オバロ転生憑依もの   作:しうか
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バルブロ:主人公。ラナー信奉者。たまにはがんばる
ラナー:病み度上昇中
クライム:原作ではラナーに拾われすごい忠誠心を持つナイスガイ。才能の無さを努力と根性と心の強さと機転と運でカバーするある意味強キャラ。ただしラナーの愛情にはちょっと鈍感。


4 クライムくん

 

 

 

 ラナーとの昼食中に恐る恐る事の顛末を聞かせた。ラナーを断る理由にした事についてはとても言いづらかったが、ラナーは目をキラキラさせていたので問題ないようだ。まぁクライムくんがいればラナーも気にしないだろう。むしろラナーが俺と結婚したことにしてクライムくんの子供を孕んで王位に据えても俺としては問題ない。理想はザナックだがなっ。

 

「本当によかったのかい? もぐもぐ」

「ええ、最良の判断でしたわ、お兄様。後はお任せくださいませ」

 

 うむ、まさかの大正解だったらしい。しかも後は任せていいらしい。さすがラナー様である。

 

 そういえば、これまでずっとクライムくんと遭遇していない。まぁ午後に会っているのだろうが、原作では朝から晩まで一緒にいたような気がする。いや、訓練期間かなとは思うのだが、話題にも上らないのはさすがに不自然ではなかろうか。

 

 しかし、「そういやクライムくんは元気?」などとクライムくんを知らないはずの俺が言い出すことはできない。まぁ探りだけでもしておこう。

 

「ところでラナー。ラナーには男の従者が付いていたりするか?」

 

 キョトンとした表情をしたラナーは少し頬を染めた。嫌な予感がする。

 

「まぁ、お兄様ったら。それはもしかしてヤキモチというものですか? でしたら大丈夫ですよ。男の従者など付いておりませんわ」

 

 ちょ、ま、え? もしかしてラナーさんクライムくん遭遇前!? ってことはあれか? クライムくんは現在進行形で瀕死状態かすでに死亡している可能性もあって、今現在クライムくんポジションに俺がいるって事だよね? いや、ラナーが嫌いなわけではない、むしろ好きなんだが、やはり妹というのは抵抗がある。

 

 それにクライムくんは何としても救わなければならないのではなかろうか。なんだかんだでいい奴だし、王国では珍しく忠誠度高いし、父上の生存フラグを立てるには必要な人物だったはずだ。まぁ俺の生存フラグには全くかすりもしないのだが、それはそれ、出来る事なら助けておきたいキャラではある。

 

 というわけでラナーとの昼食を終え、いつものように練兵場へと足を運ぶ。そしていつものように馬や装備が用意されており、騎士と従者達が出迎えてくれる。しかし、今回は遊んでばかりもいられまい。王国の兵として彼らには活躍して貰うことにしよう。つまるところクライムくん救出作戦である。ゴブリンを探して連れて来るくらいなのだ。平民の一人くらい余裕だろう。

 

「諸君。本日の訓練は中止だ。一身上の都合により王都内の見回りを行う! 無論いつも通り遊……いや、訓練を行うのであれば断ってくれても構わない。だが、これは俺にとって重要な事であり、できることならば気心の知れた諸君らの手を借りたい。ポーションとスープにパン、馬車も用意しろ! というわけで出撃だ!」

 

 とは言ったものの中々動いてくれない。根回しもせずに即応は難しいか。一身上の都合オンリーなので押し通そうとしたのだが空振りしたみたいで恥ずかしい。

 

 だいたい、彼らは俺の私兵というわけではなく、声をかけて名前を聞くと「○○何爵に仕えている誰々爵の□男の誰それと申します」といった者が多い。ぶっちゃけ誰かの私兵って事しか覚えてない。しがらみが少ないのは最初からここにいた騎士爵の十名程度だが彼らとその従者すら俺の兵というわけではなく正確な名前を覚えているかといわれると怪しい。

 

 しかも誰にも許可を取っていない。強いて言えば「前にラナーが好きにしていいってゆったから」くらいだ。まことに歳相応の理由だろう。いや、12歳だとギリギリアウトかもしれない。

 

 まぁ最悪一人で出撃すればいいだけだ。スラム街といっても馬に乗っていれば死に掛けのクライム君を攫ってくるくらいはできるはずだ。なおスラム街がどこにあるかは不明。

 

 そんな事を考えていると、ようやく理解が浸透したのか「了解しました。殿下」と騎士たちが敬礼し、諸々の準備を進めてくれた。ちなみに俺はいつものランスと盾だけでなくチェインシャツとマントを着せられた上に、お馬さんにも重装備が施された。たぶん見た目かっこいい!

 

 城門で止められそうになったけど「ちょっと王都内散策してくる」って言ったら通してくれた。まぁ騎兵だけでも10騎以上いるし、歩兵装備の従者も30はいる。街中で騎兵がどの程度役に立つかは知らんが護衛の数は充分だろう。

 

 と、いった感じでほとんど王都内をしらみつぶしに探した。あばら家とか覗き込んだりして金髪で親のいない子供を探しまくった。何でそんなのを探すんですかと聞かれたが、便利な道具に仕立てるって言ったら何か納得してくれた。まぁ武器を磨く技能でも身につけてくれれば万々歳だろう。

 

 2日目にはラナーになぜそんな事を始めたのか聞かれたが、王都の治安の向上と王都内の地理を把握しておくことによってうんぬんみたいな感じでごまかした。幸い王都内のことに興味を示してくれたので行った箇所の情報提供もすることになった。

 

 ランスに王国旗を掲げながら大通りだけでなくスラムも細い路地も片っ端から王都内を練り歩き、平民とも言えないような見た目の金髪のガキを見つけてはポーションとスープとパンを口に突っ込み、男だと分かったら台車に乗せて掻っ攫い、名前を聞いてハズレだったら従者に育てるようにと従者に投げる作業を続け、約3週間目にようやくクライムくんを見つけることができた。

 

 クライムくんは予定通りラナー様にプレゼント。「まぁ子犬のようでかわいらしいですわね」と大好評だったのでこれでラナーフラグもクライム君に移っただろう。クライム君にはぜひともがんばっていただきたい。

 

 ただ、すごく疲れた。マジもう無理。エイトエッジアサシンとかいれば楽だったんだろうなぁ……。

 

 

 side ラナー

 

 お兄様のしていた事はお見通しでしたが、まさかこんな子犬を探してきてくれるとは思いませんでしたわ。見た目はあまり良くないけど磨けば光るでしょう。ですが、一番いいのはこの目ですわ。お兄様ほどではないにせよ、わたくしを見るこの目は何と言いますか、生まれたての子犬のようです。

 

 お兄様は自分と同じ髪の色を持つ貧民を探して影武者にするつもりだったのでしょう。そろそろあのお遊びにも飽きてくる頃だと思ってましたし、お城を抜け出し自由に遊ぶための準備だったのでしょうね。

 

 わたくしの慰めに子犬を一匹渡したのもその前触れ……。この子も有効に使いましょう。お兄様からの折角の贈り物ですし……。

 

 お兄様にわたくしの愛を伝えるための練習に丁度いいかもしれません。この子なら多少失敗しても問題なさそうですしね。ふふっ、まずは首輪かしら……。

 

 あとはお兄様の……でしたら……、そうですわね―――

 

 








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