感想・お気に入り・そしていつもの誤字報告ありがとうございます。
誤字が無くならない……本格的にpcでの作業に切り替えるべきか……
「各員に通達する!今度の日曜日に練習試合を行う事になった!相手は聖グロリアーナ女学院だ!」
河嶋がそう言うと、周囲から声が上がる。そして、西住や秋山は顔を曇らせる。そりゃ知ってる奴らからすると、かなりの強敵だもんなぁ……
横で秋山が武部達に説明している。ほんと詳しいよなぁ秋山。情報通と言うか流石というか。
「なお、集合時間は朝の六時だ!絶対遅れないように!時間厳守だ!この後作戦会議を行う、各リーダーは集まるように!」
以上で解散!と河嶋が締めくくり、それぞれチームごとに解散していく。その時冷泉が声を上げる。
「……戦車道、やめる」
「あちゃ〜」
「れ、冷泉殿!?」
冷泉はその場を去っていく。あ〜、原作知らなくても、こりゃ冷泉のこと知っていればそうなるわなと思う。
「れ、冷泉さん待って!」
「……朝六時だぞ?人間が朝六時に起きられるか!」
「朝六時に集合なので……起きるのは五時位になるかと……」
「…………。短い間だったが世話になった!」
再び冷泉は歩き出す。はぁ〜こうなるかぁ、しょうがない、俺が声をかけようとした時に武部が先に話しかける。
「いいの!麻子!単位取れなくなっても!」
「……今の調子なら進級はできる」
「それだって!…………あー…………」
武部が言い淀んで周りを、特に西住の方を見てる。何故だかわからんが、この際しょうがない。俺も近づいていく。
「まだ遅刻は先輩のおかげで遅刻の数は計87日だ。それに2年に入ってからはまだ5回しかしてない」
「あ」
「お前なぁ、それは俺が迎え行かなきゃ遅刻してるって事だろ?」
「あ」
「……けど、最初は多かっただけで最近は低血圧も改善できてきたから、一人でも遅刻の割合は少ない」
「それでも遅刻してんじゃねぇか。それに二年で5回ってお前まだ四月だぞ……」
「それでも進級と卒業はできるはずだ」
「……じゃあ進級は良しとしよう。卒業はどうだろうな。冷泉が三年になる頃には俺卒業していないぞ?」
「…………」
冷泉は思わぬ落とし穴に引っかかったとばかりに唖然としている。いや、お前なら気付いてただろ!
「それにな、就職にも進学にも響くだろう。いざという時にどちらも成功しませんでした〜で、どうおばあちゃんに報告するんだ」
「お、おばぁ!?……」
「そうだ、強制で戦車道をやらせる訳には行かないから、本当に辞めるのなら止めはしない。
けど、俺も忙しくなるし、そんなに迎えにも行けなくなる。それにお前のおばあちゃんからも頼まれるんだ。
俺としては、この戦車道を通して朝早く起きるのにも慣れてもらいたいと思っている。加えて通常授業の単位3倍に、遅刻見逃しの件もある。
ほら、お前にとっていい事ばかりじゃないか」
「ぐぬぬ……」
「最後に、ここの皆は、俺も含めお前と戦車道をしたがってるんだよ。どうだ?続けてくれないか?」
「……わかった、やる」
「お前ならそう言ってくれると思ったよ!良かったぁ……」
不貞腐れる冷泉を嗜める。ふぅ……なんとかなっっ!?なんだこの視線は!?後ろを見ると西住達の、というか西住からの視線が半端なかった。武部が言わんこっちゃない、とばかりに額に手を当てている。
「島田先輩、冷泉さんとどんな関係なんですか?」
「い、いや、どんな関係と言われても……」
「朝の迎えって、どう言う事ですか?」
「あははー……言葉の通りだよ」
「ちなみに朝ごはんも作ってくれて一緒に食べている。これがまた美味しい」
「……へぇ〜……」
「お、おい冷泉!下手な事言うな!」
「下手な事?別に事実だし、言ったらまずかったか?」
「いや、まずくはないけど、ほら!やっぱり朝早くから、女の子一人しかいない家に行くって、な?」
「そんなの今更じゃないか、何言ってるんだ?先輩」
ちょこんと首をかしげる冷泉。いや、まぁほんと今更だし、その仕草可愛いけど!西住見ろ!なんかやばいだろ!?
「女の子一人しか居ない家に、朝早くから迎えに行って、ご飯を作ってあげてから一緒に食べて、登校してるんですね。しかも冷泉さんからのおばあちゃんからもお墨付きで」
「取り敢えず落ち着こ?な?話せば分かるって」
「そ、そんなの……そんなのって……」
「に、西住?」
「う、羨ましいじゃないですかー!!」
「わぁ!?」
いきなり西住が声を上げる。周りもびっくりしてる。俺もびっくりしてる。
「なんなんですか!?付き合ってるんですか!?カップルですか?でもそんな素振り見せてないですよね!?」
「だ、だって付き合ってないし……」
「つ、付き合ってないのに……朝に迎えに行ってもらえて、朝ご飯まで一緒に食べて……親公認なんて……」
「ほ、ほら!西住!もしあれだったら飯くらい作ってあげるから!な?」
「ほんとですか!?」
「勿論!」
「その後一緒に登校してくれますか!?」
「待て、それは俺に朝から行って飯作ってくれと?」
「だ、だめ……ですか?」
「あー!泣くな泣くな!いやー無性に西住と一緒に登校したくなってきたなぁ!」
「嬉しいです!」
西住から出る怒涛の言葉に、思わず頷き返答を返していく。その後ろでは、
「あー……だから伏せといたのに〜」
「意外ですね!みほさんも攻めっ気のある方だったなんて!楽しくなってきました」
「西住殿も混乱してるように見えますけど……」
「……!待て、結局私の所に迎えには来ないんじゃないか?これ」
などと話し声が聞こえる。おい冷泉、お前はこんな状況でも自分の心配か。いや、まぁ俺の心配をしろと言うわけでもないけども。
「私の話はこれでいいです、次に冷泉さんのはな」
「西住!作戦会議があると言っただろ!早く来い!」
河嶋が西住を呼んでいる。河嶋、お前の事が今天使に見えるよ……
「は、はい!今行きます!……絶対後で聞きますから!」
「あ、それなら、皆で麻子の家泊まろうよ!そしたら麻子の事も起こせるし、それにとことん島田先輩の話も聞けるじゃん!」
な、な、なんて事を言い出すんだ武部ぇ!
「そ、それはまずいだろう!お前達が泊まるのなら問題無いけど、そこに俺が入るのは」
「麻子の家広いし、大丈夫だよ!ね?麻子?」
「……ふむ、夜も島田先輩のご飯が食べれるのか。それはいいな。あ、島田先輩、作るならデザートも頼む。ケーキで」
「いやいや、だからぁ!?」
「島田先輩なら問題無いっしょ!それにみぽりんも島田先輩のご飯食べれるし一石二鳥だね!」
「あら、私も一緒に良いですか?先輩のご飯に興味ありますし、ガールズトーク良いじゃありませんか」
「な、なら私もご一緒にさせて良いですか!?」
「もっちろーん!決まりね!」
「お前達からの信頼はとても嬉しいけど、これはだめだろ!」
「じゃあ、会議終わったらすぐに向かいますね!待ってて下さい!」
「俺の話聞いてる!?」
西住は河嶋の後を追いかける。おい!まじで泊まんの!?まじで言ってんの!?
「これは楽しみになってきちゃった!あ、そうだ!夜に愛里寿ちゃんにも電話しよう!」
「おいばかやめろ」
「愛里寿ちゃん……とはどなたでしょう?」
「島田先輩の妹さんだよ!とっても良い子なんだよ!」
「愛里寿ちゃん……島田愛里寿……ッ!!
あの!先輩殿!もしかして、先輩ってあの島田流ですか!?」
あーもう無茶苦茶だよ!
ちなみに西住は俺との会話を思い出して、作戦会議中ずっと顔が真っ赤だったらしい。後で澤ちゃんから聞いた。こんなんで聖グロ戦大丈夫か?……
その日の夜、西住と俺をを交えた全員で冷泉の家に泊まりに来ていた。……どうしてこうなったし。
部屋は五人は一緒で俺はリビングに泊まることにした。そりゃそうだろうな。てか俺がいる事がおかしいんだよな。
取り敢えず現在は武部と一緒に全員の夕ご飯を作っている。なんと武部以外の生徒達は料理全滅であったのだ……って、原作でもそうでしたね。
その時に五十鈴が「沙織さんと並んで料理してると、まるで夫婦みたいですね♪」と言うと、めっちゃ笑いながら「ほんと!だってさ島田先輩!あ、ちなみに肉じゃが好き?」って俺に矛先を向けた。おい、振るな俺に、肉じゃがは好きだけど。
武部は嬉しそうに「やっぱ男の胃袋を捕まえないとね!」なんて言ってたが、料理してる最中の後ろからの圧力が半端なさすぎて、振り向けなかった。
ご飯が出来て、全員で食べ始めてから先程の話に戻る。
「島田先輩って冷泉さんとどんな関係なんですか?ってこのハンバーグ美味しいです!」
「どんな関係って……どうなんだろうな?冷泉」
「さぁ?……うん、この和え物もなかなかだな」
「麻子は島田先輩の事、お兄ちゃんみたいに思ってるもんねー!」
「おいやめろ沙織」
「そう……なのか?」
「先輩も本気にするな」
「えー、愛里寿ちゃんとの電話の時、複雑そうにしてたくせに〜。麻子も顔に出やすいんだよ?」
「冷泉さんも可愛い人ですね〜」
「確かに俺も冷泉の事は手のかかる妹って印象は否定出来んな。愛里寿はほんと俺の妹とは思えん程に出来た妹だからな」
「手のかかる妹だとか複雑なのだが」
「と言いながら内心凄く喜んでる麻子でしたー!」
「沙織……覚えてろよ?」
「冷泉殿の可愛い一面が見れて新鮮ですー、って五十鈴殿、食べるの早すぎでは!?」
「美味しくってつい〜」
「島田先輩にとって冷泉さんは妹……付き合ってるわけじゃない?ってことはまだ……」
「西住〜何ぶつぶつ言ってんだ〜戻ってこーい。おかず無くなるぞ〜」
なんて、何とか平和的な時間を過ごす事が出来た。まぁ冷泉の迎えの理由やらを話したり、武部の彼氏()の話を聞いたり、色々話した。そして今大きな問題にぶち当たっている。
「そろそろ良いくらいの時間だね〜、愛里寿ちゃんに電話しようよ〜」
「それだけは勘弁してくれまじで」
「えー何でー?」
「愛里寿も愛里寿で忙しいし、戦車道の練習で疲れてるかもしれないから」
「ぶーぶー」
「そうです!先輩殿はやはり島田流の人なのですか!?」
「え!?……そうなんですか?島田先輩」
「私その島田流がわからないんだけど〜」
「私もだ」
「私もですね〜」
「いいですか?島田流というのは〜」
秋山が島田流について語り始める。まぁ大体合ってるから俺は口を出さない。そして最後に、西住流と対を成す日本でも最大の流派と言って説明を終わった。
はぁ……いつかばれるとは思ってたけど、まさかこんなところでばれるとは……
「……てことは、先輩はみぽりんにとってライバルってこと?」
「わ、私は別にそんな事……」
「俺もそんな気は無いさ。俺も少し戦車について勉強してたり、男だけど戦車道に触れた事はある」
「そうなのですか?」
「あぁ。しかしまぁ、周囲の人間からみたら出来損ないみたいな感じだったらしくて、相当言われてたもんだ。あ、一応言って置くけど、別に家族からは何も無いぞ?むしろかなり仲はいい」
「そうだったんですね……」
「それで……島田先輩は大丈夫だったんですか?」
「俺?俺は別に、大切な妹も大事にしてくれた父さん母さんも居たからな。別に気にしてなかった。
そんな時妹が戦車道を始めて、結果は現在の通り。愛里寿が戦車道で凄い成績を納めて、俺は島田流からはお役御免って事で今に至るって訳」
「そんな事って……」
西住や五十鈴が顔を暗くしている。その他の三人もだ。西住や五十鈴は家柄的にも特に理解が出来るんだろうな。
「別にそんな気にする事ないさ。さっきも言ったけど、家族からはすげー大事にされてるからな。
それに俺は自分が好きな歌に専念出来てるし、好きな事をやらせて貰えてる。
1つあるとすれば、島田流に関しては妹に全て任せてしまった事が申し訳ない」
五人はまだ顔が暗い。あー何でそんな辛気臭くなってんだよ〜。気にするなって言ってるのに……まぁそれでも気にしちゃうんだろうけど。
「ほら!そのおかげで今大洗に居て、自由にやらせて貰えてるんだ。お前らとも楽しくやれてるし、そもそも戦車道が嫌いだったら、マネージャーなんてやってねぇからよ」
「島田先輩は……強いんですね……」
「それ愛里寿にも言われたんだがなぁ」
「その時はなんて返したんだ?」
「なんてって、普通に『俺にとっては周囲なんてどうでもいい、母さんや愛里寿が居ればそれで十分だ』みたいな事言った気がするな」
「流石だな先輩。バンドマンらしくさらっと気障ったらしい台詞を吐く」
「えぇ〜私はかっこいいと思うけどなぁ。そんな事言われたら、キュンってなっちゃいそー!」
「先輩はほんと周りを面白くしますね〜」
「うぅ〜私はなんか泣けてきましたよ……」
「…………」
おい、言いたい放題だなお前ら。てかそんな恥ずかしい言葉かな。やばい、感覚が麻痺してるのかもしれない。……って西住が静かになったが、どうしたんだ。
その時、俺の携帯に着信が入る。このタイミングかー、ケイやカチューシャ、凛ちゃんなら後で掛けな…………
「島田先輩、どうしたの?」
「いや、何でもない」
「先輩殿、電話出ないんですか?」
「非通知だったから、無視していいだろと思ってな」
「嘘ですね」
「嘘だな」
おい、何でそんな鋭いんだ。そのままそっとしておいてくれ。
「あ!愛里寿ちゃんからじゃない!出ないと駄目だよ!島田先輩!」
武部が回り込んで、覗き込んでた。なんて俊敏さ!くそ、油断した……
周りからの目線もあり、居た堪れ無くなってくるので、電話に出る事にした。……何事も無いまま終わってくれ……
ちょっと強引だったでしょうかね……?
実際のところ、島田流・島田家とバレるのは抽選会の帰り、まほ姉に出会った時にと思ってたんですけど、書いてるうちに色々思いついてきて、こうなりました笑
なるべくみほちゃんのヘイトを軽くしたかったのですが、どうでしょう?
というわけて次回、妹VSあんこうです!
……今回で聖グロ試合前までいく予定だったんだけどなぁ……