オバロ転生憑依もの   作:しうか

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バルブロ:主人公。第一王子。ザナックにポンコツなのがバレた
ラナー:ヒロイン。第三王女。ザナックにヤンデレを晒した
アインドラ夫人:二人の教育係に抜擢された。教育できるかは不明
ラキュース:初登場。14歳。未発症

遅くなってすいません。悩みに悩みぬいてキレはイマイチだし微妙感がぬぐえませんがこのまま投稿します><;


19 ラキュースさん

 

 ザナックくんとの遭遇は予定外だったが遊んでいるうちにいなくなっていた。そして今日はラキュースさんと遭遇する予定である。原作キャラの中でも上位に入る美人。期待しないはずがない。ただ、ラキュースさんが冒険者にならないと王国の未来が危ないので、間違っても口説いたり婚約者などになってはいけないのが辛い所だ。会えるだけでも役得だと思おう。

 

 ラナー様の部屋に行くと、ラナー様、アインドラ夫人、ラキュースさんと思われる少女の三人でお茶を飲んでいた。

 

「ふむ、遅れてしまったかな?」

「おはようございます、お兄様。いつも通りですよ?」

「おはようございます、バルブロ殿下。本日もごきげん麗しく―――」

 

 アインドラ夫人が立ち上がり貴族らしい長い挨拶を始めると、ラナー様とラキュースさん(仮)も立ち上がった。その間にチラチラとラキュースさん(仮)の観察を行う。豊かなクセのある長い金髪と気の強そうな緑の瞳、顔も整っており、ラナー様とは違う美しさを持っている。しかもラナー様より年上なのか、すでに胸が膨らみ始めている。

 

 ラキュースさん(仮)の胸元に目が行った瞬間、視界の隅でふわりと揺れた。そちらに視線を移すとラナー様が少しむくれた様子でフリルたっぷりのスカートを手でキュッと握っていた。

 

 そしてそれをじわじわ上げては揺らし、ラナー様がチラッと他の二人に視線を送ってそれに釣られて俺も視線を送ると、再びラナー様はスカートを揺らした。ラナー様のいいように視線が釣られてしまうのはきっと他の二人が静止状態にあるからに違いない。

 

 そう、人間は動く目標につい目が行ってしまう生物なのだ。決して、そう決してフリルたっぷりのスカートやラナー様の白いヒザが原因ではないのだ。

 

 はっ!? そういえば女性は視線に敏感だという話を聞いた事がある。ラナー様が初めて帝国風ドレスに身を包んだ時に実感したハズだ。つまり、ラキュースさん(仮)の胸元に俺の視線が行った事に気付いたラナー様が、初めて会う女性に嫌われないよう視線誘導してくれたのか……。

 

 さすがラナー様である。少しむくれていたのは今までの視線誘導に対する訓練が無駄になったと思ったからに違いない。今ではむくれていたラナー様のほっぺがつり上がり、目をドロリと溶かしてステキな笑顔を浮かべていらっしゃる。うむ、ラナー様のスカートに集中しよう。

 

「――バルブロ殿下。本日は娘を紹介する栄誉をお与えくださり感謝いたします。こちらは娘のラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ。殿下と同じ14歳で少々やんちゃではございますが、今後ともよろしくお願いします」

「お初にお目にかかります、バルブロ殿下。ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラと申します。よろしければラキュースとお呼びくださいませ」

「……う、うむ。バルブロ・アンドレアン・イエルド・ライル・ヴァイセルフだ。バルブロと呼んで構わない。よろしく頼む」

 

 ラナー様に集中するあまり少し反応が遅れてしまった。しかし初対面の女性の胸をちらちら見る羽目にならなかったのだから良しとしよう。そしてやはり彼女はラキュースさんだったようだ。蒼の薔薇の中二病患者という印象が強いのだが、普通に貴族らしい貴族だった。ただ、隠しているのか未発病なのか微妙なラインだ。

 

 自己紹介が終わる頃にはほんわかした笑顔に戻したラナー様が「それではお茶の続きをしましょう」と言って俺の腕を取って席に案内してくれた。ラナー様がいつもお茶を入れてくれるのだが、昨日からアインドラ夫人がちょくちょく手ほどきしている。

 

 ラナー様のおかげでほんわかしたお茶会ムードに移行したので俺もいつも通りランス片手にラナー様の新作ドレスを愛でる作業へと移行した。ただ、今日のドレスは王国風ドレスなのでガードが固めだ。

 

 逆に言えば帝国風ドレスでさらけ出されていた部分が隠れいていた部分の破壊力が上がっており、胸元の数ミリの隙間にすら―――

 

「ところでバルブロ様は冒険者をなさっていた事があるとお聞きしたのですが、冒険者の生活はいかがでしたか?」

 

 ラナー様に集中していたら横からラキュースさんに話しかけられた。エロい想像に移る直前だったので心臓が跳ね上がった。いや、何も考えてない。そう、ラキュースさんは社交力を上げるために話しかけてくれたのだ。妹の胸元をジロジロ見ているのがバレたわけではないハズだ! バレてないよね……? と、とりあえずどんな突拍子もない質問だろうと平然と答えねばなるまいて……。

 

「ふむ。冒険者か……。懐かしい響きだな……」

 

 えーっと、冒険者の生活か。お小遣い稼ぎのために登録して、しばらくカッツェ平野で遊んでた記憶しかないな……。

 

 あれ? 冒険者って何する職業だったっけ……? 少なくとも騎士団(おともだち)と一緒にお馬さんに乗ってランスチャージごっこする職業ではなかったハズだ。確かに冒険者プレート(あそびどうぐ)を取るためにがんばった。そしてカッツェ平野で遊べるように俺以外のみんなが色々とがんばった。

 

 うむ。よくよく考えたら俺自身は冒険者ごっこを全然してなかった気がする……。今さらだが、やらかしたのではなかろうか。こう、ランクアップの喜びとか、依頼を受けてなんやかんやとか、レアモンスターの討伐とまではいかなくとも冒険者らしい事をしておけばよかった……。

 

「やはり貴族には難しいものなのでしょうか……」

 

 遠い目をして「そういえば冒険者って何だろう」とか考えていたのが悪かったのか、ラキュースさんがしょんぼりしてしまった。ああ、ラキュースさんは冒険者になりたいお年頃だったのか。それでそんな質問をしたのだろう。ここは冒険者株を上げてラキュースさんを冒険者の道へ進めねば王国の未来が危ない!

 

「いや、そのような事はないぞ? 妹と会えない事を除けばあまり普段の生活と変わらなかったような気がしてな……」

「え?」

「え?」

「ふふっ」

 

 あれ? なぜかアインドラ親子が驚いている。どこに驚く所があったのだろうか。まぁ、ラナー様には以前冒険者ごっこをしていた時のことを話しているので特に問題はない。決して「あれはただのお遊びでしょう?」とかそういう笑いではないはずだ。

 

 しかしやらかしてしまった気がする。微妙にラキュースさんの冒険者評価を下げてしまったのではなかろうか。いや、普段のお遊びも楽しいから下げている訳ではないのだが、日常生活と一緒というのはあまりにも夢がなさ過ぎるだろう。うーん、何かこう「冒険者って夢のあるすばらしい職業だったんですね!」みたいなことを話さねば……。しかし困った。何も思いつかない……。

 

「いや、危険なモンスターに遭遇したわけではないし、所詮短期間の事だったので残念ながら大した事はしていないのだ。ただ、楽しい夢のある仕事であったな」

「まあ! やはりそうなのですね。実はわたしも冒険者に憧れておりまして―――」

「ラキュース! 申し訳ありません、殿下。その、ラキュースは夢見がちな所がありまして、そういったお話は控えていただけますと助かります」

 

 苦し紛れに言い訳しつつ冒険者評価を高めてみたらラキュースさんが目をキラキラさせて食いついた。具体的にどこに夢があるのかとか聞かれたら困るがきっと夢のある職業に違いない。ふむ、むしろ「それは自分で探すから素敵な夢なんだよ(キリッ」とか言えばごまかし切れる気がしてきた。

 

 しかしアインドラ夫人はラキュースさんが冒険者になる事には反対のご様子。まぁ普通に考えれば当然かもしれない。冒険者になりたいラキュースさんはぷくっと頬を膨らませてアインドラ夫人を見た。まだ子供っぽい所があるんだなと思ったがよく考えたらアインドラ夫人以外ここにいるのは全員子供と言っていい年齢だった。

 

 そして、この話の流れでラナー様の目がキラリと光ったように見えた。ラナー様にとってラキュースさんは役に立つ手駒、もとい、頼りになるお友達だと察知されたのだろう。そして今はソレを作る絶好の機会。ラナー様も逃す気はないようだ。

 

「あら、ラキュース、冒険者になりたいのですか?」

「ええ、そうなのよ、ラナー。この前もアズス叔父様に話を聞く機会があってね―――」

「ラキュース、今そういった話をするのはおやめなさい」

「はい。ラナー、後でね?」

「ええ、ラキュース。後でぜひ聞かせてくださいね」

 

 うむ。このあとラナー様が親交を深めつつラキュースさんを冒険者の道へ導いてくれることだろう。そもそも俺がどうこうしようと思わなくてもラナー様が王国を導いてくれるのだ。下手に手を出さない方が良いに決まっている。

 

「ところでお兄様。お兄様のデビュタントについてお父様からお聞きになっていますか?」

「デビュタントか……。そういえば確かレエブン候が何か催しを用意してくれるとは聞いているが詳しい事は聞いてないな……。ラナーは何か聞いているのかい?」

「ええ、聞いております。御前試合を行うようです。何でも平民から強者を探し、新たに兵団を作るのが目的とか……」

「ああ、なるほど……」

 

 御前試合……。つまりあのガゼフ・ストロノーフとブレイン・アングラウスの戦いを観れるのか! しかもブレインさん獲得の大チャンス! しかし、ここでブレインさんを逃がすと再ゲットのチャンスが大幅に減ってしまう。そうなると御前試合まで遊んでばかりではいられない。ブレインさんを釣り上げるためのエサを用意しておかねばなるまいて……。

 

 

 

 と、言うわけでやってきました、みんなの遊び場所。今日はみんな張り切ってキレイに整列してすでに騎士は団旗を掲げている。

 

「うむ、皆揃っているようだな」

「はっ! 本日は殿下のデビュタントのため、総員で儀仗訓練を―――」

 

 みんな妙にかしこまってると思ったらそういうことか。しかし、騎士アントン。お仕事(そういうの)は俺のいない時にやるべきだと思うぞ? 午後は基本的にお遊びの時間なのだ。それに今日は緊急の用事が入っている。

 

「よし! 今日は王都内の見回りを行う! 総員騎乗!」

「――行う予定なので――」

「うおおおおおお! 殿下が出るぞぉぉぉおおお! 団旗を掲げろぉぉおおお!」

「総員騎乗! 総員騎乗!」

「目標! 武器屋! お買い物だ! 総員突撃に備えい! 騎士トロワの隊は露払いを頼む!」

「はっ! 騎士トロワ、先行します! 従者隊は続けぇ!」

「殿下あぁ! せめて行進訓練に収めてください!」

 

 騎士アントン。テクテクと行進などしていたら王都全域の武器屋を回れないではないか。いや、グリフォンなら飛んで回れる気がしてきた。あれ? いつものクセで引き連れていく流れになったけど武器屋に詳しそうな人を何人か連れて行くだけでよかったのではなかろうか。

 

 しかし、ここまで来たら止まれない。すでに騎士トロワと従者たちが走り始めている。せめて騎士アントンにはお仕事をがんばってもらおう。

 

「騎士アントン! お仕事は任せた! 総員突撃! 〈突撃(チャージ)〉! 〈突撃(チャージ)〉〈突撃(チャージ)〉!」

「殿下ぁぁぁああああ! 総員連れて行かれたら訓練があああああ!」

「うおおおおお! 〈団旗を掲げろ〉ぉぉぉおおお! 総員突撃ぃぃいいいい!」

「「「突撃、了解」」」

 

 この後大店を中心に回ったのだがあまりパッとした刀が見つからなかった。騎士トロワに相談したら気を利かせた騎士トロワが隠れた名店を見つけてくれた。ただ、騎士団全員で突っ込んだら店員が全員逃げ出してしまったようで誰もいなかった。

 

 なぜか一緒についてきた騎士アントンが店内を漁り、帳簿や名簿を見つけたとの事でちょっとした騒ぎになったがよさそうな刀が大小二セットあったのでそれをいただいて行く事にした。当然王国のツケ払いだ。ただ、書類の書き方がわからなかったのでその辺りも騎士アントンに任せた。

 

 

 

 

 side ラナー

 

 なぜアインドラ夫人が教育係に選ばれたのか、なぜラキュースが一緒に来ることになったのか、その理由を気にしていないのは恐らくお兄様くらいでしょう。お父様はその事を理由と共に説明しようとしたのでしょうが、いつものように言いそびれてしまったようです。

 

 お父様やいくつかの貴族はラキュースをお兄様に宛がう事でわたくしと引き離し、宮廷で力を持ちたい貴族はアインドラ家を自陣に引き込み、宮廷での権力闘争での力関係を決定付ける―――そんな所でしょうか。

 

 お兄様はわたくしを愛してくださっている。当然わたくしも愛しているのですが、それを気に病む人間はとても多く、お兄様からわたくしを引き離そうと常に策が巡らされております。

 

 今回のお話もそのうちのひとつにすぎませんが、その全てを防ぎ続ける事は大変難しいのです。ただ、メイドが漏らした話から今回の相手はこの問題を解決してくれる相手かもしれないと思い、会ってみる事にいたしました。選ばれてしまったアインドラ家はきっと大変な事になっているのでしょうね。

 

 アインドラ親子が早めに来てくださり、お兄様より先にラキュースとお話ができたのは大成果でした。初めて会ったラキュースはどこから探してきたのか、とてもお兄様の好みを突いた女性でした。

 

 お兄様がお好きな金色の髪、お兄様のお好みからは少し外れますが、勝気で素敵な緑色の宝石のような瞳、そして真っ白な肌に整った顔。それに何より、わたくしと違い、血縁関係はとても遠いのでしょうし、歳もお兄様と同じで胸が相応に膨らみ始めております。見た目だけでしたらライバルになりそうです。

 

 それにラキュースはすでに知らされていたのか察している様子でした。そのためかラキュースはわたくしから見たお兄様の気性などの話を聞きたがりました。しかしお兄様のご活躍に話が移ると目の光や声の質が興味を隠せないものへと変わりました。それはかの十三英雄や冒険者のお話に憧れる少女のもののようでした。

 

 残念ながらわたくしがお兄様から聞かされているお話はとても英雄譚などと呼べるものではないので「詳しくはご本人にお聞きください」と言葉を濁しつつお兄様の噂の成否にお答えするくらいしかできませんでした。

 

 ただ、ラキュースにとってのお兄様は英雄という目標であり、婚約者候補などよりライバルとしての色が濃いようでした。そう、つまりメイドの話から推察した通り、ラキュースはわたくしの敵になり得ず、わたくしの手駒(おともだち)になりえる人物だと分かったのです。

 

 たとえラキュースがお兄様の婚約者となっても、わたくしとお兄様がラキュースの夢を後押しし、彼女を英雄への道へ進ませる限り、わたくし達の誰もが幸せになれるすばらしい間柄になる事に間違いはないでしょう。

 

 お兄様が来るまでにラキュースと打ち解ける事に成功し、ラキュースに合わせたわたくしを作ることにも成功しました。ラキュースはその変化をわたくしの緊張が解けたと感じた事でしょう。

 

 ただ、お兄様がラキュースを見た時、お兄様の目の色が変わったのが気になりました。確かにラキュースはわたくしも認めるほどお兄様の好みを突いております。しかし、ありえない事だとは思いますが、わたくしからラキュースに心変わりされるような事があってはなりません。

 

 そこで、少々はしたないとは思いましたが、お兄様がどうお考えか確かめてみました。少しだけスカートを上げるとお兄様の視線がいつもの愛情溢れたものに変わり、わたくしに移り、ラキュースに視線を誘導すると何度か見たことのある表情に変わりました。

 

 お兄様にとってのラキュースは新しいおもちゃと同価値だったようです。お兄様の愛に、つい嬉しくなりお兄様へわたくしの愛をお伝えしたのですが、他人のいる場所でこういった愛を確かめ合う行為というのは、その、つい表情が崩れてしまいそうになるほど胸がときめくものなのですね。帝国でもよく行っておりましたが、どうやらクセになってしまったようです。

 

 そして昼食を終え、ラキュースと二人きりのお茶会になり、お兄様とわたくしの事情をラキュースにも受け入れやすいように話し、頬を染めたラキュースの理解を得、ラキュースの夢をわたくしが肯定した事でラキュースとわたくしは気安い友人のような関係になる事ができました。

 

 ラキュースの好きな冒険譚や英雄と言われた方々のお話を聞き流しつつ今までの事を思い出しながらお茶を飲んでいたらラキュースが唐突に話題を変えました。

 

「ところでラナー。その、バルブロ殿下は最後のお話はちゃんとお聞きになっていらっしゃったのかしら?」

「ええっと、ラキュース、その……。御前試合で平民の実力者を集めるという所まではお兄様の頭に入ったと思います……」

「つまりそこから先は全く素通りだったのね? いつもあんな感じなの? 王国騎士団が怖いから新しく兵団を作るっていう話なのでしょう? 大丈夫なのかしら……」

「ええ、お兄様は要点を抑えたあとはご自分のお好きなように動きますから……。あとはわたくしが対応すれば問題ありません」

「え? ま、まぁ、あなたがそう言うのならいいのだけど……」

 

 ラキュースが心配するのも分かる気がしますがきっとお兄様は気にしていないでしょうし、わたくしも脅威だと思っておりません。

 

 王国騎士団は実質的にお兄様の騎士団ではありますが、貴族派閥の者が多いため貴族派閥の騎士団に見えます。対する近衛隊の存在意義は王宮を護ることです。そこで国王(おとうさま)は自らが動かせる力を持った兵団を欲しました。

 

 新しい兵団は帝国との戦争の備えという理由もありますが、宮廷内での力関係上、国王だけが動かせる兵団を持つ事に意義があるのです。様々な理由からお兄様のためにもなるでしょうし、わたくしもその考えに賛成しました。

 

 ただ、騎士や兵士として力のあるものはすでにどちらかに所属しているのが問題でした。そこでお父様からの相談にわたくしは平民から実力のある者を探し、忠誠を植えつけるよう進言したという経緯があります。

 

「ラキュースはお兄様がどう動くと思いますか?」

「えっ? そうね……。わたしはバルブロ殿下の事を噂でしか聞いた事がなかったからよくわからないけど、普通なら新しくできる兵団に圧力をかけるんじゃないかしら。平民の兵団相手だと、権威を示すためにも式典に参加したりパレードをするとか……」

「ふふっ、ラキュース。お兄様は貴族や平民に拘らないから貴族からの反発もあるのですよ」

「そうだったわね。ごめんなさい。聞いた事あったのに忘れていたわ。そうなると……思いつかないわね……。ラナーはどう思うの?」

 

 ラキュースは「愛するお兄様の事なら何でもわかるのでしょう?」とからかうような、挑戦的な目で聞いてきた。ラキュースを牽制するためにもここはちゃんと答えておくべきでしょう。ただ、お兄様の行動はたまに予想以上の結果を伴うので細部まで予測するのはとても難しいのです……。

 

「そうですね……。気にされていないならいつも通りだと思います。ただ、興味があって期待しているのでしたら今日はお買い物に出るのではないでしょうか」

「え? 王子様なのに? 自分からお出かけになるの?」

「ええ、お兄様は思い立ったら動いてしまう方ですから……」

「お忍びで外に、―――あっ、まさか騎士団引き連れてお買い物!?」

「ええ、お兄様は思い立ったら動いてしまう方ですから……」

 

 ラキュースはお兄様が思いつきで騎兵を引き連れて孤児にポーションを配った出来事を思い出したのでしょう。

 

「……問題にならないのかしら」

「ふふっ、宮廷では問題になるでしょうけど、お兄様は民に人気がありますからきっと問題にはなりませんわ」

「英雄になるとそういう自由も手に入るのね……」

「ええ、ラキュースもがんばってくださいね」

「ええ、ラナー、わたし必ず英雄になるわ!」

 

 

 

 ラキュースに良い印象を与え、彼女を英雄の道へ後押しする事はできたのですが、結局お兄様の行動に予想以上の結果が伴ってしまい、正確に予想する事ができませんでした。まさかお望みの物を所望するあまり後ろ暗い店を取り締まって実力のある平民へのエサを用意するとは思いもよりませんでした。

 

 

 






捕捉説明
Q.騎士アントンがお店にいたのはなぜ? 
 騎士ドゥリアンの武技に巻き込まれました

Q.隠れたお店?
 八本指(未結成の可能性アリ)の武器密売部門のお店(捏造)。何の前触れもなく騎士団の騎兵が突っ込んで来たのでそこにいた構成員は全員逃亡しました。ついでに騎士アントンが証拠見つけて粛々と処理したので潰れました。ついでにツケ払いではなく全部没収です



ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ
 19歳でアダマンタイト級になった以外の年齢は不詳。20~25くらいかなと想定して面倒なのでバルブロと同い年にした。金髪翠眼。美人。中二病。ラキュースさんの中二病描写のほとんどが魔剣に関係してるので魔剣を入手してから発病した可能性が高い。いや、中二病ごっこのおもちゃにしているだけかもしれませんが、魔剣入手まで発症していない事になりました。
 なお、ラキュースさんのために中二病を研究していたらとてつもない時間がかかってしまいました。結局実力が伴っているものの蒼の薔薇のメンバーってガガーラン以外全員中二病発言多すぎじゃね? とか思いました。まぁ、意味のないアーマーリングを小道具にしている辺り、ラキュースさんは飛びぬけてるますが!


今回の要点
ラナー:ふふふふふ(スカートふりふり
バル:チラッチラッ、ジィィィ
しうか:猫じゃらしかっ!

次回は御前試合をさらっと! いけるといいな……。


黒祇式夜さま
誤字報告ありがとうございました。
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