quest.2-1 痛みを知る
アレックスから通信。
アレックス
『ゲドー。今回は...』
ゲドー
「待機とか言わないだろうな?昨日の件もある。それだったらふつうに無視るぞ」
アレックス
『うーん...じゃあ神気共鳴して戦況の観察...ヤバそうだったら
ゲドー
「そんな悠長な真似をしてる場合があるか!」
アレックス
『彼を戦力として見定める...ということなら?実戦でなければわからないことも多いぞ?退役軍人の俺が言うんだ、間違いない』
ゲドー
「...了解した...」
校内での避難勧告ももう済んでいるらしかった。
「んじゃスタートコールいきますか」
『勇者よ、私に続きなさい!』
「切り替えのラインがわかんないな~!いいね!(サムズアップ)」
MISSION START
いつの間にか耳に着いていた、赤い石が付いたイヤホンマイクから巽さんの声が聞こえた。
巽 静流
『さっき聞いた通り。魔物をすべての掃討と壺の破壊を。魔物と壺の位置はナビゲーションするから』
相良 勝磨
「わかった!あ!なんか、なし崩し的に俺が変身しちゃった!たしか本当は...」
巽 静流
『昨日のこともあって、オペレーターに転向したの...それになんだかんだで、相良くん強いから』
相良 勝磨
「...!んじゃ、期待には答えなきゃな!」
目の前にいるのは剣と丸盾を装備した民族的な木の人形の魔物、マッド・パペット三体とと、赤い毛皮と大きな赤と白の尻尾。白猫を知る者ならお馴染み、星たぬきが六体。
フィーリングで右手を開いて出したレーダーの矢印。これが巽さんの言うナビゲートなのだろう。
しかしそれが指し示す先は、赤い光の壁に阻まれている。この魔物どもを倒さない限りは、この壁は消えないのだ。ゲームにもそんなシステムがあったなぁ。
魔物逹が俺を見るや向かってきた。
星たぬきが自慢の尻尾を振り回す。
相良 勝磨
「全部倒さなきゃダメなんだよな...あんまり斬りたくないな...」
攻撃があたる寸前に前転して回避、体が赤く輝く!
相良 勝磨
「ごめんね!カウンター!」
攻撃してきた一体と周りにいた星たぬき三体を巻き込んで、光の刃で凪ぎ払う。
次に一体のマッド・パペットが右手の剣を振りかぶって斬りつける。それを肩で透かし、バランスが崩れたところを反撃。こちらも一撃で仕留めた。
残りの二体が後ろから同時に斬りつけてきた!どうにかそれを剣で受け止める。壺で強化された故か、すごい力だ。
相良 勝磨
「それが…どうした!」
押し返してからの交差斬り!魔物も全滅したことで、光の壁が消えた。青い矢印が示す先へと走る。そこを抜けると、もう学園の敷地の外に出ていた。
だが、そこにあったのは、朝通学してきたあの住宅街ではない。太さや車線は変わらないが、道路の歩道と車道がかくかくと曲がり、住宅もそれに合わせて移動している。
しかも、今朝見ることのなかった鉄製のゲートが、蛇行した道路の先にある、青い矢印が示している道を塞いでいる。
相良 勝磨
「これどうなってんの?」
田村 杏子
『壺の力が強えーのか、空間がねじ曲がってるっぽい。気をつけて!』
相良 勝磨
「その声...B組の
田村 杏子
『ヒドイ!ゾンザイ!ミソサザイ!』
相良 勝磨
「いやなんで最後鳥の名前出したの!悪かったって!」
シャルロット
『話を戻します。ご存じの通り、ゲートを解放するスイッチがどこかにあるはずです!』
巽 静流
『マップ情報を更新したから、それを頼りに!魔物の掃討もお願いします』
道路の真ん中を疾走するなか、いきなり挟み撃ちにされる形で狂い人形が前後に三体ずつ、計六体があらわれ、先への道と退路が絶たれる。後ろの魔物が若干近い。
相良 勝磨
「シャル!ちょっと早いがあれ使うぞ!」
後ろに立っていた魔物の背後を取った。前にいた敵もむかってきている。
相良&シャルロット
「『アクション!』」
炎をまとった剣が、敵をまとめて一閃する!
シャルロット
『受けよ!』
相良 勝磨
「
昨日もそうだったけど、やっぱりすごいなアクションスキル!
道路を道なりに進むと、また魔物があらわれた。
ハンマーウッホ。初めてあらわれた冒険者に討ち取られた魔物だ。そいつが一頭、立ち塞がっている。
しかし、その向こうに、攻撃して起動するタイプのスイッチがあるのを、俺は見逃さなかった。どうやらデザインもそのまま再現されていたようだ。
魔物が走り込み、手に持った巨大な木槌で叩きつける。が、そんな遅い攻撃を、俺が食らうはずもない。敢えてギリギリでかわしてからのカウンタースラッシュで、巨大なハンマーウッホを一撃でKOさせた。
その向こうにあったゲートのスイッチを攻撃して起動させ、道を塞いでいたゲートを解放して先に進もうとしたそのとき…
シャルロット
『ショーマ、後ろ!』
スイッチを起動したときに、背後に現れていたマッド・パペットが放つ三連撃の内、二発ほど背に受けてしまう。
何とか魔物は斬り伏せたが、共鳴接続した体は痛覚がそのまま引き継がれているのか、ひどい痛みに俺は思わず膝を突いた。
相良 勝磨
「うう...剣で斬られるってここまで痛いのな…」
ー ー ー
ゲドー
「最初はずいぶんよかったが、あの程度で膝をつくか...俺が出よう...一分とかからん」
アレックス
『いや、そうとも言えないみたいだぞ?』
ゲドー
「なんだと?」
ー ー ー
斬られた痛みに膝をつく。改めてこれはゲームではない戦いなのだと思い知る。
相良 勝磨
「シャル、大丈夫か?」
シャルロット
『気にすんな!よくあるこった!』
シャルも痛いのか...動いているのが自分であるだけに、変な感覚ではあるけど、俺の中には確かにシャルさんはいる...
そしてなにより、こういう怪我も日常茶飯事...唐突にではあるが、シャルとの考え方の違いを思い知る。
俺が学園に来る前も、シャルさんは膝をつくことはなかった。あのときはただそれをかっこいいと、英雄であると受け取っていたけど、いくらかの覚悟はしてきているんだろうか...(まあ、シャルさんだから、してないかもわかんないけど...)
だったら、俺はこんなところでへこたれてちゃやっていけない!やっぱりまだ、俺には決意がまだ足らなかった。シャルのためにも、学校や街のみんなのためにも、もう膝はつけない!
相良 勝磨
「ごめんシャル!痛かっただろ?それに、やっぱりゲドーは間違ってなかった!...これからは基本ノー被弾、あとはちゃっちゃと早期撃破でいく!シャルさん、力を貸してくれ!」
シャルロット
『...っしゃあ!とっととおわらせっぞ!』
少しシャルは唖然としていたが、俺の言葉に火がついたらしい。ものぐさな本性をさらに焼き捨てた、アツいシャルがそこにいた。まさしく共鳴するその意思に呼応するかのように、背中の傷も癒えていた。
ー ー ー
シャナオウ
『ダメージがコンスタントにリカバーした!』
ゲドー
「なるほど…
ー ー ー
巽 静流
「赤鬼さん、
ゲドー
『ゲドーだ!
田村 杏子
「しばらく自身のHPがちょこちょこ回復するってやつ!さっき使った燎焔斬の追加効果っぽい!」
シャナオウ
『レクチャーをかっさらわれてしまったな...』
ー ー ー
BOSS APPEARS
ミノタウロス があらわれた!
マッド・パペット があらわれた!×4
星たぬき があらわれた!×6
相良 勝磨
「あ、なんか省略されてるけどいっぱいいる...」
シャルロット
『でも、今のウチらなら...』
相良 勝磨
「当然!」
剣を構えたそのとき、右目が赤く光り、熱く激しい赤き破壊の炎が、〈
ー ー ー
田村 杏子
「あれコネクトスキルじゃん!剣ジョブにさらに炎系かよ主人公しまくってんなぁおい!」
ゲドー
『偶然だな。『二つの心を一体とする』。それがどれだけ難しいかは俺達がよく知っている』
ー ー ー
相良 勝磨
「剣に炎が…!このまま!」
炎の剣が、敵を斬ると同時に焼き尽くす。強力な鋼と光焔の刃が、次々と魔物を打ち倒して行く。
星たぬき、マッド・パペットすべてを瞬く間に消し炭にした。
あとは昨日も対峙したミノタウロス...!
相良 勝磨
「ラスイチまで気張っていくぜ!」
相良&シャルロット
「『アクション!』」
シャルロット
『受けよ!この炎刃の閃き!』
瞬く間に懐へ飛び込み、昨日やさっきとは違う、赤く燃ゆる破壊の炎を纏った剣で切り裂く!
相良 勝磨
「燎焔斬・
輝く炎の高熱と、風をも裂く剣の鋭さが、敵を討ち倒す!
ー ー ー
その瞬間、司令は彼にあるものを見いだしていた。
アレックス
「戦力テストとしては...文句はないだろ?『ラセツ』」
シャナオウ
『バージョンアップ目覚ましいな。俺としても心強いと思うが?』
ゲドー
『...帰投する...』
田村 杏子
「あ、そういやあの二人の
アレックス
「爆炎と共に現れ、熱く、激しき焔の英雄。うん、いいものを思い付いたぞ!」
ー ー ー
VICTORY
シャルロット
『私たちの勝利です!』
相良 勝磨
「んー...いいね!」