エミヤ(アチャ子)TOLOVEるへ行く   作:メスザウルス

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行雲流水4

「はぁ〜」

 

ぱぁあ、と顔いっぱいに笑顔の花を咲かせ、全身から「幸せを」放出させながら、わしゃわしゃと白猫の腹を撫で回す少女。

それはまるで何かが報われたような、ある種の達成感があった。

 

撫で回される白猫は、相変わらず私の膝上でグースカピーと寝息を立てていたが、やはり寝ている時にわしゃわしゃされたのが鬱陶しかったのか、後ろ足で少女の指先を蹴飛ばすと、地面に飛び降りた。

さる際にこちらに振り向いてひと鳴きすると、そそくさとどこかへ行ってしまった。

 

猫の言葉がわかる訳では無いが、あの最後のひと鳴きには、感謝の念が込められているように感じた。

 

「あ、う…」

 

少女は猫の去っていった方へ未練がましく手を伸ばしたまま固まっていた。どうやらまたもや逃げられた事にショックを受けているようだ。

 

「行っちゃった…」

 

ポツリとそう呟きながら、とても残念そうにガクリと頭を落とし、目に見えて落ち込みだす。

 

…まだ触り足りなかったのか。

 

一刻とは行かないものの、それでも十数分は触り続けていたはずだ。

頭を撫で、腹を撫で、背を撫で、首を撫で。

もはや触れてない部分の方が少ないほど触り回していた。

白猫自身、内心うんざりしていたのだろう。

何度かチラチラと私を見ていたが、あれは助けを求めるものだったのかと今頃になって気づいたが、もはや意味は無い。

 

残されたのは肩を落とし落ち込む少女と、鈍感な正義の味方のみだ。

 

「そう落ち込むことはない。 ネコというのは気ままな生き物だ。 またそのうち来るさ」

 

そっと寄り添うように声をかけ、慰めの言葉をかけ、そっとフォローをする。

大丈夫、本当に猫の気持ちは万華鏡のようにコロコロ変わるから。別に嫌われた訳じゃない。

 

それでも少しどんよりする少女に隣に座るように即すと、緊張しているのか「失礼…します」と少しぎこちない動きで隣に座った。

 

やはりこの見た目のせいなのか、チラチラとこちらを横目で見たり、ソワソワしたりと、何だが落ち着かないようだ。

 

 

「好きなのか?」

 

「え?」

 

「ネコ」

 

突然の質問で驚かせてしまったのか、少女は目を瞬かせ、私の言葉を飲み込むと同時に、たどたどしい口調で答えた。

 

「そう、ですね。 とても好きですよ」

 

少しはにかみながら、恥ずかしがってみえる微笑ましいその姿の礼に、私も返事を返そうと己のうちに意識を向ける。

 

「ネコ、か…別段好きでも嫌いでもないが、あの仕草はやはり愛らしく思う」

 

先程出会った白猫を思い浮かべながら、素直な気持ちをそのまま伝える。

私の中で好きな動物というのは、特別決まっている訳では無い。

犬は何故か複雑な気分になるし、他にライオンやトラなども似たような気分になる。

一体何が所以かと記憶を辿ろうにも、虫食いのように穴の空いた昔の記憶ではその答えを見つけることは叶わなかった。

 

一抹の寂しさを胸に抱きながら、しかし表情には出さず、その気持ちを端へと追いやり、意識を先程まで白猫を撫でていた右手に向けた。

 

それにしても、本当にあの白猫は毛並みが良かったな。またどこかで会えないものか。

ここに来れば、またいずれか会えるのだろうか。

 

 

「日本語上手ですね。 どこから来たんですか?」

 

柄にもなくそんなことを考えていると、少しは緊張もほぐれたのか、こちらに瞳を向けながら話しかけられる。

 

「あー…」

 

少女の無雑な質問を、私はすぐに返すことなく一旦己の中に留め審議した。

 

…やはり、日本人には見えないか。

日本生まれの、日本育ちなのだがな。

 

元々、正義の味方として活動していた時、日本人に見られたことなど一度もなかった。

何度か出身を聞かれたことはあったが、その度私の回答に困惑や驚きなどの表情をされ、挙句の果てには「あははっ、冗談でしょ?」と言われた時の、あの苦笑いが出てしまいそうな感情は、私の胸にとてつもなく余ったことは今にも覚えている。

 

だが、その事をこのまま伝えれば、この純粋な少女の事だ、きっと委縮してしまうだろう。

別に他意はないが、子供にこれ以上気を使われるのは、あまりいい気分ではないのだ。

せめて、そうした作り口調ではなくいつも通りの言葉遣いにしてほしい。

 

 

「ここよりもっと西の方だ。タンザニア出身だよ」

 

「えっ」

 

内心複雑な思いになりながらも、少女を傷付けんとする患いの心に従い、偽りの出身を語った。

私の容姿に説明が付くように、できるだけアルビノが多い国名を口にする。

他国でアルビノなど、ましてや日本でなどほとんど居ないし、しかしこれなら多少調べられたとしてもまだ納得がいくだろう。

だが、少女の反応は私の想像していたものとは違い、なんだか地雷でも踏んでしまったかのような、そういう突飛とした驚きに表情を染めた。

 

 

「あ、あの……すみません…私、無神経なことを…」

 

「───? 出身を聞いただけだろう? 別に気にする必要は無いさ」

 

少女はすぐに目を伏せ、一気に弱弱しく、そして何よりも自責の念により顔色を悪くさせながら謝罪した。

唐突なその謝罪に驚きつつ、しかしなぜ少女がそうしたのか分からないエミヤは、謝罪を受け止めることができなかった。

この娘が何かしたようにも見えなかったし、原因はあの少ない会話の中にあるのだろうが、いったい何がこの少女に牙をむいたのか分からない。

 

 

「いや…でも」

 

それでも言いよどむ少女に首を傾げ、しかし唐突として湧き上がった知識に小さく「あ…」と言葉が漏れる。

それにびくりと肩を震わせた少女に慌てて何でもないと伝え、右手を額に置くと、その少女が悩む原因に思い至った。

 

そう、それは自身で語った国名である。

 

 

タンザニアは確かにアルビノが多い国であるが、それと同時にアルビノに対してひどい差別などがされていた。

 

アルビノの肉には幸せや権力、そして健康をもたらす効果があると信じられており、それには様々な効果があると言う。

 

曰く、その白き髪を編み込んだネットを使うと、多くの魚が採れる。

 

曰く、アルビノの脚を持って鉱山に入れば、金が掘り当てられる。

 

そんな根も葉もない噂や言い伝えが信じられており、そんなアルビノの人達が、日々差別に苦しんでいると。

 

 

エミヤは内心、頭を抱える。

 

 

───選択を、間違えた。

 

 

エミヤは、自分がアルビノであると自覚したのは、結城家に入って、たまたま窓ガラスに写った自分を見た時だった。

色素のない白髪はそのままだったが、肌の色、目の色、挙句の果てには性別と全てが変わっていて、かつての自分に全く似つかない。

 

なんだ、その白い肌は。

なんだ、この赤い目は。

 

何処から来た、この無駄にでかい胸は。そして何処に行った、息子よ。

 

変わり果てた、違う生物の様になってしまった自分の姿を見た時は、思わず「カヒュっ」と息を吸い込み、その後むせてしまった。

胸に空気が溜まる感覚が気持ち悪く、何度か咳き込み、軽く涙目になっている自身の姿は、全くもって別人であり、見た目は穢れなき少女であった。

 

別に、気付かなかったわけじゃない。 召喚され、この世界に来た時には、自分が女になっている事は分かっていた。

 

というか、髪の長さや胸や股に異様な違和感があるのだ。

来たと同時に少ない自分の意識を使って解析するのは当然のことだろう。

 

女になったことついて思う所がないわけではない。むしろかなりショックを受けたし、納得ができない部分が多々ある。

 

わざわざ霊核を変えてまで女にする必要性が全く理解できない。ひとえに無駄だと言えるだろう。

女になることによって、この世界の何かに影響するわけでもないし、いらぬ部分と思える。

それに、いつもの身体と違い、歩幅や体の動かし方も違ってきているのだ。一つの動作がいちいち意識しなければならないから面倒だ。だが、そんなことも言ってられない。こんなのでも今は自分の身体だ。

 

希望的観測として、元の体の数割の名残くらい残っているだろうと思っていたが、そんな物は不要と消し飛ばされていたことに若干怒りを覚えた。

 

 

そんな自分の今を知ったのが、五日前。

 

 

自身がいわゆるアルビノと呼ばれる見た目だという事と、女ということ。

 

そんな二つのキーワードだけで脳内検索をかけた結果、出てきた国名を言ってしまったのだ。

 

エミヤさん大失態。

あの赤い悪魔を苦しめた呪い。うっかりである。

 

だが、タンザニアは多少治安が悪いだけで、アルビノが差別されているなどあまり多くは知られていない。

相手はまだ若い少女。相当優秀でなければ知らないはずだと。そんな可能性を考えてみるが…。

 

チラリと、古手川の顔を見た。

 

そこにあるのは申し訳なさと後悔の表情。

 

 

────完全に、知られている。

 

 

優しさでついた己の嘘が自身の首を締め、更にもう引き返すことの出来ない場所へと引きずり込んできた。

少女を悲しませまいとする思いゆえ気を使った結果、さらに悲しませる結果になるという、そんな現実が己の前に突きつけられた。

 

またもや頭を抱えるエミヤさん。

 

もはや八方ふさがりである。

 

 

故にエミヤは決心した。

 

────誤魔化そう、と。

 

この女、なかなかに口が回り、尚且つ肝が常人より遥かに据わっている。

その不遜で意地汚いやり口は、あのランサーに狸と言われるほど。

 

もともと皮肉ばかり言う男が、口下手なわけがなかった。

 

「そんな申し訳なさそうな表情をするな。 確かにあそこは差別されているが、私は被害にあっていない」

「そ、そうなんですか?」

「ああ。 今ではいろんな場所を見て回っていてね。 なかなか楽しく過ごしているよ」

 

 

それを聞いた古手川は感心した表情になる。

やはり、日本から出たことがない少女にとっては新鮮で物珍しく感じるのだろう。

 

 

「じゃあ、今回日本に来たのも?」

「ああ、そうだな。 観光みたいなものさ」

 

 

───嘘である。

 

 

実際は来たくて来たわけではなく、ただ呼び出されただけである。

それも観光なんていう明るいものではなく、実際は人類を滅ぼしえる少女を殺しに来たのである。

 

嘘に嘘を重ねるエミヤさん。

 

そもそもこの女、始まりから全てが偽りである。

 

性別、容姿、年齢、出身。

 

何一つとして本当の事は語っていない。

 

 

「日本語は? とても上手ですけど」

「私の知人に日本人がいたんだ。 そいつに教わった」

「教わっただけでそこまで話せるのは凄いことですよ」

「ああ…まぁ、そうだな。 しかし私はあまり優秀な生徒とは言い難かった。 ひとつ覚えるのに時間がかかってな。 その人も随分呆れていたよ」

「仕方ないですよ。 日本語って他国と比べるととても難しいと聞きますから」

 

 

他愛のない会話をお互いに交わし、友好を深めていく。その一方で、ベチョベチョと嘘を塗り固めるエミヤ。

そこには多少の真実が混ざっているが、八割は嘘が占めている。

 

己を他意なく褒めてくれる少女を騙しているようで、少しだけ罪悪感でいっぱいになる。

 

自分で蒔いた種であるし、ほとんど自業自得であるが、それでもまずい果実をしこたま食わされたような胸の苦みに、自身を召喚した抑止に怨みの感情をひたすら送り続けた。

 

 

 

 

 

——綺麗な人

 

それが、古手川唯がエミヤに抱いた最初の感情だった。

天使の羽のように純白に輝く、三つ編みに束ねられた髪に、容姿端麗な顔。深いルビーのような紅い瞳は宝石のように輝き、すらりと伸びた、しかし程よく肉付きがあって柔らかそうな四肢は、同じ女性として嫉妬の念を抱きそうになる。

恐らく、手足がより長く見えてしまうのは、着ている男物のような服装がそうさせているのだろうが、それがむしろ彼女の体のラインを強調して、よりその素材の良さを引きだたせている。

たわわに実った二つの果実が、無理やり服の中に詰め込まれ、胸のあたりが窮屈そうに張っているのが、同性であっても不浄の念を抱かせてしまうほどエロくみえる。

 

そんな、まるで理想を形にしたかのような女性に思わず見とれてしまったのは、風紀委員長で潔癖である少女でも仕方がなかっただろう。

人の身体をまじまじと見るのははしたないと思うが、しかし目は自然とその肌や肉体を追ってしまい、微笑ましそうにこちらを見ているその表情だけで、なんだか後ろめたい気持ちになってしまう。

 

 

その人の隣に座っているとき、なんだか世界の理不尽さを感じた。

自分と比較すると、何もかもが天地の様に離れていて、こちらに気を使ってくれているのはわかっていたが、それでも正直気分のいいものではなかった。

しかしその口から語られる内容は舌を巻くようなものが多く、自然とあれやこれやと質問している自分に驚きながら、そんな自分に甘んじて質問を続けた。

 

どこの国に行った、どういう料理があった、こんな生き物がいた、ここではこんな人たちがこういう生活を送っていたなど、およそ教科書にはない世界の景色が目に浮かぶように語られた。

 

古手川唯は、優秀な生徒であり、そして風紀委員を進んで務めるような、潔癖を表す少女である。

好きなものは猫や、その他かわいいものであるが、しかしそれでも多くの物に関心を持っていた。

自身の知らないことを知るのは楽しいことだと思っているし、いずれ己の人生で役に立つものであるとわかっているから、その性格も相まってまじめに授業を受けていた。

 

実際に世界を見て回りたいと思ったことはあまりないが、それでも知らないことは興味深く感じるのだ。

 

この人、名前はエミリヤと言うらしいが、どうやら世界を見て回ってきたというのはうそではないらしく、世界中の料理についても詳しく知っていた。

あまりに多くを知っているので、その道の人かと尋ねると、本人は笑って否定していた。

それでも、料理や家事のコツなど、そんな日常生活に役立つ話をしているときが、一番楽しそうだった。

 

 

 

 

楽しいと思える時間が過ぎ去っていき、日も少し暮れかけている。

そろそろお暇しようかなと、頭の片隅で思い始めていたころ、エミリヤさんから話をふられた。

 

「唯は、将来何かしたいこととかはないのか?」

 

いつの間にか互いに下の名前で呼び合うくらいには仲が深まっており、今日出会ったばかりの人ではあるが、それでも信用できる人であると古手川唯は思っている。

 

そんな人から投げられた質問に、古手川は首を振ることしかできなかった。

 

「まだ何も決まってません。 まだしたいこととか、そういうのはよく分からなくて。 やっぱり何か、将来の夢とか、そういうのって持ってた方がいいのでしょうか?」

「…そうだな。持っていた方がいいかと聞かれれば、別にそういうわけではないと思うが、それでも自分なりに目標を立てておいた方が、今後何をしたらいいのか自然と見えてくるから、私個人の意見からすれば、持っていた方がいいとは思う」

 

少し困ったように、そう答えるエミリヤさんに、私は問いかけた。

 

「エミリアさんは、私ぐらいの時、そういうのありました?」

「あった」

 

そう間髪入れずに答えたエミリヤさんに驚いた。

私と同じ位の時に、何かしらの目標を持っていた、という所がではない。

事務的に、最低限に、効率だけを優先した返答に、小手川は驚いたのだ。

先程まで纏っていた、暖かい何かが消え去り、表情こそ笑っているものの、だからこそ何かが変わった事がすぐに理解出来た。

 

「まあ、子供がよく夢見るような、そんな無知な夢だったがな」

 

我ながら、なかなかに滑稽だ。

クッ…と小さく笑いながら昔を哀れむように続けられた言葉に、しかし私は己の内に湧き上がる好奇心に、理性と言う防壁が流されてしまいそうになっていた。

 

今、私の中で、このエミリアという人は、およそ人として完癖である。

私よりも前を歩き、人生において一歩も二歩も先に立つその背中に、何かしらの期待と、一種の憧れを抱いてしまったのは、無意識ながらに気付いていた。

この人ならば間違わない。この人ならば信頼出来る。この人ならば、きっと────

そんな己から見たエミリヤと言う女性に、勝手に抱いた価値観を押し付けるように、勝手に期待を抱いている。それが正しい行いではないことは分かっているが、しかし、一度抱いてしまったその偏見は、払拭するには要因が足りない。

 

───その、夢を知りたい。

 

少ない時間で、少し話しただけの人だけれど、多少でも私が憧れたこの人は、一体どんな将来を描いていたのか。

 

パイロット、宇宙飛行士、芸能人、アイドル、女優。そんな思いつく限りの、なる事が難しい、またはそれで食べていくことが難しい職業を頭に思い浮かべる。

早く飛び出したいと叫ぶ気持ちに押し流されるように、自然と前屈みになっていた身体を直すこともなく、そのまま思いを吐き出していた。

 

一体、どんな自分になりたかったのですか?と。

 

暮れ出した赤い夕日が、私たちの顔を紅に照らす中、自然と吹く風は髪を揺らし、私の声は風となってエミリヤさんの元まで届く。

 

「…そうだな。 私は───」

 

何枚かの葉っぱが枝から落ち、ヒラヒラ舞いながら、ゆっくりと落ちるその様子を見ていたエミリヤは、己の人差し指を口前で立てると、少し揶揄う様子で私に言った。

 

 

 

「───秘密だ」

 

 

 

「えぇっ!?」

 

 

突然の茶目っ気に、驚きの声が抑えきれずに漏れ出る。

先程まで包んでいた真剣な雰囲気も霧散し、クツクツと笑いながら、腰を浮かせたエミリヤさんを呆然と眺めた。

イタズラが成功し、満足気な表情を浮かべるその可愛らしいに姿に見入ってしまったのは仕方が無いことだろう。

 

「キミは、まだ若い。 そうそう焦る必要も無いし、ゆっくり考えるといい。 今はまだ、何も思い浮かばないかもしれない、不安になる気持ちもわかる。それでもそれは、少なくともわたしに求めるものでも、誰かに尋ねるものでも無い。 ────せいぜい悩め、古手川 唯。私は、そうして出した答えに、少なくとも間違いは無いと信じている」

 

真っ直ぐと、夕日よりも赤く彩り、宝石のように輝く瞳に魅了されながら、合わせたように鳴り響く六時を告げるアナウンスが聞こえてきた。

 

「もうそんな時間か…。では、私はここでお暇させてもらうとしよう。 ありがとう、唯。 君のおかげで暇にならずに済んだ。とても楽しかったよ」

 

「あ、い、いえ! 私こそ色々勉強になりました。ありがとうございました。」

 

「そうか。 私の話でそう感じてくれて、私も嬉しいよ。ありがとう。 ───では、またな」

 

片手を軽く上げ、歩を進めるエミリヤさんは、光の反射で銀色に光る髪を靡かせながら、石段を下って行った。





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