めぐねえが好きです!   作:アテナ(紀野感無)

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おおう、気づいたら二ヶ月以上放置……これはマズイと思い描き始めた矢先に感想をもらえる。
これほど描くテンション上がることはないですね。

さて、今回は肝試し本番。

ではどうぞ


3話 やっぱ肝試しは怖い

肝試しを始めた俺たちはまず購買部に来た。

 

うん、昼の下見の時に見たけどやっぱりこの購買部って色々ありすぎだと思うよ。

てか、枝切り鋏とかどこで使うっちゅーねん。

 

「ねーねー!なんでも買っていいの⁉︎」

 

「ええ、ちゃんと部費から払うから大丈夫よ」

 

「わーい!」

 

由紀姉はりーさんに確認を取ると一目散に何処かへ行った。

 

「お菓子売り場…でしょうね」

「でしょうね」

「だろうなー」

 

りーさんの言葉に一同頷く。

分かり易すぎるよ、由紀姉は。

 

「それじゃあ、私たちは別の必要なものをそれぞれ取ってきましょうか」

 

「あ、俺はざっと見た限りなかったんで大丈夫です。…っと、めぐねえ。外の見張りは俺がやるから、めぐねえも何か必要なものあればとって来なよ」

 

「め、めぐねえじゃなくて、佐倉先生。で、でも…私は先生なんだし、生徒の君たちの方が……」

 

「うん、俺の必要なものは一通り見終わったよ。だから交代」

 

「え⁉︎い、いや、さっき着いたばかり…」

 

「男子の買い物に対するズボラさを舐めちゃダメだよ、めぐねえ。男子の日用品の買い物なんて必要か必要じゃないか、それだけでスパッ!と終わりなんだから。それに男の俺より女性のめぐねえたちの方が必要なもの多いしちゃんと選びたいでしょ?」

 

「たしかにそうだけど…」

 

「ほら、俺に遠慮しなくていいから」

 

「…わかったわ。交代する。でもいい?絶対に何かあったら私たちを呼ぶこと」

 

「はい、わかりました。めぐねえ」

 

「もう、めぐねえじゃなくて……」

 

と、玄関近くで待機していためぐねえと見張りを交代する。

 

「…っし、気合い入れろ。これで見逃してました、じゃすまないぞ…」

 

 

 

 

〜しばらく経って〜

 

 

特に…異常はなさそうだね。アイツラの気配も感じないし。

 

けど、油断はできない。

1匹ならまだしも、急に、大量に押し寄せてくる、なんてこともありえるかもしれないんだから。

 

だから…

 

 

「ねえっ!みんな!」

 

「っ⁉︎由紀姉⁉︎」

 

由紀姉の叫びによって全身の血の気が引いた。

 

「(まさか、見逃してた⁉︎)」

 

扉を乱暴に開け、由紀姉の声がしたところまで一目散に走る。

 

お菓子売り場の方からしたはず…

 

無事でいてよ……。

 

「由紀姉!どうし…」

「どうした!」

「由紀ちゃん!」

「由紀ちゃん⁉︎」

 

由紀姉のいる場所にたどり着くと、そこで何かを持ってしゃがんでいた。

と、そこに続々とみんながきた。

 

…ひっじょーにやな予感しかしない。これ。

 

「凄いよ!これ、20倍に膨らむんだって!」

 

そう言いながら、由紀姉が見せてきたのは…

 

「・・・」

「ま、まさか、風船(それ)の為だけに呼んだのか…?」

 

「うん!そーだよ!ねえ、すごくない⁉︎2倍じゃないよ、20倍だよ!すごいねえ、科学の勝利だよ!」

 

 

うん、どっからどー見ても風船。

 

「肝試し中に脅かすなー!」

「ご、ごめん…」

 

すると、くるみさんが由紀姉に頭ぐりぐりし始めた。

うん、いいぞくるみさん、もっとやれ。

 

「って、レー君?なんだか顔が怖いよ?ど、どうしたの?」

「…由紀姉」

「はいっ⁉︎」

「そこ、座って…」

 

俺がそういうと、由紀姉はおどおどしながらも正座した。

 

「てりゃ!」

「あぅ⁉︎」

「よし、気は済んだ」

 

由紀姉の頭に全力でチョップを繰り出した俺は悪くない。悪くないったら悪くない。

 

「ひ、ひどいよ……めぐねえ!レー君ひどいよ!」

 

「今回は由紀ちゃんが悪いわね。ほら、みんなに驚かせちゃったこと謝りなさい」

 

「うぅ…ごめんなさい」

 

「私じゃなくて、みんなに、でしょ?」

 

「はーい…。みんな、ごめんなさい」

 

「たっく、次からはやめろよなー」

「次からは気をつけてね」

「今回は俺が由紀姉の馬鹿さ加減を忘れてたのも原因ですしね…」

 

「レー君だけ酷くない⁉︎」

 

三者三様の答えを由紀姉に送ったのち、またしばらく購買部探索を開始していた。

俺はまた入り口付近に戻って警戒に当たった。

 

 

「…さっきのでいくらか近づいてきてる……って思ったけど、そうでもなさそうだね」

 

うん、静かな夜のままだ。

周りにある血の跡やらガラスが割れた跡やらがなければ、めっちゃいい景色かついい具合に怖い肝試しスポットなんだろうけどね。

 

 

「これがあれば人形でもなんでも作れるよ」

「いや作り方が分から……って何食ってんだよお前は!あとめぐねえも!」

 

 

「みんな、買い物は済んだ?」

「「「はぁーい」」」

「じゃあ、外で待ってるレイ君とも合流して図書室へ向かいましょう」

 

 

…めぐねえが生徒と化してる件について。

 

 

ガラッ

 

「おまたせ、レイ君」

 

「はい、買い物は満足にできました?」

 

「レイ君のおかげでとってもね」

 

「それは良かったです」

 

りーさんに続くようにくるみさん、由紀姉、めぐねえと出てきた。

 

…めぐねえ、本当に生徒と化してる…。

 

 

ていうかさ、みんながうんまい棒なるものをずっと食べているのにはツッコミ入れるべきですか?ねえ。なんでみんな食べてるの⁉︎

なんて言うのが正解ですか⁉︎

 

 

 

〜廊下〜

 

「図書室……そうだなぁ、生物関連の参考書があれば欲しいかな……」

「私は数学の参考書があればいいのだけれど……」

「あたしは特にねーな」

「私は漫画ー」

「(うんまい棒…美味しい……)」

 

俺、りーさん、くるみさん、由紀姉、めぐねえの順である。

ていうか、みなさん、ずーーっとうんまい棒食ってますね。

 

大ブームか何かですか?

 

と、うんまい棒にツッコミを入れるべきか否か、それで悩みながら歩いていると、いつの間にか図書室の前に着いていた。

 

 

 

ガラッと扉を開け、中に入る。

 

「…そんじゃあ、今回はあたしがここに残るよ」

 

「そうねぇ…わかったわ。けど、無理はしないでね」

 

「わぁーってるよ」

 

「恵飛須沢さん、本当に無理しちゃダメよ?」

 

「わかってますよ、めぐねえ」

 

少し話し合い、入り口にはくるみさんが残ることとなった。

 

「くらいねー電気つけようか?」

 

「ダーメ、ここだと電気つけた時に外から目立っちゃうから」

「そっか!肝試しだもんね」

「そんじゃ。りーさん、めぐねえ行きましょう」

「そうね」「わかったわ」

 

 

 

まず真っ先に向かったのは参考書などが陳列している棚。

 

「オォ…あいかわらずの蔵書量。目当てのものあるかな……」

「教科書と問題集と……」

「あ、りーさん。その問題集結構使えますよ」

「これ?」

「はい」

 

「さっすがりーさんにレー君!勉強熱心だね」

 

おっと、この人はこれが何のために必要とされているかわかっていないらしいね。

 

「いいえ。これは由紀ちゃんのよ」

「へっ?」

「この間数学わからないって言ってたでしょう?」

「あ、あうぅ…、わ、私も本を探してくる!」

 

りーさんが言うと由紀姉はたじろいだ後に1()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!まって由紀姉!1人で行ったら……」

「由紀ちゃん、まって!」

「由紀ちゃん!止まって!戻ってきて!」

 

が、由紀姉は俺たちの叫び虚しく1人でどこかへ行った。

 

それを追いかけようと走…

 

あ…ぁ……ぅ……

 

「…っ!マジかよ…」

 

今、確実に、アイツラの声がした。

くっそ、昼に下見をした時はいなかったのに…。

確認漏れしていた?

いや、入り込んできただけ?

 

「早く行かないと…」

 

「シッ、りーさん。()()()()()()。できるだけ声も抑えて。懐中電灯も消してください。めぐねえも、近くに寄って」

 

「っ…わかったわ」「そ、それなら早く由紀ちゃんを…」

 

そう言って2人を近くに寄せる。懐中電灯も消してもらったため、だいぶ暗いが月明かりのおかげでまだ見える。

 

「わかってます、2人は、できる限り早く、ですが静かにくるみさんの所へ一旦逃げてください。気配的に、一体しかいないはずです。なので…くるみさんなら大丈夫なはずです」

 

「レイ君はどうするの?」

 

「…由紀姉の元に行きます」

 

それを言うと、小声とはいえ2人に止められた。当たり前だ。でもこれが一番確率としては高い。

 

「…2人は、くるみさんの元に戻ったら、入り口の扉を閉めて、アイツラを引きつけれるような何かをしてください。やり方は任せます。仕留め方も…。…時間がもったいないです。それじゃ、俺は行きます」

 

「まって、レイ君!お願い、1人で…」

 

めぐねえの叫びを後ろに受けながら、俺は由紀姉が走って行った方向に駆けた。

 

 

 

「…あ!これ面白そう…」

 

「由紀姉!」

 

「あ、レー君。どうしたの?」

 

「…っ、よかった、無事で…」

 

由紀姉が呑気に漫画を選んでいるのを見て思わず安堵の息を漏らしてしまう。

 

「?何か言った?」

 

「何でもないよ。それより由紀姉、ダメだろ1人で走って行っちゃ。りーさんもビックリしてたし、めぐねえなんか超オコだったよ」

 

「ヴッ…ごめんなさい」

 

「うん、わかってるならいいよ。ほら、俺も一緒に謝るから、みんなのところに戻ろ。あ、ちゃんと読みたい本もとった?」

 

「うん!…あれ?」

 

「どうし…っ⁉︎」

 

…しくった、後ろにいつの間にかきてた。

しかも、由紀姉に見られた?

 

「お化け…?」

「喋っちゃダメ」

「んむっ⁉︎」

 

反射的に由紀姉の口を塞ぐ。

 

「(幸い…こっちには気づいてない…か?それならゆっくり逃げれば…。殺してもいいけど、そんなところ見せたくないし…)」

 

ゆっくり、ゆっくりと由紀姉の口を塞ぎつつ奥の方に移動をする。

 

「あ…ぁ……」

 

「(…こっちに近づいてきてんな。物音で反応したか)」

 

本棚の端っこまで辿り着いて、すぐに別の列のところに入り、ちょっと進んで由紀姉と一緒にその場にしゃがむ。

 

どんどん近づいてきてるな…。りーさん、めぐねえ、まだか…。もう少し時間を稼いで…

 

「むーむー!」

 

「黙って由紀姉!お願いだから!」

 

「(ビクッ)」

 

強めで、かつ小さな声で言うと由紀姉は少し涙目になりながらも黙ってくれた。

 

「…賭けだな、これ」

 

流石に由紀姉に見せないように、コイツをこの場で殺すのは無理だ。

 

「あぁ…うぁ……」

 

ズチャッ、ズチャッと、足元で血が付いているのか、そんな音を鳴らしながら、だんだんと近づいてきてる。端っこまで来たと思うと、運の悪いことに、俺たちのいる列の方に曲がって来た。

 

「うぅ…」

「…大丈夫、大丈夫だから」

 

そいつの姿を見た由紀姉が、俺の胸に顔を埋めるようにして来た。

それを庇うように後頭部に腕を回して、強く抱きしめる。

 

「(万が一の時は……多少大げさにでもして由紀姉を…りーさん達のところに…)

 

本当に、すぐ横をソイツが通っている間、心臓をバクバクさせながらゆっくりと距離を離す。が、ソイツは俺たちの列に入ってくることもなく、そいつはそのまま通り過ぎて行った。

 

「…フーッ、ひとまず…このままジッとしてれば…」

 

「レーくん…今のは……」

 

「大丈夫…です。みんな、由紀姉のことを、想ってくれています。由紀姉のことを、絶対に助けようと、してくれます。みんながいれば……あんな程度のお化けなんざ、怖くないです。平気です。それに、めぐねえも居てくれるんです。絶対に、平気です」

 

 

 

ガンガンガンガンガン!

 

 

 

しばらく身を潜めていると、何か金属を叩いているような音が響いた。

…よかった、向こうは無事らしい。

 

「はっ…」

 

「大丈夫、ジッとしてて…」

 

そうすると由紀姉はもっとこっちに顔を埋めて来た。

 

 

 

しばらく音が鳴り響いていて、突然ピタッと止まった。

 

かと思えば何かを殴る、鈍い音が鳴り響いた。

 

それを聞いて、ちゃんとやってくれた、とすごい安堵した。

 

 

「(…もう二度と肝試しやんねえ)」

 

そして俺の嫌いなものが一つ増えた瞬間だった。

 

 

「…めぐねえ!りーさん!くるみさん!こっちです!」

「わー!わー!声出しちゃ…」

「いや。もう大丈夫ですよ、お化けはくるみさん達が退治してくれました」

「えっ…」

 

「おっ、いたいたー」

 

まぶしっ⁉︎くるみさん、急にライト当てないでくれません⁉︎

 

「由紀ちゃん!レイ君!」

「2人とも、大丈夫⁉︎」

 

「う、う…ごめんなさい!」

 

すると由紀姉はさっきまで俺にしていたように、今度はりーさんの胸に飛び込んだ。

その豊かなたわわに由紀姉が吸い込まれていった。

そしてそのまま泣き崩れていた。

 

「はー…、ほんと、心臓止まるかと思った……」

 

「レイ君!大丈夫なの⁉︎」

 

「だ、大丈夫ですよ、めぐねえ。心配しすぎ…」

 

「当たり前ですっ!もう二度とこんな無茶しないで!」

 

「っ…はい。すいません」

 

「もう…本当に……」

 

めぐねえが涙目でそういってくる。

 

…もっと上手くやれる方法が、あったかもしれない。

けど、俺にはこれしか思いつかなかった。

 

これは、俺のミスなのはわかってる。

 

「にしても、レイ、ほんと助かった」

 

「いえ…こんな、危険な綱渡りの方法しか気がつかなかったんです。もっと他のやり方あったかも…」

 

「それでも、ありがとう、レイ君」

「ありがとーレー君!」

「先生を代表して私からも言わせて、丈槍零君。ありがとう」

 

「う、うぅ…」

 

「あ、赤くなったー」

「うふふ、珍しいわね」

「これは写真に残しときたかったなー」

 

くっそ…由紀姉のせいだ、こんな恥ずかしい目にあうのは…。

あとりーさんやめぐねえの慈愛に満ちた目もここだと只の心を突き刺す槍にしかなっていない……。

可愛いですけども!可愛いですけども!

 

 

「それじゃ、帰りましょう。今日はとっとと寝たいです」

「そうね、それじゃ帰りましょう」

 

そして来た道をそのまま戻っていく。

 

バリケードを超えて少し歩いた時に、りーさんが口を開いた。

 

「ねえ由紀ちゃん、肝試し楽しかった?」

 

「うん!とっても楽しかった!来年もまたみんなで!」

「ああ」

「そうね」

「俺はもうゴメンです…二度としたくない……」

「えー⁉︎」

 

「ゆ、由紀ちゃん達、三年生…よね?留年…しちゃうの?」

 

気づいていなかったのか、めぐねえに言われて由紀姉は忘れてた…みたいな顔をして固まった。

 

「あー、由紀はするんじゃないですか?」

「そーねえ」

「うー、くるみちゃんもりーさんもイジワル!あ、でもそれだとレー君と一緒に卒業できるのかー!」

「えー…ただでさえ由紀姉の面倒見たくないのに来年もさらに見るの…?」

「レー君まで⁉︎」

 

その後は、よく覚えてない。

気づいたら部室に戻って来ていて、そのまま部屋に行き、倒れたところまでは覚えている。

 

あ、でも途中で図書館に由紀姉にしたことを思い出して1人で悶絶はしていたな。

あれは二度とゴメンです。

ほんっと恥ずかしいったらありゃしない




現実で今回の由紀ちゃんとレイのようなことが起こると、そのまま恋愛に発展!ですがもちろんこの物語でそんな上手くいくわけナイナイ。

いや、ごめんなさい。後の展開何も考えてないだけです。

アニメや原作を見ている方はわかるとは思いますが、ただめぐねえがやっていた事を代わりにやらせていた、という形です。

さて、アニメ路線で行くので、次は過去のこと、ですかね。どっちかというと追憶編みたいな。

とうとうレイの地下室生活の全てが明らかになるかも…?


読んでくださりありがとうございます

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