この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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ではどうぞ!





34話 〜日常 ⑤ です!〜

 

 

 

だめだ、体が動かねぇ。

蝶野さんにから貰ったメニューを元に、それぞれのチームの練習内容決めてを渡す事が1つ目。毎日の練習後に行う戦車の整備が2つ目。チームメンバーへの差し入れの買い出しが3つ目。練習途中の解説及びアドバイスが4つ目……過労で死んでまう。

 

ちなみに冷泉の朝の迎えはバッチリ行なっている……こいつ遅刻する気満々なんだもん。これが5つ目だ。これはまぁ冷泉が戦車道に無事本格的に参加してくれる事には感謝だ。

 

しかし西住はやけに麻子の事を聞いてくるな……武部からは「送り迎えの事は伏せといてあげたよ!」と言われたから、それに関しては言ってない。そうだよな、二年の最初の時は確かに俺もそう考えてたはずなのに、送り迎え、しかも女子一人の家にはまずいよなぁ。

 

まぁ、その事は取り敢えず置いといて、ライブなんてやる暇がねぇー!たまに気分転換に倉庫で歌ったりしてるが。その時に1年や歴女、バレー部達が立ち寄ってあれやこれや歌ってと要望されて、さらに気分よく歌うと河嶋に見つかり怒られるのが一連の流れだ。

 

と言うわけで、微かな時間で仮眠を取ったりしている。その時には毎回西住が近くにいるわけだが。一度起きた時に西住と目が合い、顔真っ赤にして逃げて行った時がある。うん、可愛い。

 

俺のオーバーワークの中での唯一の癒しだ。ちなみに、その原因の角谷率いる生徒会はマネージャーの仕事だと完璧に投げている。いやまぁそうなんだけどさ〜……死んでまうぞ俺!

 

そんな日々を過ごしている中、久し振りに定時で帰れるタイミングがあり、まさか前世と同じ学生で定時上がりの喜びを知る事になるとは思ってもみなかった。

 

「島田せんぱーい!」

 

ん?声が聞こえた方を見ると武部が居た。どうしたんだ?

 

「どうした?なんかあったか?」

「いやーねー、今日は島田先輩普通に帰れると聞いたからさ、今からみんなと買い物行くんだけど、一緒にどうですか?」

 

武部の後ろを見ると、西住達が揃っている。

 

「買い物?俺付いてっていいのか?」

「まぁまぁ!親交を深めるって事で!」

「今更だぞ、先輩」

「私、先輩殿に聞きたい事沢山あるんです!」

「私は先輩が料理が上手いと聞いて沙織さんとどっちが上手いのかなぁ〜と思いまして」

「最後買い物関係ないだろ」

「も、もちろんいいですよ!一緒に行きましょう!」

「うーん、そうだな……日常品買い足さなきゃ行かんし……行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

どう言うわけで、買い物について来たわけだが……。

 

「戦車の乗り心地よくしたかったんだよねー!ずっと乗ってるのお尻痛くなっちゃうんだもん」

「えぇ!クッション敷くの?」

「いい考えですわね〜」

「えぇ〜あの無機質な鉄の香りのする室内がいいのに〜」

「そこは任せる」

「クッションいいじゃん!だめなの?」

「だめじゃないけど……戦車にクッション敷くって聞いた事ないよ?」

「……ふむ、確かに居住性を良くするのもいい考えかもな。武部らしいアイディアじゃないか」

「でしょー!島田先輩わかってる〜!」

「先輩殿まで〜」

「あははは!いいじゃないか、敷いちゃダメって決まりはないし、思い付いたことはガンガンやっていけば。

ダメだったらやめればいいし、ある意味ここでしか経験できないぞ」

「先輩が話わかる方で良かったですねー、あら、沙織さんこれ可愛い」

「おぉ〜いいね!あ、そうそう、土足厳禁にしない?汚れちゃうし」

「土禁は流石にやりすぎだ」

「えぇ〜だめ〜?じゃあじゃあ、色塗り替えたりしない?」

「だめです〜!戦車はあの迷彩色がいいんです!」

「うぅ〜ケチ〜」

「流石に土禁やら塗装を変えるのはやめといたほうがいいな……塗装は場合によるけど武部のは可愛い感じにしたいんだろ?それはちょっとな」

「じゃあ、芳香剤とかどうでしょうか?」

「お〜それ有りだね!」

「確かに香りをつけるのは良いかもな。香りの種類によっては集中力やリラックスするのに効果がある」

「先輩殿〜!」

 

各々が戦車に持ち込むものを買っている。そういえばこんな事あったなぁ……横を見ると西住はぽかんとした表情になっている。これは頭がついて来てないな。

 

「西住」

「は、はい!」

「西住も何か戦車内に置くもの買っていいんだぞ?」

「そ、そうですね……初めての事ばかりでちょっと思いつきません……」

「そりゃよかったな!初めての事経験できて。こんな事他じゃしないからな〜。

思い付いたら買ったりして持ち込めば良いんだしな」

 

西住はまだこの状況に頭が追いついてないようだ。今もなお武部達は買い物を続けている。鏡やら充電器やら……戦車内で使う機会ないだろうって物まで揃えている。

 

まだ西住は慣れないんだろうし、これからも驚きの連続だろうなと思いつつ、俺は俺の買い物をして、その場を解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはこれは……」

 

今目の前に広がるのは変わり果てた戦車達。比較的ましなのが「バレー部魂!」と書かれた八九式。それ以外はまぁ無残な姿に。三突撃は歴女の各々の好きな旗を取り付け、基本赤で塗装を、後の戦車はほぼ全てをリーはピンクに、38tは金色に塗りたくっている。

 

「はぁ〜…………」

「西住殿〜、我々の戦車が〜!」

「む〜!私達も色塗り替えれば良かったじゃん!」

「これはもう別の物に変わってますぅ!あんまりですよぉ〜」

「……ふふ、ふふふふふ」

「西住殿?」

「戦車をこんな風にしちゃうなんて……考えられないけど、何だか楽しいね!

戦車で楽しいなんて思ったの……」

 

西住は笑っていて、何かに気づいたようだった。

 

「西住、な?ここの奴ら皆個性的って言ったろ?多分これからも色々面白おかしくしてくれるはずさ」

「……はい!」

 

西住は満面の笑みで俺に笑いかけた。不意打ちが過ぎるぞ!ふふ、しかし俺にはもう効かんぞ、何故ならノンナさんからの攻撃を思い出す事により、煩悩を退散させる!

 

「……先輩、顔がきもいぞ」

「今明らかにみぽりんの顔見惚れてたよね?」

「あらあら、確かにみほさんの笑顔は魅力的ですからね〜」

「先輩殿は戦車がこんな事になってるのに……」

「まて、確かに西住の笑顔は素敵だったがそれはしょうがない事だ。未だ笑顔が少ない西住だ、これは珍しいからな」

「す、素敵だったって、え、えぇぇぇ!!」

「島田先輩、何開き直ってるのよ〜」

「西住さん、先輩から離れとけ」

 

くそ、冷泉め!気付くとは……

そんなやりとりをしている時だった。

 

「このままの勢いで言っちゃおうか、島田ー」

「何だ角谷」

 

俺は角谷に呼ばれたので生徒会の方へ向かう。後ろからの視線を感じたが、まぁ気のせいという事にしておこう。

 

「ちょっと練習試合組むから、連絡して来て〜」

「練習試合?……うーん、何処に?」

「それは任せるよ、戦車道については島田の方が詳しいしねぇ〜」

 

んじゃー任せたー、と角谷は戦車の近く戻った。……うむ、練習試合の相手か……原作通りであればあそこか……。

俺は倉庫から離れて、練習試合を申し込みに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、もしもし」

『よー!凛ちゃん!お久し振り!』

「……湊さん、ですか?大洗学園からと聞いておりましたが……直接電話して頂ければ出ますのに、何用ですか?」

 

あれからティータイムの時間は大幅に減った。その少ないティータイムの時に湊さんから電話がかかって来た。

 

横でアッサムとペコが「み、湊さん!?アッサム様!まさかあのお噂の……」「えぇ、オレンジペコ」と話している。

 

『実はさー、凛ちゃんに頼みたい事があってさ』

「頼みたい事?えぇ、内容次第ですがいいでしょう」

『……練習試合、しようぜ』

「……何処と?」

『勿論、大洗学園と』

「……成る程、復活なされたんですか?」

『その通り、日にちは次の土日、大洗に寄港するタイミングだ』

「………………いいでしょう。我々聖グロリアーナは受けた勝負は逃げませんのよ?」

『サンキューな!いやー助かるよ』

「……ところで、何故私達なのですか?」

『それは簡単だ。凛ちゃん達から学ぶ事が多くあるだろうし、何より……ダージリンの戦車道、見るって約束したからな』

「……ふふふ、わかりましたわ。ではまた後日」

 

そこで電話を終える。これは、練習試合楽しみですわね。

 

「ダージリン、まさか……」

「えぇ、次の土日に大洗にて、大洗学園との練習試合を行ないますわ」

「ダージリン様!そこにはあのお方が」

「その通りよ、ペコ……まさか予想外の事ですが、相手が誰であれ全力を尽くしましょう」

 

……カチューシャとの話のネタがまた増えましたわ。あの子、なんて言うのかしら。それに、ほんと楽しみですわね。湊さんのいる大洗との試合なんて。

今の私達が一筋縄では行かないことを見せてあげる。

 

 




短いですが、こんな感じですね。
てか自動車部忙しすぎてなんも話が詰め込めない笑


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