この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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意外と早く投稿できました!

……テンポ遅いですかね?速いかなぁ。




32話 〜洗礼です!〜

西住が戦車道をやってくれるという形で結論が出た後、取り敢えず詳しくは後日との事でその場は解散した。ふぅ、何とかなったか……

三人が出て行った後、角谷が俺に話しかけてくる。

 

「……正直、アンタがこの話聞いたら絶対反対するかと思ってた」

「西住を無理矢理戦車道に引き入れるって話?」

「そう、だって島田はこういうの一番嫌いそうな感じじゃん」

「そりゃ嫌いだよ。なんてったって無理矢理やらせるってのは、好きでもないのに、他のやりたいことが出来なくなる可能性が出てくるからね」

「じゃあこれもダメじゃないのー?」

「今回のはちょっと違うなー、だって西住がしたい事ってきっと戦車道だろうから。俺は西住じゃないからこれは予想だけどさ。

 

ただそれを本人が分からなくなってしまってるだけ。大切な事を思い出す手助けをしたかったのさ、何処かの誰かさんみたいに」

「そっかぁ〜」

 

角谷は干し芋を齧る。そのまま椅子を窓側へ回転させる。珍しい、角谷が照れてる。

 

「正直、お前達が隠してる事が気になるけれど……その時が来れば教えてくれるだろうし、それまで待つさ」

「ふんっ」

「今回はかなり意思固いなぁ……あぁ!それと河嶋、お前後輩ビビらせすぎ」

「な、なに!私は当然の事を言ったまでだ!」

「どうせすぐボロ出してバレるんだから、あんなに上から怒鳴るような事ないだろ〜、小山は……うん、いつも通りだったね」

「はい?何かおっしゃいましたか?」

「いえ、何も」

 

いやー腹黒さが滲み出てましたねぇ……口が裂けても言えないわ。

 

「あ!それとほれ」

「む、これは必須科目の履修届け……はぁ!?」

 

河嶋が驚く。いやー女子の履修届けの紙探すの意外と大変だった。

 

「俺、戦車道やっから」

「お、お前は男だろう!?出来るわけないだろう!」

「そうですよ湊くん!」

「ふぅん……」

「誰も乗るとは言ってないだろ。必要なものの搬入だったり、色々手伝える事がある。それにどうせ角谷の事だから、戦車の整備については自動車部に任せようと考えてたろ?

だったら最初から最後まで付き合うさ。

それに……俺、戦車道ファンだからな」

 

俺はそう言って生徒会室から出る。出る時に声掛けられなかったから、そのまま届出は受け取ってもらえたんだろう。

 

どうなる事かと思ったけど、何とかなったなぁ……。

 

 

 

 

 

さて、次の日、俺は買い物に来ている。なんでかって?戦車探し始めるだろうし、飲み物とか買い物とか補充だな。他にも戦車の塗装材からブラシ、洗剤まで全部だ。……誰かに来て貰えばよかった。荷物多すぎて、トラックと店の往復だよ。

 

しかし、どんくらい量必要なんだろうな。正直わからん。買っときゃなんとかなるやろ!ほら、生徒会と必須科目の経費で落ちるし!

 

そう言えば、冷泉と話している時、必須科目の話題になったんだが、

 

『あ、言ってなかったな、必須科目は俺戦車道にしたけど冷泉は?』

『……男子は選べなかったんじゃなかったのか?』

『まぁ項目にはなかったけど、会長に言ったらオッケーだったぞ?』

『……私は書道にしてる』

『まじかー、戦車道人手不足だし変えれるんじゃね?まだ』

『……それは面倒くさいな』

 

と言っていた。武部に聞くと、「その流れだと島田先輩と一緒になりたいから変えるって言ってるもんじゃん!照れちゃったんだよ麻子は」と言っていた。うーん、照れるもんか?そうだったら可愛いけど、そんなタイプでもないだろう冷泉は。

 

まぁ、冷泉は原作通り西住や武部に任せるとして、必要なものをある程度買った後、学校に戻るとⅣ号戦車の周りに履修生が集合していた。

 

「というわけでー、戦車探そっか」

 

角谷がそう言っていた。今から戦車探すのか、まぁまぁいいタイミングだな。

 

「あぁ、戦車探す前にちょっと待ってなー、角谷ーそんで履修生のみんなー。ここに飲み物と食い物用意してきたから持ってけー。まだ春先だけど、体調管理しっかりな」

 

後ろから荷物を運びつつ皆に声を掛けたら、すごくびっくりされた。

 

「島田サンキューねー、そこら辺置いといてー」

「はいよっと。さて、今更だけ『島田先輩!』……ん?なんだ西住?」

「い、いや、何でここに島田先輩居るのかなーって」

「そりゃあ何でって、俺も戦車道を必須科目として選んだからだよ」

「ど、どうして?」

「西住にだけやれって言うのもなんか違うじゃん?それに俺だって戦車道ファンだし、自分の学校に戦車道出来たら手伝いたいからな」

「そう……ですか……」

「と、言うわけで。さっき遮られちゃったけど、改めて自己紹介しよっか。知ってる人いるかもしんないけど、三年の島田湊だ。

 

自動車部に所属してて、戦車道チームでの扱いとしてはマネージャーみたいなもんだと思ってくれ。

 

あと、戦車についても少しは知識があるつもりだ。最初のうちしか役に立たないかもしれないが、質問があったら聞いてくれ」

 

サクッと自己紹介を終える。すると一年生チームが駆け寄ってくる。

 

「うわーあの島田先輩だよ!まさか同じ科目選択してたなんて!」

「凄い凄い!ライブしてた時から知ってます!すごい大ファンです!サイン!サイン!」

「私的には〜島田先輩のジャケット姿もいいと思うんだよね〜」

「先輩!男なのに戦車に目を付けるなんてお目が高いよ!やっぱり男の人は特撮好きだから脇役である戦車達にも興味が!」

「ほ、ほらみんな、島田先輩困ってるよ。離れようよ、沙希ちゃん見習おうよ〜」

「!?見て!沙希ちゃんがバックの中探り始めたと思ったら、色紙が出てきたよ!沙希ちゃんもファンなんだよ!」

「あ〜もう……」

 

めっちゃ一年生チームに絡まれる……元気いっぱいだなぁ〜。って何ですかみほさん、沙織さん、凄い目でこちらを見てらっしゃる。

 

「あ!私たち戦車今から探すんですけどー先輩も一緒に」

「島田は自動車部としてやることあるからね〜。というか全員、戦車探し行ってらっしゃーい」

 

角谷が仕切って、全員を戦車捜索に行かせた。その際、俺の横を通る時に、沙織さんからは「麻子に言いつけとくからね!」と言われ、みほさんからは「先輩、小さい子が好みなんですか?」と言われた。

 

待て!ただ元気いっぱいな一年生を見て、ちょっとした兄な気分になってしまっただけだ!……もし武部に愛里寿の名前を出されてたらその場で土下座してたな、反射的に。

 

「あっそうだ、島田ー、さっきも言ったけど、自動車部には見つかった戦車運んできて貰うから」

「ふん!すぐに持ってこないとどうなるか分かってるな?」

「運搬よろしくお願いしますね?」

 

……そう言えばそうだった気がするが、まじか。生徒会は連絡受けるだけって、そういうのいくない。

 

 

 

「ミナトー、オッケーかな?」

「こっちは問題無し、スズキー出していいぞー」

「了解!そんじゃー先運んでくるわー」

 

そういう訳で西住達がまず発見した38tを運ぶ事になったんだが……ここで一つ、何でトレーラーあるんですかねぇ?

 

「え?自動車部だよ?あるに決まってんじゃん」

 

ナカジマからの一言で納得せざる負えなかった。そうだよな!あの自動車部だからな!……俺知らなかったんだけど、この自動車部謎が多すぎる。

 

 

その後、俺は一年生チームの方へ行き、ウサギ小屋にあるリーをあの手この手を使って引っ張り出し、スズキに運んでもらった。ふぅ、あと2台か……と思っていると、なんとすぐに運べるそうだ。

 

おい、ナカジマ、ホシノ、ツチヤ。どうやって崖下の洞窟にある戦車と水の中に沈没してた戦車を陸地へ上げたんだよ。しかも俺がウサギ小屋で四苦八苦してる間に。

……聞かないことにした。これ以上深く考えても良くないな、うん。

 

 

 

現在、集まった戦車達の清掃を行っているようだ。あー、Ⅳ号戦車に三突、リーに38tそして八九式が並んでいる。ここから始まるんだよなぁ……胸に込み上げるものがある。

 

やっぱり小山は水着なようだ。……何故なんだろうな……まだ四月なのに。とそっちを見てる時だった。

 

「島田先輩、副会長の水着見てる」

「あら、誠実な方だと思ったのですがこれは」

「先輩殿……」

「…………」

「まて武部、それにほかの皆と特に西住、目がやばい」

 

おい!そんなつもりで見てたんじゃない!正直小山を見てたら見てたで、後から脅しの内容に使われて、俺に得なんて全く無いんだ!

 

「脅しって……そんな風に私の事思ってたんだね、湊くん……」

 

普段の黒さ思い返せ!

てかそんなら水着なんて着るなよ!周囲からの目がえらいことになってる。「これだから男は……」「これを狙って戦車道選んだんですか!?」……水着見たいんなら水泳選ぶわボケ!

 

「さっさと清掃しろお前らぁ!」

「「「わぁー!島田先輩が怒ったー!」」」

「島田先輩のイメージが壊れていく……」

「島田先輩ってすごいミステリアスなイメージがあったぜよ」

「島田先輩も食らえー!」

 

その瞬間に水が俺に降りかかる。……ふふ、ふふふふ、なるほど、よし。

 

「覚悟しろぉ!サクッと清掃終わらせた後、一年は拳骨だ!」

「そんなぁ、島田先輩も楽しませようと思って……」

「けど、島田先輩から怒られるってのもなかなか良いかも……」

 

おい誰だ今の。……やっぱやめとこ、このまましてても埒があかない。俺はⅣ号の元へ行く。

 

「一番落ち着けそうなここから手伝うとするわ」

「よ、よろしくお願いします、島田先輩」

「お、私の魅力にとうとう気付いちゃった?でも麻子がいるからなぁ」

「ねぇ、沙織さん。さっきから気になってたけど麻子さんって?」

「みぽり……みほ、ちょっと怖いよ?落ち着こ?」

「仲良しですね〜、私は五十鈴華です。先輩よろしくお願いしますね?」

「わ、私は秋山優花里と申します!よろしくお願いします!先輩殿!」

 

この後、西住からいろいろ聞かれたが、無難にかわしつつ、各戦車の手伝いを行うと同時に、自己紹介をした。カエサルとの挨拶の時、「タカちゃんよろ〜」って言ったら顔真っ赤にされた。一応ひなちゃんからって事を伝えたが、なかなか口を聞いてくれなくなったわ……その後はエルヴィン達が揃いも揃って弄ってた。すまんカエサル。

 

 

 

 

「とりあえず終わったなぁー!」

 

各戦車の清掃を終え、見違える程に綺麗になった戦車達がそこにはいた。おぉ……!おぉ〜流石にテンションが上がってくるなこれは!

 

「よし!後は自動車部に整備を任せている!今日はこれにて終了だ!」

 

……はいぃ!?

 

「あ、ミナトー、清掃手伝ってたんだね〜。さっき会長から『今晩中にここにある戦車達の整備よろしく〜』だって!腕が鳴るよねぇ!がっつり整備しちゃおうね!」

 

ナカジマからのそう言い渡され、後ろを見るとホシノやスズキ、ツチヤは満面の笑みで「どうしてやろっかなぁ!」「徹底的に可愛がってやりましょ!」「初の戦車整備だ!」など言っていた。

 

「ご、五両の戦車をたったの五人で、一晩中に整備しろと?しかも一部とかじゃなくて全体的にしなきゃならんだろ?」

「うん!いやー一人一台だね!こりゃやり甲斐があるよ!徹夜だね!」

 

 

ぶっちゃけ、まじでかつて無いほどに自動車部を選んだ事を後悔した。

 

 

 




と言うわけで早速自動車部としての洗礼を受けた模様。まだまだこんなの序の口だぜ!

……ほんと着目して見れば見るほど、この自動車部おかしい(褒め言葉)

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