にこんな場所に居るのか分からないが、それでも彼女は目の前にいた。

 

何て声をかけよう。いや、声をかけても大丈夫なのかこれは。明らかに何かあった後だろう、元気が無い。

 

二人を公園の照明が照らす。そこに言葉は無く、ただただ静寂のみがあった。

 

 

 

「君の制服、黒森峰の生徒か?」

「ッ!?」

 

俺は意を決して話しかけた。あーめっちゃ驚いてるよみほちゃん。

 

「こんな時間に一人でいたら危険だぞ?」

「……」

 

うーん、警戒してるみたいだし、無視されちゃった。まぁしょうがないなこればっかりは。

 

「……てかずっと俺ここに居たんだけど、気付いてない様子だったな。表情も暗いし、何かあったのかい?」

「……」

「うーん、困ったな」

 

あー駄目ですねこれは。どうしようと思ってた時に、みほちゃんの持ってた鞄が光の反射によって少し光った。あれは……よし、一か八か。

 

「じゃあ、君。実はさ、俺楽器弾いててさ、歌ったりしてるんだけど、熊本に来てからは出来てないんだよ。うるさいから駄目だって」

「……」

「考え事しててもいいからさ、こんな静かだと寂しいだろ?……考えてるのに煩いかもだけどさ、まぁちょっと聴いてくれないか?」

「……」

 

やばい、心折れそう……諦めるな!元気をくれただろう!あいつが!だからあいつの力を借りる!

 

俺は早速準備を始める。みほが何処かへ行く様子が無いのを見ると、別に構わないのかそれとも興味が無いのかのどちらかだろう。後者だろうけど。

 

「よし、そんじゃー気分転換に。妹が好きなんだよなぁ、この曲」

 

 

『おいらボコだぜ!』

 

 

 

 

 

 

 

歌い始めた瞬間に凄い勢いで顔を上げるみほ。そんな分かりやすく反応する?ボコの力ってすげー!!

 

みほちゃんの鞄が一瞬光ったと思ったら、ボコのキーホルダーが付いていたのが見えた。それで思ったんだ。現状、俺とみほちゃんを繋ぐものはボコさんしか居ないと!

 

歌を歌って行くうちに、みほちゃんの顔が綻んでいく。その姿を見て俺もまた嬉しくなった。さっきまで死にそうな顔してたのに、よくもまぁそんな顔をして。流石はボコファン。俺もボコファンだけど、貴女には負けますわ。

 

歌も無事終わり、みほに話しかける。

 

「君の鞄にボコのキーホルダーが付いてるのが見えてね。君もボコが好きなんじゃないかって」

「……貴方もボコの事好きなんですか?」

「最初は妹がボコの事を好きでね。それはそれは本当に大好きで。一緒にボコ見てたら、俺も元気を貰えて、今じゃすっかりボコファンだよ」

「私もボコの事、大好きなんですよ!うわぁー!初めてボコの事を好きな人に会えたー!」

 

みほさんや、そんな顔キラキラさせてそんなに嬉しいんですか……なんかボコに負けたみたいで悔しい。でもめちゃくちゃ可愛いので許します。

 

その後はみほちゃんとボコについて話し込んだ。普段のボコシリーズから限定版のボコの映像、そして各種地域の限定ボコ人形についてまで。

 

以前買ったハウステンボスをモチーフにしたボコ人形と、大自然にボコボコにされたボコ人形の話をしたら、めっちゃ食い気味に質問してきた。どうやら持ってないらしく、凄い欲しいらしい。おいボコ変われ。

 

最初の警戒は何処へやら、みほちゃんはすっかり元気な姿となっていた。けど、このまま引き下がるわけには行かない。俺はみほちゃんへと質問した。

 

「ねぇ、君。見ず知らずの俺に話すのは気が引けるとは思うけどさ。ここに居た理由と、何があったのか、話してくれないかな?」

「……それは……」

「厚かましいのは分かってるさ。なんせ趣味が合ったとはいえ、初対面の相手だから。けどさ、あんな暗い顔をした女の子をほっとくのは俺には出来なくてね。

 

だから、ゆっくりでいいから話だけでも聞いてあげたいんだ。勿論、君が良かったらなんだけど」

 

みほの表情はまた暗くなる。けど、何か考えてるようで、やがてみほは話を切り出した。

 

 




みなさんお馴染みの曲です。
藤村 歩 より おいらボコだぜ!
是非聴いて……って知ってますよね笑

短めですけどどうぞ。今日一気に行けるだけ行きます!
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