それではどうぞ
あれから、昨日の不祥事を説明するべく、くるみさんとりーさんと共に2階の例のアレがある場所まで来た。
アイツラを警戒してはいたけど、まったくいなかった。
「…あれです。くるみさん、りーさん」
「あれって…机?」
「だよな…見た感じはそんな…」
「まあ、ひとまず中に入ってちゃんと見てもらったほうがいいですね。……説明はそのあとに、ちゃんとします。あ、ガラス片とか、気を付けてくださいね」
安全に気を付けながら中に入り、俺の机だったものを、間近で見てもらった。
「こ、これって…」
「……」
「…なんとなく察せましたか?めぐねえからは、俺のこと昔の事は教えてもらっていると聞いています。でも、たぶんそれだけだと思いますので、めぐねえが話さなかった部分も踏まえて、話します。ああ、でもただ話すだけだと時間がもったいないので、いつもの見回り時の日課をしながら、でかまいませんか?」
「あ、ああ」
「ええ、大丈夫よ」
~階段~
「よっと…」
「…ねえ、レイ君。あなた、いつもこれをしてたの?」
「ええ、そうですよ。でも一気にやってしまうと音でアイツラを多く引き付けてしまうので、基本は一段ずつ、ですけどね」
いま、レイ君はかなり大きい鉄の板を動かしていた。
しかも二枚。一枚だけでもかなり重いはずなのに、これを動かしていたらしい。
「けど、今日はくるみさんもいるんで少し強気に行きます。もう5段ほどで二階から降りる階段の入り口まで持ってこれるんで、今日は一気に2段分行きます。
…えーと、どこから話せばいいんですかね。二人とも、俺の身の上の話はめぐねえから聞いてるんですよね?」
「ええ」「あたしは養子縁組くらいしか聞いてねえ。すまん」
「いえ、いいですよ。
……俺、両親が共に事故死して、そのあとに親戚だっためぐねえの家に引き取られたんです。確か……俺が小学6年生くらいの頃だったかな…。ちなみに、今めぐねえ25歳で俺が17なんで…ちょうど大学生のころにめぐねえと会いました。それで、めぐねえは既に下宿していたんで、そこに転がり込んだ、って感じですかね。なぜか俺、めぐねえの家族みんなに毛嫌いされてたもので。……あれ、そういえば小学校でも学校の教頭先生とか校長先生とか、クラスの皆も俺のこと……。まあいいや。それで、中学からめぐねえと一緒に住んでたんですよ。……ただ、俺、人付き合いとか苦手でして、隅っこでおとなしく本とか読むのが好きだったんです。だから、クラスの輪に溶け込めなかったんです。そういう子ってどうなるか、想像つきますよね?」
「…いじめね」
悲しい顔で言うレイ君に、酷なのかもしれないが、私は感じたままに言った。
「正解です。無視から始まり、靴は隠され、……すいません、ちょっとこれ以上は。…ふー。それで、いじめがあったとはいえ、別に複数人ならいいですよ。それが個人から複数人になり、十人単位になり、クラス単位になり、果ては先生まで。先生がグルなもんだから、親に相談しても、学校側で巧みに隠すもんだから、どうしょうもなくて、不登校になったんですよ。それで中学は、知ってる人は誰もいないところをって、佐倉さんが親戚で通って他地域とは少し離れたところだっていうんで、そっちにお世話になろうって話し合ってた矢先ですよ。親が事故で死んだって連絡がきたのは。……そのあとは、さっき言ったとおりです。めぐねえの家で養ってもらいながら、中学はこの近くの私立に通っていました。迷惑をできる限りかけたくなくて、バイトも始めて、家事も頑張って覚えて、めぐねえの役に立ちたかった。学校も、めぐねえの期待に応えるべく頑張ろうと思いました。……でも、二度あることは三度ある、っていうじゃないですか。中学でも、かわらず、いじめは、起きたんです。けど、めぐねえに心配をかけたくない。不安にさせたくない。その一心で隠し通しましたよ。三年間、ずっとずっと孤独に耐え続けました。三年経って、高校に行けば…めぐねえの元に行けば、この苦しみからも、解放されると思いました。
………
けど、現実はそう甘くはないんですよね。
同じ学校にいるんですよ。そりゃいつかバレますよ。
いじめの現場をめぐねえに見られて、家に帰ってから、ずっと謝られ続けましたよ。
めぐねえは、何も悪くないのに。俺が悪いのに。泣きながら、教師失格だって、ずっと夢だった教師を辞めるって言いだして。
…すっげえ、いやでしたよ。俺のせいで、大好きな人が夢を捨てるっていうのが。自分に怒りがわきましたよ。
そのあとは…めぐねえが頑張ってくれて、保健室登校?だったかな、それで何とか出席日数とか確保でいるよう掛け合ってくれて、それから送迎もめぐねえにしてもらって、補習も、忙しいのに組んでもらって。
…そんな中です。【あの事件】が起こったのは。
由紀姉とはあの日に会いました。補習を受けてた由紀姉の所に、めぐねえがいたので、そこへ向かって、補習が終わるまで隅っこでじっとしてました。けど由紀姉にいじられ、そして由紀姉がさぼるために屋上に行きたいって言いだして強引に連れてかれて、りーさん達と会って……。そのあとに……。
たぶん、ここから後は、みなさんはわかると思います。だって一緒にいたんですからね。
多分、この後に俺がどうやって生き延びていたか、とかも聞きたいんだと思いますが、今はその説明は省きます。めぐねえにも話さないといけないことですし、またみなさんが集まっている時に話します」
「ええ、分かったわ」
「おう。けど、その時は包み隠さず、で頼むな」
「もちろんです。……俺、ちょっと色々あって、地下に逃げてたんですよ。クラスメイト数人と一緒に。数日は……ええ、数日はシェルター並みの地下施設の中だったんで安全で、過ごせましたよ。
でも…!俺は、
…詳細は省きますが、俺はクラスメイト
それで、クラスメイトだった人たちはなんて言ったと思います?
『お前を同じ人間だなんて思ったことは一度もない。お前なんかに食料を渡すのがもったいない。でも、生きているのならせめて
って、言い放たれましたよ。
そこからは、もう自分の生に、何も、何も、感じることができなくなって。でも、めぐねえに会いたい一心でここまで来て。それからも、ヒト為らざるモノとして、皆さんの、学園生活部の役に立とうと頑張りました。
……でも、そうですね。心のどこかでは、まだ人と扱われたい、人だと思い込みたいという思いがこびりついていたんでしょうね。
だからこそ、アイツラに成り果てたクラスメイトによる懺悔の言葉を連なっていた俺の机を見た俺は、どうしょうもなく、混乱したんだと思います。むしゃくしゃして、わざわざ一階まで下りて、八つ当たりをして。
そして、気づいたら馬鹿みたいに集まってたんで急いで、かつ上に集めないように立ち回りながら屋上まで逃げ帰りました。三階でいいのに屋上まで行ったのも、何も考えていないのか、思考停止していたからでしょうか。
……これで、答えにはなりましたか?」
「ええ、ありがとう。レイ君。そして…ごめんなさい。辛いのに、話させてしまって」
「なんか…聞いちゃいけない話を聞いた気分だぜ…」
「いえ、元はといえば俺が何も説明をしていないのが悪いんです。……そろそろ部室へ帰りましょうか。流石にこれ以上ここで話していると近くを通ったアイツラに気づかれる可能性も高くなります」
レイ君のその言葉を区切りに、私たちは部室へ帰ることになった。
また、嘘をついた。
どうしようもない罪悪感に、心がひどく痛むが、これくらいは何ともない。
生き残るために、俺の事情なんて、イラナイ。
〜部室(生徒会室)〜
「あ!きたきた!ほらほら、みんな座って座って!」
「「「?」」」
「学園生活部、ちゅうもーーく!」
俺たちが二階から戻ると由紀姉がやたらと興奮した様子で椅子の上に立った。
危ないよ、ソレ。
あと…こっち座ってるモンでさ、あの、見えちゃいけないもの見えかけてる…。
「レーくん、なんで顔逸らすの?」
「い、いや…なんでも」
「むー…。まあいいや!みんな、肝試し、やるよ!」
「「「肝…試し?」」」
俺もりーさんも、くるみさんも皆かポカーンとなっていた。
「夏休みじゃん?なら肝試し!だよ!夜の学校でハラハラドキドキだよ!」
「いきなりなにを言い出すかと思えば…」
「…いいんじゃないすか、どーせ物資足りなくなってきてるんでしょ」
「そうと決まったら準備ね、由紀ちゃんはめぐねえに伝えくれる?」
「むっふっふー。実は!もうめぐねえに許可もらったよ!」
「…由紀姉、自分が遊ぶことになると途端に準備いいね…」
「そ、ソンナコトナイヨー」
由紀姉、目をそらしながら言っても無駄だよ。言葉で全部丸わかり。
それから、夜になり俺たちはバリケードの先にみんなで出ていた。
「それじゃあ早速!肝試ししゅっぱーつ!」
由紀姉は、暗い廊下を、まあ元気にスキップでもしそうな足取りで進んでいく。
「……」
「大丈夫ですよ、くるみさん。今日行くところの周辺は昼過ぎに下見も兼ねて行ってますし、その時にいたアイツラはあらかた片付けておきました。余程のことがない限りは大丈夫ですよ」
「そういえば、地下の物資までは流石に難しいかしら?」
「先に消費するなら購買部のほうがいいと思います。地下の物資って、馬鹿でかい冷蔵庫みたいなのに入ってるんで、停電とか起きない限りは、しばらく大丈夫です。ただ、万が一のこともあるんで、早めに行っておきたいところではありますね」
「そう……」
「ねえ!みんな……!」
色々話し合ってるなか、先に行っていた由紀姉が遠くからこっちを見て叫んでいた。
「これはもしや、私だけ一人でみんな帰っちゃうパティーンですか⁉︎(泣)」
「「「違う違う」」」
「きっもだーめし!きっもだーめし!」
「やっぱり夜は少ねえな」
「そうね、今頃みんな家に帰ってるのかも」
「…生前の記憶、なんでしょうね。…にしても、由紀姉、肝試しなんだから、少しくらい緊張感持とうよ」
「えー、レー君もしかしてオバケ苦手?ぷぷぷ……(笑)」
「(本当に置いてけぼりにしようか)」
そんな感じで由紀姉に煽られつつ、廊下の掲示板前までくると、そこには……
「はーい、みんな揃ったわね」
「あー!めぐねえ!」
「こらこら、肝試しなんだから、静かにしなきゃダメでしょ?」
「はぁーい」
「なんだ、めぐねえも来てたんだ」
「めぐねえ、お疲れ様です」
「めぐねえ、お疲れ様」
「肝試しもいいけど、無茶しないでね」
「めぐねえ、もっと静かに!」
「はいはい(汗)。で、組み分けはどうするの?」
「せ、せっかくだからみんなで行かない?」
「あれ?由紀姉もしかして怖いの?」
「ち、違うよ!でも、万が一ってのがあるじゃん!」
「ふふ、そうね。みんなで行きましょうか」
「わーい!」
「じゃあ、五人一緒に行くわよ。逸れないようにね。それじゃあ「それじゃあ説明するわね」はうっ⁉︎」
と、めぐねえが説明しようとしていた所を、りーさんがまさかの被せて来た。
「今回肝試しするのは購買部と図書室!何か証拠の品をとってくるのよ。万が一逸れたら絶対に声を出さずにここまで戻ってくる!」
「「「はーい」」」
「じゃ、みんな「それじゃあ行きましょう」……」
まさかの出発の号令すらりーさんに奪われていた。
見るからに超落ち込んでる。可愛いけども。
「めぐねえ、はやくー」
「私……顧問……」
「ど、ドンマイです……」
がっこうぐらし!、10巻まで買ってよんだんですが、まあ心がぼきぼきにされそう……。
読んでて辛かったけど、面白いというこころもあり……なんとも複雑でしたよ。
だが!それを塗りつぶすほどのほのぼの感を出せるように頑張るぞい!
超不定期更新なのは許してください(震え声)
読んでくださりありがとうございます