厳しい批評覚悟してます。
「もー、ってふふふっ、あのダージリンがもーって」
「……アッサム?お客様がお見えになってるのよ?淑女として、そのような行動は控えるべきではなくて?」
「先程のダージリンと比べては小さい事だと思いますが……ふふふっ」
「まぁ、確かにさっきの凛ちゃんはいつも通りの凛ちゃんだったな。俺は今のダージリンの方が違和感だ」
「ノンナ!?見たわよね?かなり珍しい光景を見る事が出来たわ!」
「そうですね、かなり愉快でした」
「貴方達ねぇ……!」
ダージリンが思わず爆発してしまった後、我に返ったダージリンが走って逃げて行った。それをアッサムさんが簡単に連れ帰って来て(無理矢理)、揃った所でお茶会が始まった。
「それにしても、貴方がダージリンの電話のお相手だったなんてね」
「改めて初めまして、島田湊と申します。貴女がダージ……凛ちゃんと電話してた時によく登場するアッサムさんですね?」
「凛ちゃ……ふふっ……ええ、その通りでございます」
「俺の経験上、大体5割の確率で貴女が登場して、ダージ……凛ちゃんがしどろもどろのお嬢様になってたんで。すごい面白かったです」
「あら、それは正確なデータですか?……まぁ私もダージリンが隠れて電話していて、いきなり取り乱したりする事があったので不思議には思ってました」
「恐らくダージ……凛ちゃんはアッサムさんにお嬢様ではない普通の口調を聞かれたくなかったんでしょう」
「なるほど、ダージ……凛ちゃんにも可愛い所がありますのね」
「いつまで!続けているのよ!それに湊さん、わざとでしょ!アッサムも途中から乗らないで頂戴!」
「カチューシャ、あれが凛ちゃんの姿です」
「顔が真っ赤ね、まるで紅茶のよう」
「そこのお二人さんも、いい加減にしてくれないかしら?」
「そうだぞカチューシャ、ノンナ。じゃないと凛ちゃんが拗ねちゃうじゃないか」
「あ・な・た・もでしょ!」
全員がダージリンをおちょくっている。特にアッサムさんが凄い。遠慮無しでガンガン行ってる。
「こんなタイミングでないと、ダージリンをからかうなんて出来ませんもの。普段は私が振り回されているので」
何とも苦労人ポジションだなぁ、この人。そしてオレンジペコに受け継がれていくわけだ……2人揃って苦労かけられてる未来しか見えない。
「コホンッ!こんな格言を知っていて?
友情とは、誰かに小さな親切をしてやり、お返しに大きな親切を期待する契約である。
貴方達は少しわた」
「フランスの哲学者、モンテスキューだな。しかしだ凛ちゃん、それはアッサムさんが言うべきことじゃないか?」
「え?え?」
「だって話を聞くには、アッサムさん普段から凛ちゃんの言動や行動に振り回されつつも、何だかんだ共に行動してくれてるんだろう?ほら、アッサムさんが期待した目で凛ちゃんを見てるぞ!」
「い、いやちょっと待ってよ」
思わぬところで反撃を受けたのか、ダージリンは狼狽えている。やっば、楽しいな。可愛い。
「……まぁ、初めてダージリンの格言が返された所を見ましたわ。貴方もよく知っているものね」
「まぁなんだかんだ長い付き合いだからなぁ〜、最初の頃は普通な女の子だったんだけどな……いきなりダージリンが格言を言う事にハマり始めた時は、勢いすごかったぞ?例えばだけ」
「ちょっと待ちなさいな!湊さんは会わないうち、こんなにも意地悪になってしまったの?」
「いやーダージリンがおもしろ可愛くてな、つい」
その瞬間に部屋の空気が変わった。アッサムさんは「あら?良いタイミングですね、紅茶のおかわりをご用意しましょうか」と席をいち早く立つ。
ダージリンは「可愛い……そう、それなら良いのかも……いやダメよ私、気を確かに持ちなさい」……なんかぶつぶつ言ってる。席も遠いためかよく聞こえない。
問題は俺の右隣に座ってる彼女達だ。カチューシャは頬を膨らまし、明らかに機嫌が悪い。ノンナさんは言うまでもなかろう。恐らくカチューシャの事もあり、いつも以上に鋭い目付きをしている。……なるほど、プラウダの砲手ともなれば、戦車なんて使わず目で殺せるのか……砲手じゃなくね?
さて、呑気な事を考えていたが冷や汗半端ない。おーい凛ちゃん、からかったのは悪かったから、早く戻って来てくれ!アッサムさん、遠目からニッコリと此方を見て何を楽しんでるんですかね?
「ナトーシャ、ダージリンと仲良いみたいね?」
「そ、そうだな。ハッハッハ」
「……裏切り者は処されるべきです、カチューシャ」
「まぁまぁ、待ちなさいノンナ。まだ、猶予を与えるべきだわ」
ノンナさんほんと怖いっす。誰もいなければその場でズドンされそうな感じ。それに猶予って何をさせられるんですかねぇ……
「そこのポンコツ紅茶飲みはほっといて、いつ知り合ったの?」
「だ、誰がポンコツですって!」
「貴女しかいないじゃない。今日一日で貴女の見る目が変わっちゃったわよ」
「何を言ってるのかしら?カチューシャ。こーんな格言を知ってる?
あなたにとってもっとも人間的なこと。それは『誰にも恥ずかしい思いをさせないことである』……」
「ニーチェだな。しかしここでこれを使うと、なんだかこれ以上私を陥れないでとしか聞こえないぞ」
「なるほど、ごめんなさいダージリン……」
「そんな意味で使おうと思った訳じゃないわよ!」
「別にダージリンの格言語りは良いのです。話を逸らせたと思っていたら思い違いですよ、島田湊」
「あー、いつ知り合ったかだろ?何つーか普通にだよ」
本当に面白みも何もないと思うんだけど……
するとちょっと涙目なダージリンがすぐさまドヤ顔に切り替わり話始める。
「まぁ確かに、私は貴女達の馴れ初めを聞いたのですから、ここで話さないと言うのは不公平ですわね。
私の口から彼との出会いを語りましょうか」
何をそんな自信満々なんだ凛ちゃん。特に何も無かったろうがまじで。
真剣な目で見つめるプラウダ組、そして笑い過ぎてたアッサムさんが戻ってくる。アッサムさん、あんたがずっと笑っていたの知ってるんだからな?
その事を知らずにダージリンは話し始める。
私はお母さんと買い物に出ていた。冬の寒い夜、特に何もないと普通の日だった。変わる事のない日々の中で、自分のしたい事の為に努力していたとも言える。今日はその気分転換だ。
周りの中ではかなり進路を決めるのが早かったと思う。進学先はあの聖グロリアーナ、戦車道の強豪校であり、そして何よりも礼節を学び、精神を学び、晴れて英国淑女となれるあの学校。私にとって英国淑女とはとても魅力的な言葉だった。
お母さんとの買い物を終えて、家に帰る時だった。人集りが出来ていて、その中で一際目立つ歌声が響く。その歌声が妙に頭に残るのだ。お母さんにお願いし、見に行ってみることにした。
そこにはいたのは、白みがかった肌色に近い色の髪をした私と同年代くらいの男の子だった。その男の子はこの人集りの中心で歌っていた。
何よりも私を惹きつけたのは表情だった。今この瞬間が心の奥底から楽しいと、そう周囲に思わせるほどの笑顔だったのだ。
私も知らず知らずのうちにその場に留まり、お母さんの声も聞こえず、ずっと彼の歌を聴いてしまっていた。
しかし、時間的にはそんなに経っておらず、あまり聞けないまま、その日の演奏が終わった。周囲の人が帰っていく中、私が立ち尽くしてる時に彼の声が聞こえた。
「ん?今日はもう終わったけど君は?」
「あ……いえ……」
「もうごめんなさい、うちの子ったら君の歌を熱心に聴いちゃってて……」
「あはは、嬉しい事を言ってくれますね!ありがとうございます!」
彼とお母さんが話している。私もその中に入ろうと思ったけれど、話しかけるのが無性に恥ずかしくなった。
「ほら、もう帰るわよ」
「う、うん……」
お母さんから急かされた。……私はこの時、話し掛けないと後悔すると何故か思ったの、だから……
「あ、あの!」
「どうしたの?」
「明日もここでやってますか?」
彼の歌を最初から聴きたいと思った。今日はほとんど聴けてない。何かはわからないけど、何かが込み上がってくる。それを確かめたかった。
「明日かー……そうだね、じゃあ明日もここでするよ」
「そうですか!?じゃあ私、明日絶対来ます!」
「そう?ありがとう!明日も同じくらい……と思ってたけど、最後に来てたね。時間は大体夕方辺りからしてるから。……今日初めてここでやったんだけど、ここの人達は皆いい人達だね」
私だけに言ってることじゃないのはわかるけど、何故だか嬉しくなった。
「あらあら……じゃあ約束もしたし、今度こそ帰るわよ」
そうして、私はお母さんと一緒に帰った。何故だろう、学校の男子とは違った雰囲気を持つ男の子。綺麗で力強さを感じる声にあの笑顔、家に帰った後で思い出してしまう。……あぁ、早く明日にならないかな。
次の日、私は夕方と言われたけれど、少し早めからその場所にいた。少しだけでも話せないかなって期待していた。すると彼も予想してた時間より早く来た。
「あ、君は昨日の。本当に来てくれたんだね」
「う、うん……今日は聴き逃したくなくて……」
「ははは!本当に嬉しいなぁ!じゃあ昨日みたいに遅くなるのも申し訳ないし、早いけど始めちゃおっか。あまり人もいなさそうだけどね」
「え?い、いいよ。貴方のペースで……」
「それじゃあ君を待たせちゃうだろ?そうだ折角会えた記念に自己紹介しよっか。俺、島田湊。ここには今旅行できてるんだ」
「私は……凛、凛って呼んで?」
「かっこいい名前だなー、凛ちゃん今日はよろしくね」
名前で呼ばれて、また恥ずかしくなった。けど同時にとても嬉しかった。そのまま彼はライブを始めた。最初は私だけだったけど、どんどん人が集まり出していた。
やっぱり、彼は不思議な人だ。表情や仕草、声も合わせて自然と惹きつけられる。周りの人もきっとそうなんだろう。結局私はこの日も最後まで彼の歌を聴いていた。
そしてまた私1人だけがこの場に残っていた。
「凛ちゃんは帰らないの?」
「貴方とちょっと話してみたかったから」
「そう?まぁ早く始めた分早く終わったし、時間もまだ大丈夫だしね」
それから彼といろんな話をした。ここには誰と来たとか、何で歌を歌ってるのとか、そんな他愛ない話。それに彼はなんと私と同い年らしい。
年が一緒という事もあり、会話が弾んだ。とても楽しい時間が過ぎる。昨日初めて出会ったばかりなのに、こんなにも心が躍るなんて、初めての経験だったから。私は時間なんて忘れてずっと話していた。
日も落ち始め、そろそろ時間だね、と彼からの言葉。もう少し話していたかった。
「あ、はい。……母さん、今から帰るよ。はい、分かりました」
彼はどうやら親と電話をしているらしい。……もう携帯持ってるんだ。
「じゃあ俺はもう帰るよ。凛ちゃんも早く帰りなよ」
「うん……あ、あの」
「どしたの?」
「旅行でこっちに来てるって言ってたよね……いつまでこっちにいるの?」
「そうだね……明後日の昼頃には出るから、明日が最後だね」
「そう……なんだ」
思わず聞いてしまった彼の帰る日時。私の心は急に締め付けられる。……もっと話してたい、そんな気持ちで一杯だった。
「……はぁ……そんな顔しないでおくれよ。よし、明日もここに来よう」
「えっ?」
「それでライブをして一通りやったら、今日の様に話そうか」
「いいの?」
「構わないよ。それに女の子にそんな顔させちゃいけないだろ?父さんからもよく言われてるしね」
彼は笑いながら私に告げる。……やばい、顔が熱い。辺りが暗くて本当に良かった。
……だってこんな顔、見せられないもん。
次の日、彼は約束してくれた通り、昨日と同じ時間に来てくれた。同じように歌を歌って、終わった後は同じように他愛の無い話をした。
「湊さんは歌好き?」
「そうだなー大好きだな〜。じゃなきゃこんなに行く先々で歌ってなんかないさ」
「そうだよね……私もさ、戦車道やってるの」
「……戦車道、ね」
「どうしたの?」
「いや、妹も好きだからさ。俺はよくわかんねぇけど」
「あら?ほんと?妹さんと私、仲良くできるかも!」
「凛ちゃんなら気が合いそうだな!確かに」
「それでね、私聖グロリアーナって言う戦車道の強豪校に進学しようと思うんだ」
「ん?聖グロ?」
彼は何か唸っている。どうしたのかな?
「私も、戦車道頑張るから!湊さんも頑張って!私応援するから!」
「……あぁ、勿論!短い間だったけど、俺も楽しかったよ。凛ちゃんの戦車道、俺も応援するから」
「うん!」
そんな時彼はそうだ、って言って再び楽器を取り出す。
「凛ちゃんの戦車道を応援して、練習してた曲を凛ちゃんに贈るよ」
「……えっ!」
「初めて歌う曲だからさ、けどここで会えた事の縁にも感謝して」
そんな私の為に初めて歌う曲を……?胸が高鳴る。
「凛ちゃんみたいな女の子に似合う曲だと思うからさ。
それじゃ、聴いてくれ」
『星が瞬くこんな夜に』
私は走る。お母さんに空港まで送ってもらって、彼に最後に伝える事があるから。お母さんには「とうとう凛にもそんな季節が来たのねぇ……そういう浮いた話なかったから逆に心配してたわ」なんて言われちゃったけど。
もう!お母さんったら!……けど、やっと私は自覚できた。多分一目惚れだったのだ。あの日、あの夜に、彼を……湊さんを見た時に既に心を掴まれていた。
私は走る。時間がもう無い、彼が出発するまでもう少し。
すると彼の姿が見えた。どうやら親や妹さんの姿が見えなかったから、たまたま1人だったみたい。
「湊さん!」
「……あれ!凛ちゃん!?なんでこんな所に」
「そんな事は今はいいのよ……ちょっと渡したいものがあって」
私は息を切らしている……恥ずかしいけれど、彼には時間が迫っている。だから、
「これ!連絡先!私はまだ携帯持ってないけれど、家の電話番号!湊さんが良ければ、私にも湊さんの連絡先教えてくれる?」
あ、やばい、普通逆だった。連絡先私から一方的に教えてもじゃん!
「……はははっ!そんな息を切らしてまで急いでくるから何事かと思ったけど、凛ちゃん面白いなぁ」
「う、うるさいなぁもう!」
「……うん、じゃあはい」
彼はその場でメモ紙を取り出して、何かを書き出す。そして渡してくれたメモには、電話番号と携帯のアドレスだった。
「凛ちゃんが携帯買ったら、メールもしてくれないか?俺って友達少ないからさー、寂しいんだよね」
「うん!絶対するから!」
「じゃあ俺は行くよ」
「あ、最後に一つだけいい?」
「何?」
私はお母さんに、英国淑女を目指すんだったら知っておくべき言葉を教えてもらった。……うん、確かにこれは知っておくべきね。
「湊さん、こんな格言を知ってる?
イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばないのよ?ふふっ」
そうして彼と別れた。短い間だったけれど、私の人生に大きな影響を与えた出会いだった。
私と出会えた縁に感謝して、かぁ〜。
待っててね!湊さん、立派な英国淑女になれた時には、貴方のハートを私が奪いに行くんだからね!
ダー様「こんな事があったのよ!」(美化)
裏タイトル『星が瞬くこんな夜に』
supercell より 星が瞬くこんな夜に です。是非聴いて見て下さい。ダー様のイメージ曲その①です。本命はその②となるんですがね
ゲームverで歌っております。こう、キー変更してるとかそんな感じで歌っております。
この頃は道具等は無く、アコギでの弾き語りになりますね。