この世界で伝えられる事を探して   作:かささぎ。

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お気に入り2300を超えていて本当に嬉しいです。
更新速度が落ちてて申し訳ないです。

感想返すと言ってて返せてない……
てか休みないし、新人一人やめるしもうしんどいっす。



44話 〜日常 ⑦ です!〜

 

 

 

 

サンダースへの偵察後、得た情報を元に西住……いや、みほと共に作戦を練っていく。出会うまでは原作の事もあり、みほまほで区別つけてたから意識してなかったけど、いざ本人を目の前にして名前呼びは未だ慣れない。

 

た、単に女性と親密な関係になった事がないからとか、そういうんじゃないから!

それにしてもみほさん、近すぎじゃないですかね? 他のみんなは休憩中で、こっちを物陰から見てきてますよ?

 

「……先輩! 島田先輩! 聞いてます?」

「ん、あーやべ、ちょっとぼーっとしてた」

「大丈夫ですか? 調子悪いのでしたら休んでた方がいいですよ」

「いや、大丈夫大丈夫。それこそみほもだ。自分の練習もしながら、他の奴らへの指示出し、休憩中に作戦を考える。休む時間が明らかに無いだろ?

少しでも体調が変だなって思ったらすぐ言えよ? 無理して体壊したら元も子もないんだから」

「わ、私の方こそ大丈夫ですよ! ほら、続きしましょうよ!」

 

再び作戦を練り始めた。やはり最大火力である三突の奇襲を利用した各個撃破が理想的な動きかな。バレーもといアヒルチームの八九式では装甲抜けないし……聖グロ戦でのチームワークもある。歴女達のチーム、カバチームとアヒルチームのコンビネーションが肝となってくる作戦だな。

 

とは言っても……恐らく『あれ』をやってくるだろうな。サンダース行った時隅っこにあったし。ケイは気付いてないのか?

 

そう言えば、やっと各チームの名前が決まった。いつまでもAやらBだと締まらないからとの事だ。そう、あのチーム名だ。いやーやっぱりこっちの方がしっくりと来る。

 

休憩時間が終わり、再度練習に入る。さて、試合まで残りわずか、作戦を練りつつ蝶野さん考案の練習を指示とアドバイス、体調不良者が出ないように見張りつつ終了したら戦車の整備。よし、がんばるぞ〜…………

 

 

 

 

「島田先輩!」

「ん? どうした武部……とみほ以外のあんこう全員いるな」

「お願いがあるんですけど……」

 

武部達から放課後に個人練習がしたいとの話を受けた。あー、みほの足手まといになりたくない、出来る限りみほを助けたい、その一心でみほに内緒で練習するシーンか。

皆が凄い真面目な顔をして此方を見ている。……なんか見てるこっちが気恥ずかしくなってくるな。皆みほの事好き過ぎるだろ。

 

「いいぞ、好きに練習して構わない。一応俺も一緒に付くから」

「えぇ!? 島田先輩は整備とかもあるんじゃないの?」

「その通りだけど、怪我とか万が一の事が有り得るかも知れないし、そもそも監視者はいなきゃいけないからな」

「えぇっと……」

「こっちは気にしなくていい。それよりみほには言わなくていいのか?」

「みほに出来る限り追い付きたい為にやるの! 頼んだらそりゃ一緒にしてくれると思うけど、休ませてあげたいし……」

 

ちょっと涙でそう。俺はまだしも、みほにもかなりの負担を強いているからな……

原作の流れでは結局バレてしまうんだが、そういう問題ではない。今、ここにいるこいつらの気持ちが大切だと思うからだ。

 

「うーん、わかった。ただ、大丈夫だろうと思うけど、お互いのすれ違いだけは無いようにな」

「どゆこと?島田先輩」

「西住さんだけ仲間外れにしてると勘違いされない様に、って事だろ沙織」

「冷泉、その通りだ」

「そんなわけ!」

「分かってる分かってる。みほもそんな勘違いしないだろうけど、ちょっと友人関係とかネガティブな発想しそうな感じだしな。

……と言うわけで、放課後に練習だな? こっちで手配しとくから」

 

よろしくお願いしまーす! と元気な返事を受けて去っていく。気合入ってるなぁとか、てか監視人とか手配とかこれって普通なら顧問の先生の仕事じゃね?とか思いながら、作業を進めていった。

 

ちなみに放課後になり、個人練習をやっていることに、やはりみほは気付くわけなんだが、皆のやり取りと泣きそうでありながら笑っていたみほを見て、なんだかとても安心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

それからサンダースの試合まであと少しと迫っていた。全員であのハイカラな戦車達の色を塗り直しも終わって、秋山も一安心している時だった。

 

「お前達! 試合で我々が使用するジャケットを購入する為に、身体測定を行う!」

 

河嶋がそう言うと周囲から非難の声が上がる。え? どうしたのいきなり。

 

「そんなー! いきなりなんて酷いですー!」

「ちょっとお腹周り最近気になってたんだけど……」

「ど、どうしよう麻子。練習終わりとかアイスとか食べ過ぎてたよね?」

「私は太らないし、そもそも気にしてないから知らん」

「麻子の裏切り者ー!」

 

あぁ、そう言うことね。女子は気にするよな勿論。そして俺はその場を離れようとする。こう言うのは大体、女の子は気にしすぎなんだよーから、それでも気にするの! とか始まってややこしい事に巻き込まれる流れだからな。普通の学校じゃ無いと思うが、周囲は女の子ばかり、面倒になる前に立ち去らねば。

 

「お前達、早く用意しろ!」

「皆は今聞いたから…… 桃ちゃんは自分で企画したからちゃんと注意してたもんね」

「そ、それを言うな!」

「河嶋先輩それは卑怯です!」

「「そうだそうだー!!」」

「うるさい、静かにして早くしろ!」

「あー、じゃあ河嶋よろしくー。俺買い出し行ってくる」

「さっさと行け!」

 

自分で蒔いた種なのにあたりきつくない? 桃ちゃん。ま、それはいいとして、上手く抜け出せたし買い出しも嘘じゃないから、終わる時間を見計らって帰ってくるとしよう。

ちなみに俺が居なくなる時でもずっと非難の声が続いていた。抜き打ちみたいなもんだけど、流石に君達気にし過ぎじゃない?

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩は大きい方が好きなんですか? 小さい方が好きなんですか?」

「ここにはコーチしか居ないし、参考意見として聞きたいです!」

「お腹周りとかはどうですか!?」

「お、お前達落ち着け……」

 

何故こうなった。現在皆に囲まれて、胸の好みから多岐にわたる身体の好み・男性目線を聞かれている。お、俺も言いにくいし恥ずかしいんだけど……

この状況になった経緯については、俺が買い出しから帰って来た時まで戻る。

 

 

 

 

 

 

「結構買ったな……そろそろ暑くなってくるし、あんこうだけじゃなく皆が残ってまで練習してるしな、消費も早い。

しかし、練習に必要な燃料や弾薬はどこから来ているのだろうか……」

 

買い出しも終わり、触れてはいけない疑問を抱きつつ学校に戻る。まぁ普通に、連盟からの補助が出てるんだろうけど……それにしては多い気がする。

 

倉庫まで戻ると、測定も終わったのか再度全員が揃って談笑していた。戦車の塗装からそのまま測定だったからな、休憩中なんだろう。

そのまま荷物を置こうと近づいて行くと、それぞれの話の内容が聞こえてくる。

 

「よかった〜維持できてたよぉ〜」

「うぅ、私はちょっとやばいかも……」

「……なんも成長していなかった」

「私は胸がきついと思ってたら、また大きくなってた……」

「……これが格差か」

 

ちょっと、男が一人ここにいるだけど。戻ってくるの少し早過ぎたか? とても居づらい。

 

荷物を取ってくる振りをして逃げようと思った時、角谷に声を掛けられた。

 

「あれ〜? 島田戻って来てたんだ。もしかして皆の測定結果が気になるの?」

「おいやめろ。 そんなん気にならんわ」

「嘘つかないでいいよってね。

……あぁ! そっか! 島田は西住ちゃんのしか興味ないもんね〜」

「な、何言ってるんですか!?」

 

その瞬間、周りの奴らもこっちに視線を向け、特にみほがこっちをじっと見ていた。顔を赤くしながらも睨んでいる。俺、何も悪くない。

 

「あらあら〜、先輩はみほさんの結果知りたいんですね〜」

「ちょっと華さんまで!?」

「き、気になる訳無いだろ? ほら、さっさと練習の準備をだな……」

「西住ちゃんの結果は〜バストがはちじゅう……」

「わー!!」

 

……流石みほ殿、でかいですね。じゃなくて、やめろ! くそ、もう少し遅く来りゃよかった。

 

「会長、華さんも流石に怒りますよ!?」

「そんな真っ赤な顔してても迫力がね〜、いひひ」

「みほさんいい反応してくれますね〜」

「もう!」

「うわっ! こっち来ちゃった」

「流石に怒っちゃいますよね、逃げましょうか」

 

みほが角谷と五十鈴を追いかけて行く。仲が良い光景だなぁ、追いかけっこなんて。原因がそれじゃなければ。

よし、今のうちに……と思った矢先に誰かに背中を突かれた。誰だ?って思いながらもその方向を見ると冷泉だった。

 

「先輩って胸の大きい方が好きなのか?」

 

おい、何故そうなる。

 

「あ、麻子もやっぱり気にしてるんじゃーん!

いや、島田先輩の好みが知りたいのかな?」

「……別にそう言う訳じゃない。以前に副会長が水着で洗車してた時も見てたなって」

「そう言えば確かに! 島田先輩も男の子なんだねぇ〜」

「で、どうなんだ?」

「どうなんだ、と聞かれてもな、こう言うのは答えないぞ。

変な噂立ちそうだし」

 

厄介ごとに巻き込まれても困る、既に巻き込まれてるが。しかし、みほが角谷達を追いかけてる中、こっちにどんどん人が集まってくる。

 

「じゃあ女性のタイプでもいいから教えて下さーい!」

「何がじゃあ、なんだよ……武部この手の話題ほんと好きだよな」

「そりゃ女の子ですから! それに島田先輩のそう言う話全く聞かないんですもん」

「俺も聞かないし、基本クラスでも滅多に話さないからな……」

 

周囲から「話さないって時点で島田先輩を知ってる私達からして見れば想像できないんです〜」とか「聞いてたイメージと違うのは確かだが」とか聞こえてくる。

俺自身が俺の事話さないからな〜(話す機会がないだけだが)。

 

その後も遠慮する事なく周囲から問い質され、冒頭に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

全く、会長も華さんも悪ノリだよほんと……しかも二人とも足早いし。

練習前ながらも、疲れてしまった。しかも結局追いつけないまま、皆の居る倉庫に戻る。すると、皆が気になる話をしていた。

 

「好きなタイプくらいいいでしょー島田先輩?」

「……はぁ、わかったわかった。そんなに集まるな、練習の準備もしろ。

答えたら練習始めるぞ」

 

やったー! と皆が喜んでいる。……島田先輩の好きなタイプ、だって? 気になる、凄く気になる。

 

「そうだな……静かな子がいいな、もしくはガンガン話してくる子」

「うーん、抽象的すぎるよ島田先輩! 他には?」

「本当に食いついてくるな武部……こう、なんだ、会話が無くても心地いい、みたいな。お前らが居るからこんな喋ってるけど、多分長い付き合いともなれば、普段みたいに喋らないからな。

話しかけてくるのなら聞くし」

「なるほど……」

「あー後はあれだな。何か夢中になってるものが一つでもあって、本気になれる子だったらいいかも。

俺自体が音楽に全力だし、好きな物に夢中になってる姿って凄い共感を感じるね」

「そして、静かな子がその時だけはしゃいでたり、真剣な表情をしてるのを見てギャップを感じたいんだね! 島田先輩は!」

「……まぁ、否定はしない」

 

な、なるほど……島田先輩の好みの人はそういうタイプなのか……私ってどうなのかな。っていやいや! 狙ってる訳じゃなくて!

 

「……あら? それってやっぱりみほさんじゃありませんか?」

「……え?」

「……確かに! 華そうだよ! クラスとか普段は物静かで、戦車道になるとよく話すし、夢中になれる物! 」

 

華さんが自然に混ざって居るのはいいとして……そうなのかな? あれ? ちょっと自信持ってもいいの?

 

「……確かにみほも当てはまるな」

「おぉー!! みぽりん、アタックチャンスだよ!」

「みほさん、そんな隠れてないでこっちへ」

「こらこら、勝手に話を進めるな。みほにも迷惑だろう? たまたま好みのタイプを話したらそういう流れになったからって、茶化すのはいけないぞ」

 

その瞬間に周囲の皆は島田先輩を呆れた顔で見つめている。多分私も。

 

「あー、他にも俺の妹もそんなタイプだな!

お前らにも紹介してやりたいなー、すげーいい子なんだぞ?」

「……先輩、分かってたけどシスコンを公言するのはいけない」

「う、うるさいぞ冷泉! ほら、話しただろ? さっさと練習するぞ!」

 

恐らく誤魔化す為に言った言葉なんだろうけど、いきなりそんな事言われても……

さっきまでの期待感は既に消え失せ、練習の準備を始める。

 

 

 

なお、その日の西住みほは覇気が無く、死んだ目をしていたそうだ。そして、しばらくの間島田湊はシスコン先輩と呼ばれ続けたらしい。

 

そして月日は流れ、とうとう一回戦が始まろうとしていた。

 

 





短いですが……
次回から戦車戦に入っていきます!

妹と誤魔化す主人公、当たり前だけど、隊長格以外皆年下なんだよなぁ

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