紅蓮激唱シンフォギア   作:zelga

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第7話 『Sub stageは突然に:後編』

 

 

【Case2:龍戦士とたやマさん】

 

 

 

セレナが二人を見つけた時、二人は険しい表情でにらみ合っていた。

 

 

「私、あなたのこと嫌いよ」

「ほぅ、それは奇遇だな」

「あ、あのー。二人とも落ち着いて……」

「「…………」」

「あわわ……」

 

 

なにがどうしてこうなったの、睨みあう二人をどうにか落ち着かせようと必死に思考するセレナは内心思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思っていたより早かったな。グラファイトは対面している少女を見ながら内心思う。

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴ。F.I.S研究所にいる子供たちの中で最年長であり、セレナの姉でもある。あの時現場にいた一人であり、グラファイトの事は大切な妹を救ってくれたということで、お礼を言いに来たときはずいぶんと態度が柔らかかったのを覚えている。

 

だがグラファイトは彼女を見た時、彼女は自分とは相容れないということを直感で感じ取った。なので何時かはマリアとは対立するだろう、と言うのもわかっていた。ただその時が今になったというだけだ。

 

 

「必要なのは力だ! いくら意志があろうが、力がなければそれは妄言となる」

「いいえ、必要なのは意志よ! 意志なき力なんて、それはただの暴力」

 

 

なぜ二人が対立しているのか、この会話だけでわかるだろう。何がきっかけだったのかはセレナにはわからないし、いつの間に二人が知り合っていたのかもわからない。しかしセレナにとって重要なのは、この話題においてグラファイトとマリアは水と油の関係になっているということだった。

 

 

「歴史からもわかるだろう? 常に世界を支配してきたのは、力あるもの! 想いだけでは何もできん」

「何を言っているのかしら? 意志のない人が支配した先にあったのは、革命による衰退! その革命だって、当時の状況を何とかしたいという人々の想いが集まったからこそ達成されたの」

「だがその革命とて、力なくては成しえなかった」

 

 

違うか? グラファイトは目にその言葉を込めてマリアを見る。それを受けて彼女は言葉が詰まる。

 

 

「……力が不要とは言わないわ。けれど、力は意志によって制御しなければ暴走する」

「現実から目を背けるな。その結果人間は理想に目が眩み、何度もその身を滅ぼしてきた。ただの愚か者だ」

「なにを……!」

「ストップ、二人とも熱くなりすぎだよ!」

 

 

これ以上はまずい。そう判断したセレナは二人の間に無理やり入る。グラファイトは気づいていたようだが、口論に熱中していたマリアは突如入ってきたセレナに驚く。

 

 

「セレナ!? でも……」

「でもじゃなくて!」

「…………ふん」

「あっ……」

 

 

セレナが続けようとするマリアをなだめている間に、グラファイトはその場を立ち去る。その後ろ姿を見たセレナは一瞬追いかけようとしたが、まずマリアに話を聞くことにした。

 

 

「姉さん、何があったの?」

「……別に、何もないわよ」

 

 

しかし気まずそうにマリアは目をそらすだけで、何があったのかは答えようとはしない。こうなったマリアは意地でも言おうとしないということを昔から知っていたセレナは、ハァとため息をつく。そしてふと気になっていることを聞いてみることにした。

 

 

「けどびっくりしたよ。姉さん、いつの間にグラファイトさんと話すようになったの?」

「知り合ったのは少し前。セレナを助けてくれたお礼を言いに行ったのがきっかけだったわ」

「そうだったんだ……」

 

 

今日会ったのは偶然ね、とマリアは続ける。それを今まで全く知らなかったセレナは驚き、マリアから何とか話を聞きだそうとすることを心に決めた。そしてまず手始めに、彼女は姉を連れて近くの喫茶店に消えていった。

 

 

 

 

 

強いが故に力こそすべてだと断じるグラファイトと、聡明で優しいが故に理想に縋るマリア。

 

相反する思想を持つ二人。少なくとも今、二人の道が交わることはないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Case3:食事もまた鍛錬】

 

 

 

「……これは、どうしたものか」

 

 

森の奥深く。ここ最近拠点としつつある洞窟内で、グラファイトは目の前に転がる物体を見ていた。その大きさはグラファイトほぼ同じくらいだが4足歩行で、厚い毛皮で覆われている。

 

 

 

 

 

拠点に侵入してきて襲い掛かってきたので殺したその存在――――その名も、猪。

 

 

「俺が奪った命、食わぬわけにもいかないが……丸焼きにするとしても道具が足りんな」

 

 

グラファイト自身はバグスターであり、食事は必須ではない。しかし自らの手で奪った以上、可能であれば食べるのが龍戦士としての彼の思想だった。

 

かといって流石にグラファイトファングを包丁として扱うのには無理がある。グラファイトはしばし考え、調達するための手段を思いつき、洞窟から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ナイフしかなかったが、これさえあれば十分か」

 

 

準備が整い、猪の解体を始めていく。まず毛をすべて引き抜き、四肢を関節から切断する。そして顎骨の下からグルリと首にナイフを入れ、脊髄ごと頭部を切り落とす。次に腹を割いて内臓を取り出し、近くを流れる川の水で洗う。これで下準備は完了だ。

 

本来なら専用の道具がなければ到底できないが、グラファイトはナイフを使う作業以外は素手で豪快に進めていた。

 

 

「油さえあれば骨も食えたのだが……」

 

 

無い物ねだりをしてもしょうがないため、今回は見送ることにした。そして解体した肉塊のうち、半分を棒につるして固定し、火がついている焚火の上へつるす。後は時々回しつつ待つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――そして時は過ぎ、始めた時には昇っていた太陽もすっかり落ちてしまった頃。グラファイトの眼前には美味しそうに焼き色がついた猪肉があった。

 

解体しているとは言えさすがの巨体。油がしたたり落ち始めるまでに2時間半、全体に火が通るまでにさらに2時間半。合計5時間もかかってしまった。ちなみにその間グラファイトはちょくちょく肉を回しつつ鍛錬していたのだが、それは些細なことである。

 

 

「いただきます」

 

 

巨大な肉塊にかぶりつく。細かい下処理なんてせず、塩胡椒等の調味料も使っていない。猪肉特有の獣臭さがあるが、噛む度に肉から溢れ出てくる脂がアクセントとなり、非常にシンプルな美味しさがそこにはあった。

 

食べ勧めつつ、グラファイトはふとこの味に懐かしさを感じていた。それはグラファイトバグスターとしてではなく、ドラゴナイトハンターZの龍戦士グラファイトとしての記憶。あの頃は狩ったモンスターをこうして調理し、仲間たちと食卓を共にしていた。

 

 

「……いつの間にか、妙なところまできたものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――数十分後、あれだけ焼いてあった肉は1つとして残っていなかった。食事を終えたグラファイトは毛皮を風呂敷のように扱い、中に内臓と頭、そして骨を詰める。これらを食べることはできないので、自然に返すつもりのようだ。

 

準備が終わり、毛皮と残してあった生の猪肉を抱え、洞窟から出ていく。誰もいなくなった洞窟には、まだ消えてない焚火だけがパチパチと音を立てていた。

 

 

 

 

 

モンスターがひしめき合い、それを狩る【ドラゴナイトハンターZ】。その記憶を保持しつつバグスターとして人間と戦う【仮面ライダークロニクル】。この2つの記憶はどちらもグラファイトにとって大切な記憶であり、思い出であった。

 

現時点でこの世界がどのようなものなのかはわからず、それ故にこの世界での明確な目標も完全には定まっていない。

 

これから何を為すべきなのか。それを決める期限が迫っていることを、彼は心のどこかで感じ取っていた。

 

 

 

 

 

≪See you Next game……≫

 

 

 




※グラファイトが人類史を知っている……中の人(直喩)補正です。
※解体できる……【ドラゴナイトハンターZ】が【モンス○ーハンター】を基にしていると予想して、龍戦士という敵キャラである事から妄想した結果、生まれた設定。イメージとしては、部族の長みたいな感じ。


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