Untold Myth   作:トラロック

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ポラン・ブーニディッカ
#1-0A プロローグ


 

遭遇

 

 その子との出会いは数多(あまた)の選択肢の一つに過ぎない。

 偶然と呼ぶべきなのか。それとも必然だったのか。

 どちらにしても出会うべくして出会ったわけではなく、神の奇跡の産物だといえば何でも当てはまりそうだ。

 それでも偶然は奇跡と同等の価値があり、また同時に残酷な運命が付随するものだ。

 だからこそ、それを私は決して喜ばない。

 けれども祝福する。

 

 迷宮都市オラリオでの人生は冒険者となった自分にとって僅かな期間であり、まだ駆け出しであり、長い歴史の一端にぶら下がっているだけ。

 世界屈指の大都市だとしても自分は多くを知らないままに生きている。

 ただひたすら強さを追い求め、神が管理するファミリアに入り、冒険者としてモンスターを倒し続ける毎日。

 人形と形容されるほど人としての感情が抜け落ちていた自分も気が付けばレベル3になる頃には人並みの感情を自覚するようになってきた。

 時には無茶が過ぎてたくさん怒られる事があったけれど。

 それもまた長い人生を歩む上での通過点だ。

 

 ――そう。

 

 人生半ばですらない初期の頃――

 生き急ぐ自分が気まぐれで立ち止まった一時(ひととき)――

 語るべき言葉は多くない。けれども確かに私は出会ったのだ。

 最初の()に――

 モンスターをたくさん殺してきたけれど、人間はまだ未経験。

 ちゃんと出来(殺せ)るかな。

 向こうは準備万端。

 であればこちらも迎撃しなければならない。

 そうしなければ自分が死ぬ。殺されてしまう。

 

 これは友達()を殺す物語――

 負ければ確実に死ぬ。

 いや、迷いが生んだ自業自得の結果。

 

 様々な葛藤があったとしても向かってくる敵は倒さなければならない。私は冒険者だから。だからこそ剣を奮う。

 私の冒険はいつも血にまみれている。

 それでも乗り越えなければ次に進めない。

 強くなる為に。

 一つ二つの障害で立ち止まっている暇は私には無いのだ。

 それにそれが、それこそが冒険者の本質だ。

 そう思いたいだけかもしれない。

 

 記憶に強く残る出来事。

 ――最初の友達。

 華やかな夢溢れるものは結局のところ夢幻(ゆめまぼろし)であった。

 人形から人へ。そして、殺戮者へと至る中間。

 人に(ようや)くなれたかな、と思えた頃に剣を握って相対する事になったのは友達というモンスター。

 死力を尽くして戦う事になったのもまた数多(あまた)の運命の一つ。

 この出会(殺し合)いも冒険の一つであるならば乗り越えなければならない。

 私は冒険者。

 

 ――否。

 

 【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインだから。

 

 

 

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