Fate/ Beyond Reverie 〜 月と巨人の原典 〜   作:うさヘル

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あとがき

まずは一年と半年もの間、お付き合い頂きましてありがとうございます。なんとか令和元年中に物語を終わりにまで導けたのは、未熟な文章ながらもご一読下さっている皆様がいてくださったおかげです。この場をお借りして、重ねて御礼申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。

 

さて、あとがきの部分まで目を通すようなお方は、わたしと同じく活字中毒か、よほど好奇心旺盛な方だとお見受けします。そのような方は、本物語の体裁を崩してまでなぜ完成を急いだのか、本来ならばどう展開するつもりだったのか、という点を気にされる方も多いかと思います。そこであとがきにおきましては、

 

1.なぜこうまで急いで書き上げたのか

 

2.本物語はなぜこのような物語運びになったのか

 

という二点を、書いている当人の記憶の整理も兼ねまして、四方山話として記載いたしたいと思います。まぁ、これからいたします話の内容を纏めてしまえば、私の未熟さと見通しの甘さ故に起こった出来事である、ということになってしまうので恐縮ですが、お時間の取れる方、ご興味あるとおっしゃる方は、お付き合いいただければ幸いです。

 

 

ではまず、「なぜこうまで急いで書き上げたのか」、という点につきましてご説明させていただきたく思います。こちらは理由としては簡単に、エタらない、いわゆる、あげた二次創作の物語を未完のまま終わらせたくないという思いを原因とする出来事です。

 

自分語りとなって申し訳ないのですが、当方の癖として、物事に取り掛かる前に自分の中で物事に取り組む期間を決め、その期間内に起きましてはそれを最優先に行うという癖があります。そしてその期限が切れますと、取り組んでいた物事が例えどのような完成度を誇っていようと、たとえ九割九分九厘まで達成していようと、そこで見切りをつけて物事に取り組まなくなるのです。例えば、新作ゲームや新書などの発売から三日四日程度はそれこそ寝食休む間も惜しんでずっとゲームや読書をしているのですが、自分で決めた期間を過ぎると、たとえ後すこしでクリアできるという状態であろうと、そこでプレイをやめてしまう、というような感じです。ただし同時に、一度その期間内にゲームを一度でもクリアにまで持っていってしまえば、例えば千種類あろうと図鑑やアイテム、ルートをコンプリートするまでそのゲームをやり続けるという、謎の拘りも持ち合わせていました。

 

見切りが早く短期過集中型。期間内に課題を終わらせることが出来なければ、バッサリと切り捨てるが、その期間内にどのような形であれ終わらせてしまえば、その後満足いくまで物事に取り組み続ける。そんな癖を抱えているそんな私がこの物語を完成させるための期間として設けたのが、昨年度いっぱいまで、という期間だったのです。

 

一昨年に一部を終わらせた当方ですが、実はあの時点で三割程度の完成度だなと感じていました。このペースで描き続ければ、間違いなく自分で設けた期限をオーバーしてしまう。これまでの自分の傾向から、そうなった際に書くための情熱が失せてしまうのは間違いない。しかし、ナデシコ二次創作、月姫、fate系二次創作や、別作品同士のクロスオーバー系ネットがネット上で流行った時代を謳歌させてもらった私の個人的な感覚といたしまして、当時におい私が何より残念だったのはまだ完結していない物語の更新が無くなる=エタるということでした。興味を持った物語が、中途半端なところで永遠に完成しなくなる、というのは二次創作のみならず、小説やラノベなどにもよくある話です。情熱が失せた、という方もいらっしゃれば、時間が取れなくなったという方もいらっしゃいましたし、あるいは最悪の場合、作者様の死去ですとか、とある災害が起きた日を境に更新がなくなったなどのさまざまな理由はありました。

 

作者様が書いていたものを放棄する、せざるをえなくなり理由は多く存在しており、書く側に回った私として、気力が失せたりや時間が取れなくなるという理由もわからなくはないのです。ですがかつて多くの文字媒体の作品目を通し、また、読んでいた作品エタッたという経験を数多くしてきた身といたしましては、未完の大作よりも未熟でも完成している作品の方がありがたいと思っていました。更新されているか否かをチェックしたりして、今日もなかった、とヤキモキするような時間を別のことにあてられるわけですからね。そこで自分は、整合性、エンタメ性、読みやすさをよりも、期間内の完成を最優先にして本物語を終わらせた、というわけです。

 

まぁ、言ってしまえば、私自らが勝手に取り組み始めたものを中途半端な状態で投げ出したくなかった、というのが最終的な理由と言えますでしょう。どこまでも自分本位で申し訳ないですが、これが物語を令和元年内に終わらせることを急いだ事情です。物語を楽しみにして頂いた方、わたしの見通しの甘さと過信と傲慢と癖に付き合わせてしまって、本当に申し訳ありません。この負債は本物語を完全修正することで返したく思っておりますので、誠に都合の良いお話ですがどうぞ今後もお付き合いいただければありがたく思っております。

 

さてでは続きまして、完成を急いだ本物語がなぜこのような物語運びになったのかについてご説明させていただきたく思います。まず当方は、アーチャーである英霊エミヤシロウというキャラの願いを叶えてやりたいという思いから、本物語を作成しました。私がfateを何度かやり直したところ、アーチャーであるエミヤシロウの願いは以下の二点に集約されると考えられました。

 

1. 誰もが幸福だという結果が欲しい

2. そんな世界の中で、正義の味方として活躍したい

(幸せになりたい=切嗣のように笑いたい)

 

そこで哲学系、思想系、世界史、文化人類学から人類の定義、進化史などの本に手を出していくらか考察したのですが、どう考えても人類誰もが幸福な世界を作ることは現状不可能だ、という結論に達してしまいまして。と言いますのも、本作でも語ったのですが、それをやるとなると、人類を全員そうなるように洗脳するか改造するくらい手段がないわけです。誰かの正義が誰かにとって悪だなんて珍しくもない。そんな人間が億万も蠢いている地球において、誰もが幸福だという結果なんて出せっこない。現行の人間社会が結局奴隷制度をブラッシュアップし続けて作り上げられた富の一極集中型システムになっている限り、救われない人間はどうしても出てきてしまう。

 

そこで次善策として、多くの人に認められる正義の味方になる、くらいなら可能だなぁとは思ったのですが、それじゃ結局、エミヤシロウという男の願いが完全に叶えられることはない、という結論になってしまいます。というか、そんな結論に到達するなら、別に自分が書かなくても、すでに世にいくものクオリティの高いものが発表されています。広い世の中、思ったアイデアを誰かが発表しているなんてざらにある。やった挙句に二の足を踏むのは仕方ないとして、最初から他の作品と同じ結論になる作品を作りたくはない。

 

困った挙句思いついたのが、本作の最後でしていました提案です。とりあえず正義だの悪だのは一旦脇に置いておくとして、まずは誰もが正義だの悪だのを語れるような状況がないとどうしょうもない。金がなくて明日にも飢えて死にそうなのに、殺すな盗むな食うな、社会的正義を守って勝手に死ね、なんて言われちゃ、ふざけるな、っていう怒りの回答しか返ってこなくて当然じゃないですか。そうなったらその後の流れとして、お前の正義が俺に死ねというのなら、俺の正義はお前を殺し返してやることだ、なんて風になるのも想像だに容易い。まああとは両者が生きている限り、憎しみがどこまでも連鎖していくわけで、結局、人間が社会的に依存した生き物である限り、人生が才能と生まれの環境に大きく左右されるという条件下である限り、救われない誰かが出てきてしまう。

 

だからまず必要なのは、そんな正義だの悪だのを考えられるような最低限生きていくためには不自由しないセーフティーネットや下地が世界中に作られていて、人類全てに適応されていること。そしてさらに付け加えるなら、誰かを傷つけてまで何かを成し遂げるのは悪であるという考えが多くに広まっている状態が好ましいな、と考えました。つまりは、私たちの住んでいます日本みたいな国の状態をイメージしたわけです。

 

で。そんな条件の世界が作れるようななんかないかなと考えたところ、ふと魔のものという存在が負の感情を食らっているとかいう設定あったなぁ、ということに思い至りまして。で、そこからガシガシと設定を組んだ結果、本物語のシナリオが完成したというわけです。

 

さて、そうして完成したシナリオですが、設定を組みおえたあと見直すと、最終的に目指す地点に問題が発生することに気がつきました。ざっくりというと、メアリー・スーや原作キャラの崩壊がひどい状態になるな、って結論に到達しました。まぁ、当然っちゃ当然です。目指す地点が誰にも認められる正義の味方、ってわけですから、誰もがエミヤの正義に同意しているという世界にせざるをえない。借り受けた原作付きキャラの誰もが半オリキャラ化するとかいう地獄な状態を、しかし書かざるを得ないとなったわけです。

 

まぁ、一旦書くと決めてプロットを組んでしまったので、書くことをやめるつもりはありませんでした。ただし、そのまま書くと、原作準拠の二次創作どころか、最低系ssというのも憚られるようなものが超最低系、あるいは超最強系の物語が出来上がりかねない。いえ、全ての物語がギルガメッシュ叙事詩の模倣であり、聖書も他の神話もそれから派生した作品の二次創作、三次創作みたなものですし、言ってしまえば人類はずっと主人公最強物語を好んで読んで語って、時には封神演義みたいに過去の神話伝承のキャラを利用したり貶めてまで自分の作品のキャラクターをヨイショして伝えてきたわけですからありっちゃありかもしれませんが、個人的にはそんな感じの何かの作品のキャラクターを踏み出しにするようなメアリースーの極致のような最強ものを描きたくない。とはいえ、組んだプロットのものを書こうとすると、最終的にお借りしたキャラクターがメアリースーの権化みたいな状態になるのが避けられない。

 

そこで試みとして、お借りしたキャラや世界設定が最終的に崩壊してメアリースー化するのはもうどうしようもないとして、せめてそれを段階的に行い、自分も納得できるくらいに少しずつ変えていけば、読者の方から一定の納得が得られるかもな、と思ったわけです。要するに、徐々に毒の刺激になれさせりゃそのうち猛毒にも慣れんだろ、みたいな考えを持ったわけです。そこで私は、物語を三段階にわけることにいたしました。

 

まず一段階目として、可能な限り、二つの原作に準拠した設定で書く。で、二段階目として、そこにさらなる異物をもう一つぶち込んで設定の壁をさらに薄くし、あるいは取っ払い、読者の許容範囲を徐々に広げていく。そして最後に、そしてグチャグチャになったものを纏め直して、いかにも説得力があるように纏め上げる、といった感じの構成にしようと考えたわけです。はじめにいい顔しておいて、次にちょっとだけ無理を言って、最終的には全く別の場所に結論を着陸させて物を買わせるってな具合です。まぁ、詐欺の手法みたいなもんですね。ともあれ賛否はあるでしょうが、そのようなやり方でやるため、今回のような物語構成としたわけです。

 

さて、そしてできた構成ですが、ざっくりとその内容をお話ししますと、エミヤシロウというキャラクターを神化させるお話しでした。一番イメージに合うのは、神道的に荒ぶる魂を祭り上げるイメージですかね。日本の神さまって言うものの多くは、自分は現世で叶えたい願いがあったけど叶えられなかった。だからこそ同じような悩みを抱えている他人がそれをするための手助けをしてやる、というった感じで助けてくれる神様です。だから、自分はこの世界で正義の味方になって全ての人を救うことができなかった、っていう不満を抱えているエミヤシロウなら、立派な荒御魂になるとそう考えたわけです。いやまぁ、荒御魂にしたくないので、鎮めちゃいましたが、理念としてはそんな感じです。(ちなみに蛇足気味に彼を蘇らせたのは、彼の二つ目の願いを叶えるためです)

 

ただし、エミヤシロウというキャラクターを現行のまま祭り上げると、父親の衛宮切嗣というキャラクターの劣化模倣の神様というか、単なる過保護な親みたいになっちゃうので、まずはそれを解消するために色々と失ったものを取り戻させて、気付かせて、最後に、自力で悟らせる、みたいな段階を踏もうと考えたわけです。また、この神化を行うために都合の良い設定として、悪魔と合体したり、なんなら人間がそのまま神になったりもできる女神転生が思い当たったので、それを三つ目のものとして物語にぶち込もう、ってなって、本物語ができたわけです。(もともといろんな意味で親和性は高かったので、この作業はとてもやりやすかったです。アライメントとか、召喚システムとか、概念的なアレコレとか)

 

まぁあとは、考えていた中庸エヌマエリシュルートの設定がもろにペルソナQ2と被ってしまい、焦って設定の組み替え直しが必要になったりだとか、アートミュージアムで火星の情報が出ていろんな設定を切り捨てる羽目になっただとかはありましたが、まぁ、概ね想定通りに終わらせることが出来たというわけです。

 

長々と記載いたしましたが、以上が

 

1.なぜこうまで急いで書き上げたのか

 

2.本物語はなぜこのような物語運びになったのか

 

の理由です。要は、こちらの未熟と見通しの甘さ、というわけで、ともあれこちらも不詳を簡単にご説明し終えたところで、今回はここまでにしたいと思います。何かあれば感想欄にお願いします。どうも私、他の人と感性や思考がズレている傾向にあるらしいので、質問の内容とズレた回答を返してしまう事があるかもしれませんが、その場合はどうぞ容赦なくご指摘ください。出来る限りの対応をしたいと思います。

 

今後は、一括修正、一括投稿という形になると思います。多分。ちょこちょこと手入れはする予定なので、半年か一年後くらいにふらりときていただければなと思います。

 

それではここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 

追記

オリジナルとして出したキャラクターの外見を詳細に記載した前日談をそのうち投稿します。個人的には色々想像できた方が楽しいかなと思ったのですが、考えてみると読者の方の創造力に頼り過ぎるのはこちらの傲慢と怠慢だなと思ったので、こちらでテンプレートを決めてしまいます。ご了承ください。

 

また、本作の桜や響等といったキャラの性格をイメージ作るために書いた作品を、オリジナルとしてハーメルンに投稿しています。あわせてお楽しみ頂ければなと思います。


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