紅蓮激唱シンフォギア   作:zelga

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初めましての方は初めまして。『紅蓮絶唱シンフォギア』を読んでくださった方はお久しぶりです、zelgaです。

結局書き直しが一部どころじゃなくなったのでリメイク板を投稿することにしました。前回と同じ所(22話)までは毎日9時と12時と20時に投稿していく予定です。

では、どうぞ。

※旧小説と同じところに行くまで時間かかりそうなので1日3回投稿に増やしました。




プロローグ
第1話 『THE BUGSTER!』


 

 

 

――――暗闇に光が差し、目を覚ます。

 

そして目前に広がっていたのは、どこまでも広がる青空だった。

 

 

 

 

 

「……どういうことだ」

 

 

そう呟きつつ、倒れていたその存在は立ち上がる。

 

その者は男性であり、見た目の年齢は20代前半だろうか。眼付きは鋭く、服装は所々部族のそれを彷彿とされる装飾が施されていた。

 

立ち上がった彼は周りを見渡す。そこは海岸近くの崖下であり、先ほどまで彼自身がいたはずの採掘場ではなかった。

 

 

「……馬鹿な。俺はあの時、あの女に倒されたはずだ」

 

 

この男の言ったとおり、本来なら彼はこの世にいないはずだった。敵キャラである自分の役割を全うし、最後まで誇り高き龍戦士として正義の者たちと戦い抜いたのだ。そして彼らに倒され、満足して逝ったはずだった。

 

だが目覚めて見ればこれだ。以前も一度倒されたことがあったが、仲間に復活されるまでの間にこのような場所に出た記憶などなかった。

 

 

「誰かが俺を復活させたわけではなさそうだな……どこだ、ここは」

 

 

自分が戦い抜いた世界。自分の故郷となる世界。はたまた、地獄や冥府と呼ばれる世界だろうか。

 

なんにせよ、だ。現状態を判断するには情報が足りなさすぎる。そう判断した彼は、情報収集のため遠くに見える街へと繰り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんということだ」

 

 

それから1時間後。ベンチに座り込んだ状態で彼はつぶやいた。

 

雑誌かテレビ辺りを見れば、自身の中にある記憶を基に今の居場所を判別でき、元の場所に戻れると彼は思っていた。

 

だがしかし、それは叶わなかった。いや、少し言い方が違うだろう。わかったのだが叶わなかったのだ。

 

 

「アメリカと来たか。日本へ戻れない以上、何かしらの移動手段が必要になってしまった」

 

 

本来なら彼に移動手段は必要ない。なぜなら彼、およびその同種の仲間たちは瞬間移動の類となる特殊能力が使えるからだ。情報収集の途中、とりあえず日本へ戻るために彼はそれを行おうとした。

 

しかしできなかったのだ。今までは日本国内でしか使ってこなかったため、もしかしたら距離制限があるのかもしれない。または別の理由もあるのかもしれない。

 

が、彼はあまり考え事をしない性格だ。瞬間移動ができないのなら、別の手段を用いればよいと判断する。

 

 

「移動手段は主に飛行機か……人間どもと行動するのはまっぴらだ。西側へ出て船でも奪うか」

 

 

そう決めた彼は立ち上がり、街を出て西へ向かって歩き始める。ここから海までは距離がある。移動手段は徒歩か車なのだが、自分もあの女も車の運転経験はなく、実質徒歩一択だった。

 

かなりの時間がかかりそうだが関係ない。なぜなら彼には食事どころか睡眠も必要ではないからだ。

 

ずっと歩き続けていれば、何時かつくだろう。そう思いつつ、彼は歩みを進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩き始めてから数時間。彼は現在、街からは遠く離れた草原の中を歩いていた。その道中彼は何もせずに歩くのも退屈なので、少し前までやっていた闘争を思い出す。

 

 

 

 

 

ほぼ一日中かけて行われた、あの者たちとの決戦。あの戦いで彼は文字通り己のすべてを出し尽くしたのだ。好敵手たちとも信念を交わし合い、己のすべてをかけて戦った。

 

 

 

――――そして敗北した、完膚なきまでに。

 

だが彼はそれを屈辱と感じていなかった。むしろ満たされていたのだ。あの時、彼は自身に与えられていた役割を最後まで全うできたのだ。それができたのも間違いなく戦い抜いてくれた彼らの、そして彼の生き様を最期まで見届けてくれた仲間たちのおかげだった。だからこそ最後に登場した介入者に対して激怒したのだ。

 

そして誇りある闘争を邪魔した存在を取り除き、彼は最高のエンディングを迎えることができた。

 

 

 

 

 

「……と、思っていたのだがな。まさか続きがあるとは」

 

 

完全に満足して終えた生涯。そこに続きが現れたところで、彼は今空っぽなのだ。人間に対しては相変わらず敵意を抱いてはいるが、奴らの支配者になりたいというかつての野望は見る影もなくなっていた。

 

 

「俺は今、何がしたいんだ…………いや、今はとにかく日本に戻り、あいつらが生きているのかどうか確かめなければ」

 

 

堂々巡りになりそうな思考を頭を振ることでいったん止め、彼は再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――そしてそれは、唐突にやってきた。

 

 

「ッ!!」

 

 

それ(・・)を素早く感じ取った彼は、とある方向を睨みつける。その視線の先には広い草原が広がっているだけだが、彼はその向こう側に確かにいるナニカを見ているようだった。

 

 

「なんだ、この気配は……?」

 

 

彼に向けられたものではなく、かといって特定の存在に向けたものでもない。しかしそれを放たれている気配から感じ取れるものはある。

 

 

 

それは気配の持ち主が、間違いなく強者であることだ。これほどの威圧、そして存在感を放つことができる存在などそうそういない。事実、それを裏付けるかのように先ほどまで穏やかだった草原も静まり返っていた。

 

戦士としての勘から、その存在がまだ遠くにいることが分かる。それでいてこれならば、一体それはどれほどの強者なのだろうか?

 

 

「この気配、まるで獣のようだが……間違いなく強い!」

 

 

そう呟いたその直後、彼は胸元で熱く滾るナニカを感じる。チラリと見てみたがそこには何も変化はない。だが彼は、この胸に宿る灯の正体に気づいていた。

 

 

「……あぁ、そうだ。思い出せ、俺の名を!」

 

 

自身に言い聞かせるように強く呟く。その言葉につられるように、胸の灯は勢いを増しているように感じる。

 

 

「ッ、ハハハハハ!……なんだ、簡単なことじゃないか!!」

 

 

先ほどまで迷っていたのはなんだったのかと、彼は今までの彼を笑う。簡単なことだったのだ、たとえ今までの野望がなくなった所で、彼が彼であることは変わらない。

 

彼の生きざまは、何も変わりはしないのだ。

 

 

「これでは会った所であいつらに笑われてしまうな。……まずは、リハビリと行こうか」

 

 

――――その言葉の後、文字通り彼の身体は崩れ去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、とある研究所。そこに件の気配の持ち主はいた。

 

 

「――――――――ッ!!」

 

 

その存在は巨大で白く、所々に赤い線が走っている。目はないが、明らかに正気、あるいは正常でないことが分かる。そしてそれを示すかのように、それは周囲のものを破壊しようと手当たり次第に暴力をふるっていく。それを格納していた部屋は無残に壊れ、どこからか出た火が部屋全体を覆っていた。

 

暴虐の限りの尽くす白き怪物、その前に一人の少女が立ち塞がる。その身には白銀の鎧をまとい、濃い亜麻色の髪を肩まで下ろしていた。

 

 

「……みんな、今までありがとう」

 

 

少女は研究所の被験者の一人であり、怪物を鎮めることができる力を持った聖遺物の適合者でもある。

 

彼女は暴走する怪物を止めるため、大切な人たちを守るため。

 

覚悟を持って、この場に立っていた。

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl――――」

「やめて……やめてぇぇぇっ!!」

 

 

その歌を止めようとする少女が一人。彼女は知っているのだ。この歌を歌い切れば怪物は止まるが、それと同時に大切な存在を失ってしまうことを。

 

止めようとするがそれは複数の成人によって止められる。これしか怪物を抑える方法がないことと、彼女が行った所で状況が悪くなるだけだということ。かと言って説得できるわけもないとわかっている彼らは、少女を無理やり抑えることしかできなかった。

 

そんな中でも彼女は歌を紡いでいく。怪物を鎮める、優しき歌を。

 

 

 

 

 

――――しかしここで予想外の事態が発生した。暴走し理性を失っていた怪物、それが本能で気づいてしまったのだ。目の前の少女は、自身の脅威になり得ると。

 

 

「――――――ッ!!」

「Gatrandis babel ziggurat edena――――きゃっ!?」

 

 

大切な家族との別れ。命を失うことの恐怖。皆を守らなければという責任。

 

まだ少女である彼女にとって、これらの思いは重すぎた。故に歌うことに必死で、怪物からの攻撃を避けれなかったのだ。

 

薙ぎ払われた腕から繰り出される一撃を喰らった少女は壁へぶつかり、ズルズルと落ちていく。まだ意識はあるようだが、不意打ちであることもあって既に満身創痍になっていた。

 

そしてそれを見逃すほど、怪物は甘くない。確実に脅威を取り除くため、さらなる一撃を少女へ繰り出す。

 

 

「あ……う……」

「逃げて、セレナァァァァッ!!」

 

 

その光景を見ていた少女が叫ぶも虚しく、怪物の拳は彼女の顔へと迫り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いがこの戦い、俺に預けさせてもらうぞ」

 

 

――――突如現れた男性によって、受け止められた。体格差が3、4倍はあるという怪物の一撃を、その男は片手で受け止めたのだ。

 

 

「――――ッ!」

 

 

それを見て怪物は即座に距離をとり、威嚇する。先ほどの少女よりも、目の前の男の方が危険だと判断したのだろう。先ほどまで少女に向けられていた敵意はすべて、男にそそがれていた。

 

そしてそれを感じ取った男は臆することなくほくそ笑む。もし誇りある決闘のような場合は傍観するつもりではあったが、戦っていたのがまだ年端もいかぬ少女だったのだ。

 

ならば、彼が躊躇う理由はもはや存在しない。

 

 

「っ、あの男はいったいどこから来たのです?」

「……わかりません、間違いなく先ほどまではいませんでした。この状況を作りだせるのだとすれば、瞬間移動くらいです!」

「なんですって!?」

 

 

「……子供に戦いを押し付け、自分たちは高みの見物か。反吐が出る」

 

 

上の様子を見つつ、思わず彼はつぶやく。そして視線を変えると、そこには窓に両手を付け必死に何かを叫んでいる少女がいた。

 

それを見て彼は先程庇った後方の少女と見比べる。なるほど、似通った点があることからこの二人は姉妹なのだろう。何を言ってるのかはわからないが、その様子から間違いなく身を案じているのだろうと彼は考える。

 

 

「――――――ッ!」

「……あぁ、しかとわかっている。お前との闘争、誰にも邪魔はさせないさ」

 

 

催促するかのように咆哮する怪物に対し、彼は内なる炎を隠そうともせず答える。そして足を踏み出し、怪物に近づいていく。

 

 

「あ、あの……」

「…………」

 

 

後方の少女が何か言いたそうだったが、彼はそれに答えなかった。今の彼の意識はすべて、1つ残らず怪物にそそがれていたからだ。

 

 

「さぁ、始めるぞ……!」

 

 

その言葉とともに、彼は懐から1つの機械を取り出す。黒と紫を基調とし、赤と紫のボタンがついたそれは、まるでゲームのコントローラーのようだった。そして彼は赤のボタンを押す。すると低い電子音が、周囲へ鳴り響いていく。

 

それは彼が行う戦いの儀式。すべての敵と戦う際に必ず行っていた行為。

 

そのまま彼はその機械を右手に握っていた固定具へ近づけていく。

 

 

「培養……!」

『infection!』

 

 

その言葉とともに機械を固定し、彼は右手の甲を相手に向けつつ胸元へ持って行った。その瞬間、彼を細かいブロックのようなものが覆っていく。それは彼が戦装束へと変わっていく、変身であった。

 

 

 

 

 

『LET‘S GAME!』

 

 

『BAD GAME!』

 

 

『DEAD GAME!』

 

 

『WHAT`S YOUR NAME!?』

 

 

 

 

 

「俺は龍戦士グラファイト……さあ、行くぞ!!」

『――THE BUGSTER……!』

 

 

 

――今この地にて、誇り高き龍戦士が再誕する。

 

 

 

 

 

≪See you Next game……≫

 

 

 




※バグスターの瞬間移動に、距離制限(?)があるという独自設定を加えました。
※え、グラファイトのバグヴァイザーはないはずだろって?……知らんな(劇場版未視聴勢)


ここまで読んでくださりありがとうございます。
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