めぐねえが好きです!   作:紀野感無

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やばい…1万時超えた……


これはまずい……絶対読むのがめんどくさくなるやつ…

けど分けるポイントも見つからなかった…。


さて、今回は追憶編のようなものです。

あの日に何が起こったか、主にレイ視点で行きます

それではどうぞ


4話 世界が死んだ日

「……」

 

うん、やっぱり夜の屋上はいい。少し肌寒いけど、余計なこと…って言ったらちょっと…いや、カナーーリだめだけど他の誰のことも考えることなく、自分だけの、自分のためだけの時間になる。

 

ただ、一つ問題点としては、この行為は見つかる=めぐねえとリーさんからの超長いお説教が待っているという点だ。

 

できればそれは御免被りたい。

 

というか絶対に嫌だ。

 

それでも俺がこんなことをするのは、未だ自分の選択が、地下での出来事が、正しいと思えない。

そんなことを思ってしまうから。

 

足首についている噛み傷を見るたびに、地下での出来事を、あのクズどもに裏切られたことを思い出す。

 

そして、俺自身が行った罪も。

 

「…痒。てか…マジで治んねえな。血液が変異してんじゃねえの?これ。出来るわけないとは思うけど、輸血するときとかどーすりゃいいんだろ」

 

噛まれたのがもう数ヶ月以上前だ。それに、あの薬も使ったんだ。血液が変異していてもおかしくない。

 

つまりは、見た目は人間でも、中身はやめている可能性が十分にある。

つか、空腹感が常にある時点でアイツラと同じようなものだ。

 

「…まあ、関係ねえか。俺は俺だ」

 

うん、そんなことを考えてもしょうがない。

俺に出来ることなんか限られてる。

 

「…ひとまず、あの薬は最低でも人数分は取ってきたいよなぁ…てか、できることならあの地下を使って生活したいけど…それはまだ高望みしすぎ、かな」

 

あの地下には、俺のせいでアイツラがウヨウヨしてる。そのことはまだみんなには伝えてはないけど、地下まで物資を取りに行くときになれば必然とみんなに言う必要がある。

 

それに、流石にあの狭さであの量相手は幾ら何でもキツイ。

 

「…いっそのこと、燃やしてやればいいんじゃね?蒸し焼き、みたいな。あそこの扉、全部防火扉でクッソ分厚いし、なんとかなるんじゃ……いや、食料とかダメになるかもだし、熱で薬の性質が変化したら元も子もないか…」

 

…まあ、そのときになったら考えよう。

 

「ん…?あれ、誰か走ってる…?……やな予感」

 

なんか物音するなーと思い、耳を澄ませると、扉の方から何やら音がする。ドタバタと階段を駆け上がるような。

 

アイツラはこんな音を出せるわけがないから、出せるとしたら生きた人間。しかもここには生きてる人は俺以外だとたった4人な訳で…

 

 

さて、説教(地獄)が待ってるぞ、こりゃ。

 

 

「レイ君!」

 

「…げ」

 

うわっ、しかも一番怒らせたら怖いりーさんだ。

これは死んだかも(震え声)

 

「レイ君!何してるの!」

 

「い、いえ。少し考え事を」

 

正直にいうも、りーさんは納得しておらず、怒り心頭だった。

あれ?ていうかうっすら涙が浮かんでいるような……。

 

「ほんっとうに…急にいなくなって……。心配したんだから……」

 

「は、はい。ごめんなさい。ただ、夜だし、3階から上は完全に安全と言えるまで探索はやっていたので1人で屋上に行っても大丈夫かなーと思いまして」

 

「ふざけないで!」

 

「(ビクッ)」

 

…怒鳴られた。いや、当たり前なんだけど。これは百パー俺が悪い。

 

「私が、レイ君が急にいなくなってて、どれだけ不安になったか…」

 

「…すいません」

 

何も言い返せねぇ…

てか、涙目で訴えるって反則。良心が粉々に砕かれる。

 

「…ん?私、ってことは今起きてるのはりーさんだけ?」

 

「そんなこと今は関係ないわ」

 

「いやいや、俺が言えた立場ではないですが、学園生活部の…第何条目かは忘れましたが夜1人で行動しないってやつがあった気が」

 

「…」

 

「いや、目を逸らさないでくださいよ」

 

そう言うも、りーさんは目を合わせようとしない。

俺に注意してしまった以上、気まずいんだろう。

 

…でも、なんか無理に顔逸らしてるから、何というか面白可愛い顔になりかけてる。

 

「……」

 

だから、そんなりーさんをケータイで写真を撮ったのは間違っていない。

何でケータイがあるかというと、元々この高校は携帯については規則が緩く更には俺は保健室登校だったため、常に持つことを許されていた。充電の仕方とかかなり気を使ってるけど。

 

「ちょっ、レイ君⁉︎何を…」

 

「ほら、りーさん可愛いですよー。これ由紀姉とかくるみさんにも…」

 

「…」

 

「あっ、はい。すいません。冗談です。…口止め料、っていうものですよ。りーさんのこの写真があるので、俺がここにきていたことも内緒で、頼みますね」

 

笑いながらそう言うと不満なのかりーさんは不機嫌な顔になった。

 

「まあまあ、そう怒らないでくださいよ。今夜たっぷり時間はあるんですから。…そうですね。不公平でしょうし、もう一つ。俺の秘密を、りーさんに教えますよ。それでおあいこです」

 

「秘密…?」

 

秘密という単語が引っかかったのか、不満顔から今度は疑問を含んだ顔になった。

 

「ええ、俺の秘密です。具体的に言いますと……俺が地下で何をしたか、何が起こったか。……それを言う前に、覚悟、できますか?」

 

「覚悟?」

 

「ええ…。世の中には、『知らない方が幸せ』って事があります。俺の秘密は、まさにそんな部類に入ります。今から言うことは、めぐねえにすら言ってません。ですが、今後地下に行く可能性は限りなく高いです。ならば、必然と俺が何をしたか、何をされたか、わかってしまいます。ならば、今いうか、後に言うかの違いです。覚悟っていうのは…そんな俺を、どうするか----生かすか、殺すかを決めて受け入れる覚悟ができているか、という意味です」

 

「…めぐねえ達と、一緒じゃダメなの?前に、めぐねえ達と一緒に、包み隠さず、って言ってくれたでしょ。アレは嘘なの?」

 

「嘘じゃないですよ。ただ、今は、めぐねえはともかく、くるみさんと由紀姉が一緒はダメですね。ショックが、大きすぎる可能性があるので。もう少ししたら、…地下に行って、薬の箱を見つけてもらったあたりが、多分タイミング的にはジャスト、だと思います」

 

りーさんは、何を言おうとしているのか想像ついていなかった。

 

ただ、それが当たり前だ。

 

俺は、フェンスに座ってりーさんを見下ろす形になり、そこから左足の靴と靴下を、ゆっくりと脱ぐ。

 

「…!レ、レイ…君?そ、その足首についているのって…」

 

「ええ、そうですよ、りーさん。俺は、地下生活をしていた時に、()()()()()()()()()()()()

 

「っ!」

 

そう言うとりーさんはすぐに俺から距離をとった。

うん、ただしい判断。

 

「安心してくださいよ。俺にあるのは、空腹感と体温の低下のみです。超低温の体温ですので、夏とかだとヒンヤリして気持ちいいと思いますよ。これからの季節にはぴったりです」

 

皮肉を交えてみるも、りーさんの顔はずっと険しい。

 

「…本当に安心してくださいよ。俺が噛まれたのにこうして生きている、ってことはどう言うことか、りーさんなら想像つくでしょ?」

 

「…薬が、あるのね。アイツラの症状を治すための、薬が」

 

「うーん、少し違いますね。正確には、噛まれた後に投与すれば発症を抑える事ができると言うもの。噛まれてから時間が短ければ短いほど、効果は期待できます。俺の中での当面の目標は、この薬を人数×2つ分は取ってくること」

 

「レイ君、そこは…今は、どうでもいいの。貴方は…」

 

「ああ、はい。…どこから話しましょうかね。やっぱり…あの日から、でしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、僕はいつも通りの朝を迎えていた。

 

 

 

僕は、いつも通り慈さんより早く起きて、慈さんのタンスから下着以外の、いつも学校できている服を取り出して慈さんの部屋の前において、キッチンで2人分朝ごはんを作って、テレビをつけて。

 

…なんか、交通事故のニュース多いね。

 

朝の6時半になり、慈さんの部屋から目覚ましの音が鳴り響く。

ガチャッと音がしたあたりからちゃんと起きてくれたんだと思う。

 

「うー…おはよー…」

「おはようございます、慈さん」

「あ…今日は目玉焼き?」

「ご名答です」

「いつもありがとうね…レイ君」

「いえ、これくらい」

 

慈さんは寝ぼけながらも、椅子に座ってご飯を食べ始めた。

というか、恵さんパジャマがはだけかけてるんですが。目のやり場に困るんですが。僕、ちゃんと着替え置いてなかったっけ?

 

「相変わらずご飯美味しい〜」

 

あ、これ気づいてないやつだ。いつもののほほんとした感じだから、多分そうだと思う。ていうか…あの、パジャマの下から下着とか見え始めて……

 

「?レイ君、どうしたの?顔逸らして。なんだか顔も赤いよ?」

 

「いや、あの…その、慈さん、今一度自分の姿をご確認ください…」

 

「…?…っ⁉︎」

 

ゆっくりと自分の姿を見た慈さんは、一気に顔を真っ赤にして服を着なおしてくれた。

 

「むきゅう……」

「そ、その…なんかごめんなさい」

「い、いえ、これは私が悪い…んだけど、レイ君、もしかして見…」

「見てないです」

「いや。さっき指摘してくれたってことは見」

「見てないです」

「いやでも」

「見てないです。あ、学校行く準備…しなきゃなのでひとまず部屋に戻りますね」

「…まあいいわ。わかったわ。…ねえ、レイ君」

 

「はい」

 

「学校…行くのは辛くない?」

 

「…辛いかと言われたら、辛いです。でも、慈さんがどれだけ僕のために頑張ってくれているのか、それを考えると行かない、なんて選択肢はできないです。それに…人付き合いがダメなだけで、勉強は普通に好きなんです」

 

「そう…」

 

相変わらず慈さんは学校の話となると一気に暗くなる。

そんなのを見ていたら僕まで悲しくなってくる。

 

イジメ(あのこと)は慈さんは一切悪くないのに。

悪いのは、全部自分なのに。

 

「それじゃ、準備してきますね。慈さんも、部屋の前に着替え置いていたはずなので、早めに準備お願いします。なんか今日は渋滞してそうなので」

 

窓から外を覗くと、車がかなりいっぱいいるのが微かに見えた。

今日雨なのかな?

 

 

 

 

思えば、ニュースをよくよく見ると、この街の近くで交通事故が多発していたのいうのがわかって、何か異変が起こっていると気づけたのかもしれない。

この時から、何かおかしいと、気づけたのかもしれなかった。

 

 

 

 

あれから、準備を終えた慈さんと、車にて学校に向かった。

 

歩いて行けない距離ではないけど、()()()()から、1人で登校することを慈さんが拒んだ。そのためこういうことをしている。

 

「本当に渋滞しているわね…。レイ君が言っておいてくれて助かったわ…」

「いや、慈さんいつもギリギリだったから冗談で急かしたつもりだったんですけど…別の意味で功を奏しました」

「その節は大変ご迷惑をおかけしました…」

 

と、慈さんは項垂れてしまった。

可愛いけど、運転大丈夫ですか?それ。

 

「ていうか、今日サイレン多い…ですね。何かあったのかな」

「そうね…」

 

今朝のニュースといい、何かテロでもおこってたりして。

 

 

まさかね。

 

 

と、そんなくだらないことを考えてると助手席の方からメールの着信音が届いた。

 

「?慈さん、メール届いてますよ」

 

「ああ、またお母さんだと思うわ。いいわよ放っておいて」

 

いつものやつってことですか。相変わらず慈さんのお母さんは心配性というかなんというか。

 

「…(見えてきたな…嫌だな。またクラスメイトと顔を合わせるかもしれない)」

 

窓から学校が見えてきて、そこそこ高かったテンションは一気に0まで落ちた。

 

それをできるだけ隠しながら窓の外を、できるだけ学校を見ないように眺める。

そしてしばらくしたら学校の中に入っていく。

 

「よし、それじゃあ丈槍レイ君。また放課後ね」

「はい、佐倉先生」

 

そして、慈さんは職員室の方向へ。僕は保健室の方向へ向かって歩いていく。

 

はぁ…やだな。

 

 

 

 

〜昼休憩〜

 

「…ご飯食べよ」

 

保健室の机で弁当(もちろん僕の手作り)を開く。

相変わらず素っ気ないけどお腹膨れればいいし。

うん、料理のバリエーションが少ないわけじゃないですよ。本当です。

 

「いただきま…」

 

ポンっ

 

「っ⁉︎…て、なんだユウちゃんか…」

 

「相変わらず驚き過ぎじゃない?てか、どーやってそこまで移動したのよ」

 

「か、勝手に体が動いちゃうんだからしょうかないじゃん…」

 

「いやいや、机の前から、後ろ私がとってたのにどうやって私の後ろにあるベットまで潜り込んだのよ」

 

そんなこと言われても分からない。

 

目の前にいる茶髪ロングで、瞳の色が赤というちょっと変わった見た目をしてるのは、南雲有(なくもゆう)

 

小学校に上がる前からの幼馴染で、この学校で慈さん以外で話せる2人のうち1人だった。もう1人?それはこの保健室の先生です。

 

ユウは、超体育会系女子といった感じで運動神経がめちゃくちゃいい。

あとは喧嘩早い。

 

小学校の頃に、2人の下の名前をあわせたら『ユウレイ』となることからからかわれたが、その日のうちにからかってきた相手を男女問わず問答無用で蹴散らしたことが…。

 

「ユウちゃん、僕のとこに来た時点で何をしたいかは察してるけと…どしたの?」

 

「ふふん、バレてるなら隠す必要もないね。てことでレイ。勉強教えて!」

 

「やだ」

 

「なんでー!」

 

「だって…ユウちゃん。どうせ赤点全部でしょ?」

 

「……」

 

「目そらしてもダメだよ」

 

図星らしい。相変わらず体を動かすこと以外はポンコツらしい。

 

「うーー、お願いレイ!ピンチなの!ほんっとにピンチなの!」

 

「一教科ならともかく、全教科はヤダ。勉強しなかったユウちゃんの責任」

 

「うぅ…レイの人でなしー!あ、じゃあじゃあ!わたしと何かスポーツで勝負して!それで私が勝ったらお願い!」

 

「やだよ、ユウちゃんの独壇場じゃん」

 

「むー、よく言うよ。レイもなかなかの身体能力の癖にー。私と唯一張り合える男子だよ?キミィ。少しくらい自分のスペックの高さを自覚しなよ」

 

「そんなわけないじゃん。みんな手を抜いてるだけだよ。それと絶対やだよ。前に勉強を見てあげて地獄見たからね」

 

「むー!レイのドケチ!いいよもう!」

 

そう言いながらユウちゃんはどこかに走り去っていった。

 

「相変わらず破天荒…。……僕に関わったらロクなことが無いって分かってるはずなのに、お人好しなんだから…」

 

 

 

 

〜放課後〜

 

よし、やっと終わった。早く慈さんの所に…。

 

職員室の扉をカラカラとゆっくり開けると、いろんな先生に一斉に目を向けられる。

 

 

「っ…そ、その…さ、さく、佐倉…慈、せん、せいは…」

 

 

思わず、息が詰まって、何かよくわからない感情がグルグルして、うまく言葉にできない。

 

どれだけ人に対して拒絶をしているのか、克服できていないのか、自覚できるほど酷い。

 

「あ、ああ。佐倉先生ね。いま三年生の教室で国語の補習をやってるわよ。ね、ねえ…顔青いけどだい…」

 

「ひっ…」

 

「あっ!ちょ…」

 

先生が近づいてきて、思わず逃げるように職員室を出てしまった。

周りの生徒の目が向いているのも構わず、とにかく慈さんのいるであろう教室へ走った。

 

 

 

 

「はっ…はっ…はっ…」

 

三階の、三年生の教室まで来た。

逃げるように走ってきたおかげで、呼吸が辛い。

 

「うぅ…」

 

 

駄目だ、やっぱり人と話すのは。

大丈夫と、わかっていても拒絶してしまう。

 

 

「し、失礼…しま……」

 

「あらレイ君」

「誰?」

「由紀ちゃん、この子はレイ君。丈槍零君よ。って…それより由紀ちゃん、テストやってね…」

「わかってるよー。お堅いんだからめぐねえは〜」

「めぐねえじゃなくて、佐倉先生でしょ…もう。あ、レイ君。中入ってていいから、離れた所に座っててくれるかな?」

 

「は、はい…」

 

教室の中には、慈さんともう1人。ピンクの髪で少し変わった帽子を被ってる人がいた。

制服は紫色の方だった(この学校はなぜか制服が二種類、緑を基調としたものと紫を基調としたものがある)。

 

慈さんの言葉からすると由紀さんというらしい。

この教室で補習?を受けてるということは多分三年生の人だろう。

 

 

でも、僕には関係なくて。

 

どうしても、慈さんの人以外だと、他の全ての感情を差し置いて、拒絶をしようとしてしまう。

 

由紀さんを警戒しながら、かつ怯えながらという自分でもよく分からないことをしながら、ゆっくりと壁沿いに移動して、一番離れている席に座る。

 

「(本…読もう)」

 

本を読むのは、個人的には好きだった。

周りを気にしなくていいから。自分だけの世界に入ることができる。

 

 

あとは、慈さんをこっそり見てたりとか。

 

 

「…由紀ちゃん。ちょっとテストしながら待っててもらえる?ちょっとだけ外に出てくるわ」

「えー。お腹すいたーおかし食べたいー!」

「テストが終わったらね」

 

と、慈さんは教室から出て…行って……え?

 

「め、めぐ…み……さん」

 

とっさに、呼ぼうと思ったけど、時すでに遅く、どこかに行ってしまった。

 

「……」

 

怖い、一人は、嫌だ。

しかも知らない人と、他人と同室だから、尚更、嫌だ。

 

と、とにかく本を読むフリでも何でもいいから隅っこでじっとしてよう……。

 

 

 

 

「……」

 

何というか、あの子変だ。

たしかレー君ってめぐねえが言ってた。

 

でも不思議なことに名字が丈槍で一緒だ!

もしかして、生き別れの弟だったり⁉︎

 

「ねえ!」

「(ビクッ)」

 

小難しいことを考えず元気に話しかけてみると、ビックリさせてしまったらしく縮こまってしまった。

うー、失敗したかな?

 

「レー君?だっけ。本読むの好きなの?」

 

「……」

 

「あ、あれぇ…?」

 

私なりに無難な話の始め方をしたのに、無視されちゃった⁉︎

 

「…」

 

あ、違う。どうしようか迷ってる。目が泳いでるもん。

 

「そ。その…テ、スト。やら……なくていいんです…か?」

「ふふーん。もうとっくのとうに終わったよ!」

「そ、そう…です、か」

 

なんだろう。ずっと目をそらされる。

 

……いたずらしちゃおっかな。

 

「えいっ!」

「へっ、うわっ⁉︎」

「このこのー!」

「ちょ…やめ……くすぐったい…」

「ほら!張り詰めた顔は疲れちゃうよ!笑って笑って!」

「や、やめ…」

 

顔をずっと本で隠してたから、後ろに回り込んでくすぐってみると効果は抜群だったみたい。笑いを必死にこらえてる。

 

「ゆ、由紀ちゃん…?な、何してるの…?」

「あ。めぐねえ。おかえりー。いやー、ちょっとね。レー君と遊んでた!」

「あ、遊んでた…?それとめぐねえじゃなくて…」

 

レー君が涙目になってきたあたりでめぐねえが帰ってきた。

 

「由紀ちゃん、テストは…?」

「ふふーん。もうとっくのとうに終わっちゃったよ!」

「お疲れ様。レイ君も、ごめんね1人にしちゃって」

「い、いえ…大丈夫…です」

「ねえねえ!レー君。一緒に帰ろ!それでそれで!アイス買って食べようよ!」

「こらこら、下校中の買い食いはダメよ」「そ、その…帰りは、佐倉先生と…帰るから、無理……です」

「えー!」

 

なんと…まさか生徒と教師の禁断の恋⁉︎

 

 

 

 

あながち間違いではなかったりする。

 

 

 

「めぐねえー」

「佐倉先生…?」

 

「うん…」

 

どうしたんだろ?ずっとスマホ見てる。

 

「ねえめぐねえ、どうしたの?空返事だよ」

 

めぐねえのスマホを見てみようとするも、見れなかった。

何があったんだろ。

 

「もう、人のスマホを勝手にみちゃいけません」

「ちぇーもう帰るー」

「慈さん、本当にどうしたんですか…?」

「い、いや…その…」

 

おおっ、レー君がちゃんと喋った!なんだー。喋れるじゃん!

 

「た、丈槍さん!」

 

「「はい?」」

 

と、めぐねえに呼ばれたから返事をすると、まさかのレー君とハモっちゃった!これは運命的な奴では⁉︎

 

「あ、そ、そうだったわね…。2人とも名字が同じだったわね…。由紀ちゃん。電車止まってるみたいだから、少し待って行ったら?」

 

「えー?そうなんだ。でもお腹すいたよ…。あ!そうだ!屋上いこうよ!プチトマトとかあるんでしょ?」

 

「あるけど…食べちゃダメよ?それに屋上は立ち入り禁止だし」

 

「それなら、園芸部の見学!それならいい?」

 

「…しょうがないわね」

 

「やったー!ほら、レー君も行こ!」

「え、僕は…い、いいで…」

 

「よし!レッツゴー!」

 

渋っていたレー君の腕をもって、屋上へしゅっぱーつ!

 

 

 

 

 

…一体何がどうなって僕はここまできたんだ。

 

由紀さんに弄ばれて、流れて屋上まで連れてこられた。

にしても…電車とまったんだ。

 

今朝のニュースといい、サイレンの多さといい。本当に何か起こってるのかな。

 

スマホを開きたいけど、手を由紀さんにもたれてひらけない。

 

「鍵、開いてたね」

 

ためらいなく由紀さんが屋上のドアノブを回すと、普通に開いた。

 

そしてその先には園芸部が育てている植物から、太陽電池、貯水槽などが見えた。

 

相変わらずの設備の良さだね。

 

「あ、すいませーん。また鍵かけ忘れちゃってて。閉めておいてもらえますかー?」

 

多分、園芸部の人だろう。その人がそう言ってくる。

 

場所的に僕が一番近かったから、鍵を閉める。

 

「わぁー!ほら!レー君行こ!」

「ちょっ…ひっぱら…ないで…」

「すごいよ!これ!あ、園芸部の人ですか?」

 

「見ての通りよ。あなた達は園芸部の見学かしら?」

 

「うん!そーだよ!」

「いや、僕は違…」

「美味しそーだね!」

 

「うふふ、食べたい?」

 

「いいの⁉︎」

 

「ええ、お手伝いしてくれるならね」

 

「うん!」

 

ちょっ…僕関係ない……。

 

慈さん、そんな慈愛に満ちた目を向けないで助けて…。

 

 

「ゆーりさんは、いつも1人で菜園のお世話をしているの?」

「ううん、なぜか今日は1人も来ないのよね」

 

由紀さんが手伝いに入って、ようやく解放された。

 

にしても…やたらとスマホに通知くるな。何かあったのかな?

 

慈さんは慈さんで誰かに電話してるし。

 

「…えーと、ニュース速報…?」

 

何でニュースが通知で来るんだ。

てか…あれ?『巡ヶ丘市で大規模な交通事故発生』『巡ヶ丘ショッピングモールで大規模な乱闘』『巡ヶ丘市で……』

 

 

…え、全部この近辺じゃ…。

 

 

「慈さん。電話って誰にかけて……」

 

「そ、その。お母さんにだけど…なんでかでなくて……」

 

そう言いながら慈さんはスマホをまた操作し始め……。

 

 

 

プルルルル……

 

 

 

そしたら、今度は電話がかかってきた。

 

慈さんと、僕のが同時に。

 

慈さんのは他の先生から。

僕のはいつもお世話になってる保健室の先生から。

 

「もしも…」

 

『レイ君!大丈夫⁉︎今どこ…』

 

 

ドンドンドン!

 

 

とても焦った声で、開口一番にそう言われた途端、今度は屋上の扉が勢いよく叩かれた。

 

「え…」

「なんだろ?」

「他の当番の子かしら?」

 

『屋上ね!なら絶対そこから動かないで!絶対に誰も入れないで!もう保健室の方は……グシャッ!』

 

話してる最中に、何かが吹き出たような音が聞こえた。

そのすぐあとに、バリン!と言う何かが割れる音も。

 

 

ドンドンドン!

 

 

いまだに、叩く音が鳴り響いてくる。

 

「…ね、ねえ。慈……さん。一体何が…」

「わ、わからないわ…。職員室の方で…何か起こって…」

「ほ、保健室の方も…です。何か、吹き出たような音とかして…」

 

職員室も…?

 

「はーい、今開けるよー」

 

そんな中、由紀さんは扉を開けようとした。

 

「ま、待って由紀ちゃん!」

 

「へ?めぐねえ…?でも、開けてあげないと…」

 

慈さんのとっさの制止によって、しばらく沈黙が流れた。

 

 

だれか…

 

 

「慈さん、生きてる人です!」

「!」

 

小さな声が聞こえたから、咄嗟に叫ぶと慈さんがドアに近づいて耳を当てる。

 

「お願い……開けて…」

 

「っ!」

 

慈さんが確認したあと、すぐに扉を開けた。

そこからは、ひとりの女子と怪我をして担がれている男の人がいた。

 

男の人は、左腕に咬まれた跡があった。

 

犬や猫といったものじゃなく、どう見ても人の歯型だった。

 

「恵飛須沢さん⁉︎」

 

「早く…鍵かけて…」

「この人、怪我してる!」

「何が…あったの?」

「先生、早く保健室へ!」

 

「「ダメだ(です)!」」

 

園芸部の人に、僕と恵飛須沢さん?はほぼ同時に返した。

 

「下は…もうダメなんだ」

「保健室の…先生から、電話があって……もう、そこも、何かが起こって…。保健室の先生も多分…巻き込まれて…」

 

 

「何…あれ…?」

 

 

全員が混乱してる中、由紀さんがフェンスから外を見てそう呟いた。

 

それにつられて、見てしまった。

 

 

見ない方が、良かった。

 

 

そこは、地獄が広がっていた。

 

まるでゾンビ映画のワンシーンのような、現実にありえないようなことが、実際に起きていた。

 

人が、人に噛まれて。噛まれた人も、同じように他の人に噛みつきにいって。

 

それが至る所で起きている。

人の悲鳴が、こだまする。

 

「…っ!あ、あの!ユウちゃん…南雲有は…どこにいったかわかりますか!格好を見る限り、ユウちゃんと同じ陸上部…ですよね!」

 

「っ…。な、南雲のやつはアタシが逃げること提案したのに、他の奴らを助けるって言って聞かなかったよ。アタシのせいじゃない…」

 

「…そ、んな…」

 

 

いや、大丈夫だ。きっと…ユウちゃんなら…。

 

 

「っ、先輩!」

 

突然、男の人が唸った。

容体が急変したのだろうか。

 

「外に出て、救急車を呼ばないと…」

「ダメ…さっきからかけてるのに、繋がらない!」

 

 

 

ドガァァァァン!

 

 

 

すると、今度は街の方で、とても大きい爆発音がした。

一回だけじゃなく、何回も。

 

目で見えるだけでも4〜5箇所ほどから、煙が上がっているのがわかる。

 

「え…?わかんない…。なんで…。どうして、こんなこと……」

 

 

ドン…ドン……

 

 

由紀さんが、混乱して、何かを言ってると、また扉が叩かれた。

 

まだ生きてる人が……?もしかしてユウ…

 

 

 

バリィン!

 

 

 

「「「っ⁉︎」」」

「いやぁぁぁ!」

 

「くっそ、きやがった!」

 

ガラスが割れ、そこから出てきたのは

 

明らかに腐敗してきている腕。

 

一本だけじゃ無い。少なくとも5本以上ある。

 

「え、園芸部のロッカーを!」

「せ、洗濯機も!」

 

慈さんが慌ててロッカーを動かしに行った。多分扉を塞ごうとしたんだと思う。

園芸部の人は、洗濯機を取りに行った。

 

「て。手伝います!」

「お願い!」

 

それに流されるように、洗濯機を移動させるのを手伝う。

 

 

「……」

 

「先…輩?」

 

 

洗濯機を移動させている最中に、見てしまった。

 

噛まれていた人が、急に立ち上がったのを。

皮膚の色が、変色し始めていたのを。

目から光が消えていたのを。

 

さっきまで男の人()()()()()は、一番近くにいた恵飛須沢さんに向かって手を伸ばした。

 

「恵飛須沢さん逃げて!」

「ハッ…きゃっ!」

 

そして。押し倒された。

 

「いっ…っ…!」

 

その後も、男だったものは、恵飛須沢さんにゆっくりと近づいていった。

 

「ウガァァァ!」

 

「うぁぁぁぁ!」

 

 

そして、恵飛須沢さんは、手元にあったシャベルで

 

目の前の、男だったものの首を、殴った。

 

ゴギッという生々しい音と共に男だったものはその場に崩れた。

 

「……」

 

 

死んだような目で、恵飛須沢さんは立ち上がった。

そして、首にもう一度、振り下ろした。

 

 

更にまた、今度は頭に向かって

 

 

 

 

さらに頭にもう一発

 

 

 

 

四発目が入ろうとしたところで、由紀さんに止められた。

 

由紀さんが恵飛須沢さんにしがみついた。

するとさっきまでなかった光が、目に戻っていた。

 

遠目だからはっきりとは言えないけど、由紀さんも恵飛須沢さんも泣いているように見えた。

 

そして、カランと音を立ててシャベルをその場に落とした。

 

「慈…さん。ここから、どう……」

 

プルルルル

 

 

慈さんに、どうすべきか、背中からのはげしい振動を感じながら聞くと同時にスマホから着信音が鳴った。

 

押さえつける力を緩めずに、なんとかスマホを取り出すと、そこにはユウちゃんからの着信を示す画面が映っていた。

 

「も、もしも…」

 

『レイ!よかった生きてた!』

 

「ユウちゃん!よかった…そっちも無事だったんだ…」

 

『なんとかね!そっちはどう⁉︎誰か生きてる⁉︎』

 

「慈さんと他に三人生きてる人いるよ。…っ!」

 

話してる最中も、アイツラは構うことなく扉をこじ開けようと力任せに叩いてくる。

 

『っ、やっぱり屋上に集まってんのね…。レイ!生きてんのなら、多少無理してでも地下にきな!地下は食料も薬も…ああもう!数が多い!ごめんまた無事だったらかけ直す!』

 

そして電話は切れた。

 

「レイ君、今のは……」

 

「ユウちゃん…です。まだ、生きてる…。多少無理してでも地下に…って。食べ物も薬…?もあるって…」

 

「れ、レイ君。何を考えて……」

 

「慈さん…、僕、こいつらが僕たちを諦めたら…いって、みます…。そ、それで…慈さんを、少しでも、安全な……」

 

「っ!ダメよレイ君!そんなこと…」

 

慈さんにそう言うと、とても止められた。

当たり前だ。

 

 

でも、この時の僕は、なぜかまともな思考ができなくなっていた。

そもそも、地下の場所すらわかってなかったはずなのに。

 

 

少しずつ、地下に向かえるよう今この場を整えるべきだったんだろうけど。

とにかくユウちゃんが心配だった。

 

それに、慈さんを、とにかく安全な場所に連れて行きたかった。

 

 

「……諦めた、感じですね。物音が聞こえなくなったら……行ってみます」

 

「お願いレイ君、やめて!」

 

「…うん、行けそう……。慈さん、念の為、僕が行ったら……、すぐにここ塞いで…。大丈夫です、ユウちゃん達を確認したら、すぐにユウちゃんを引き連れて、帰ってきます。そしたら、またみんなで地下に行けば……。よし、それじゃあ…行ってきます」

 

「お願い!待ってレイ君!1人で……」

 

慈さんの制止を振り切り、僕は屋上から出て地下へ向かった。




さて、次回で地下での生活編です。

ない頭を使って頑張ります


そしてサラッと出てきてましたが、主人公は何気にハイスペックです。勉強できて身体能力高い。なんだその勝ち組(

そして何気に新キャラで主人公の幼馴染も出てきてます。
下の名前だけ決まっていて上の名前は結構適当です
まあ、今出てきてて現在の時系列で出てきてないと言うことは……がっこうぐらし読んでる方は察せるはず……


読んでくださりありがとうございます。
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