時間を置いて、3話投稿です
サンダース大付属高校学園艦を目の前にして、周囲を探索していた。すると学園艦との出入り口には受付と思われる生徒を見かけたのだが……
「まずは知り合い作りだな、何も無しでは入れないし」
何かしら理由をつけて入る事は出来ると思うんだが、知り合いがいるとか嘘をついてバレた時がやばい。バンドマンで演奏したいんです〜なんて言っても知名度なんてないし、そもそも本格的な活動なんてしてねぇから信憑性が無さ過ぎる。
バンドマン云々は冗談として、出入り口から離れて、降りてきた生徒が利用するであろう駅近くへ行く。そしてライブの準備を始める。周囲の人も気になるのか、いくらかの視線を感じる。準備中に生徒から話しかけられたりもした。流石はサンダース、積極的なアプローチが半端ない。気になった人たちは聴いて行ってくれるらしい。
そう、それが狙いだ。興味を持ってくれた人にちょくちょく話しかけて、情報を得る。それに、この方法は情報を集める為だけではない。俺が音楽を始めたきっかけである、多くの人に名曲を知ってもらいたいという目標にもつながる。まさに一石二鳥、良いことづくめである。この方法は他の場所でも全然使えるなと思った。
さて、準備も整ったし始めるとするか。
「Good!! 良い曲だったよ! 君本当上手いね!」
多くの人から賛辞を受ける。初めての土地でこんなに人が集まるとは思わなかった。最初は生徒が数人くらいだったものが、いつのまにか数十人くらいに増えていた。途中でお金を置くとこは何処? と問われたから、お金が目的ではないから受け取れないと伝えた。良いものを聴かせてもらってるから、その励みになればと思うから! と押されたものの、流石に人の曲でお金を貰うわけには行かない。残念だなと、もっと聴かせてくれれるかい? と言われて、そこまでして聴く価値のある物だと思われたのだ。
これで張り切らない人間などいない。何曲か演奏したら終わろうかと思ってたけど、予定より長くやってしまった。うーん、曲のレパートリーが……
取り敢えず、今日は終わる事を告げると、皆さん残念そうな顔していたが、一言ずつ声援を掛けてくれた後帰っていく。大洗もめっちゃ気の良い人達多いけど、ここの人達も相当だぞ。違う意味で半端ないわ。
しかし、やはり戦車道やってる人はいなかった。大会前で忙しいのかね……まぁ慌てる必要は無い。聞いたところによると、学園艦がここを出発するのは一週間後らしい。このまま知り合いを増やしつつ、観光として学園艦の中に入らせてもらおう。
数日が経ち、順調に行っていると思う。顔見知りが増えていき、この調子だと学園艦の中にも演奏する為に入って良くなるかもしれない。今日も演奏を終え、帰る準備を始めようとした時だった。
「すみません、ちょっといいですか?」
一人の女の子に話しかけられた。金髪を肩くらいまで伸ばしてる子だった。ここに来てから思うのは、なんかやけに金髪多くないか? 多分この子も生徒だと思うけど、これまでここに来た生徒たち結構髪染めてたぞ。まぁ気にしてもしょうがないんだけど。
「別に構わないですよ。ライブはもう終わりましたけどなにか?」
「い、いえ……少し話してみたくて……」
うーん、これはどっちだ?実は演奏してる時や終わった時にいろんな女性から声を掛けられたりした。正直めちゃくちゃ嬉しいけど、そんな余裕ないし、そのような事の為にしてる訳じゃないので断ってきたが。もう少し話してみるか。
「まぁ今日は終わったし、俺に話せる事があれば」
「ほんとですか!……あ、す、すいません。話すだけじゃなくて、どうしても聞きたい事があって」
急な元気になったかと思えば、いきなりしおらしくなる。元気な方が素なのかな?けど、どっかで見た事あるような……
「あの、ですね」
「何かな?」
「う、うー……」
凄い言いにくい事なのか?目線泳ぎまくってる。早くして欲しいんだけど、どうしたものか。そう思っていると彼女が口を開いた。
「その……なんでこんな知らない人ばかりのとこで話しかけるどころか、歌まで歌えるんですか?」
「それは……まぁいろいろあるけど、簡単に言うと単純にしたいと思った。聞いて欲しいと思ったからかな。こんなでいいかな?」
詳しく話す訳にもいかないし、ここで語るのもおかしいし、簡単に伝えた。しかしまさか歌の内容じゃなくて歌ってる事について訊かれるとは。てかこの子も知らない人なはずの俺に話しかけて来てるけど。
「そう……ですか」
「君は君でお互い初対面なのに俺に話し掛けてきたじゃないか。歌は置いといて出来てることだと思うんだけど」
「そ、それは貴方がここ最近ここで歌ってて、どんな人かってのか想像ついてたから……。あと、大きな声で伝えたい事を伝えるコツって……何かありますか?」
「コツ?難しい事を聞くんだね。大きな声でってのはもう自分次第だと思うんだけど、伝えたい事を伝える……かぁ」
まさかこんな事を訊かれるなんて予想してなかった。てかどんどん声小さくなるのね。いきなり話しかけてくるのに、話すのが苦手そうな印象を受ける。
「あぁ……その」
しかし、いざ訊かれるとなかなか難しいな。歌だと、その日の気分だとか雰囲気だとか。勿論ある程度、計画を建てて置くけれど……お。
「そうだね、コツとは違うかもしれないけど、前もって言いたい事を決めておくとか……あと、ちゃんとその日その日に反省する事かな」
「前もって決める……反省する……ですか」
「そう」
いつもライブ前・後にしてる事に例えて言ってみたけど、案外いい感じじゃないか?
「そ、それじゃあ大きな声ではな」
くぅぅぅぅ。
その時目の前の女子生徒から音が聞こえた。なるほど、ここまで大きいと気持ちいいな。あ、顔真っ赤だな。これはやばそう。
「よし、ライブも終えてだいぶ腹減ったな。ちょっとなんか食いながらでいいかな。聞きたいことあるなら話聞くよ?駅前にいくつか店出てるし」
「……聞きました?」
「うん、嘘言ってもしょうがないし。まぁ俺も腹減ってたしね。あといつまでもここにいると迷惑になるから動こうとも考えてたから丁度いいよ」
「……」
女子生徒は迷っていた。そりゃ、自分から話しかけたとはいえ知らない人だしな。こっちとしてもここで断られたらしょうがない。もしOKなら、ここで情報を集めることも出来るかもしれない。あわよくばケイについて知ってるかね。
「……分かりました。すぐ近くだし、お願いします」
「こちらこそ少しの間よろしく。あ、そう言えば名前言ってなかったな。島田湊だ。好きに呼んでくれ。こんなだけど高一だ」
「……え?同い年なの?見えない……そうね……」
ぼそぼそ言いながら何か考え始めた。同い年とわかった瞬間敬語なくなったな。正直目の前の子が積極的なのか、消極的なのか分からんくなってきた。
「うん、私の名前はケイ。ケイって呼んで 」
、
……なんか見た事あるような無いような気がしてたけど。えぇぇー!!本人!?てか姿が幼すぎてわかんねぇ!全体的にちっこい!てか話し方違くない?
内心動揺しまくりつつ、そのまま彼女と近くの飲食店へ繰り出すのだった。……凛ちゃ、ダージリンの時から思ってたけど、原作キャラの幼い時を見ると、なんか胸が熱くなるな。