意外と早いペースで書けてますね。
ほんと誤字報告ありがとうございます……なんで見つけられないんだ……今回は無いと、思いたいです
「」
「島田先輩……大丈夫ですか?」
「つらい……」
「あはははは……」
現在、倉庫にて横になって寝ている。あぁ、いつでも寝れる、てか寝てた。西住が俺に気付いて話しかけに来てくれたみたいだが……今の俺はもはや役に立たない置物のようだ。
「ミナトー、体なまってるんじゃないのー?」
「ミナトはまだまだだなぁ。あんだけ楽しかったのに」
「履帯なんて整備する機会滅多にないよ!」
「砲塔は勿論、装甲から何まで初めてしたっすねぇ」
「なんでお前らそんな元気なんだよ!」
俺を除いた自動車部は徹夜明けにも関わらず元気だ。こいつらまじでヤベェ……。最初こそ俺に聞いてきてたし、俺も教えてた。けど途中から自分なりの解釈で整備始めて、最終的に俺よか速かった。
本当自信なくすわぁ……これでも昔やってたし、こっち来てからも勉強は続けてたんだがなぁ。こいつら自力で最適解見つけ出すんだもん。隣で見てて戦慄したわ。
むしろ互いが互いに教え合ってたし、提案し合ったりしたし……俺要らなくね?
「ミナトってさー自分の事を下に見過ぎだよねー」
「だな、ミナト自身も相当な速さだったし。私らも負けじと頑張ったもんな」
「謙虚すぎるのも嫌味だぞーミナト」
「ミナト先輩!元気出してください!」
はは、お前達に言われたら少しは自信つくわ……取り敢えず寝かせておくれ……
って訳でそのまま爆睡した。
「あ、島田先輩寝ちゃった……」
私は先輩が昨日からずっと整備やってると思ったので、倉庫に来たんだけど、案の定自動車部の皆さんと一緒に居た。
本当に五両全部やったんだ……しかもあんな状況の戦車をだった五人で。とてもじゃないけど、黒森峰の整備専門の五人を集めても出来ないんじゃなかろうか?
「私たち四人だけだったらもっと時間かかったよねぇ」
「そうそう、ミナトも最初と比べてかなり出来るようになってるしね!」
「んじゃ、私ら戻るから、西住さんだっけ?ミナトのことよろしく頼むよ」
「戦車の事もよろしくっすー」
「あ、はい!」
そう言って自動車部の皆さんは倉庫から出て行く。……あれ?今ここに私と島田先輩しか居ない!?
私は島田先輩を横目で見る。さらさらしてそうな白に近い肌色の髪に、男子の中でも高身長。それに寝ている時の先輩はすごく静かに眠るんだなぁ〜と思う……はっ!気付いたら先輩をガン見していた。気付かれたらまずい!
とは言うものの自動車部の人達に任されたからには先輩の近くにいるしかないよね、うん。彼の近くにいると、あの時の事を思い出す。
『……貴女の判断は間違ってなんかない!あの姿に救われた人は必ずいる!』
今思い出しても、顔が熱くなる。本当にあの日言われた事は、私にとって初めての事ばかりだった。
『時間をかけてもいい!距離を取ってもいい!……だから、これまでの自分を嫌いになんてならないでくれ!』
これまでの自分を嫌いにならないで……かぁ。正直難しいと思った。だって、こんな私だったから、私があんな事をしたばっかりに……なんて思い返した事は何度もある。
けれど、大洗に来てからまだ日は浅いが、私に親しくしてくれる人がいる。仲良くしてくれる人がいる。……友達がいる。
ここでなら自分を好きになれる気がする。新しい自分を見つけられる気がする。
……もう一つ、必ず思い出すのが、
『貴女の姿に、貴女の勇気に惚れている!』
……キャー!今でも恥ずかしい!男子にあんな事言われたの初めてだよぉ!……戦車道をしている姿、って前につくけれど。
まさかこの学校で再会できるなんて夢にも思わなかったけど、再会できたらできたで何も意識してないんだもん、この先輩。……はぁ〜、こっちだけ気にしてるのが馬鹿みたいだ。溜息を吐きつつ、寝ている彼の近く頰を突っついてみる。あ、意外と柔らかい。
そんなこんなでしばらく、寝ている彼の横で時間を過ごしていると、次の授業に遅れた。ちなみに先輩は……というか自動車部は生徒会により、午前の授業を免除されていたらしい。頑張ってくれたのは分かるけど、ちょっと卑怯だなと思ってしまったのは内緒だ。
「そろそろ教官が到着する!失礼の無いように!」
河嶋がそう言うと、全員がチーム毎に整列していた。……てことはそろそろ学園長の車が犠牲になるのか。と言っても、戦車による破壊なので新しい車に買い換えられるらしい。この世界戦車に寛容すぎね?
ちなみに爆睡してた俺は、河嶋から叩かれ、小山から頬をぶたれ、角谷からは腹に乗られていた。なんて仕打ちだこれ!
そうこう考えてる内に飛行機の騒音と共に戦車が投下され、予定調和のように車が破壊された……なぜわざわざ駐車場に投下するのだろうか?
「はーい!今日はよろし……」
教官こと蝶野亜美一尉は俺の方を見て固まった。……俺だけ男だかんな、そらビビるか。
改めて蝶野さんを交えて集合していた。そこで蝶野さんは西住を見て西住流について語っていた。ほら、西住困ってるじゃんかー、黒森峰じゃなくここにいる事察してあげなさいよ。
ある程度紹介し、質問に答えた後、蝶野さんは俺に目を向けた。
「ところで、彼は?」
「はい、彼はマネージャーとして所属しております。我々が監視している為、問題を起こそうとすればすぐ処罰致します」
ちょっとー河嶋さんー、かなり辛辣っすねー。まぁ普通は不審がると思うからいいんですけどね、仕方ないね。
「そうなのね……ま!いいわ!とりあえず実践あるのみよ!」
そう言って蝶野さんの指導の下、初っ端から実践練習をする事になった。……せめて操縦のやり方くらい言いましょ?
全員が戦車へ行く際に俺も付いて行き、基本的な操作方法を教えて行った。一年生達よ、何でもネットの方々に聞くのはよろしく無いぞ。親切な方も居れば、適当な人達もいるしな。目の前で「まず服を脱ぎます!?」なんて言いだした時は笑ったわ。
各戦車のチームへ教えている時に西住達のチームが急速バックしたのは驚いた。あーこんな事もあったなぁと思いつつ、これよく考えると下手したら倉庫に穴空いてたよな?周りも崩れて大惨事になってたかもしれん。内心結構ヒヤヒヤしていた。
そして河嶋よ、躊躇いもなく角谷の踏み台になっているがお前はそれでいいのか。自然な流れ過ぎて普通にスルーするところだったわ。
最後に角谷が、忘れてた忘れてたと言いながら、全員に一つ付け足した。
「んじゃー勝ち残ったチームはご褒美としてー、島田に何でもお願い出来るって事で」
「「「本当ですか!?」」」
「ほんとほんとー、力仕事から日々の雑務、またプライベートな事まで何でもいいよ」
「「「よっしゃー!!」」」
「おい待て、何故それが景品になるんだ」
「まぁまぁ、皆喜んでるからいいじゃん。それに私はあくまでも『お願い』できるって言っただけで、それを実際するかは島田次第だよ?」
「おのれ角谷!謀ったなぁ!」
「え?いきなり何そのテンション、引くわ」
俺の心に大ダメージを負わせた後、角谷は38tにもう一度河嶋を踏み台にして乗って行った。
おいおい、勘弁してくれよ……と言いつつも、全員やる気十分のまま各戦車準備が整い、それぞれ開始地点まで移動し始めた。俺はどうしようかと思ってた時に自動車部の皆から話しかけられる。
「いやー試合で戦車初のお披露目だね!」
「どうなる事やら……」
「西住は経験者なんだろ?ならやっぱりそのチームが有利なんじゃないか?」
「うーん、周りが初心者ですし、他のチームから集中狙いされたら厳しいんじゃないですかね?」
「ミナトはどう予想してんの?」
「うーん、なんとも言えんが……やはり西住達に分があると思うけどな〜」
「なるほどねぇ〜……話は変わるけど、西住のことやけに気にかけるよねーミナト」
「そう……かもしれんな〜」
「お、あっさり認めたな」
「これは怪しいっすね!逆に」
「いや、そういう話じゃなくてな。俺と似てる……と言うと西住に失礼かもしれないけれど、同じものを感じるんだよ。
俺もさ、助けてもらった身だから偉そうなこと言えないけど、小さなことでもいいから力になりたくてな。烏滸がましい話だけど」
「……予想外の返答に予想以上のガチだった」
「以前のミナトの話か?それならお前程頼りになる奴は居ないはずさ」
「私達も力になるから気軽に相談してね!」
こいつらの切り替えの速さに驚きだよ。けど、本気の話の時には本気になって聞いてくれるそんな奴らだ。ありがとう、と一言付け足した。
「あ、話を戻すけどさ、これ試合内容によってはまた整備だね!」
なん……だと……ナカジマの笑顔から放たれたその一言に俺は崩れ落ちかける。
「おー!そうだね!こりゃ腕を磨くチャンスだな!」
「今度は負けないぞ、ミナト」
「私も先輩達には負けてられないなぁ〜」
……頼む西住。なるべく最低限の被害で勝ってくれ。戦闘不能にしなきゃいけないけど。あまりの絶望に俺が項垂れているとそこに誰かやってきた。
「・・・あ、いたいた。ねぇ君、話があるんだけどいいかしら?この実戦を見ながらでも、ね?」
それは蝶野さんであり、俺に話があるようだった。……なんかあったっけ?まぁ断る理由ないし、付いて行く事にした。
「単刀直入に聞くわ、島田家長男の島田湊くん……なぜここにいるのかしら?」
バレてやがる。なんで知ってるんだよ!
「これでも様々な試合の審判やってるのよ?それに西住流師範にはかなりお世話になってるし、しかもあの島田流を知らない訳がないじゃない」
……確かにその通りっすね。
「島田流師範……島田千代さんとも知り合いだし、君の事も知ってるに決まってるじゃない……
じゃあ改めて聞くわ。何故こんなところにいるのかしら?しかも戦車道を離れた君が戦車道と関わっている。それも……西住流のお嬢さんと」
この会話をしている間にも試合は進んで行く。
「深い意味は特にありませんよ。単純にあの子は後輩って訳です。そもそも俺はこの学園が共学になってから入学してるんで、元々居ますし、西住だって今年から転校してきてます。
そこは偶然としか言えないじゃないですか?」
「まぁ、確かに。ただ貴方が何で戦車道に参加してるのかなと思ってね」
「それは俺も戦車道が嫌いな訳ではありませんし、むしろ好きですからね。通ってる学園で戦車道を始めるんだったら、そりゃ手伝いたいじゃないですか」
「なるほど……しかし島田流として西住流と一緒にいるのはどうなのかしら?」
「それこそ関係ないですよ。ここにいるのは島田湊と西住みほ、ただそれだけです。島田流も西住流も関係ない、戦車道が好きな先輩後輩が集まってるだけです」
試合状況は目まぐるしく変わっていく。恐らく麻子が加わったのだろう。全く違う動きとなったⅣ号は、次々と他のチームを戦闘不能へ追い込んでいく。
「ふぅん……」
「俺が戦車道を妹に託した……じゃないですね、投げたのは事実ですが、他者から見たら島田流と西住流が同じチームに所属してる事に変わりないです。
それで何か言う人がいるんだったら……その時こそ、俺の役目なんだと思いますよ?例えそれが……西住流師範だったとしても」
「あら、結構言うのね。あの人を目の前にしても言えるのかしら?それに貴方のお母さんからは大丈夫なのかしらね?」
「当たり前ですよ。なんて言ったって西住は……西住みほは、俺の、俺たちにとって大切な後輩ですからね。
それに俺の母はそんな流派なんて小さい事は気にしませんよ。そりゃ、公の場ではライバルみたいな振る舞いしてますし、戦車道において島田流ほど大事にしてるものはありません。が、大切な後輩と流派っていう比べる事自体がおかしいんですよ」
「大切な後輩……流派なんて小さい事……あはは、ははははは!!」
「……いきなりどうしたんですか?笑い出して」
「いやー面白くって……あはは、笑わせて貰ったわ。今の発言を両方の流派の師範達に聞かせたらどうなるかしら」
「さぁ?西住流師範は機嫌悪くなって、母さんは扇子で口元隠しながら笑うんじゃないですか?」
「くくくっ、本当面白いわね、貴方。なかなかいい男じゃない」
「それは光栄です。恐らく親の教育の賜物と周囲の環境のおかげですね。なんて言ったって、最強で最高の素敵な母と妹に囲まれて生活してきましたから」
「……問題無し、ね。貴方がどんな人間か探ろうかと思ったけど、これじゃあ無害にも程があるわ」
「わかって頂けて良かったですよ」
「じゃあ最後に……貴方にとって戦車道とは?」
そんな答え決まりきってるじゃないですか。
答えると同時に試合が終了する。勝ち残ったのはⅣ号の西住のチームだった。
「みんなお疲れさん!」
私たちは試合を終えた後、また倉庫前に集合していた。そこで島田先輩に出迎えられる。
「む、先輩ここに居たのか」
「冷泉じゃないか!途中戦車に乗ったの見えたけど、まさかとは思ったが戦車道に参加する気になったか?」
「いや、私は西住さんに借りを……」
「嬉しいなぁー!冷泉が参加してくれるとはこりゃ百人力だな!どのポジションだ?」
「……一応、操縦手だが……」
「そうかそうか!見事だったよ操縦!いいねー。
他の皆も最初とは思えなかったよ!こりゃ先が楽しみだな!」
……凄く島田先輩はご機嫌そうだ。冷泉さんと知り合いらしい。沙織さんはあまり教えてくれなかったし、後で聞こう。
「そうね、島田くんの言う通りだわ!いい試合だった。だけどまだまだ荒いわね!今からびっしり教えてあげるわ!」
いや、皆さん初心者なんですけど……蝶野さん。
「そう言えばさっき角谷が言ったが、俺に出来ることがあれば言ってくれ。可能な範囲でやるぞ?けどチームで一つな?流石に最近は忙しくて時間が取れそうにない……」
島田先輩はそう言った、1つなんだ。私はもう決めてたんだけど……
「えー!島田先輩ひどーい!」
「とは言っても私は特にありませんが……」
「なら、西住殿何かありますか!?」
「……私は西住さんに借りを返しただけだからな。何か言う権利はない」
「え!?麻子いいの?……私はいっぱいあるけど……うん!みぽりん何かある?」
「え?いいの?私が決めても」
「って事はあるんだー。いいよー、ひどいって言っちゃったけど、確かに最近先輩には頼りっきりだし、麻子もいいって言ってるから、ね?」
「じゃあ、私から……」
「私も聴いていこうかしらねぇ」
「蝶野さん、暇なんですか?」
「失礼ね、今までここの生徒達に教えてきてたんだけど」
「冗談ですよ、知ってます」
今俺はライブの準備をしつつ蝶野さんと話していた。西住からのお願いとは、
『私、大洗に転校して来てから島田先輩の歌聴けてないんです。もし良かったら聴かせてもらってもいいですか?』
との事だった。みほちゃん、いい子すぎる。そして嬉しいことを言ってくれるなぁ!
「まさか島田家のご子息がバンドやってるなんてね」
「まさに、俺にとっての戦車道みたいなもんですからね。これだけは譲れませんよ、意外ですか?」
「いやいや、いいんじゃない?音楽と戦いは昔から密接に関係しているし、士気を上げるのにも最適の1つね」
「純粋に聴いてくださいよ……」
そんなしてるうちに、皆が練習から帰ってきた。勿論、戦車は使えない為、座学から装填などの練習だ。ちなみに自動車部は先に整備に向かってる……ナカジマ達は「久しぶりに歌ってきなよ!」と言ってくれた。いい奴ら過ぎて泣ける。
「わーい!島田先輩の生ライブだー!やっと聴けるね!」
「この為に練習がんばったんだー!せんぱーい、褒めてー!」
「私たちが勝ったらバレー部に入って貰って、新入生をいっぱい迎える予定が……」
……最後の計画は聞かなかったことにする。西住達も戻ってきた。
「先輩殿!よろしくお願いします!」
「私も直接聴くのは初めてなんですよ〜」
「……なんで私まで練習させられたんだ……」
「と言いながら麻子も乗り気だったくせに〜」
「あはは……島田先輩、楽しみにしてました」
西住が微笑んできた。くっ、鎮まれ……俺には愛里寿がいるだろう!ボコを思い、だめだ!みほちゃんも連想してしまう!……あ、この辺りでノンナさんからキックが来るな、よし落ち着いた。
全員が倉庫内に集まったところで、ライブを始める。
「んじゃー島田ー、後よろしく〜」
「なんか改まると恥ずかしいな……皆、今日はお疲れ様」
俺が話し始めると全員が静かになる。……うん、なんだかむず痒いな。
ある程度気楽に話した後に本題に入る。
「ここにいる全員が、この大洗での戦車道の一歩を踏み出したと思う。でもそれは周囲から見ればスタートラインすら切っていないんだ。
けど、大丈夫。その一歩を後で思い出す時に、とても大切で重要な事だと気付くから」
冷泉が「あ、これバンドモードだな、気障ったらしくなるやつ」と言って、武部から口を押さえられてる。うるさい!
「そして、西住」
俺は西住の名前を呼び、一呼吸置いた。
「不安なんて、ここじゃあ一人で抱えていても全く意味がないさ。周りを見ろ、そこに見えるのがお前の仲間だ。悩んだりした時は、まず声に出してみよう。必ず応えてくれる奴らがいる。
今はまだ、お前の大切な道を、夢を見つけることを目標にしてていいんだ。必ずその先には、お前の求める物が待っているはずだ」
そして俺は蝶野さんに言った言葉を思い出す。
俺にとっての戦車道とは、楽しくて、笑いあって、悔しくなって、惜しんで、泣いて……そんな様々な感情と向き合う物だ。
押し付けかもしれないけれど、それらと向き合った最後には、大切にしていた何かを見つけ出せる事が出来るはずだから。
「じゃあ、聴いてくれ」
『smile』
シド より 『smile』 です。是非聴いてみて下さい。
opみたいな立ち位置ですね。これから大洗の戦車道は始まる!って感じです!