story.2-2 これがOrion、
アレックス
「今日君を呼んだのは他でもない。この組織に参加してほしいのだ。
相良 勝磨
「はあ...」
アレックス
「では、この組織の概要から説明しよう。Orion。私たちの基本行動目的は3つ。『周辺地域の民間人と学生たちの保護』と『人類に仇をなす存在の根絶』」
学園が全寮制なのは、ここ周辺で魔物が現れた際に、この組織に守ってもらうのが相対的に安全で手っ取り早いと組織側が進言したことが背景にあり、この学園都市とは様々な面から切っても切れない関係にあるのだ。
もちろん学生寮の建設費もメルディオ・ファウンデーションの提供だ。
話を聞いて一つ思ったのだが、はっきり言ってこの会社、羽振りが良すぎる。株取引でもやっているのだろうか。
アレックス
「ところでシャル、ゲドーの報告によると昨日の魔物はただの野良が迷い混んだのではなく、『
ここでシャルロットはピンときたような顔をして
シャルロット
「どうりで...でも一日に二度も現れるだなんて…」
やっぱり俺が周りの話についていけていないので、司令に質問した。
『壺』というのは、その周囲の大気中のソウル、生きとし生けるものすべてが持つ命のエネルギーを変質させる、いわば変換装置であり、その特殊なソウルが特殊な波になって魔物に影響を与える、という代物らしい。見た目はゲームでの「瘴気の壺」そのものだ。
その魔物は、ステータスなどが強化され、冒険家たちでも太刀打ちできるものではなくなるほか、時折特異な能力を持つこともあるらしい。攻撃が通らなくなるレベルのバフなんて、ゲームではかからなかった。せめて「攻撃力アップ」「防御力アップ」みたいな単純なものだった。
それを区別して、彼らは
アレックス
「その冒険家でも太刀打ちできない共鳴種に対抗する手段こそが、昨日君が行った『
相良 勝磨
「えーっと...その、『壺』そのものには道具や兵器は通るのでは?先にそれを壊せば、強化自体は収まるのでは?それこそ、『瘴気の壺』みたいな...」
シャナオウ
「それは不可能ビッグエラー!」
ゲドー
「残念ながらあれは魔物だけでなく、変質したソウルを制御する端末らしくてな」
なんかようわからん言語とともに、さっき俺が通ってきた廊下から、赤鬼の仮面をつけた白い髪を結び、O学園の制服のブレザーを羽織った男と、機械的なボディを輝かせる黒い短髪に赤い目をした青年が現れた。
シャナオウ
「以前、それをトライしオブザーブ。が、デリートしたしたそのモーメント、残りの魔物がエクスプロード!変質したソウルにより周辺の大気がポルートされ...」
相良 勝磨
「待った待った!翻訳が追いつかない!」
ゲドー
「要するに魔物を残して壺を破壊したら、魔物が爆発。それによる被害がでるだけでなく、変質したソウルに大気が汚染される。吸い込んだり、接触するだけでも生物の細胞に悪影響を及ぼす。この学園都市にも数ヶ所閉鎖された区域があるだろう?強力なものなら、総合的被害はまさしく核にも匹敵しよう。アレックス、哨戒任務の報告書だ」
アレックス
「色々とすまない。彼はゲドー。君と同じく
シャナオウ
「よろしく頼む」
相良 勝磨
「あ...ふつうのペースで喋れるのね...よろしく...」
アレックス
「ゲドー、左手を」
ゲドー
「...フン!」
仮面の青年は司令に書類を渡したあと、左手の手袋をはずして手の甲を見せた。黒に縁取られた黄色の拳の痣だ。俺の剣の痣とは色も形も異なっている。
手袋をもどした彼は俺を一瞥し、
ゲドー
「昨日の件については感謝する...が...決意の足らないやつはここにはいらない」
相良 勝磨
「!」
ゲドー
「いくぞシャナオウ。休息はとれるうちにとっておけ」
相良 勝磨
「...決意が足らないって言うけど、昨日はシャルさんも巽さんも死にそうだった。なのにあんたはどこにいたんだ!神気共鳴の力があったなら、まずはこの二人を助けるべきだろ!あんただって人のこと言えないじゃ...」
???
「相良くん!」
聞き覚えのある、つららのような冷たい声が俺に刺さる。そして俺のところに早足で詰め寄る。佐野なでしこ、彼女もクラスメイトだ。
佐野 なでしこ
「赤鬼さんはすぐにそっちには向かいたかった。でも、魔物に別働隊がいた。壺もそちらにあったし、なにより一般市民の避難も完了してなかった!何も知らないくせして大口たたかないで」
ゲドー
「佐野、もういい」
佐野 なでしこ
「でも...」
ゲドー
「活発化した敵の動きに対応できなかった
そうしてゲドーとシャナオウは指令室をあとにした。
相良 勝磨
「...」
アレックス
「ああいうなりだが、その意志も、実力も本物だ。確実に頼りになる。さて、話を続けたいが、相良くん、なにか質問はあるかな?」
相良 勝磨
「えーっと...あー...これって言っちゃいけない感じですよね...ゲームというか...」
アレックス
「いろんなものが妙にゲームに酷似している...ということだろう?一応ここにいる全員がそれについては知っている。まだ言っていない第三の目的も含めて、こっちで話そう。他はそれぞれ持ち場に。警戒は怠るな」
ー ー ー
司令に連れられ指令室奥のエレベーターからさらに下に降りていく。その先の廊下を抜けると、そこには、青白く輝く水晶のような物体が、宙に浮いていた。
相良 勝磨
「これって...ルーン?」
アレックス
「やはり知っているみたいだな。その通り。といってもこのルーンに厳密な名前は付けられないんだ」
オーラ...いや、白猫準拠でソウルというべきか、それがなんとなく清くて、荘重なのだ。まさしく強大な力を秘めたシロモノであることはわかった。
相良 勝磨
「これを守るのが、第三の目的...でもゲームとそのままなのとこのルーン、一体どんな関係が?」
アレックス
「このルーンには名前が付けられない、と言っただろう?これは他のものとは違って、複数の、全く別ベクトルの能力を持っているんだ。」
まず一つめの力。昨日もマギーが話していた通り、この街には、魔物を防ぐ壁がない。その役割を担うのが、『守護』の力で、いわばバリアを張ってくれている。それで外からの魔物が寄りつかないのだ。
二つめ。二人の人間のソウルを、害無く変換・統合・共鳴させ、さらにそれと逆の行程を行える。
ただ、この力の行使には条件があり、「こちら側」の思春期の人間と、「あちら側」の強いソウルを持つ者。ソウルの相乗効果で肉体の力を引き出しつつ、冒険家の力を扱うことができるらしい。
ただ、冒険家の能力を扱うのが「こちら側」の人間であるため相応の訓練や知識が必要である、巽さんの一件から適する適さないが存在する、など、問題点も多いようだ。
そして3つめ。このルーン、直接脳にビジョンを送って、異世界の観測や予言を可能としているらしい。異世界というワードを真面目な会話で聞いてしまうとは思わなかったが、俺たちの世界の他にも、『白猫プロジェクトの世界』といういわば異世界が存在している。このルーンのビジョンを元に、異世界で起こった事象、出来事をシナリオとし、神気共鳴を扱うための訓練プログラムを思春期の若者に親しみやすい形に落とし込んだものがゲームの「白猫プロジェクト」だったのである。
相良 勝磨
「すっさまじい謎が解けた...あれ?ちょっと待ってください。遅くなったんですが、昨日の魔物は...まさか...!」
アレックス
「そう...君もゲームでよく知っているアイツらが元凶で間違いないだろう...」
相良 勝磨
「闇...だってのかよ...」
闇。ゲームでの白猫において、主な敵となる勢力だ。神出鬼没。ストーリー本編の他にも、ゲーム内イベントなどでも直接闘うこともあるほかに、そうでなくても何かしら裏で糸を引いていることも多い。
まさかそれもゲーム通りだなんて...もう脚の毛が逆立って痛いくらいだ...あんなヤツらからこれを守る...闇の驚異をゲームで目の当たりにしてきただけに、一気に実感が湧かなくなってしまった。
そんなときに警報だ。昨日に続いて、また現れた!
相良 勝磨
「俺たちが行きます!いくぞシャル!」
シャルロット
「わかりました!」
あ、やっぱり御子モードなのね...
ポケットからスマホを取りだし昨日と同じようにシャルロットをスマホに取り込み、グラウンドまで急行する。
相良 勝磨
「
俺はローブと輝く炎に包まれる。その火球がグラウンドに触れると、巨大な火柱となって、天を焦がす!
ゲームの白猫のこの立ち位置は結構考えました(笑)
そして、白猫の初期案は、アバターの主人公が衣装を着て戦うという、神気共鳴に近いコンセプトだったようで、そこから掘り下げて設定を考えました。