この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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遅くなりました……
毎日少しずつ書いてたんですがそれでも長く無い……

感想、お気に入りありがとうございます!返せてない分も返していこうと思います。

なんか違和感のある、納得できない感じできない文かも……取り敢えずどうぞ


43話 〜遊びに行きます!〜

 

 

 

「……あの〜先輩殿?」

「ん?どうした秋山」

「確かに私が提案した事ですが……」

「あぁ、俺の事は気にすんな。それとそろそろ顔バレしないように渡した伊達眼鏡と髪くらい結べよ? 焼け石に水かもしれんが」

「あ、はい、そうですね。ではなくて! 先輩殿はどうして真正面から入ろうとしているのですか!?」

「大丈夫大丈夫! 俺は約束を果たしに来ただけだし」

「約束って何ですか……」

 

現在俺と秋山はサンダースへ来ている。秋山は情報収集、俺はその手伝いだ。名目上はケイとの約束であるサンダースへ遊びに行く事だが。

 

抽選会からの帰り道で話した後、秋山が何やら考えてた。まぁ偵察についての事だろうと思いちょっと言ってみたら、まぁ予想通りだった。……原作知ってるからわかるけど、そんな発想になんて普通はならないけどな。

 

と言うわけで早速行ってみようか!

 

「いやいや、ですから!」

「秋山、作戦はこうだ。俺観光者な? いつも通り楽器とか荷物持って来てるから観光客で問題なし。それを加味して学校の受付まで行ってケイを呼び出す、それで俺は行けるはず。

次に秋山だが、観光に来ていたが道に迷っていた俺を学校まで道案内して来たサンダース生徒、って言う感じで行こう。そのまま侵入して調べるって事で」

「……意外と考えていたんですね」

「むしろ秋山一人だったらどうするつもりだったんだよ」

「制服に着替えて入ってしまえば、あとはアメリカン的なノリで行けるはずです!」

「秋山……」

 

いや、お前の方が考えてねぇよな!?ってツッコミはやめておこう。実際原作では成功してるし。

 

「さて、決まればさっさと終わらせてみほに教えてやろうぜ」

「了解しました!」

 

そうして俺と秋山はサンダースへと入って行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「Hey! ミナト! 抽選会振りね!」

「よう、ケイ……てか俺が言うのもなんだがこんな簡単に通していいのか? 一回戦の対戦校だけど」

「確かにいきなり来たのはすっごくビックリしちゃったけどNo,problem! むしろいいSurpriseになったわ! 」

「お、おう……」

 

結果を言えば、普通に入れた。調べられたりするのかなーって思ったけど。ケイが来るまで待機していたが、俺を見るなりいきなり抱きつこうとして飛びついてきた、おいやめろ。

一年の時ならまだしも今は色々やばいだろ。その……うん、色々と。

そんで普通に通された事をケイに話したんだが、うん、ケイさん器でけぇ……しかし。

 

「俺がサンダースの偵察に来たとは思わないの?」

「アッハッハ! ミナトには悪いけど偵察に来たとしか思ってないわよ!」

「……じゃあ何で?」

「言ったでしょ? ミナトに私は大洗の事を聞いて、それに答えてくれた。だから私に聞きに来ても正直に答えるわ。それがフェアプレー精神、戦車道よ!」

「確かに言ったけどさ……前に行ったけど、嘘かもしれ」

「それに」

 

バレていたとしても、勝つのは私達よ?

 

 

ケイは俺の言葉を遮り、そう続けた。なるほど、なるほどね。つまりある程度情報が漏れても、大洗に勝てるって事か?……言ってくれるねぇ。

 

「ふふふふふ」

「アハハハハ!」

「ナオミ、あの二人すごい怖いんだけど」

「気にするなアリサ。二人なりのスキンシップだ」

「あれが!? 隊長はもっとこう、ストレートに行くと思うんだけど!? それにあれ、互いに腹の探り合いじゃない!」

 

おっと、いかんいかん。ついつい盛り上がってしまった。しかし、ケイも中々言うね。もしかしたらカフェでの宣言で、ケイのやる気に拍車を掛けてしまったのかもしれない。

 

「そんじゃ、正々堂々聞かせてもらおうかな?」

「うーんとね」

「隊長!」

「ケイ、流石に油断しすぎだ。彼に甘すぎるぞ」

「だってーミナト。ま、ゆっくり見ていきなよ」

「……まぁそうなるよな。それにしても結構真面目に隊長して教えるのはいかんだろ。聞いた俺もだけど」

「聖グロの練習試合を見て、車両は5両、各員の練度も確認したわ。あの西住流がいるとは言え、こちらも真剣に練習に励んでる。練度では負けてないし、戦車では勿論。

サンダース程の財力があれば戦車増やすんでしょうけど、それもないわね。

それに、このナオミも投入するわ。余程の事が無ければ真正面からでも行けるわよ」

「ナオミさん……ファイアフライ一戦目から投入か」

「だからケイ……!」

「まぁまぁ、これくらいは、ね?」

「はぁー、これはきついな。まぁ出てこない可能性もあるけど、ナオミさんの反応見る限り本当っぽいな」

「信じるのも信じないのもミナト次第よ」

 

ケイがウィンクしてこちらに言ってくる。こんなにウィンクが似合う人を見たのは初めてかもしれないな。

 

「隊長、そろそろミーティングのお時間です」

「あら?もうそんな時間なのね。ミナトも見に来る?」

「ダメですって隊長!」

「ケイ、そろそろいい加減にしろ」

「JokeよJoke!」

「じゃあ、俺は帰ろうかね」

「えーもう帰るのー!?」

「ミーティングして、その後練習するんだろ?なら俺が居ても邪魔になるだろ」

「うーん……あ、いいこと思いついちゃった!」

 

するとケイが何かを閃いたように手をポンッと叩く。そして俺を笑顔で見つめて来た……嫌な予感がする。

 

「ねぇ、ミナト。貴方さっき偵察に来たって言ったわよね?」

「……いやー言ってないな。ケイがそう解釈しただけだろう」

「正々堂々聞くって言ったじゃない。それに結局私達の事聞いて来てたし。

それって肯定してる様なものじゃない?」

「……それで?偵察に来ていたとして、それがどうした?」

「ふふふふ、もう察しついてる癖に〜。

……ナオミ!アリサ!彼を捉えて捕虜にするわよ!」

「は?」

「イエス! マム!」

「ちょっと待てぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ! 凄いです〜! シャーマンがずらりと並んでますぅ!

あれはM4A1型にこっちにはM4無印、あぁ! あれは僅か75両しか作られていないA6があります!」

 

私、秋山優花里は今ビデオカメラを片手にサンダースの戦車倉庫を偵察しています!こんなに大量の各シャーマンを見られるなんて感激しております!

 

「……あ! あれは選手の皆さんですね、試合頑張ってくださーい!」

 

声を掛けると、任せとけと返事代わりに親指を立ててくれました。皆さんすっごいフレンドリーですねぇ……おや?ミーティングが始まるようですね。早速行ってみましょう!

 

ミーティング会場には多くの生徒が集まり、隊長を待っています。あ、やって来ました! ケイ殿が二人の生徒を連れて壇上へと上がっております!

 

「それでは、一回戦出場車両を発表する。

ファイアフライ一両…………」

 

そこから一回戦の概要を説明しています。それにしても一回戦から本気ですか……と考えてるうちにフラッグ車まで決まったようです!あ、質問時間へと入りました。小隊編成やら作戦等、色々聞きたい事がありますね……

 

質問していると、ケイ殿の隣の女性から怪しまれてしまいました!これはやばいです!

 

「貴女、見慣れない顔ね……所属と階級は?」

「だ、第六機甲師団! オッドボール三等軍曹であります!」

「! 侵入者だ! 捕らえろ!」

 

その瞬間に私は駆け出しました。隣でケイさんが笑っていましたが、それどころではありません。そして私が部屋を出ようとした時でした。

 

「あら! もう帰っちゃうの? もう一人は置いて帰っていいのかしら?」

「……!」

「まぁまぁ、何かしようって訳じゃないよ〜。あ、彼を連れて来て〜」

 

まさか、まさかとは思いますが……

先程ケイ殿が出てきた扉より、見覚えのある男性がロープで巻かれて連れて来られた。

……先輩殿ぉ〜!! そこで何をなされているんですかぁ!

 

「皆! ミーティングも一区切り付いてたし、タイミングもいいから紹介するわね!

彼は一回戦の対戦校より来てくれた男の子、シマダミナトよ! 今は捕虜として来てもらってるわ」

 

ケイ殿がそう言うと、集まっていた生徒達が騒めきだす。先輩殿、捕虜とか洒落にならないですよ……それに捕虜として来てもらってるって言い方が。

 

「うーん、さっきまでは一回戦までこっちに居て貰おうかなぁと思ってたけど、ユカ……ぷふ、オッドボール三等軍曹がいるからね〜。

彼女の練習は邪魔したくないし、けど同じ扱いにしないと公平じゃないから、どうしよっか」

 

あぁ、どうしましょう、最悪の展開です〜。周りも騒めき、話を始めていた。どうなるんでしょうか私達……後ケイ殿、思わず言ってしまいましたが、恥ずかしいので言い直してまでオッドボール三等軍曹と呼ぶのやめて欲しいです。そもそもケイ殿に一瞬でバレてます?これ。

 

すると、少しずつ気になった言葉が聞こえて来ました。「彼って何処かで見たような……」「あれ?もしかして」「先輩達知ってるんですか〜?」……んん?

 

「あぁ、思い出した!一年の時のライブしてた人だ!」

「Yes! その通りよ!よく覚えてたわね。

彼は前に一度、サンダースが佐世保へ寄港した時に近くでライブを……!」

 

ケイ殿が何か閃いたとばかりに、何かを考え始めた。周囲の生徒の皆さんは、

 

「私あの人のライブ運良く見れたわ!」

「ほんの少ししか滞在していなかったのよね!あの人」

「私達は知りませんよ」

「勿体無いわねぇ」

 

などと話している。ケイ殿の話で聞いてはおりましたが、本当先輩殿は顔が広いですね……じゃなく、今の内にどうするか考えなくては!

 

そうこうしてるうちに、ケイ殿が顔を上げ、満面の笑みで話し始めた。

 

「はーい!ちゅーもーく!皆、よく聞いてね?

私達三年は知ってる子もいるかもしれないけど、彼ってすっごい歌が上手なの。私も元気を貰ったし、大事な事を教えられたわ。

だけど、全員が知ってる訳じゃない。特に一・二年の子達は知らないわよね〜。そこで、彼にライブをしてもらいましょう!」

 

周囲が騒めく。私も驚いたし、先輩殿なんか唖然としている。え?そうなるんですか?何故?

 

「おいケイ、ライブしたら俺と秋山返してくれるのか?」

「もっちろん!条件付きだけどね、約束は守るわ」

「ケイ、一人で決めすぎよ。それになんでそうなる。ライブをしてもらう事で私達にメリットなんて」

「あるわ!さいっこうのメリットがね」

「……話してみてくれない?」

「OK!」

 

そしてケイ殿は話し始めました。

まずライブをする事で、私は最低でも解放してくれるそうです。

次に、ここにいる皆を盛り上げて、誰が見ても大成功と言えるライブが出来たら、先輩殿も解放してくれるそうです。

 

「ライブをするくらいなら全然構わないが……」

「ミナトには皆の士気を上げてもらおうかなって思ってね!」

「これが士気に関わるか?」

「気分が高揚する、それはとても重要な事よ!」

「……まぁ一理あるかもしれないが。じゃあ早速」

「あれ?ミナト、条件はこれだけじゃないわよ?」

「……何だ?」

「それはね、もし私達が一回戦で勝ったら、この全国大会中だけでも構わない。貴方を一時期サンダース生徒として転校させて欲しいわ」

「!?」

 

ケイ殿の発言に、今日幾度目か分からないどよめきが起こる。

 

「……何故?」

「それは簡単な話よ。私はミナトがライブを成功させて、此処にいるチームメイト達を盛り上げてくれると確信してるわ。

そして、もし貴方が試合前に皆の士気を向上させる事が出来たとするならば……それは私達の勝利にも繋がることよ。

私は勿論、卒業していった先輩達や同級生、学園艦に住む貴方のファンになった人達は皆また聞きたいと思っていた。恐らく此処にいる皆もそう思うはず!

……つまり勝てば勝つだけ長く聞ける。気分高揚だけじゃなくモチベーション向上にも繋がるわ!」

 

ケイ殿は胸を張って言い切った。……なんということでしょうか。いや、本当どういうことでしょうか……

確かに、先輩殿の歌に元気を貰ったりした事はありますが。あ、いえ、西住殿は確かにケイ殿の言う通りかもです。

 

「……いや、ケイ。そんな単純な話では無いと思うが」

「彼が言うのもおかしいが、彼の言う通りだ、ケイ」

「隊長お言葉ですが、私は彼の事など調べた事しか知りま」

「「「よっしゃー!それで行きましょ!隊長!!」」」

 

いきなりの大声で驚きました。声が上がった方を見ると、恐らく先輩殿を元々知っていた方達でしょうか?

 

「ほら!ナオミ、アリサ。早くも効果が出ているわ?……ミナト、どうかしら?」

「いや、俺は断る立場に無いだろ。このままだと俺はおろか秋山が帰れないし」

「アッハッハ! 受けてくれて嬉しいよ〜ミナト!」

「……それはいいんだけど、俺が秋山を返す為だけにライブして、手を抜くとか考えないの?」

「全く考えてないわ!じゃあ簡単に一つだけ聞くわ。

……ミナトって、自分が好きな音楽に手を抜けるの?」

「……」

「今の沈黙が答えよね! さぁ皆、会場作りましょ!」

 

ケイ殿のかけ声と共に生徒達、特に三年生は会場の設営に取り掛かって行きます。……はぁ、これはどうなってしまうんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『準備は出来たけど、そうだな。ケイ、どんな歌がいい?』

『んー、そうね〜。じゃあ、これぞ青春!みたいな歌でお願い!

あ、此処にいるのは殆ど女の子なんだから、その辺りも加味してね』

『了解、じゃあ早速始めるか』

 

『聴いて下さい!

 

君に届け』

 

編集されたビデオを見ていると最初は偵察していたのが、途中からライブ映像となっていました。……いや、本当に上手いしいい歌だと思うけど!

隣で島田先輩と優花里さんが凄い気まずそうにしてますね。

 

現在、島田先輩の家に集合しています。

 

最初は今日学校に居なかった優花里さんが心配になり、沙織さん達と一緒に優花里さんの家へ行きました。しかし、先輩と約束しているということで、いつもよりも更に早く家を出たそうです。

 

同時に島田先輩も見かけなかったし、自動車部の人達に話を聞くと学校へ来ていなかったようでした。これは二人が一緒に行動していると予想し、連絡を入れておいたところ、やはり二人で行動していた事、それと人が寄らないテレビがあるところで待っていて欲しいと要請でした。

 

そこで、麻子さん提案による島田先輩の家に決定して、待機していました。……なんで家に先に入れたのかって? 何故か麻子さんが開けていました。どうやら自動車部の方に聞いていたようです。これ、不法侵入では?

麻子さん曰く「許可は取った」らしい。 ……どんなやり取りがあったのかな?

 

島田先輩の家で……こう落ち着かない状況が続いてるんだけど、麻子さんと華さんは凄い自由にしていました。沙織さんは私と同じようです。

 

そうこうしているうちに、お二人が帰ってきて、話を聞くとどうやらサンダースへ偵察に行って来たとか。本当にびっくりしちゃったよ……どうしてそんな無茶をするのかな。

 

話を聞くと優花里さんが私の助けをしたいとの事でした。ビデオを見ると、サンダースの一回戦での編成やフラッグ車などが分かりまし た。

ありがとう、優花里さん。これで作戦が立てられる! と思ってたらよく分からない内にライブ映像になっていた訳です。

ライブが終わり、ケイさんが二人を解放したところでビデオを止め、島田先輩と優花里さんに向き直ります。

 

「えっと……まず二人共、こんな重要な情報ありがとうございました」

「あぁ、気にしないでくれ。お礼なら秋山に」

「私は少しでも力になりたくて、役に立てたのなら良かったです!

最後見つかってしまいましたけど……」

「そうです、それです。本当に無茶のしすぎですよ!」

「いや〜流石島田先輩だよねぇ、対戦校の陣地でもライブして来るなんて」

「いつも通りだな、じゃなきゃ先輩の交友関係の広さに納得がいかないからな」

「それで先輩、捕虜として捕まってましたけど結局どうなったのですか?」

「それは俺がここにいる事でわかってくれ。皆も聞きたい事があると思うんだが、その前にビデオに続きがあるんだ。それを見てくれないか?」

 

島田先輩がそう言うと、ビデオの続きを促す。改めて付け直すと、ケイさんが出てきた。

 

「ミホー!見てるー!?

私がちゃんとこのビデオ全部見せるよう言ったから見てるわよね?

さっき言ってたと思うけど、私達が勝ったらミナト借りるわね!」

 

ケイさんが私に対して言ってくる。

そう、その話は凄く気になっていた。確か短期転校の制度はあったはずだけど……それでもかなり無茶な要求だと思う。

 

「すっかりサンダースの皆もミナトのファンになっちゃってねー。皆、とってもやる気満々よ?

……負けるつもりなんてさらさら無いけど、あえて言わせてもらうよ。一回戦は私達が勝つ。

じゃあ!試合よろしくね!正々堂々、いい試合にしましょ!」

 

そこでビデオが終わった。

 

今この部屋に音は無く、全員が黙っています。そして、島田先輩が口を開きました。

 

「このように、油断や舐められてる、って訳じゃないけど大洗は普通に戦えば勝てる相手って思われてる訳だ。

ビデオにはなかったが、聖グロ戦を参考にして戦車の数や各性能・個人の練度など全体的に見て負ける要素はない、とまで言われてな。

……そこんとこ、隊長どう思う?」

 

島田先輩が私に話を振ってきた。確かにとても厳しい、今先輩が挙げた要素全てが的を得ている。だけど

 

「……いえ、必ず何処かに穴はあるはずです。それに、ケイさんが思っている以上に大洗の皆は練度が高いはず。可能性は低くとも0ではありません」

「そうか……結局西住に任せる形になっちまったが、負けるつもりで勝負するなんて誰も思ってない筈さ。よろしく頼む」

「むっ」

 

また先輩が苗字で呼んだ。まだ慣れてないのかちょくちょく苗字呼びになる。名前呼びは最初は恥ずかしかったけれど、すぐに慣れたし慣れたなら後は嬉しさしか残らない。

ちょっと先輩を見つめる。すると思い出したのか頬を掻いて目を逸らしている。

 

「……みほ、勝手にあんな約束しちまったけど、そもそもサンダースへ転校なんて短期間でもするつもりはない。勿論いい所だし、約束は守るつもりだ。

けど皆が勝つからな」

「島田先輩……」

「私達を信じてるっていい話に持って行ってるが、そもそも先輩が捕まったからこうなってるんだがな」

「……」

「そうだよね〜、島田先輩が案外抜けてるって言われてる意味分かった気がする」

「うぅ」

「まぁまぁ、こうなったのはしょうがないですし先輩が情報持ってきてくれたんですから。詰めが甘いと思いますが」

「ぐはっ」

 

麻子さん達からの容赦無い言葉に、先輩が床に手をつく。

 

「そもそも、こちらへ渡した情報が本当とは限らないんじゃないか?あっちも私達が知ってる事を知ってるだろうし」

「冷泉、それは無いな」

「先輩、なんでそう言い切れるんだ?」

「ケイの性格的にも、そしてサンダースの保有戦車的にもだな。むしろファイアフライを一回戦から投入してくる事に関しては、投入してこないならそれに越した事ないし。

あれだけ負ける要素は無いと言いつつ、ケイはかなり警戒してる事が分かる」

「……そうか。わかった。」

 

確かに冷泉さんの言う事はもっともだと思ったけれど、島田先輩が言う事も一理ある。私だって正直ファイアフライが一回戦から出てくるのは予想してなかった。

 

「さて、それではみほさんから先輩を遠ざけるのもかわいそうですし、一回戦勝つ為に今出来る事を精一杯努力して行きましょう!」

「ちょっと、華さん!?」

「そうだね華! 頑張って一泡吹かせてあげよう」

 

えいえいおー! と掛け声を上げ、手を上に突き上げる沙織さん。華さん、かわいそうってなんですか。……でも、うん。島田先輩をサンダースに短期とは言え転校なんてさせない。勿論、それが無くても全力でやるつもりだったけれど。

 

 

そうしてその後、島田先輩と優花里さんが持って帰ってきてくれた情報を頼りに、作戦を立てていくと共に、練習へ励んで行きました。

 

 




flumpool より 君に届け です。是非聴いてみてください。

サンダースはこういった青春系か、MAN WITH A MISSIONやONE OK ROCKの様な感じで行くか迷いました。今上げたバンドも物凄く良いので気になれば是非聴いて見てください。

すぐ試合入るかと思ってたらあと1話は試合入らなそうですね……これ

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