なにも考えずに書いていたから長文になっていました。
文字数の調整が難しく思う今日この頃です。
人工神器を
「どうした、真の魔王とやら。でけぇのは口だけか?」
「舐めるな、堕天使が!」
今やどちらも魔王もしくはそれ以上の実力を有している。
太古から多くの戦いを生き抜いたアザゼルは歴戦の猛者であり、堕天使の頂点に立つ実力者だ。そんな男が最上級悪魔程度に負ける道理はない。加えて人工神器に宿っているのは五大龍王に数えられる"ファーブニル"だ。決して扱い
対するカテレアは魔王の血筋なだけに素質は高く、最上級悪魔の力はある。更に最強を冠する者より授かった"オーフィスの蛇"により無尽蔵の魔力を得ている事もあり、その恩恵を使いこなせば"ファーブニル"と共にあるアザゼルだろうと充分に打倒が可能だ。
だが戦いの天秤はアザゼルに傾きつつある。
カテレアは明らかに力を持ち余しているのだ。
"無限の龍神"とまで言われたオーフィスの力は一朝一夕で制御できない程に強力であり凶悪だった。
「く、なぜ圧されているのです! あのオーフィスから得た力なのに!」
「だからだよ。急に得た力にお前自身が振り回されてんのがわかんねぇのかよ」
アザゼルが無数の光の槍を顕現させてカテレアに投擲する。カテレアも魔力を槍上に変形させて撃ち出すが、魔力は光に食い破られて腹を貫かれる。
「ぐぅ! あなたは私が弱いと言うのですか!」
「ちげぇよ、逆だ」
悪魔にとって光は耐え難い痛みを伴う猛毒だ。本来なら苦痛で戦闘どころじゃない。しかし受けた痛みを怒りが上回ったカテレアは腹に刺さる槍を激情のままに引き抜く。
大した胆力だと呆れ半分でカテレアの評価を上へ修正するアザゼル。しかし……。
「"オーフィスの蛇"に引っ張られ過ぎだ。俺でも龍王の力を御するのに長い時間とそれなりの対価を支払ってる。龍神ともなりゃどれほどかかるやら」
「黙りなさい! 私は真なる魔王、龍神の力を得て最強になる者です!」
「力量と采配を見謝れば、龍神の力はお前を喰い殺すぞ」
「これで消えてなくなれ、堕天使アザゼル!」
「年長者の警告は聞いとくモンだぜ、たくよ」
カテレアが特大なオーラを纏いアザゼルへ手を向けた。
アザゼルは光の槍を手にカテレアへ突撃する。
放たれる魔力にアザゼルが槍を振るう。
二人が光力と魔力が激突するがアザゼルの光の槍はカテレアの魔力を斬り裂き、そのまま片腕を両断した。
苦痛の表情でカテレアが出血する腕を抑える。
「こんな……私は、レヴィアタン、魔王の後継者なはずです」
「お前は急ぎ過ぎた。仮に"蛇"とやらを完全に制御したら結果は変わっていたかもな。なんにしてもこれで
「戯れ言を! 私はオーフィスすら支配下に置ける器、堕天使
「そうか、ならじゃあな」
救い様の無い自尊心。
アザゼルは槍をカテレアに突き立てようと振りかざす。カテレアは負けじと魔力を収束させる。
──遅い。
アザゼルが終わらせるために槍を繰り出す。カテレアの魔力攻撃が繰り出される前にアザゼルの槍が心臓を貫いて終わり……の筈だった。
決着の瞬間、邪魔が入る。
それはギャスパーの時間停止。
アザゼルが使う人工神器には黄金龍君の異名を持つ"ファフニール"の魂が込められた逸品だ。その鎧は堅牢かつ強固であり、時間侵食すらも羽跳ね除けていた。しかし守られている筈のアザゼルに再び干渉してきたのだ。
「(時流侵食がファーブニルの守りを上回っただと!?)」
驚嘆すべき事象だ。
それは堕天使の総督アザゼルと五大龍王ファーブニルを越える力だと言うことになる。今の今で問題なく動けていたのに何が起きた……?
アザゼルの疑問、彼の計算を狂わした劇的な何かとはギャスパーの獸化である。それが成った事により時流干渉に凄まじい増幅が重なったのだ。
結果、時間という牙がアザゼルを捕らえる。
アザゼルの槍の一撃は停止へ収束する時間によって減速したのである。
時流侵食とも言えるギャスパーの間接的な攻撃はアザゼルとカテレアの立場を逆転させた。
アザゼルの先手が後手となりカテレアの攻撃が先に命中したのだ。
炸裂と爆炎、そして衝撃。
カテレアの攻撃を受けたファーブニルの鎧の一部が砕け散った。爆煙の尾を引いて墜落するアザゼルだったが翼を広げて体勢を立て直す。
受ける筈の無い一撃はアザゼルに大きなダメージを与えている。鎧がなければ戦闘不能も有り得ただろう。
「流石はオーフィスの力ってか」
本来ならカテレア程度の攻撃なぞなんなく防げた。それが出来ないほど"オーフィスの蛇"が強大なのだ。ギャスパーの訳が分からん程に強い時間停止もあり、一瞬でかなり追い詰められた。
「自慢の人工神器もその程度ですか!?」
これは試合やゲームじゃなく一種の戦争であり、カテレアは勝つために前段階で多くを準備した。
アザゼルも仕掛けるなら念入りに策を練るタイプだ。
「さぁどんどん行きますよ!」
カテレアが馬鹿みたいに魔力の砲弾を撃ってきた。
数で押しきろうという考えだろう。
「こりゃヴァーリまで
軽口を呟くとアザゼルの前方に颯爽と現れる影があった。魔王セラフォルー・レヴィアタンだ。彼女はカテレアの魔力を相殺しながら懇願する。
「カテレアちゃん、もうやめよう!」
「セラフォルーですか」
「お願い!」
セラフォルーを見たカテレアはその表情を怒りに染めた。
「やめる? それで大人しく投降して処刑されろと? 頭が可笑しいのね」
「そんなこと言ってない!」
「国家反逆をした私を許すの? 馬鹿げてます。素直に戦いなさいな!」
「……出来ないよ!」
「今まで沢山殺して何を言うのですか、偽善者め!」
カテレアの言葉にセラフォルーは黙ってしまう。
現魔王は戦争の功績で選ばれている。それは多くの同胞を救うと同時に数えきれない敵を殺害してきた実績があるという事だ。
平和を愛するセラフォルーだが、戦闘を忌避している訳じゃない。戦争という悲惨な戦いを知ってるからこそ、武力による敵根絶の必要性も重々承知だ。
だがそれでもセラフォルー・レヴィアタンという女性の性根は善良なのだ。
懸命にカテレアを説得するセラフォルーにアザゼルが声を掛ける。
「奴が友だからか?」
「……うん」
「アイツはお前の命を狙っているんだぞ?」
「分かってるよ」
アザゼルからしたらカテレアはただの危険人物だ。だがセラフォルーが殺害を躊躇う理由もわかる。友を大事に思う気持ちはアザゼルにもあるのだ。かつての大罪人であるコカビエルが脳裏に
「あははは! ならこれでも戦えないの?」
セラフォルーの願いとは裏腹にカテレアが転移陣を展開する。中から出てきたのは一人の女子学生だ。首を掴まれた女子学生は時間が止まっているせいでピクリとも動かないが身体中には傷があった。そんなボロボロの女子学生を見てセラフォルーが悲鳴を上げる。
「ソーナちゃん!」
「襲撃前に拾ったのよ? あぁ学園を守護していたのかしら? 眷属もそこら辺に転がっているでしょうね」
「放してあげて!」
「イヤです。あら、いい目だわ。とても悔しそうな目……それが見たかったのです!」
「カテレアちゃん!」
セラフォルーの魔力が鋭い氷を作り出す。
「いいですよ! やっと私と戦う気になったのですね、セラフォルー!!」
カテレアがソーナを空中で磔にしてゲラゲラと笑う。
「もっと、もっとよ。──オーフィス、無限の龍神よ! この身にその力を捧げなさい」
カテレアが言うや、切断された腕から黒いオーラが噴き出して形を成した。
それは無形の蛇、形なき蛇の口が動く。
『これ以上は形が変容する』
無機質な声にアザゼルとセラフォルーは身を凍らせた。重圧にすら生温い龍圧。本能が怯え理性が削られる。心臓が嫌に速く鼓動するのは目の前にある絶対強者たりえる存在感のせいだった。
"無限の龍神"が今まさに"蛇"を通して現れたのだ。
影とはいえ、まさかの本人登場に緊張が走る。
ただの声だけで力の差が見えてしまうほどに強烈なプレッシャーを放つ天涯の怪物。数々の神を超える存在。この学園にある戦力なぞ無限の前では
あの龍神を倒すとしたら、それこそ他の神話体系と手を組んでの総力戦しかないだろう。
つまりオーフィスと正面からぶつかるなど自殺行為に等しいのだ。
アザゼルは、そんなオーフィスとの直接戦闘を避けるため頭を働かせる。
「オーフィス、コイツらに力を与えてどうする?」
『アザゼル、久しい』
「なんだ、俺の事は覚えていたのかよ」
アザゼルが時間稼ぎの為に会話を広めようとするが、オーフィスの影は周囲を窺う。
『"
そこにあるのは警戒色。
神すら気に留めない無限の龍神が見せたのは敵意だった。そんな感情を向ける相手は同格である"夢幻の真龍"──グレートレッドぐらいだろう。しかしオーフィスは違う存在を見ている。
その事にアザゼルは驚きを隠せなかった。
『カテレア、アレは手に余る、直ぐに処理すべき』
「あ、アレとはあの悪魔の事ですか?」
ギャスパーを指すカテレアにオーフィスが頷く。
『そう。アレは"
責めるようなオーフィス。口調は淡々としているが暴れ出るオーラにカテレアは勿論、アザゼルとセラフォルーも戦慄する。どうやらカテレアは触れてはならないものに触れてしまったようだ。
「アレは協力者が持ち込んだものです!」
『そこにカテレアの意思はない?』
「そ、そうです!」
『分かった。なら許す』
あっさりとカテレアを許したオーフィス。
アザゼルは、あのオーフィスが警戒するアレとやらの正体に危機感を覚える。
「随分と優しいな。あんたにとって"
基本的に何者にも無頓着なオーフィスが僅かと言えど敵愾心を向けた。その反応を見る限り、"
『"
言葉だけで非常に不味い存在だとわかる。しかも世界最強の龍神からの
『アザゼル、我に
「龍神からのお誘いとは嬉しいね。けど一番欲しいものはあんたの下じゃ望めないんでね、お断りだ」
『……そう。ならばカテレア、あと任せる』
「力をくださるのですか?」
『約束は守る』
それだけ言うとオーフィスの気配が消失する。
そしてカテレアに変化が現れた。片腕が再生し、目から黒い液体を流し始めたのだ。明らかにマトモじゃない姿にアザゼルが眉を潜めて、セラフォルーが口を押さえる。カテレアの身体は力を得ると同時にオーフィスの"蛇"に喰われているのだ。
「あははははははは! すごいわ、力が溢れる、これがオーフィス ノ ヂカラ!!」
狂ったように笑いだすカテレア。身体を"蛇"に捧げて尚、戦意の揺るがないカテレアはまさに狂っている。血すら黒く染めて自らを喰らう蛇に歓喜していた。
もう少し"
「か、カテレアちゃん……!」
「セラフォルー、残念だが手遅れだ。奴は自分で望み、オーフィスの力に呑まれた。……あとは分かるな?」
セラフォルーの顔が悲痛に染まる。それを見たカテレアは笑いながら襲い掛かる。
「そうだ、戦エ、誰ガ真のレヴィアタンか決めマしょう!!」
「ダメだよ!」
「ち、どけ!」
アザゼルが戦おうとしないセラフォルーを突き飛ばす。
槍で応戦する。カテレアは知性が落ちているのか、動きが単調だ。力が上がっても戦い方がお粗末すぎる。
アザゼルは攻撃を掻い潜りカテレアを槍で袈裟斬りにする。しかし切断した部分が直ぐに再生した。
「再生力に目覚めたか」
悪魔が光を克服するなどあってたまるかと内心で文句を垂れるが龍神の力を得ているので何処か納得してしまう。
「痛くナイでスよ? 今度は私ノ番デスカ」
カテレアが全身を震わせて仰け反る。すると腹が裂け、蛇の頭が生まれた。
蛇が大口を開く。そこから放たれたのは闇を織り混ぜたレーザーだ。アザゼルは防御陣を使ってレーザーの軌道を曲げた。
防御陣に亀裂が入り、余波だけで全身が軋む。まともな戦闘は既に困難だ。ギャスパーの時間停止のせいでセメントの海にでもいるように全身が時間に侵食されつつある。
仕方がないとアザゼルは人工神器の力を槍に一転集中させた。鎧が解かれ、光の槍に装甲が装着された。
それを槍投げのように翳す。
「カテレア・レヴィアタン、小娘と侮ったがお前は強い。俺に切り札を使わせるんだからな」
アザゼルの槍に装着された装甲が展開して凄まじい力を放出する。アザゼルの光力とファーブニルのオーラが織り混ぜり、激烈とも言える光となって顕現したのだ。しかし人工神器に亀裂が走る。膨大な龍光力とも言える力に人工神器が耐えきれずに自壊を始めたのである。
──流石に耐えきれんか。
アザゼルが造り上げた最高傑作と言えど所詮は紛い物。出力重視で色々なモノを削ぎ落とした試作品だ。
改良の余地ありだな……と苦笑しつつカテレアヘ最高の一撃をくれてやろうと更に力を込めた。
砕けながらも高まり続ける槍にカテレアが身体を異形に変異させながら向かってくる。
ギリギリだな、間に合うか?
アザゼルは最高値まで槍の力を高めながらカテレアと対峙していた。
「ワタシ ハ シン ナル マオウ!」
「はっ、プライドもそこまで行ったら立派だよ」
加速してアザゼルに飛び掛かろうとしたカテレア。
計算よりも速い動きにアザゼルは覚悟を決める。
「(これは良くて相打ちだな)」
死中に活つを見出だそうとした時だ。
カテレアの四肢が急に氷付けになった。決して砕けぬ氷はカテレアを決して離さない。
こんな真似が出来るのは現状一人だけだ。
「セラフォルゥウウウウ!!」
「……っ!!」
動きを封じたセラフォルーが身を切られたような顔をしていた。色々なものを天秤に掛けて考え抜いたのだろう。セラフォルーは迷いながらも魔王の勤めを果たすために濃密な魔力を纏う鋭い氷をカテレアへ向ける。
アザゼルは魔王として友を止める決意をしたセラフォルーに敬意を表する。だからここから先は自分がやる。カテレアを友と思うセラフォルーには重荷を与えない。
「セラフォルー、手を出すな! コイツは俺の獲物だ!! "
アザゼルはカテレアに
膨大な光を撒き散らす槍をカテレアは防御陣で弾こうとするが問答無用で貫く。
「ガガガガガガガァアアアア!」
「……ま、強度に難はあるが威力は及第点だな」
アザゼルが残骸になりがら飛翔する槍を眺めながら満足げに呟く。
その圧倒的な光の槍に為す術なくカテレアの胸から下を容赦なく吹き飛ばされた。力無く失墜するカテレアをセラフォルーが慌てた様子で抱き留める。
アザゼルは敢えて何も言わずに二人を見守った。
「カテレアちゃん! カテレアちゃん!」
「……捧ゲラレル、全テヲ出シ尽クシテモ勝テナイ。流石ハ堕天使ノ総督デスね」
悔しそうに歯噛みするカテレアの上半身が崩れ始める。"蛇"はカテレアを構成する全てのモノを喰い付くしたのだ。最早、回復は望めないだろう。
乾いた土のようにボロボロと無に還るカテレアはセラフォルーへ視線を向ける。もう見るも無惨なクシャクシャな泣き顔だ。カテレアが不快そうに表情を歪めた。
「ナンで泣いてルンですか?」
「友達だからだよぉ」
「ナラ、ナンで私から魔王の座を奪ったのですカ?」
カテレアが
「バカか。セラフォルーは奪ったんじゃねぇよ。周りがそうさせたんだよ。現魔王は戦争の功績で選ばれたのはお前も知ってるだろうが」
アザゼルがタバコに火を着けながら「それによ……」と続ける。
「レヴィアタンの名を選んだのは、お前と同じ名前だったからだろうに」
「…………え?」
「私、私ね、カテレアちゃんの名前だから魔王も頑張れたんだよ? 魔王なんて忙しくて好きなことも制限されて楽しくなかった。けど戦犯呼ばわりされてる旧魔王派が……カテレアちゃんが誰からも悪く言われない世界を作りたかったの」
「私のため……?」
「だって親友が悪く言われるのは悲しいよぉ」
「しん……ゆう?」
カテレアの頬にセラフォルーの涙が落ちた。
困惑するカテレアに対して畳み掛けるように泣きながら言葉を捲し立てるセラフォルー。
「カテレアちゃんが、こんなに怒るんだったら魔王なんてやらなかったよぉ!」
わぁーんと子供のように泣くセラフォルー。
そんなセラフォルーをカテレアはしばらく呆然と眺めていたが、やがて小さく鼻で笑う。
「……バカみたいです」
「ばかじゃないもん!」
「いいえ、ばかよ。私を信じたあなたも、あなたを信じられなかった私も……」
肩から先が外れてて落ちた。
セラフォルーが一生懸命繋げようとするが腕は砂となって消えた。カテレアは無感情で崩れる身体を眺めていたが自らの最後を悟り、初めてセラフォルーに真っ直ぐで真摯な瞳を向けた。
「凄まじい拘束でした、あれが敗北の要因だった」
「今は傷を治さないと……!」
必死に助けようとしているセラフォルーにカテレアは呆れた。なんでこんな愚か者が自分より優れているのかが悔しかった。だが負の感情の押し付けはもうやめる。
どんなに嫌ってもこの精神年齢が残念な女は側に在ろうとするのだ。自分の死でレヴィアタンの血は終わる。後悔はないが残念ではある。
だから最後に残せるものを残しておこうと思う。
無様な友を強く見つめて、その表情に覇気を宿らせると死に向かう者とは思えない口調で叫ぶ。
「セラフォルー・レヴィアタン!」
「は、はい!」
「泣くな。凜としなさい。そして立派な魔王になってください。──私の名を貶めたら絶交ですよ?」
一拍置いてセラフォルーが涙をぐしぐしと袖で吹いた。真っ赤な目は今にも涙が溢れそうだが風格と品位はある。懸命な作り顔で今にも悲しみで決壊しそうなセラフォルーに対してカテレアは初めて心から微笑んだ。
「まだまだ不細工です。精々頑張ってくださいな、魔王セラフォルー・レヴィアタン」
最後にそう言ってカテレアは塵となって消えた。
濡れていた目元にまた涙を浮かべるセラフォルー。アザゼルは黙って背を向けると空中に囚われていたソーナを解放して抱き上げる。
最後の最後までカテレアはソーナを盾にしなかった。卑怯だが卑劣ではなかった。カテレアは敵だったが悪魔としての誇りに殉じたのだろう。
「どうしてこうも好き勝手して逝っちまう輩が多いのかね、まったくよ」
それは誰でも無く自分自身に対するボヤキだったのだろうが、セラフォルーは泣きながら返事を返す。
「ほんと、勝手だよぉ」
慰めの言葉を探すアザゼルだったが、どうやら口に出す暇はないようだと思う。
「残った奴等に期待だな、こりゃあ」
ついに自分も時間の監獄へと落とされると直感的に分かったからだ。
その予想は正しく。次の瞬間、氷結した時間の牢獄が二人を捕らえるのだった……。
○●
時間停止という概念が侵食する世界で2体の龍が喰らい合っていた。二天龍と呼ばれる赤と白は一歩も引かずその場で殴り合いを続ける。
「(なんかすげぇな……)」
一誠は拳を繰り出しながら思考の
しかし今現在、一誠はヴァーリと同格いや若干だが上回った戦いを見せていた。
「(ナギの使ってた霊氣だったか? あれが際限無く溢れ出てくる)」
そのお陰で体が羽のように軽く、力が
やはりイオフィエルは正しかった。"
「……ちっ」
足を止めて近距離で殴り合う最中にヴァーリが小さく舌打ちをするのを一誠は耳にした。初めて見せた焦りだが優越感に浸る余裕はない。相手は格上、仕留めるまで拳を繰り出す。
「おぁあああ!!」
『Boost!』
「はぁあああ!!」
『Divide!』
終わらぬ螺旋のように繰り返される倍加と半減。激しい拳の応酬のなか、一誠はヴァーリの拳を受けながら突き上げるようなボディーブロウをお見舞いしてやる。
「うらぁ!」
拳を振り抜いてヴァーリを上空に打ち跳ばす。その威力は凄まじく、時間結界の届かない遥か彼方までヴァーリを追いやる。あんな一撃をまともに受ければ最上級悪魔でもただでは済まないだろう。
しかしまだ終わりではないと一誠は確信している。
手応えが小さかった。アルビオンの半減とヴァーリの受け流しにより威力が減衰したのだ。ならばどうするかなど決まっていた。
「飛ぶぞ、ドライグ!!」
鎧の背中から噴射口が展開させる。
今までも普通に使っていた噴射口だが一誠は細かな操作は出来ない。だからドライグに飛行のフォローを頼む。
『舌を噛むなよ!』
ドライグが言うや背中から放射される熱と炎。そのまま眩い光の塊になって飛翔する。
駒王学園が直ぐ様、米粒程度の大きさになった。
少し迷いつつも停止する。ヴァーリとの距離は10メートルといったところだろう。
「諦めたのか?」
『違うな。奴の空気が変わった。油断するな、相棒』
「わかった」
最弱が最強に挑んでいるのだ。負けるのが当たり前の状況をひっくり返そうとしている一誠に慢心などしている余裕は無い。
「格下という言葉は撤回だな」
それは苦言だったのだろう。
ヴァーリは一誠にやられた自身の白い鎧を眺めながら呟く。静かに一つ一つの損傷を確認するや視線をあげて一誠を見る。
「僅かだが確実に圧されている。アルビオン、どうやら俺は思いの外、弱かったようだ」
『なにを言っている! あらゆる部分で我らが勝っているはずだ。……答えろ、赤いの。お前の宿主はこのヴァーリに迫る何かを持っているのか?』
『何を焦っている、白いの。今回は互いに良い相棒に出会えた、それでは駄目なのか?』
自慢げなドライグ。誉めてくれるのは嬉しいが、あまり相手を挑発しないでほしいものだ。
『あり得ん。ヴァーリは魔王と人間のハーフという奇跡のような存在。いずれは間違いなく歴代最強になろう白龍皇だ!』
『ならば俺の相棒も奇跡の存在なのだろう。いずれ歴代最高の赤龍帝になるかもしれんな』
一誠の強さが分からないと言うアルビオンをからかうドライグ。
『バカな。こんな巡り合わせがあり得るのか……?』
一誠はアルビオンの疑問も尤もだと思いながらヴァーリと同じように鎧を見た。復元したはずの鎧は致命的なダメージには遠いが所々が割れている。さっきまで新品だったのが嘘のようだ。
互いの鎧は損傷が激しい。そう、
ならば何故ヴァーリを僅かとはいえ上回っているのか?
答えは単純な神器の出力だ。
ドライグとアルビオンの確かに互角である。
それは全盛期の事をいい、神器に封印されてからは力を制限されている。
だが今の"
要するに一誠は圧倒的な力押しで技術や経験を勢いで
「本気で駄目なら死力を尽くすしかないな」
ヴァーリが
思わぬ強敵の出現に魔力が狂喜乱舞している。傷だらけなのに、とても嬉しそうだ。まだまだ戦うつもりなのだろう。戦闘狂を前にして一誠は身構える。
しかし死力とはどういう意味なのだろうか?
「アルビオン、これは使いどころじゃないか?」
『駄目だ』
「何を
『時期早々だと言っているのだ! いかにお前でもどうなるか分からんのだぞ!?』
「死ぬ気はない、だからやらせてもらう。──信じてほしい」
『…………わかった』
「では行くぞ。──我、目覚めるは覇の理に全てを奪われし、二天龍なり」
急にヴァーリとアルビオンが言い争って何かを決めたようだ。さっきから感じていた嫌な予感が更に強くなる。
「アイツら何をする気だ?」
『正気か!? 相棒、白いのの宿主は"
「ジャガーノート? なんだかヤバそうだな!」
一誠はドライグの警告に従い、攻撃を加えるため接近する。それでもヴァーリは動かず言葉を紡ぐ。
「──無限を妬み、夢幻を想う。我、白き龍の覇道を極め……」
意識を集中しているのか、ヴァーリが動く気配がない。
詠唱らしきものが進むたびに底知れない恐怖を感じる。だからだろか、無防備なままのヴァーリを殴り付ける事にも迷いは生まれなかったのは……。
「これで終わりだぁ!」
直撃すると確信したトドメの一撃を繰り出す中でフルフェイス装甲に隠されたヴァーリが笑った気がした……。
「──汝を無垢の極限へと誘おう!!」
『
白いオーラによって一誠の攻撃は弾かれて身体ごと後方へ跳ばされた。
ヴァーリの纏う鎧が変化する。より鋭利に、より威圧的に、より禍々しく。龍のオーラの増幅に呼応する鎧は膨張し、人よりも龍に近いフォルムへ変化していく。
「な、なんだありゃ……」
愕然とする他ない。
長くなった腕に、巨大化した光の翼、顔は牙を持つ獣のような形に変質。もはや人とは言えない龍がいた。
『あれが"
「ウソだろ……。
『上というよりも暴走だな。自らを神器に喰らわせることで限界を超えた力を発揮する自爆技だ』
「なっ……! そんな事が出来るのか?」
「ああ、だが命を代償にする大技だ。相棒、気を引き閉めろ」
「命ぃ!? アイツ、バカなの──」
『オォオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!!!!!』
"覇龍"が吼える。
それは大気の震撼などと言うには生温い。物理的な衝撃を伴う咆哮に一誠は腕を交差して防御する。
「(なんだ、これっ!?)」
"
白い"覇龍"と目が合う。
戦慄が走った。本能的が理性に逃げろと叫ぶ。アレは全てを破壊する。あれこそが天龍であり、赤白の二天龍が辿る成れの果て……。
"覇龍"が翼を大きく広げる。
「来る!」
『相棒、集中しろ。今のお前なら鎧を通して俺の……ドラゴンの超感覚を扱える。全力で相対しろ、ここが正念場だ!』
ドライグが言うや"覇龍"に一瞬で距離を詰められた。
本来なら反応すら出来ない筈であろうスピード。しかし楔から解放されたドライグと今までに無いほどシンクロしている一誠は対応して見せた。"覇龍"の爪を腕を盾にして受け流すや顔面に反撃まで繰り出したのだ。
"覇龍"の顔に傷が入る、予想よりも脆い。重圧なイメージがあっただけに拍子抜けする一誠。
『アスカロンの力を鎧に浸透させた。少し時間が掛かったが、これなら白いのの"覇龍"にもダメージを与えられる』
「"
『あぁ運が良かった。いかに"覇龍"とはいえ最上位の"
逆に言えばアスカロンがあるからこうして戦えているとドライグは付け足す。
一誠は怯んだ"覇龍"のボディに拳は叩き込む。装甲を貫くが巨大化した白龍皇の鎧は厚みが増しておりヴァーリまでは届いていない。しかし……。
──大丈夫、戦える!
ドライグの超感覚で攻撃を避ける事もアスカロンのお陰でダメージも与える事が出来ている。力の差は思ったよりも大きくはない。
アスカロンを用意してくれたミカエルと譲ってくれたアリステアにお礼をしなきゃな、と心から思う。
『油断はするな。力の総量はあっちが上だ。攻撃をまともに受ければ今の鎧でも致命傷になりかねん。だが勝ち目がない訳じゃない。全く、"覇龍"を前に大した相棒だ!』
「ありがとよ。おっしゃあ!! やってやんぜ!!」
勝機がある。その可能性は一誠の士気を高めるには十分だった。軽口を叩きながらも攻撃を捌き続ける一誠。感覚は鋭くなっている。相変わらず"覇龍"の攻撃は見えていないが攻撃する場所が漠然とわかるのだ。不思議だった。頭ではなく体が勝手に反応しているようにも感じる。
『その感覚に逆らうな。目で追えない相棒は龍の超感覚に身を委ねろ』
神器の超活性化の恩恵は凄まじい。
ドライグとより深くシンクロしている影響で赤龍帝が得ただろう数々が経験が憑依して一誠を歴戦の猛者と渡り合える能力を貸し与えていた。
これならいける!
そう思いつつあった時だ。"覇龍"の瞳が怪しく光る。
ゾクリ、と寒くなるのを感じた一誠はその場から大きく飛び
『
瞬間、一誠がいた場所が捻れて圧縮した。
信じられないことに"覇龍"は空間を半減してあらゆる物を半分にしたのだ。
「そんなのありかよ!」
ドライグと感覚を共有してなかったら確実に当たっていただろう。"覇龍"は逃げる一誠を追うように空間を半減させてくる。当たれば潰れたトマトようになるだろう。
「遠距離ならコイツをくらえ! ──ドラゴンショット!」
手から放たれたのは"覇龍"を丸ごと呑み込むような赤い気弾だ。撃った一誠も驚くほどデカイ。真っ赤な光に"覇龍"は突進して行く。
「避けないのか!?」
"覇龍"が片腕を前にして気弾に触れる。
『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!!』
気弾が消失するや"覇龍"の光翼が輝きを増す。すると顔の傷が治り、更に強力な体へと変異を始めた。
「はっ!? なんでアイツ進化っぽいことしてんだ!?」
『ヤツは半減した力を自らに取り込める。相棒の撃った気弾が食われたな』
「じゃあドラゴンショットはダメじゃねぇか!!」
『遠距離から仕留めるならヤツが取り込めるエネルギーを上回る力が必要になる』
「んなのねぇぞ?」
『ならば直接叩き込むしかない』
「結局、殴り合いしかないってか」
『やるしかないだろうな。大丈夫だ、俺がお前を死なせん。──行くぞ』
「おう!
ドライグから伝わる超感覚を受け入れる。
"覇龍"の空間半減を大きく旋回しながら回避し距離を詰める。こうして接近すると"覇龍"がいかに強大か分かる。肌を刺すような悪寒。奥歯がガチガチと震える。
"覇龍"の爪が迫る。恐ろしい速さだ。
たがしっかりと見る。目を逸らせば死ぬ、退いても死ぬ。どうしてこんな馬鹿げた命のやり取りをしているのか……。ハーレムを目指すためとは言えリスクが大き過ぎじゃないのかと思う。
爪をギリギリで避け、拳で"覇龍"の体を砕く。
確かな手応えを感じた。しかしもう片方の爪が一誠を切り裂く。衝撃と断裂。激しく
本当に痛い。死ぬんじゃないかってくらいに胸が焼けるほどに熱かった。
「くそ痛ぇ、ドライグ……!」
『胸部装甲を持って行かれた。止血と修復をするから耐えろ!!』
「こなくそ!」
"覇龍"が目の前にいた。どうやら待ってはくれないようだ。痛みのなか一誠は生きるために抗う。しかし一撃が重くダメージは蓄積されていく。勝てると思ったらこれである。"
『受け入れろ、相棒。ドラゴンとは、そういう理不尽を撒き散らす存在だ』
「同じ
思考を切り替える。
愚痴を言っても仕方がないと文句を呑み込み一誠は懸命に勝機を探り始めた。
まず渚のサポートでヴァーリの半減は越えられたがデタラメに強化された"覇龍"には届かない。力の総量で劣っている現状、倍加だけで半減を上回る事をないだろう。しかし悪いことばかりじゃない。"覇龍"になってから相手は動きが単純になった。ヴァーリにはあった戦闘技術がまるで活かされていないのだ。フェイントなども無いため冷静に見極めれば回避は出来る。尤も腕力が凄まじいので防御していてもダメージは蓄積される。つまりこのまま続けば負けが明確だ。
"倍加"、"禁手"、"龍殺し"、"蒼"。
これだけ揃ってもまだ足りない。"覇龍"を倒すにはあと1つ何かが必要だ。
『──なら、あるびおん、つかう』
ドライグではない誰かの声を聞いた。すると鎧から膨大なオーラが発生して腕を形作ると"覇龍"を殴り飛ばす。
「なっ!」
オーラの塊がゆっくりと消えると"覇龍"の体にあった宝玉の1つが一誠の前に落ちる。思わず受け取ってしまう。
──幻聴か? しかも今のオーラはなんだ!?
『またヤツか……』
「今の声、知り合いか?」
『さぁな。ただ俺たちに協力してくれるらしいぞ。恐らく蒼井 渚の関係者だ』
「ナギの……」
一誠が手の中にある宝玉を見た。
これを渡してきたと言うことはそういうことなのだろう。神器は可能性の塊だ。アスカロンを取り込めたのならコレも出来る。
『それを取り込むのは本来なら反対だ。俺と白いのの力が反発して相棒が死ぬ』
「あの可愛らしい声の人は大丈夫そうだから渡したと思う。多分、あの人は味方だ』
『……勝手に死ぬなよ?』
強く反対しないのはドライグも一誠と同じ考えだからだ。ならば懸けるとしよう、この白龍皇の欠片に……。
「まだ何も成してねぇから死なねぇよ。……やれるんだろ?」
謎の声が頷いた気がした。得たいの知れない存在だが渚の知り合いなら信じても良いだろう。
一誠は右手の甲に"覇龍"から奪った宝玉を捻り込んだ。
ミシミシと"覇龍"の宝玉が"赤龍帝の鎧"を
白龍皇の力が赤龍帝に反抗するように鎧を作り替える。腕が千切れてしまうのではないかというほどの激痛だった。
『「うおぉおおおおお!!」』
ドライグも同じ痛みに耐えている。
一人じゃ心が折れていたかもしれない。だが相棒が一緒なら耐えられる。
──だいじょうぶ。うまく、いく。
背中を押された気がした。
耐え難い痛みが熱さに変わり、反発していた白龍皇の力が収まると"赤龍帝の鎧"に浸透していく。
『
鎧の右腕部分が赤から白へ染まる。"
取り敢えず、なんとか出来たようだ。少し不恰好だが贅沢は言えない。肩で息をしながら"覇龍"に右手を
「ヴァーリ、お前の力貰ったぜ!」
『Divide!』
取り込んだ白龍皇の力によって"覇龍"が弱体化する。
上手く機能しているようで安心した。あれだけ痛みに耐えて何も得られませんでしたじゃ目も当てられない。
『成功だな。まさか白いのを取り込めるとはな。どうやら俺の相棒は相当に馬鹿みたいだ』
「褒めんなよ」
これで最後のピースが揃った。
もはやあの化物が相手でも負けはしない。
一誠は倍加と半減を駆使して"覇龍"の討伐へ動き出す。
前人未到の
「ドライグ、次だ。次で終わらせる!」
『分かった』
右手に"倍加"を左手に"半減"を構えて覇龍に飛び込む。
「行けぇぇええ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』
まずはアスカロンの力を右手に集中させて打ち込む。
手応えあり、"覇龍"の身体が大きく傾く。
鎧ごと一誠をバラバラに出来るオーラを宿した爪が跳んでくる。
「コイツで!」
『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!』
"
本来ならあり得ない永遠倍加と恒久半減の共存。
究極のバフとデバフを使いこなす今の一誠は神々すら恐れる世界のバランスブレイカーだ。
その力を前にすれば例え"覇龍"と言えど敵わない。
一誠はひたすらに乱打を繰り出して"覇龍"を一方的に追い詰める。優勢だからと攻撃の手は緩めない。相手が完全に動けなくなるまで叩きのめす。
やがて"覇龍"が大きく怯んで隙を晒した。
"倍加"を重ねた"
「……見事だ、兵藤 一誠」
「てめぇ、ヴァーリッ!?」
「悪いが痛み分けにさせてもらう」
ヴァーリの声が響き、"覇龍"が大爆発を起こす。思わぬ反撃に一誠は回避も防御も間に合わず、熱と光に呑まれてしまう。
『"覇龍"の持つエネルギーを解き放ったのか!』
ドライグが叫んでいるが、あまりの衝撃に返事をしている余裕はない。激しく回転する身体を立て直そうとするが強烈なGと遠心力により上手く行かない。
さらにだめ押しと言わんばかりにヴァーリが強大な魔力の塊で一誠に追撃を喰らわして落下速度に拍車をかける。三半規管が悲鳴をあげて身体も潰れそうだ。
「のぉおおおお!! 野郎ぉ、やりやがったなぁああああ!!」
こんなの有りかよ!!
なんて悪態を吐きながら一誠は大気の空を転げるように墜ちていった。
データファイル
『赤龍帝 一誠(神器超活性化)』
『蒼』のバックアップを受けて一時的にパワーアップした一誠。
神器は勿論、身体能力や魔力、あらゆる面で強化されているが本人に自覚はない。
その力は凄まじく、白龍皇から奪った半減能力も溢れ出る霊氣を消費して事実上デメリットなしで乱発出来る。つまり倍加と半減という本来なら合わさる事のない力を無尽蔵に使えるという意味であり凶悪なバフ&デバフで敵対者を容赦なく追い落とす。この状態の一誠は神々とすら戦えるためバランスブレイカーの名に相応しい。