まずは最初に一つ……誤字報告、本当感謝いたします。
どんだけだよ!ってくらいしてますね。何度見直しても、全く気が付かない……他人に見せようかと思いましたが、こう、なんか恥ずかしい。
お気に入りもいつのまにか1500.超えており、感想も合わせてありがとうございます!完結に向けてこのまま突っ走るので、拙い作品ではありますが、今後もよろしくお願いします!
「……もしもし?」
『あ!お兄ちゃん?今大丈夫?』
「おう、全然問題ないぞ!うん」
周囲からの視線を受けながらの電話ってこんなにやりづらいものだとは……
一応部屋から出ようと思ったのだが、武部と冷泉より久し振りに話したいという願いを受けた事と、いつの間にかに逃げ道が封鎖されていた。なんてチームワークだ。
『あのね!実は………』
愛里寿からの話は、現在の選抜チームの話だった。選抜チームの隊長になって一年、時には年上の人達との付き合い方について相談を受けていたが、今ではすっかり打ち解けられている様子だ。
嬉しそうに遊んだりした事を話す愛里寿の話を聞いて、思わず笑みがこぼれる。
……はっ!と気付くと周囲からニヤニヤと見られている。くそ、分かってたのに油断してしまった。
『それでね!今度また遊ぼうって!ボコミュージアムにも行ってくれるんだって!』
「愛里寿が楽しそうで何よりだよ。戦車道の活躍もこっちにまで伝わっているよ。兄としても鼻が高いよ」
『えへへ……』
愛里寿の照れている様子が思い浮かぶ。……可愛すぎか!何度見ても衰えないとは、やはり侮れんな、我が妹ながら。
「……お兄さんとしての先輩殿は初めて見ました」
「一年生や冷泉さんと話している様子とはまた違った感じですのね」
「…………」
「麻子も拗ねないの〜。ほら、島田先輩何か言ってあげて!」
「沙織さん!電話中だよ今……」
外野が騒いでいる。全く、人が電話していると言うのに……
すると、電話先の雰囲気が少し変わったような気がした。
『……お兄様?誰かそこにいらっしゃるんですか?』
「あ、あぁ。今友達の家でさ」
『女性の声みたいですが』
「そ、そうかな〜聞き間違いじゃない?」
武部から「何でわざわざ伏せるの?」と聞かれたが、取り敢えず無視。 前みたいな感じバレるなんてへまは……
「くしゅん!」
可愛らしいくしゃみが聞こえた。その方向は恥ずかしそうに顔を赤らめている西住が居た。うーん……なかなか良い顔!
『……やはりそこに誰か居ますよね?』
「……はい、居ますね」
『誰でしょうか?』
俺は観念してスピーカーモードに変えると、武部や冷泉に渡す。
二人は、特に武部は喜んだ様子で喋り始めた。
「愛里寿ちゃん、やっほー!」
『……沙織さん?』
「私も居るぞ」
『……麻子さんも』
「お久しぶりだね〜!元気だった?」
『はい、沙織さんたちも元気そうですね』
「そりゃもう!最近は健康的な日々を過ごしているからね!あ、愛里寿ちゃん、紹介したい友達がいるんだ〜」
『えっ?』
流石は武部、愛里寿へ畳み掛けるように会話の主導権を握り握り、西住達を紹介した。西住は戦車道の事もあるからか、緊張していた。けど秋山、そんなに気合い入れなくてもいいだろ……
『……西住……気のせいかな?うん、皆さんよろしくお願いします。島田愛里寿と言います』
「うん、うん!ここにいる皆、島田先輩にお世話になってるんだ!」
『こちらこそ、お兄様と一緒にいて下さってありがとうございます』
「私は特にお世話になってる方だからな」
『……麻子さんは頑張りましょう?もう少し』
そこからしばらく他愛ない話が続いていた。ふぅ、無事に何事も無く終わりそうだな。……そう思っていた時だった。
『ところで皆さんは今何をしているんですか?何処かにお食事でも……』
「あー今ね麻子の家に居るんだよー」
『……もう、夜の九時ですけど……』
「今日は全員私の家に泊まるらしいぞ。明日が朝早くて、起こしてくれるらしい」
『と、泊まり……?……お兄様?』
うわぁぁぁ!声のトーンめっちゃ下がった!
ほらみんな気付いて!西住しか気付いてねぇし五十鈴は嬉しそうな顔すんな!
「そ、そうなんだよなぁ〜。ほら明日の事で話し合いとかさ、いろいろ立て込んでで時間が取れなかったんだよ」
『……けど、それでも女性の家に泊まりに行くの?』
「あ、いや、俺も流石に断ったんだけどね?どうしてもって言ってくれたし、五人もいるからさ!俺なんかそこら辺の置物みたいな感じだよ!」
「お、置物って……」
「あ、あとなんだ。料理担当として呼ばれたってのもある。なんだかんだ自炊はしてきたしさ〜、武部とか食べたいなんて言い出してしょうがなく、な?」
さりげなく武部に押し付けたが、ここは我慢してもらおう。
『……羨ましい……でもお兄様、泊まるのは流石にどうかと思う』
「あーやっぱりー?そうだよなーうん」
『それに明日の話し合いって、女の子達の家に泊まって話し合うくらい大事な事あるの?』
「……あー、うんそうだな……なんて言えばいいんだろうなぁ」
『……言えないなら、仕方ないけど……お兄ちゃんのことだから』
ぐは!やめろ愛里寿。お前の元気が無くなるのは俺に効く。
『愛里寿、また電話してたのかしら……ってどうしたの?』
……オワタ!第3部完!
武部達も「誰?」「母親じゃないか?」みたいな事を話してる。
『……お母様、お兄ちゃんが女性の家にご飯まで作って、一緒に食べて、そのまま泊まるんだって……しかも五人』
『…………湊?そこにいるの?』
「……はい」
『ちゃんと念入りに用意はしておきなさい。……それにしたって、五人は多すぎよ……』
「ちょっと待ったぁぁぁ!!母さん勘違いしてる!してるから!」
『あら?そうなの?湊もそういう年頃だから……とはいえ、五人は流石に多いと思ったけれど、湊の事だからあり得ると思っちゃって』
てへっ、みたいな返答するな!こっちが恥ずかしいわ!ほら、皆んな顔真っ赤だよ!あぁ、でも冷泉の真っ赤な顔は新鮮かも……
「てか母さん!今愛里寿と俺の後輩たちが話した後で、全員に聞こえてるから!」
『あら?そうならそうと早く言いなさい。湊の母親です、息子がお世話になっております』
「い、いえいえ!島田先輩には私たちの方がずっとお世話になっています!」
「そ、そうなんです!けどそこに何も無くて、健全というか、そういう事が一切無くててですね……」
『良い子達ねぇ〜、湊大事にしなさい。それにしても、そんなに集まってパーティでもしてるのかしら?私たちは邪魔かしらね?』
「そんな事はないです!元々愛里寿ちゃんとは電話したいと思ってたので」
『あら、ありがとう。愛里寿もきっと嬉しいはずよ』
「それに今日は明日の話し合いというか、作戦会議と言いますか……」
『明日何かあるのかしら?』
うーん、愛里寿も気にしてたし、いずれ母さんには話そうと思ってたからな……良い機会かもしれん。
「そうだな、母さん。明日大洗で戦車道の練習試合するんだよ」
『……戦車道?』
気を使ってくれて、さっきから聞かれた時には黙ってくれていた皆が驚いている。まぁそうだよな、さっきの話を聞いてたら家族間の仲は良好だとしても、話題に出すような事では無いし。
『湊……貴方』
『お兄ちゃん!戦車道やってるの!?』
「あぁ、やってる……と言っても、大洗も今年復活したばかりでさ。それで手伝ってくれって。やってる事と言えばマネージャーみたいなもんだよ」
『そう……なんだ』
お互いに黙り込み、静かな時間が流れる。すると、母さんが口を開いた。
『皆さん、うちの湊をよろしくお願いします。そして、ありがとうございます。このような伸び伸びとした環境で戦車道をやれる事は、この子にとっても良い経験になれます』
『沙織さん、麻子さん、みほさん、華さん、優花里さん、どうかお兄様をよろしくお願いします』
母さんと愛里寿からのお願いに全員が反応する。
「お世話になってる事はこっちです!島田先輩にはほんと感謝しています!」
「そうだよ〜愛里寿ちゃん。それに島田先輩のお母さんも、いつも頼りっきりです!ね、麻子!」
「そうだな……」
「冷泉さんは日頃の生活から、ですものね。ふふ」
「先輩殿の戦車の知識には常日頃から頭が上がりませぬ!こちらこそよろしくお願いします!」
『……そう、皆さん。本当に良い子達ね。湊、こんな良い子達なんだからちゃんと頑張るのよ?』
『……私、お兄ちゃん達の試合応援行くから!』
「……分かってるよ母さん。全力を尽くすさ。愛里寿、是非来てくれ。皆喜ぶだろうし、大洗の試合は絶対面白いと思うぜ」
『……一つ聞きたいのだけど』
「ん?何だ母さん?」
『いえ、大した事じゃないんだけど……みほさん、ってあの西住みほ?』
「「「!?」」」
「か、母さん何で……」
『ふふ、私に隠し事なんて出来ないわよ?湊。……西住みほさん』
「は、はい!」
『……多くの事を聞く事はしないわ。けれど一人の戦車乗りだった者として、戦車道に、復帰してくれた事がとても嬉しいわ。……それに貴女のあの時の行動は正しかった。ただ、湊が言っているだろうけど、ちゃんと自分の事も大切にしなさい』
「……はい、肝に命じます」
『ならよろしい。全く、一体あれは、何してるんでしょうねぇ……』
「あれ、とは何でしょうか……?」
『貴女の母親の事よ!本当に……けど、誤解しないであげてね?あれも貴方達娘の事は大切に思ってるから。ただ、ほんの少し……じゃないわね、かなり不器用なだけだから』
「…………」
『今は無理でも、少しでも話してあげてね?そこの馬鹿息子なら幾らでも助けてくれるでしょう』
「馬鹿息子とは何ですか、馬鹿息子とは。流石に人の家の事情までは……」
『貴方に幾つの前科があると思ってるの。
それに何年貴方の親をやってると思ってるの。みほさんが何も言わなくても、勝手に突っ走って割り込むでしょ……』
「……否定は出来ないです」
『でしょうに……あぁ、最後に一つだけ』
母さんは思い出したかのように付け加えた。
『貴女達が戦車道をやっているのなら、いつか機会が来るでしょう。その時が来たら……愛里寿とやってあげて?
西住流とか関係なく……うちの愛里寿は強いわよ?』
最後に愛里寿から『お兄様、皆に変な事しちゃだめですからね!』と言われ、電話を終える。……まさか母さんが登場するとは……
「凄い方達でしたね〜」
「まさかあの、島田流家元と島田愛里寿と話が出来るなんて!私感激です!」
「あー島田先輩のお母さん、凄いできる人って感じ!あんな大人になりたいなぁ〜」
「沙織には無理だな」
「麻子だって〜」
全員の緊張感が緩み、和やかな空気が流れる。その中で一人、西住だけが黙っている。
「西住」
「……はい」
「良い人達だったろ?」
「はい。とても……優しい方達でした」
「……西住流とか島田流とか、関係ないんだよ。見てる人はお前の事をちゃんと見てるから」
「……はいっ」
「それに、母さんから言われたって事じゃなく、俺自身がお前の力になりたいから、何でも言ってくれ。
迷惑かける、なんて考えなくていいんだよ。全力で手助けはしてやるからどんとこい」
「…………はいっ!」
「あぁ〜もう泣くな泣くな!折角の可愛い顔が台無しだろ?」
「〜〜〜〜〜〜!!!!」
「あ!島田先輩、みぽりん泣かしてる!」
「流石先輩ですね〜、泣き顔好きなんですか?」
「先輩……流石にその趣味はどうかと思う」
「西住殿!?先輩殿!何したんですか!?」
「あぁ〜もう!お前らうるせぇ!早く寝ろ!」
夜は更けていく。今日は予想外の事がいくつも起きたけれど、全てが丸く収まったと思う……。
そして、次の日。この大洗戦車道初の試合が訪れた。
はい、全然バトって無いですね笑
修羅場が書けない……修羅場書いてる人どう書いてるんでしょうか?
開き直って、ほんわか和やかな作品を目指すべきか……
修羅場を期待していた人、すみません。
お母さん乱入したらこうなっちゃいました。
次回!紅茶の国からガンキワまってるあの人の登場だ!