story.1-2 襲撃
んで放課後!
一体誰なのだろう。妙に初対面という気はしないでもなかった。やっぱりあれはシャルロットだったのだろうか、と一抹の期待を寄せる。あのオッドアイを確認できれば一発ではあったのだけど...
そう考えた時である。学校中に、甲高い警報が鳴り響いた。誰かが消火栓のボタンでも押したか、と思ったがその警報とは違った音だった。その数秒後の先生からの全校放送のメッセージがその疑問を一瞬にして消し飛ばした。
❲校内に魔物が侵入しました。生徒の皆さんは速やかに避難して下さい。繰り返します…❳
魔物の出現というこの事態、生徒達がパニックを起こすのに、さほど時間はかからなかった。
廊下の階段は生徒でごった返しであった。魔物がグラウンドで暴れているらしく、そこに降りる避難用の梯子を使おうとする者は一人もいなかった。
やっと人混みを抜け、一階までたどり着いたそのときだった。
???
「シャルさん!面倒いのはわかるけど...」
???
「わーってるっての!」
食堂で見かけた金髪の少女とそしてよく知った人が、俺の横をすれ違った。逃げる俺たちに逆らって、魔物に向かうかのように。ほんの一瞬の出来事だった。
相良 勝磨
「あの人と...巽さん!?...!」
二人が心配だ、そう思うが早いか、俺はもときた道を、人混みを掻き分けて走った。
シャルロット
「巽、訓練通りにやりゃ大丈夫!」
巽 静流
「うん...実戦は初だけど、せめてゲドーさんが来るまでは!シャルさん、お願い!
巽さんのかけ声とともに、まばゆい光に包まれ、思わず目をふさぐ。そして次に目を開けると、巽さんが...シャルロットの鎧を纏い、剣を携えていた。シャルロットの姿はどこにも見当たらない。いわば合体、と形容してもおかしくない気すらした。
ただ、巽さん...なのかはわからないが、どうにも身体の動きも、剣の構えも結構ぎこちないし、まださして動いてもいないのに呼吸が上がっているのが素人の俺でもよくわかった。
巽 静流
「はぁ...はぁ...やっぱり体力、結構もってかれる...」
シャルロット
「あいつが来る!」
向かってくる魔物をみる。そういえば、落ち着いて魔物を見るのは初めてだ。巨大な図体に対して、腕、足は筋肉質だが短い雄牛。その姿を見るやすぐに思ったその姿は「白猫」に登場する魔物、ミノタウロスそのものである。
シャルロットもそうだがまさか魔物まで酷似しているとは。すぐに避難するか、遠くに逃げていたので、魔物の姿をはっきり見たのはこれが最初だった。
姿形はおろか、その攻撃の挙動でさえ、ゲームのそれと全く同じだった。何から何まで似すぎている。いささかゲームから出てきたのかと、錯覚してしまいそうだったが、そんなことがあってたまるかと自身に言い聞かせ、目の前の戦いに再び目をやる。
魔物の大斧の攻撃を、かろうじていなしているが、次第に動きがさらに鈍くなってきている。それに対して魔物は体が温まってきたのか攻撃が大きくなっている。そして、早くも巽さんの体力が限界に達したのか、攻撃を食らって大きく後ずさりする。その瞬間、彼女の体が、巽さんとシャルロットに別れてしまった。戦いもヤバいが、この状況はそれ以上に意味不明だった。
シャルロット
「下がってろ!あとはあたしが!」
巽 静流
「シャルさん!待って!」
シャルロット
「時間稼ぎならできる!」
ー ー ー
巡回任務中だったゲドーとシャナオウは、神気共鳴して学園に急行していた。そんな中、佐野から連絡が入る。
佐野 なでしこ
『赤鬼さん、巽ちゃんが!』
ゲドー
「やはり実戦はきついか...すぐに...」
田村 杏子
『待って。ポイントC-26に魔物が群れてる。
ゲドー
「巽とシャルの撤退を支援してから...」
アレックス
『C-26に向かってくれ!そこは紫電の戦線も崩壊寸前だ!』
ゲドー
「...各員に撤退を優先させろ!さっさと片付けてそっちに行く!シャナオウ!
シャナオウ
『うむ!』
ー ー ー
向かっていくシャルロットの左目が金の光を宿す。
シャルロット
「受けよ!光で...斬るッ...!」
光覇滅陣剣だ!巽さんの呼び方といい、やっぱりシャルロットだ!あの一撃だ!あいつだって...そう思って魔物を見る...嘘だろ!向こうには大して効いていない!そしてそれはシャルも同感だったらしかった。
シャルロット
「クソッ...効いてねえ!?ああっ!」
斧の横凪ぎが彼女に襲いかかる!それをかろうじて剣で受けるが、彼女の身体は、野球のボールのように大きく吹き飛ばされグラウンドのフェンスに叩きつけられた。
巽 静流
「シャルさん!」
シャルロット
「巽ッ!…早く逃げろ!」
時すでに遅しか。巽さん目の前には、攻撃対象を変えた魔物の斧が振り下ろされようとしている。助けなければ、そう思いながらも、すくむ足をうまく動かせない...まずい…
するといきなり、魔物に剣が飛んでいきその背にぐさと刺さった。ダメージはなさそうだったが不快感はあったのか思わぬ邪魔者の方を向いた。
シャルロット
「こっち向けや!牛野郎!」
啖呵を切った彼女に角を向け、猛スピードで突進してきた。とりあえず、巽さんは助かったみたいだ。
さっきのこともあって、足手まといにしかならないと思った俺が、グラウンドから逃げようとしたその時、まだ奴の背中に、彼女の剣が刺さっているのが見えた。
...剣?待てよ?
今の彼女は...丸腰なんじゃないのか...?
奴の鋭い角が、彼女の黄金の鎧を貫き、そのまま上に放り投げる。彼女の身体がいとも簡単に空中、それも結構な高さに放り出されている。
相良 勝磨
「!...やべえ!」
彼女が落ちる前に、今度こそ動いた足を回して、なんとか受け止めることに成功した...はいいが、抱えた彼女の傷は深く、出血も多かった。そしてちょうど巽さんも俺の存在に気づいたらしい。
巽 静流
「生徒!?...しかたないか...早く彼女をこっちに!」
その隙に、俺はシャルロットを担いで、声のする物陰に隠れた。
巽 静流
「って…あなた相良君…?」
相良 勝磨
「やっぱり巽さん!…なんでこんなところに!」
巽 静流
「少なからず、あなたの台詞じゃないと思うけど…」
相良 勝磨
「えっと…それより、さっきのなんだ?シャルロットと合体?したような...」
巽 静流
「ごめん、それは言えない」
そういいつつ彼女は合体に使った真っ白いスマホ?に電源を入れシャルロットにかざす。しかし、画面に
相良 勝磨
「それ、使えないのか?」
巽 静流
「ちょっと黙ってて!」
かなりぶっきらぼうに返されたが、彼女の顔を見れば、焦り、不安、いろんな感情がごたまぜになっているのがよくわかった。シャルロットの顔色も、どんどん悪くなっていく。ブレザーとハンカチで、一応止血はしているが、容態は悪くなっていく。
ただ、巽さんが持っているスマホ...それから目が離せない、というか不思議と視線を吸いこまれる...いや、呼ばれているような、スマホの方から使ってほしいと言われるような...
相良 勝磨
「...ごめん!ちょっと借りる!」
巽 静流
「っ!相楽くん!?」
その感覚に従ったのか、気づくと巽さんの手からスマホを引ったくっていた。
一見するとやっぱりスマホである。しかし、なんだろう。魅力だとか興味とかそういうのとは違った…なんとも語彙力が足らずはがゆいけど…いわば引力を感じた。
シャルロットの状態もあり、もうなりふり構ってはいられない。
頼む…動いてくれ…
そう念じながらスマートフォンのホームスイッチを押したそのとき、スマートフォンが赤く色づき、シャルロットの体を吸い込んだ!
相良 勝磨
「ええ!なんだこりゃ!」
シャルロット
『う…ここは…』
スマホの画面、というかスマホの中の部屋にシャルロット入っていた(閉じ込められたとも言えるか)、目を覚ました。
相良 勝磨
「あんた、大丈夫なのか!?」
シャルロット
『心配には及びません。このとおりです』
目を覚ましたシャルロットには傷はおろか、鎧の破損すら修復されていた。会話もあってるし、発言にあわせて中のシャルロットも動いているようだから、どうやらスマホのプログラムとかではない、本物のシャルロットのようだ。
相良 勝磨
「よかった…」
巽 静流
「私も使えない機能を...まさか...」
おもむろに巽さんは、今度はポケットから手のひら大の
ー ー ー
巽 静流
『アレックス司令、まず状況を報告します』
アレックス
「ひととおり見ている。隣の彼がいたのは想定外ではあったが...彼に繋いでくれ」
ー ー ー
巽 静流
「相良くん、これ」
相良 勝磨
「ん?なにこれ?」
アレックス
『変わってくれたかな?』
相良 勝磨
「おおっ!これ通信機か!えっと...はい...変わりました...」
アレックス
『さっきの一部始終は見させてもらった。もしかしたらなのだが、君なら使えるかもしれない。
相良 勝磨
「こ…こんばーと?それって巽さんがさっきやってた…うッ!」
そのとき頭に直接、声が…流れ込んできた?そんな不思議な感覚に襲われる。ただ、なんとなくではあるものの握りっぱなしのスマホの仕業であることはわかった。
ー
女の人の声だろうか。やさしい、温もりを感じる声だ。まるで母親のような...でも戦う意志って...俺は学生だ。戦う訓練なんかしていない。事実さっきだって後先とか考えてなかったし...と戸惑っていたそのとき、マギーの言葉を不意に思い出した。
真木 逸己
『大事なとこ人任せにするのも、やられっぱなしになるのも、結局死ぬほど悔しいんだわ』
思えばあの日も、俺は母さんと逃げるしかなくて...正直悔しかった。滅茶苦茶悔しかった。滅茶苦茶泣いた。それに、あいつをほっといたら、学校は壊されるんじゃないのか?...それも嫌だ...そうだ...追っかけたのだって、二人に何かあったら嫌だったからだ。被害者になるのも、傍観者になるのもいやだったからだ。だったら...
相良 勝磨
「...ある!...もう俺は!悔し涙はもうごめんだ!」
啖呵を切ったその瞬間、焼けつくような感覚と共に左の手の甲に紅の剣の痣が浮かび上がった。
相良 勝磨
「これは...」
そして治癒が完了したシャルロットが、スマホから飛び出す。
相良 勝磨
「シャルさん、俺のこと覚えてます?相良勝磨」
シャルロット
「忘れてなんかいませんよ。ところで、お財布忘れてましたよね?」
相良 勝磨
「...それは言わないで...ともかく、あなたに守られたあの日々、改めてありがとうございました。今度は…俺も闘います、シャルさん!」
シャルロット
「ここを…守りましょう!」
よくはわからないが、なんとなくこのスマホ...
そのまま機械を前に構えると、足元に魔方陣が浮かび上がる。
そして心に浮かんだ言葉を叫ぶ!
相良 勝磨
「
その瞬間、俺は遥か蒼穹に浮かぶ飛行船の上に転移していた。だが酸素は薄くなく、むしろ吸い込む空気からも命の息吹を感じる。少し視界が暗いと思ったら服装もベージュのローブに変わっていた。
何となく次はここから地面に飛び降りる…恐怖はない。むしろ前に出たがっている。そんな不思議な安心感すらあった。それを信じて、飛行船から身を投げる。
一度光に包まれ、ローブの色が紺に変わる。このときスマホによってデータ化された冒険者の力と装備、すなわちシャルロットの黄金の鎧(もちろん男物で、シャルロットが普段装備していない脚部の鎧が増えている)を纏う。
再び光に包まれて今度はローブが金色に変わり、シャルロットの精神がそっくりそのまま俺の肉体に入り込んでくる。やはり恐怖は感じない。そして...
相良 勝磨
「
光焔の力を宿した剣をその手に掴み、空中でローブを脱ぎ捨て着地。それと同時に火の粉が散り、その姿を鮮烈に映し出す。スピードが出たわりに、グラウンドに敷かれたゴムチップがけっこう吹っ飛んだくらいですんだようだ。足も痛くない。
猛る焔。そして、現れ
巽 静流
「あれが…本当の
ー ー ー
アレックス
「…やはり適正者が存在する...ということか...」
ー ー ー
ゲドー
「…相良…」
ー ー ー
シャルロット
『勇者…ここに降臨…』
相良 勝磨
「勇気、闘志…燃えろ…光焔…ッ!」
わかる人にはわかるけど、飛行船の下りからの変身描写は、ガチャ演出のそれなんだなこれがまた。
わかんなかったら俺の文才を恨んでいい。