白猫プロジェクトNega 学舎の英雄 集決編   作:鳥面ダス

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Stage.02 Orion part.3

quest.2-1  痛みを知る

 

アレックスから通信。

 

アレックス

『ゲドー。今回は...』

ゲドー

「待機とか言わないだろうな?昨日の件もある。それだったらふつうに無視るぞ」

アレックス

『うーん...じゃあ神気共鳴して戦況の観察...ヤバそうだったら交代(キャラチェンジ)。それなら文句ないだろう?』

ゲドー

「そんな悠長な真似をしてる場合があるか!」

アレックス

『彼を戦力として見定める...ということなら?実戦でなければわからないことも多いぞ?退役軍人の俺が言うんだ、間違いない』

ゲドー

「...了解した...」

 

校内での避難勧告ももう済んでいるらしかった。

 

「んじゃスタートコールいきますか」

『勇者よ、私に続きなさい!』

「切り替えのラインがわかんないな~!いいね!(サムズアップ)」

 

MISSION START

 

いつの間にか耳に着いていた、赤い石が付いたイヤホンマイクから巽さんの声が聞こえた。

 

巽 静流

『さっき聞いた通り。魔物をすべての掃討と壺の破壊を。魔物と壺の位置はナビゲーションするから』

相良 勝磨

「わかった!あ!なんか、なし崩し的に俺が変身しちゃった!たしか本当は...」

巽 静流

『昨日のこともあって、オペレーターに転向したの...それになんだかんだで、相良くん強いから』

相良 勝磨

「...!んじゃ、期待には答えなきゃな!」

 

目の前にいるのは剣と丸盾を装備した民族的な木の人形の魔物、マッド・パペット三体とと、赤い毛皮と大きな赤と白の尻尾。白猫を知る者ならお馴染み、星たぬきが六体。

 

フィーリングで右手を開いて出したレーダーの矢印。これが巽さんの言うナビゲートなのだろう。

 

しかしそれが指し示す先は、赤い光の壁に阻まれている。この魔物どもを倒さない限りは、この壁は消えないのだ。ゲームにもそんなシステムがあったなぁ。

 

魔物逹が俺を見るや向かってきた。

星たぬきが自慢の尻尾を振り回す。

 

相良 勝磨

「全部倒さなきゃダメなんだよな...あんまり斬りたくないな...」

 

攻撃があたる寸前に前転して回避、体が赤く輝く!

 

相良 勝磨

「ごめんね!カウンター!」

 

攻撃してきた一体と周りにいた星たぬき三体を巻き込んで、光の刃で凪ぎ払う。

 

次に一体のマッド・パペットが右手の剣を振りかぶって斬りつける。それを肩で透かし、バランスが崩れたところを反撃。こちらも一撃で仕留めた。

 

残りの二体が後ろから同時に斬りつけてきた!どうにかそれを剣で受け止める。壺で強化された故か、すごい力だ。

 

相良 勝磨

「それが…どうした!」

 

押し返してからの交差斬り!魔物も全滅したことで、光の壁が消えた。青い矢印が示す先へと走る。そこを抜けると、もう学園の敷地の外に出ていた。

 

だが、そこにあったのは、朝通学してきたあの住宅街ではない。太さや車線は変わらないが、道路の歩道と車道がかくかくと曲がり、住宅もそれに合わせて移動している。

 

しかも、今朝見ることのなかった鉄製のゲートが、蛇行した道路の先にある、青い矢印が示している道を塞いでいる。

 

相良 勝磨

「これどうなってんの?」

田村 杏子

『壺の力が強えーのか、空間がねじ曲がってるっぽい。気をつけて!』

相良 勝磨

「その声...B組の田村(たむら)さんか!えーっと紹介は...あとでいい?」

田村 杏子

『ヒドイ!ゾンザイ!ミソサザイ!』

相良 勝磨

「いやなんで最後鳥の名前出したの!悪かったって!」

 

田村(たむら) 杏子(あんず)。隣のクラス。陰キャではあるものの対人スキルの高さと、トレードマークの大きめの丸眼鏡、即興イラストに定評があるとか。まさか彼女もオペレーターだったとは...

 

シャルロット

『話を戻します。ご存じの通り、ゲートを解放するスイッチがどこかにあるはずです!』

巽 静流

『マップ情報を更新したから、それを頼りに!魔物の掃討もお願いします』

 

道路の真ん中を疾走するなか、いきなり挟み撃ちにされる形で狂い人形が前後に三体ずつ、計六体があらわれ、先への道と退路が絶たれる。後ろの魔物が若干近い。

 

相良 勝磨

「シャル!ちょっと早いがあれ使うぞ!」

 

後ろに立っていた魔物の背後を取った。前にいた敵もむかってきている。

 

相良&シャルロット

「『アクション!』」

 

炎をまとった剣が、敵をまとめて一閃する!

 

シャルロット

『受けよ!』

相良 勝磨

燎焔斬(りょうえんざん)!」

 

昨日もそうだったけど、やっぱりすごいなアクションスキル!

 

道路を道なりに進むと、また魔物があらわれた。

 

ハンマーウッホ。初めてあらわれた冒険者に討ち取られた魔物だ。そいつが一頭、立ち塞がっている。

 

しかし、その向こうに、攻撃して起動するタイプのスイッチがあるのを、俺は見逃さなかった。どうやらデザインもそのまま再現されていたようだ。

 

魔物が走り込み、手に持った巨大な木槌で叩きつける。が、そんな遅い攻撃を、俺が食らうはずもない。敢えてギリギリでかわしてからのカウンタースラッシュで、巨大なハンマーウッホを一撃でKOさせた。

 

その向こうにあったゲートのスイッチを攻撃して起動させ、道を塞いでいたゲートを解放して先に進もうとしたそのとき…

 

シャルロット

『ショーマ、後ろ!』

 

スイッチを起動したときに、背後に現れていたマッド・パペットが放つ三連撃の内、二発ほど背に受けてしまう。 

 

何とか魔物は斬り伏せたが、共鳴接続した体は痛覚がそのまま引き継がれているのか、ひどい痛みに俺は思わず膝を突いた。 

 

相良 勝磨

「うう...剣で斬られるってここまで痛いのな…」

 

ー ー ー

 

ゲドー

「最初はずいぶんよかったが、あの程度で膝をつくか...俺が出よう...一分とかからん」

アレックス

『いや、そうとも言えないみたいだぞ?』

ゲドー

「なんだと?」

 

ー ー ー

 

斬られた痛みに膝をつく。改めてこれはゲームではない戦いなのだと思い知る。

 

相良 勝磨

「シャル、大丈夫か?」

シャルロット

『気にすんな!よくあるこった!』

 

シャルも痛いのか...動いているのが自分であるだけに、変な感覚ではあるけど、俺の中には確かにシャルさんはいる...

 

そしてなにより、こういう怪我も日常茶飯事...唐突にではあるが、シャルとの考え方の違いを思い知る。

 

俺が学園に来る前も、シャルさんは膝をつくことはなかった。あのときはただそれをかっこいいと、英雄であると受け取っていたけど、いくらかの覚悟はしてきているんだろうか...(まあ、シャルさんだから、してないかもわかんないけど...)

 

だったら、俺はこんなところでへこたれてちゃやっていけない!やっぱりまだ、俺には決意がまだ足らなかった。シャルのためにも、学校や街のみんなのためにも、もう膝はつけない!

 

相良 勝磨

「ごめんシャル!痛かっただろ?それに、やっぱりゲドーは間違ってなかった!...これからは基本ノー被弾、あとはちゃっちゃと早期撃破でいく!シャルさん、力を貸してくれ!」

シャルロット

『...っしゃあ!とっととおわらせっぞ!』

 

少しシャルは唖然としていたが、俺の言葉に火がついたらしい。ものぐさな本性をさらに焼き捨てた、アツいシャルがそこにいた。まさしく共鳴するその意思に呼応するかのように、背中の傷も癒えていた。

 

ー ー ー

 

シャナオウ

『ダメージがコンスタントにリカバーした!』

ゲドー

「なるほど…自動回復効果(リジェネ)か」

 

ー ー ー

 

巽 静流

「赤鬼さん、自動回復効果(リジェネ)って…」

ゲドー

『ゲドーだ!相良(やつ)の周りの緑色のオーラ、あれが出ている限り...』

田村 杏子

「しばらく自身のHPがちょこちょこ回復するってやつ!さっき使った燎焔斬の追加効果っぽい!」

シャナオウ

『レクチャーをかっさらわれてしまったな...』

 

ー ー ー 

 

BOSS APPEARS

 

ミノタウロス があらわれた!

マッド・パペット があらわれた!×4

星たぬき があらわれた!×6 

 

相良 勝磨

「あ、なんか省略されてるけどいっぱいいる...」

シャルロット

『でも、今のウチらなら...』

相良 勝磨

「当然!」

 

剣を構えたそのとき、右目が赤く光り、熱く激しい赤き破壊の炎が、〈栄光の一閃(グローリーフェンサー)〉に宿る!

 

ー ー ー  

 

田村 杏子

「あれコネクトスキルじゃん!剣ジョブにさらに炎系かよ主人公しまくってんなぁおい!」

ゲドー

『偶然だな。『二つの心を一体とする』。それがどれだけ難しいかは俺達がよく知っている』

 

ー ー ー

 

相良 勝磨

「剣に炎が…!このまま!」

 

炎の剣が、敵を斬ると同時に焼き尽くす。強力な鋼と光焔の刃が、次々と魔物を打ち倒して行く。

星たぬき、マッド・パペットすべてを瞬く間に消し炭にした。

 

あとは昨日も対峙したミノタウロス...!

 

相良 勝磨

「ラスイチまで気張っていくぜ!」

相良&シャルロット

「『アクション!』」

シャルロット

『受けよ!この炎刃の閃き!』 

 

瞬く間に懐へ飛び込み、昨日やさっきとは違う、赤く燃ゆる破壊の炎を纏った剣で切り裂く!

 

相良 勝磨

「燎焔斬・炎昇(えんじょう)!」

 

輝く炎の高熱と、風をも裂く剣の鋭さが、敵を討ち倒す!

 

ー ー ー 

 

その瞬間、司令は彼にあるものを見いだしていた。 

 

アレックス

「戦力テストとしては...文句はないだろ?『ラセツ』」

シャナオウ

『バージョンアップ目覚ましいな。俺としても心強いと思うが?』

ゲドー

『...帰投する...』

田村 杏子

「あ、そういやあの二人の作戦時名(コードネーム)決めてないですよね?どうしましょっか?」

アレックス

「爆炎と共に現れ、熱く、激しき焔の英雄。うん、いいものを思い付いたぞ!」

 

ー ー ー

 

VICTORY

 

シャルロット

『私たちの勝利です!』

相良 勝磨

「んー...いいね!」

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