もうやばいです、何がやばいってもう全てやばいです
実写は知らん
今回は遠足本番
さてはて、どうなるんでしょうか
それではどうぞ。
「やっぱり外はあまりいないですね」
「レイ君の言う通りだったわね。それにしても…私より運転うまい…」
助手席からそんなめぐねえの落ち込んでる声が聞こえた。
いやまあ、そんな声ださなくても。
見様見真似だからそんなに上手くないと思うけど…。
「やっぱりレイはハイスペックだよ。勉強できて運動できて、ましてや見てただけで車の運転できるとか」
「そんなことはないですよ。自分は皆さん以上に時間があったわけなので。みなさんが別のこと…部活とか、それらに時間かけてたことを全部勉強とかに費やしてただけです。めぐねえに褒めてもらいたくてずっとやってたんですけどね。俺がいい成績をとると自分のことのように喜んでくれるめぐねえを見て俺も嬉しくなって、それで余計に頑張ってたんです。なぜか俺以上にはしゃいでいましたけど」
「やっ!ちょ、レイ君!」
隣から非難の声が上がったが別にいいでしょ。自宅でのめぐねえは結構天然で可愛いからもっと普及するべきだ(真顔)
「っと…ここも通行止め…」
「やっぱり多いわね」
「バックするんで由紀姉とりーさん、後ろ見ててください」
「わかったわ」「はーい!」
ゆっくりバックミラーを見ながら慎重に来た道を戻っていく。
交差点まで来たところで一旦車を止めた。
「えーと…ここもダメだから…」
「次は…左から回る方ですね」
「想像以上に大変ね…」
どうも爆発とかで塀が崩れたりとか電柱が倒れているだとかが多い。
「もう少し、もう少し…はいストップ」
「フーッ…つかれた……。で、あとどれくらいですかね?」
「この調子なら…明日の朝に着くくらい?」
「でも…ここまですんなり来れたのは意外でした。もうちょっと手こずるかと思ってたので…。そんじゃ、引き続きドライブ続けますよー」
「おー!」
由紀姉だけが俺の適当な掛け声に全力で返してきてくれた。由紀姉はこう言う時に無理にでもテンション上げてくれるから頼もしい(本人は自覚ないと思うけど)。
「しばらくここを真っ直ぐで…」
「わかりました」
「…っ!ストップ!」
「え⁉︎」
「わっ⁉︎」
ゴスっ
「あだっ⁉︎」
「ど、どうしました胡桃さん?」
後ろから突然言われて急ブレーキをかけた。おかげで1人盛大に頭をぶつけた音がした。
「あ…いや、ごめん。なんでも…ない」
「?」
「あれ…もしかしてここ、くるみちゃんの家?」
由紀姉が外を見ながらそう言った。釣られてみてみると、確かにプレートに恵飛須沢と書いてあった。
「顔だしてきたら?随分と帰ってないじゃない」
由紀姉はそんなことを言った。
悪気は一切ないと思う。だって由紀姉だし。
でも、あまりにも酷だと、内心思った。
「でもほら、今日帰るって言ってないし」
「いーじゃない別に」
「……。そうだな、ちょっと顔出してくる」
そして胡桃さんは家へ行くことを決めた。
辛くない筈がないのに、胡桃さんは確かめる方を選んだ。
「(やっぱりここにいる人、みんな、
「いやいいわ。あたしの両親はむしろごりごり押してくるから余計めんどくさくなるし」
「りょーかいです」
軽く言葉を交わしたあと、胡桃さんは自分の家へ入っていった。
「…自分の家、家族…か」
最初に思い浮かんだのは、ずっと育ててくれた母さんとめぐねえ。父親はよくわからない。いたと言うことは覚えているけれど、どんな顔か、どんな人だったかは覚えていない。
「…あ、帰ってきた。よかった、無事で…」
「もしかしたらレー君を女の子って紹介してたりして」
「んなバカな」
いやまぁ、確かに俺が親なら同性だけの方が安心するわな。なにも疑わなくていいし。
「おかえりーくるみちゃん」
「おう」
「あ、おかえりって変かな?家からおかえりって」
「いんじゃね。ただいま」
〜夜〜
「「zzz…」」
パシャ「ふふ…相変わらず可愛いわね」
車の後部座席には由紀と零が肩を預け合うようにして寝ている。助手席にはめぐねえが乗っており、外には胡桃とりーさんが見張りをしていた。
しばらくしたらめぐねえ、零と交代だろう。
「もしかして…って、思ったんだよな」
外で胡桃が何気なく口を開いた。
「やばいのは学校の中と周りだけで外じゃもう救助が始まってるんじゃないか、みたいな」
「そうね、私もちょっと思ってた」
「ヘリがさ、ばばばって飛んできて自衛隊?国連?の人が大丈夫かー。よく頑張ったなーって。そんな…ことを、思ってたんだけど、やっぱり現実はそんなに上手くいかないよな」
「まだわからないわよ。きっとヒーローも頑張ってるのよ。今は東京で救出作戦をやってるの」
「そっかー」
「救出した人を集めて大きなバリケードを作って、そこから遠征隊を募って…」
「じゃあヒーローもうちょっとかかるかなぁ」
「そうね、ヒーローさんあとちょっと……」
「ヒーロー早くくるといいなぁ」
そんな他愛ない、現実から離れた理想を互いに話していた時だった。
「あっまーーい!」
「え?」「わっ」
「ヒーローなんて待ってるもんじゃないよ!ヒーローはなるもんだ!」
それは由紀だった。車の上に立ちそんなことを大声で叫んだ。
「お、お前、どっから聞いてた?」
「ん?ヒーローがくるとか来ないとか?」
「ほっ…。たっく、ヒーローなるってどうするんだよ」
「人はね、誰だって誰かのヒーローになれるんだよ!ダリオマンが言ってた!」
「漫画じゃねえか!つか、レイはどうしたよ」
「めぐねえがいつの間にか横に来てて、それでめぐねえが膝枕しててめぐねえも寝てる」
由紀がそう言い、3人は一斉に車の中を見た。
そこには由紀の言う通り、膝枕されているレイと心地好さそうに寝ているめぐねえがいた。
「ふふっ…可愛いわね」
「このこと知ったら、2人とも赤面するだろうなぁ。…あ、そういえばレイのやつの携帯が…」
「どーするの?」
胡桃が何か悪い顔をしてレイの携帯をポケットから取り出した。
「こーするんだよ」
パシャッという音を立てて、2人の写真を撮った。
そして…
「よし!これでレイへのドッキリの準備は完了だな!」
そこには先ほどの光景が背景と化したレイの携帯があった。
それを見てみんな笑いを堪え切れなくて----2人を起こしては悪いので静かに----笑った。
「ねーねー、みんなにとってのヒーローって誰?」
「あん?なんだよ急に」
そんな中、突然由紀がそんなことを言う。
「さっきヒーローのことを話してたでしょ?だから、ついそんなことおもっちゃって…」
「私にとってのヒーロー…か、待て、それ恋バナじゃね?」
「あらいいじゃない。恋バナ。そーねぇ、私にとってのヒーローは……やっぱりレイ君、かしらね。ずっと自分のことを顧みず、私を、私たちを助けてくれてる」
「りーさんも⁉︎私もレー君なんだよ!レー君は、私が何言っても嫌な顔せずに、ちゃんと付き合ってくれて、無下にしないでくれて、いざという時には助けてくれて……本当に、優しくてかっこいい!
「ヒーロー、か…。あたしは、やっぱり……」
胡桃は、大学の先輩を思い浮かべていた。
ただ、ヒーローというよりは、いつも目で追っていたというのが正しいと感じていた。
「…やめだやめだ。あたしにはこんなの似合わねえよ」
「もー、照れ屋だなぁくるみちゃんは」
「よく言うぜ。由紀もレイの話する時異様に元気になるくせに」
「へっ…」
胡桃に指摘された瞬間、由紀の顔が真っ赤になったのは言うまでもない。
〜次の日〜
「zzz…」
「ほら、レイ君。起きて。もう出発するわよ」
「レイ君がここまで寝てるのは珍しいわね…」
現在は朝の7時。レイ以外の皆がもう起きていた。
「…んぁ…慈さん、おはよう…ございます……」
「おはよう、レイ君。ほら、みんな起きてるわよ」
「みんな…?……っ!すいません!寝坊しました!」
「大丈夫よ、ゆっくりとご飯食べてから出発しましょう」
「わかりました、慈さん」
レイは乾パンと水という簡易的な朝ごはんをポリポリと食べた。
その最中に時間確認のために携帯を開いた瞬間に吹き出したとかなんとか。
「はい、出発しますよー。準備はよろしいので?」
「「「はーい!」」」
こうして学園生活部主催の遠足二日目は元気よく行われた。
「とうちゃーく!」
あれから1時間ほど運転し、目的地だったショッピングモールへ着いた。
「はしゃぎすぎよ」
「遠足で熱出すタイプだな」
「そんなことないよ!ないもん!」
「ほら、もう赤くなってる」
「まあまあ」
「でも、本当に心配だわ…」
「何を、めぐねえだって…」
「…やっぱり中には大量にいるよな」
他の4人が和気藹々としてる中、ショッピングモールの中にいるアイツラの気配が学校レベルでいて、軽くげっそりとなってしまう。
「平日だからか、そんなにいなかったな。万が一強制帰還とか考えてたけど」
「アイツラ、みんな学校や仕事へ行っているんでしょうね。まるで生前の記憶があるかのように」
「けど今はそのことを考えても仕方ないわ。久しぶりのショッピングなんだし、楽しみましょ?」
「そうですけど…」
「ねえみんなー!早くー!」
「…そうですね、由紀姉の面倒も見ないとですね」
「ふふ、それじゃあ行きましょ?エスコート、お願いするわねレイ君」
「はい、喜んで」
りーさんにそう言われて冗談を交えて返す。
そして俺たちは入り口まで慎重に近づく。
「開けっ放し?おやすみでーすか?こーんにちわー!」
「由紀姉、あんまり大声出しちゃダメですよ」
「そーだぞ」
「え?どうして?」
「由紀ちゃん、今コンサートのイベントやってるみたいだから、静かに、ね」
「はーい!」
「しーっ」
めぐねえに言われて由紀姉はちゃんと静かにしてくれる…と嬉しいんだけどね。
まあ、なんとかなるでしょ。
「…っし、準備オッケーです。それじゃ…行きましょうか」
左手にタオルをぐるぐる巻きにして固定し、ズボンの右ポケットにいつも使ってる折りたたみナイフを。
準備が完了してみんなで中へ入った。
「わー、広ーい!」
「やっぱりいるわね」
「これくらいの数なら問題ない。あんまり音立てずに着いてきて」
「わかったわ」
「胡桃さん、あまり無茶をしないでね?」
「わかってますよ、めぐねえ。それじゃあ…レイ、後ろは任せたぞ」
「合点承知です」
その後、胡桃さんの小さな掛け声でみんなで一気に走る。
止まっているエスカレーターを駆け上り、シャッターが壊れていない場所を探す。
「くるみさん!そこの店の中なら安全です!」
「オーケー!追ってきてる奴ら足止めしといてくれ!シャッター閉めてくから!」
「わかりました!」
みんながCDショップの中へ入ったのを確認して、周りから湧いて出てきたアイツラを中へ入れないように、かつ噛まれないように立ち回る。
「よし!戻ってこいレイ!」
「りょーかい、ですっ!」
アイツラを振り切って全速力で店の中へ入る。
スライディングして入ったと同時にくるみさんがシャッターを閉めてくれる。
「はぁはぁ…お、お疲れ…様、です…」
「おう、ありがとな、レイ」
「い、いえ、この…くらい。はぁ…」
念のため中の安全確認もしてくれていたようで、ここはしばらく安全だ。
呼吸を落ち着かせて、周りをよく見てみると正確にはCDショップというよりは左右の店とつながっている。他は全部シャッターが閉められていて、ここのCDショップの部分だけ開いていたらしい。
ずっと奥の方を見ると100均のような店から雑貨まである。流石に服とかはないか。
「りーさん、レイ。あたし地下へ行ってくるよ」
「食品売り場…でしたっけ?もう腐ってるんじゃ?」
「缶詰欲しいだろ?だからその辺余ってるのを回収してくるよ」
「一人で大丈夫?レイ君…は疲れてるから、めぐねえとでも一緒に…」
「大丈夫だよ、安全第一でやってくるから。そんじゃ、レイ。みんなのことは任せた」
「任されました…」
そうして、胡桃さんはシャッターの外へ出て行った。
「はーっ…、……うん、特に周りにもいないですし、しばらく気兼ねなくショッピング楽しめそうですね」
「ほらほら!レー君行くよ!めぐねえも!」
「「はーい」」
その後、しばらく由紀姉のショッピングにめぐねえと共に付き合うこととなった。
「…胡桃、大丈夫かしら?」
「くるみちゃんまだかな?」
「そうね、もう少し待ちましょ」
しばらく経って、一旦りーさんと合流した。てかりーさん、演歌なんて聴くんだ。結構渋いですね…。
ガラララ……。
「フーッ、助かったー。やっぱりレイがいるといないじゃ違うな…」
「お帰りなさいくる…み⁉︎」
「犬⁉︎」
「ワンちゃんだ!」
「あらあら…どこから…」
「あっこいつ!」
シャッターを開けて胡桃さんが戻ってきた。
犬を1匹お土産を引き連れて。
てか、なぜに大和煮の缶詰咥えてんの?
「ワン!」
「はっ……。ふふっ。うーーワンワンワン!」
「ワンワンワン!」
「「通じ合ってる⁉︎」」
「ゆ、由紀ちゃん…」
「ワオーーン!」
「待て待て待て!」「めぐねえも見てないで止めて⁉︎」
由紀姉がワオーンとか言いながら犬に抱きつこうとしたのを、俺と胡桃さんで無理やり止める。それを微笑ましくめぐねえが見ていたが手伝って欲しかった。だって異様に暴れるんですもん、この犬姉。
「ご、ごめんね。ちょっとまってね……。はい、どうぞ」
「あっ!大和煮!」
りーさんが犬が咥えていた大和煮の缶詰を開けて犬の前に差し出した。
するとガツガツと食べ始めた。大和煮いいなぁ…。
「りーさん早く…」
「ちょっと待って…」
大和煮という豪華な餌に夢中になっている犬をりーさんが後ろから抱きかかえた。
気配的にアイツラの仲間にはなってないから大丈夫だとは思うけど、噛み跡がないかどうか確かめる必要はある。
「フーッ、大丈夫ね。噛まれてないわ。はい、由紀ちゃん」
安全なのを確かめた後に、由紀姉へ犬が献上された。
その後は心が通じ合ったのか共にのほほんとした顔になり、由紀姉はそれはまあ喜んだ。
「くるみさん、あの子どうしたの?」
「地下でばったり会ったんです。そのまま付いてきたみたいで…」
「飼い主さんはいた?」
「いえ、いなかったです」
「ねえねえレイ君!この子の名前何かな?」
「さあ、首輪にでも書いてるんじゃ?」
「うーーワンッ!ワンッ!」
「うわっ!何何⁉︎」
「もー、レイ君何したの?」
「何もしてないですよ!」
首輪を確認しようと手を近づけた瞬間、犬に吠えられた。
さっきのような和気藹々としたような吠え方ではなく、敵対心むき出しの吠え方だ。
ちょっとでも手を近づけたら噛まれそう。
…昔から動物に嫌われるよなぁ。俺は好きなのに……。
「た…ろう、まる、太郎丸!」
「わぉーん」
「そっか!よろしくね、太郎丸!」
「ワン!」
「納得いかない……」
「気、気を落とさないで、レイ君」
「そーそー。気が立ってるだけかもしれねえぞ。由紀はただ単に同族と思われてるだけ?だと思うし」
「まあ、いつか慣れてくれるわよ」
めぐねえやみんなに慰められたが、やっぱり納得はいかない。
「…よし、ここでの買い物はみんな済んだかしら?」
「「「「はーーい」」」」「ワン!」
「それじゃあ上の家電屋さんへ行きましょう」
こうして次は上の階だ。
予定としては家電を見た後、服、上の方まで一通り生存者がいないかどうかの確認。その後念のためもう一度俺とくるみさんだけで地下の食料品売り場を見て終わり、といい流れだ。
家電屋では由紀姉が防犯ブザーを鳴らしたがってりーさんにこってり絞られたりとか、面白い場面はちょくちょくあった。
今は服屋だ。みんなが色んなものを試着していっている。
「レー君!これどうかな!」
「…馬子にも衣装…」
「へ?なんて?」
「なんでもないですよー。うん、可愛いんじゃないですか?」
「やったー!」
由紀姉が着てきた衣装は、まあ、うん。小動物的な?そんな感じの可愛さだった。
「レイ、あたしはどうだ?」
「…かっこいい?ですかね?あんまり服に関してはわからないですけど…」
「レイ君、私はどうかしら?」
「大人なお姉さんって感じがすごいです」
「あら嬉しいわね」
「普段の家のめぐねえより大人っぽいです」
「ちょっ、レイ君!」
試着室の中からめぐねえの声が聞こえた気がするのは、気のせいだろう、多分。
「ほらめぐねえ!レー君に見てもらわないと!」
「ちょ!ちょっと待って由紀ちゃん…。まだボタンとか止めきれてな…」
「はいレー君!めぐねえどうかな!」
「きゃっ⁉︎」
この時、ちゃんと着れていないめぐねえがカーテンの向こうから出てきて、ブラとか色んな、見えてはいけないものが見えてしまったが、俺は悪くない。悪いのは由紀姉だ。
思わず顔をそらしたから、そんなには見てないと思う…。
肌白かった。可愛かった、エロかったです(真顔)
「レイ君は服は見なくていいの?」
「俺はもう決めてますよ。これです」
めぐねえに言われて、すでに手にとっているジーパンと2着ほどのシンプルな色のみのデザインの服を見せる。
「相変わらずオシャレには興味ないのね」
「あんまりわからないですし。それにかっこいい服を選んでも似合わなかったら宝の持ち腐れですしね」
「あ!ねえねえみんな!水着があるよ!これも着てみようよ!」
由紀姉が水着売り場へ駆け寄ってみんなへそう言った。
……なんか嫌な予感がする。
「それじゃあレー君!感想お願いね!」
「やっぱりですか⁉︎」
うん、なんとなく気づいてたよ。
普通の洋服の時からなぜかみんな俺に見せてくるからね、いや別に皆さん可愛いけどさ!
ちなみに、みなさんには悪いけどめぐねえの深い青を基調としたシンプルな水着が一番可愛かったです。
「……割と、外から集まってる…なんてことはないですね。シャッターって偉大だな…」
「大丈夫そう?」
「はい、安全に外へ行けるかと」
「わかったわ。それじゃあみんな、行きましょう」
「「「はーい」」」
そして俺たちは生存者がいるかもしれない最上階の方へ向かった。
「いっちばーん!とうちゃーく!」
「フーッ、やっとだ…」
「ワンワンワン!」
「太郎丸?」
「どうした?」
「ワンワンワン!」
どうしたんだろ、俺がちかづいて吠えるのはもう慣れたけど、何もないのに吠えるのは珍しい。
いや、何かあるから吠えてる…?
「…考えても仕方ないや」
とりあえず今は気にしなくてもいいでしょ。また何かあれば吠えてくれると思う。
ずっと吠え続けていたのを、りーさんとめぐねえが静かにさせていた。
ガタッ
「っ!」
「くるみさん…」
「ああ、物音…椅子を倒したような、音だったよな…」
「どうしたの?くるみさん、レイ君」
「めぐねえ、さっき椅子を倒したような音がしたんです。でも一階下にはアイツラはほとんどいなかったし、ここにもいる可能性はあまり考えられない…」
「なので、生存者がいるかもしれないです」
「もしそうなら助けないと、って話してたんです」
「…わかった、行きましょう。生存者がいるなら、助けないと」
こうして、物音がした方へ、俺たちは向かった。
頼むから生きててくれよ…!
「ここ…ですね」
「もしもーし!すいませーん!」
「誰も…いないですね」
「映画館だー!何上映してるんだろ…」
「…くるみさん」
「ああ…わかってる。…りーさん。めぐねえ。あたしら、中を確認してくるよ」
そうやってりーさんとめぐねえに伝えると、二人とも不安な顔になった。
「大丈夫?」
「気をつけてね…!」
「わかってる」
「みなさん、すぐにここから逃げれるように準備だけは整えておいてくださいね。万が一が、あるので」
それを言って俺とくるみさんは奥へと進んだ。
「…使わずに済む、って思ってたんだけど…」
「どうだ?レイ」
「…まずい、ですね。想像以上に大量にいます。まるで、下から逃げてきた人が集まって…それで立て籠もってたのかな?でも、中で感染した人がいた…って感じですかね」
「そう…か。どうする?」
中にあったバリケードが作られている一室に、耳を当ててみると、奴らの呻き声がたくさん聞こえてくる。
気配的にも、10人とかそんなものじゃない。3、40体くらいは少なくともいる。
でも、ここだけなんだ。アイツラの気配がしているのは。だから、もし生きている人が隠れているとしたら、ここだけ。だって、
「…他には、いても一体くらい、です。他を確認して、いなかったら、ここにいる可能性も、僅かですがあります。……どうしましょうか。正直言うと、一人いるかもわからない生存者のために、俺たち全員が危険になるのは、俺はしたくありません」
「…それでも、生存者がいるかもしれないなら、それに賭けてみたい。万が一の場合は、あたしが囮になる」
「何を言ってるんですか、囮なら俺がなります。俺より、胡桃さんの方が身体能力は上なんです。なら、俺より胡桃さんが生き残った方が、将来的にみて良いです」
「何言ってんだ!そんなの…」
「そんなこと言うなら俺も許さないですよ。くるみさんは大事な部員の一員なんですから」
「そりゃあたしもだ!それにだな!あたしたちがどれだけレイに救われてきたか!こんなところでレイを死なせたらめぐねえや由紀、りーさんにも顔向けできねえ!」
「俺もですよ!俺がどれだけみんなに救われてきたか!俺たちみんながどれだけくるみさんに救われてきたか!くるみさんを死なせたらみんなに顔向けできない!みんなを守ると言っておきながら守れないなんて!そんなのは死んでもごめんです!」
思わず感情的になってしまった。
でも、本音をぶちまけて、思わず笑ってしまった。
「ははっ、お互い考えてることは同じだな」
「ですね…。やっば、今ので中のやつら活発になっちゃいましたね。どうしましょうか?今生存者いるかどうか叫んだらヤツラ完璧こっちにきますよ?」
「上等!めぐねえもりーさんも由紀も、みんなを守り通してやる!それにレイも手伝ってくれるだろ?お互い、片方を死なせたら殺されちまうしな」
「ですね」
それに、一人でも欠けたら学園生活部じゃないしね。
その後、例の部屋以外にいるアイツラを、あらかた片付けた。やっぱり他の部屋にはいてもせいぜい一匹か二匹くらいですぐに片付けれた。そして俺たちは例の部屋から少し離れた場所へ立った。
「それじゃあ…行きますよ」
「おう」
「スゥーー………生きてる人!いますか!助けに来ました!ヤツラは俺たちが引きつけます!だから!もしいるのなら!思いっきり手を叩いてください!それ確認できたら、再度俺たちが引きつけます!」
思いっきり、腹から声を出して叫ぶ。
下のアイツラに関しては、気にしていなかった。階段が苦手というのはわかってたから、少なくともここへは来れないだろう。
下にたむろしているだけなら、対処の仕方ならいくらでもある。
「………」
「聞こえない、な」
「わからない、ですよ。アイツラがあそこから出てきたら、鳴らしてくれるかも…」
「でも、でた瞬間に鳴らされても、一旦逃げなきゃ、だぞ?」
「分かってます…。さあ、くるみさん、来ますよ」
「おう、レイ。怯えんなよ」
「胡桃さんこそ」
冷や汗を垂らしながら、ギリギリまで待つ。
が、結局手を叩く音は聞こえなかった。
外から作られてたバリケードごと、扉を壊されて、中からアイツラが大量にでてきた。
「っ…いない、か」
「レイ!逃げるぞ!」
「はい!」
本気で走る。とにかく、めぐねえやみんなを死なせないために、とにかくみんなの元へ走った。
すぐにみんなが見えてきた。
「みんな!逃げろ!」
「アイツラ、めちゃくちゃいます!とにかく逃げますよ!」
りーさんとめぐねえだけは、直ぐに逃げる準備に入ってくれた。というより、直ぐ逃げれるようになっていた。
由紀姉だけは、何が何だかわかっていなかった。
「えっ…」
「由紀姉!早く!」
「わわっ⁉︎」
胡桃さんに先導してもらう形で、俺が殿だ。
未だ戸惑っている由紀姉の手を取り、無理やり走らせる。
「胡桃さん、その先!あんまりいないです!」
「りょーかい!みんなちゃんと付いてきてくれよ!」
「くるみちゃん!りーさん!めぐねえ!レイくん!」
「大丈夫です!今はとにかく走ってください!めぐねえ!後ろは俺が気にするのでとにかく走ってください!りーさん!サイリウムか何か持ってたと思うので胡桃さんのサポートを!」
とにかく、全員が全力で走った。
「痛っ…」
「由紀姉⁉︎」
「由紀ちゃん⁉︎」
手を引いていた由紀姉から、そんな声がした。その瞬間に、全身の血の気が引いた気がした。
由紀姉を見ると、足首を抑えている。
どうやら、無理に俺の走る速度に合わせてしまったらしい。
くそっ、何やってんだ俺は!
「由紀姉、大丈夫?足くじいた?」
「う、うん…でも、だい…じょう、ぶ…」
「大丈夫なわけないでしょ!…っ、クソっ…。由紀姉、ごめんなさい。あとで謝るんで今は許してくださいね」
「へ?」
「よっと!」
「わわっ⁉︎」
周りにヤツラがだんだんと集まっているのを見て、立ち止まるわけにはいかなかった。
だから、俺は由紀姉を抱えた。
いわゆるお姫様だっこ、ってやつだ。
「レイ!大丈夫か!」
「はい!こっちは大丈夫です!由紀姉意外と軽かったんで!よし、由紀姉、しっかり掴まっててくださいよ!めぐねえ!すいませんが後ろからどんな感じてきてるか教えてくださいね!」
「わかったわ!」
そこからもとにかく全力疾走をした。その間、しっかりと由紀姉は掴んでくれていたので落とす心配もなかった。
二階と一階を結ぶエスカレーターにたどり着いた。が、下にヤツラが集まってきていた。
「マズイですね、これ…。俺と胡桃さんならまだしも、後ろから迫ってて、俺の手も塞がってますし…」
「最短ルートで突破する。りーさん、下にライトばら撒いて」
「わかったわ」
そこでりーさんが鞄からペンライトをばら撒いて、そこに少しの間アイツラが集まった。
その隙を狙って胡桃さんが滑り降り、一番近くにいたアイツラを蹴飛ばす。
それに続くように、りーさんとめぐねえが、一番後ろを俺が走り抜けた。
「大丈夫!追ってきてないわ!」
「わかりました!」
安全だと思われる一室にみんなが入っていって、そこに最後に入ろうとして、めぐねえがアイツラが来てないことを教えてくれた。だからナイフも取り出さず、とにかく全力で走り、部屋の中へ入った。
「はっはっはっ……あーーつかれた……」
周りを確認すると、りーさん、くるみさん、由紀姉。そして、めぐねえ。
みんな無事だった。
よかった、本当に……。
でも、とりあえず……
「すい…ません、少しだけ…休みます」
「ええ、ゆっくり、休んで。お疲れ様、レイ君」
めぐねえにそう言われて、俺は安心して、ソファに横になった。
次回で、とうとうあの人が…登場か?
読んでくださりありがとうございます