人類は塵から生まれた。だが、人類はしばらくして、ある存在達に脅かされることになる。その存在とは、『グリム』。その見た目は醜く、恐ろしい。彼等は人類とその創造物を破壊し、人類を滅亡へと追いやる。
だがしかし、人類は一筋縄ではやられなかった。それどころか、人類の天性からの強さと賢さを有し、彼等は遂にグリムと対抗する手段を見つけたのだ。
それが『ダスト』。そして『オーラ』。この二つを人類は巧みに操り、纏い、グリムを退けることに成功した。
今や人類は滅方の危機に陥ることはなく、平和な暮らしを謳歌していた。
だが、その中、ある軍団がその平和を怖そうと目論んでいた。獣人『ファウナス』の過激派組織『ホワイトファング』とは別の組織が……。
これは、ある『夢』を持った青年が世界を守る為に、少女達と共に戦いの世界を駆け巡る物語である。
太陽は落ち、あらゆる生命が夢を見る輝かしい月夜の下。
愛らしい赤い薔薇が黒服の男達と踊っていた。踊ると言っても、それは言葉の綾であって、実際は違う。正確には、戦っていた。
赤みがかった短い黒髪を靡かせ、マントが宙を舞う。魅惑の赤に染まった大鎌を振り回し、薔薇の花びらが辺りに舞う。
お伽噺とは違う、とても情熱的な赤ずきんは本の中だけでなく、月の下でも変わらず輝いている。
「まったく、賃金通りの働きだな」
いとも容易く、赤ずきんに倒される部下達にオレンジ色の髪の男はそう吐き捨てた。
「さて、赤いの。お互い素敵な夜になったな。もっと一緒にいたいと思ってるよ」
皮肉のように男は言って、持っていた杖の先を少女に向ける。
「でも残念だが、そろそろお別れとしよう」
そして杖先から弾が放たれた。
少女は高く跳躍し、着弾を避ける。綺麗に着地をし、顔を上げる。特徴的な美しい銀の瞳には先程の男が映らない。
少女は辺りを見回して男を探す。男はマンションの壁に付けられていた梯子を登り、逃走を謀っていた。
少女は大鎌から放たれる銃弾の反動を利用してマンションの屋上へと登り、男を追い詰める。
「ねぇ!」
「……しつこい奴め」
男がそう言うと、大きなエンジン音が響く。
そして一台の飛行機が姿を現した。男はすぐさま飛行機に乗り込み、赤い宝石を掲げる。
「これで終わりだ、赤いの」
そうして投げられた宝石は少女の足元を転がり、男は宝石を狙って銃弾を放った。銃弾は真っ直ぐに宝石に向かい、着弾と同時に爆発が起こった。
「ウォー!ホホー!!」
男は愉快そうに声をあげて笑うが、すぐに笑顔が消える。
爆煙の向こうには二つのシルエット。先程の少女と、紫の魔方陣を展開した金髪の女性。
少女は、この女性の魔方陣によって爆発からのダメージを免れたのだ。
女性は眼鏡の位置を正して杖を振る。放たれた九つの光の弾は飛行機を滅多打ちにする。更に飛行機の上空に黒雲を発生させ、氷の刃を雨のように降らせて追撃。その手際は鮮やかかつ素早い。少女は女性の手腕に目を奪われていた。
飛行機はハリネズミにされるが、中からドレスを纏った黒髪の女性が現れる。顔は見えずとも、金髪の女性は即座に危険を悟った。
飛行機から炎の塊が飛び出す。金髪の女性は魔方陣で炎を弾く。が、すぐに次の攻撃が来る。少女が関与しようがない程の高等な魔術の撃ち合いが行われる。
様子を見たところで少女は大鎌を銃に変形させて応戦するが、それは空振りに終わる。
飛行機は隙を見て逃走してしまった。二人は仕方なく諦め、お互いを見合う。
「ハンターの方ですか?」
少女は問いかけ、銀の瞳を輝かせて二度目の問いを投げた。
「サイン貰ってもいいですか!?」
そして少女は有無を言えずに、金髪の女性に連行された…………。
そこから少し離れたビルの屋上。黒の狙撃銃のスコープを覗く青年がいた。白い長髪を頭の後ろで一本に結い、漆黒のマントを風と共に靡かせて、先程の戦いを見ていた。
「見つけた。あの子が『ルビー・ローズ』。うん、間違いない」
小さく微笑む彼の鮮血のような瞳が赤ずきんの少女ルビーを見据える。
「もう一人の女性は『グリンダ・グッドウィッチ』。確かビーコン・アカデミーの教員か。なら校長のオズピンも一緒だな」
青年は狙撃銃をコンパクトに降り立たんで腰の後ろにぶら下げて、大きく背伸びしてから、グリンダに連行されるルビーを見ながら言う。
「恐らく、このまま行けばあの子はこれからちゃんとビーコンに入学する筈だろうし、折角見つけたターゲットを見失うのも惜しい。僕も入学することだし、出来るだけ目を付けておくか」
青年はフードを被って呟く。
「
そう言い残して、青年は闇夜に紛れていった。そして彼がいた場所には黒い薔薇の花びらだけが残った━━。
「今度こそ、もう誰も死なせるものか。絶対に」
To Be Continued...