愛染様がご乱心する。
テニヌならなんでもできるよね! って話。
愛染様がうぉーみんぐあっぷを開始しました。
愛染惣右介は思った。
そうだ、テニスをやろうと。
この世界で、もっともオシャレでクールでアメイジングなスポーツはなんだ? と聞かれたら多くの人が答えるであろう競技。
それがテニスだ。
世界競技人口は年々増していく一方でその熱が冷める気配は未だない。昨今では日本までもが頂点を取るために強化合宿やスカウトなんかに精を出しているという。
加えて海外遠征や最新設備導入など、育成のためとあらば多少資金を出すことすら厭わない。そういったところまでテニスの与える影響は大きい。
まさしく私に相応しい。
愛染惣右介は考えた。その素晴らしいテニス界で、1番上から見るその景色は、いかほどの価値があるのかと。どれほど心満たされるモノが待っているのかと。
ゾクッ、と肌が粟だった。
なるほど、想像しただけでこれだ。さぞかし本物は私を興奮させてくれることだろう。
愛染惣右介は当面の目標を立てた。どうせ、やることもない。
いい暇つぶしになる。
この世界の頂点、そう、すなわち。
ーーーー私が天に立つ
愛染惣右介は天才だ。1を知れば1000を悟る男だ。この世全ての技術など3日で極められる。
さて、そんな愛染惣右介があの決意の日から10年の歳月を”努力”に当てた。
この意味がわかるだろうか。わからないだろう。
しかし、その意味をこれから日本の、いや世界のテニス界は知ることになるだろう。
さて、13になった愛染惣右介は気づいた。1人ではテニス大会は参加できないと。
団体戦しか試合がなく、個人戦という大会形式が存在しない以上、1人黙々と鍛え上げていても意味がない。
うっかりであった。うっかりあぃぜんである。
まず手始めに愛染惣右介は学校を掌握した。生徒を手懐け、教師陣を屈服させ、PTA供を平伏せさせ、教育委員会を黙らせた。
邪魔するものは棺に閉じた。その暗闇の世界で永遠に過ごすことだろう。
次いで彼がやったのはスカウトだった。日本国内を瞬間移動で駆け回り、目に留まった原石を一つ一つ積み上げ、さして磨き上げていった。
必要とあらば海外まで出向き、その宝石をより輝くようにと研磨した。
全ては、私の為に。
こうして、まったくテニスが強くなかった一般進学校に未知の力を持ったテニス部が出来上がった。監督は勿論愛染惣右介。
ん? 異論があるのかい、グリムジョー。
いえ、なにも。
そう、なにも問題はない。部費もでる。
まずは県大会を制覇することから始めよう。なに、簡単なことだよ。
「今の私達の実力を持ってすれば、全てが等しく劣等種となる。叡智を司る霊長類の長たる人類が、たかが猿人に苦渋を飲まされるなどあってはならないことだ」
そう、私達は更に2年間の修練を積んだ。スカウトしてきたメンバーのほとんどがテニスのテの字も知らなかったのだからしかたない。
その内なる才気だけで選んできたのだから当然の話だ。
うっかりだった。うっかりそぅすけだった。
しかし愛染惣右介が見染めた男達だ。1を知れば1000を悟る程ではないにせよ、それに近いことは容易くこなせる者達だ。
2年、2年で充分すぎた。あまりにも長い時間をかけてしまったと言っていい。
総勢30名の愛染が選び抜いた軍団。
これより、このテニス界に新しい君臨者を決める戦いを始める為、今動き出す。
続けるかは未定。