幼馴染に耳かきをされるラブコメでございます

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あらすじの通り耳かきのラブコメです

ちょっと短いですが暇つぶしにどうぞ



短編ラブコメ 耳かき

「今日は私が耳かきしてあげる!」

 

ある休日の昼下がり。

面倒なレポートを終わらせようと苦戦している俺に対して、同棲している幼馴染がそんなことを言いだした。

 

「……は?」

 

「ほらほら、早くこっち来て!」

 

ソファーに座りながら手招きをする幼馴染。今までの経験から無駄だと分かっているが一応の説明を求める。

 

「……何で?」

 

「いーいーかーら!早くこっち来て!」

 

やはりダメだった。彼女の中では俺に拒否権は無いらしい。

 

このまま無視すると幼馴染の涙腺が崩壊することは既に何度か証明済みであるため、しかたなく書きかけのレポートを保存してソファーに座る。

 

しかし耳かき、耳かきと来たか。

彼女はかなりの不器用のはずだと今までの実体験から体で理解しているのだが……

 

「んっ!」

 

底知れぬ不安を感じながら幼馴染の方を向くと、彼女はふくれっ面で自身の太ももを指していた。

……そこに頭を乗せろと?

 

「……マジで?」

 

「んっ!」

 

マジなようだ。

こうなると俺が従うか、幼馴染の涙腺が崩壊するかの二択である。

まあ、後者は非常に面倒なことになるので実質一択だ。

 

「……ほれ、これでいいか?」

 

大人しく寝っ転がって太ももに頭をのせた。俗にいう膝枕である。

 

「…………」

 

「……どうかしたか?」

 

「…………ハッ!」

 

急に反応しなくなった幼馴染に声を掛けると珍妙な返事が返ってきた。

 

「べ、べつに膝枕してみたら思ったより恥ずかしくてフリーズしちゃったわけじゃないから!」

 

「……さいで」

 

何とも丁寧な説明口調である。まあこれも彼女の魅力の一つであるのだが。

 

「と、ともかく!耳かきするわよ!」

 

「おー」

 

特に俺が気合を入れる必要はない。

せいぜい彼女の不器用さが大惨事を引き起こさないように祈ることぐらいである。

 

こうして始まる彼女の耳かき。

どうやら最初は耳のマッサージらしく、俺の右耳をもみもみしている。

 

「ふふっ、何かご注文はございますかお客様?」

 

なるほど、どうやら今の彼女は耳かき専門店の店員設定のようだ。

……耳かき専門店に耳のマッサージってあるのか?

 

とはいえ何かお願いできるのならば、俺が言うべきことは一つである。

 

「鼓膜は破らないようにお願いします」

 

「……善処はするわ!」

 

「そこは保証しやがれゴラ」

 

そうこう言いながらもマッサージは終わり、彼女が綿棒を取り出した。

 

「いくわよ……」

 

「……」

 

ガサゴソと、綿棒が耳の中を動く音だけが聞こえる。

 

幼馴染は集中しているのか一言もしゃべらず、俺も下手に喋ると何が起きるか分からないため一言一句たりとも発さず。

 

「……」

 

「……」

 

静かな時間だけが過ぎていく。

幼馴染も雰囲気こそ危なっかしいが、実際かなり丁寧にしてくれている。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

どれくらいの時間が過ぎただろうか?幼馴染は綿棒をティッシュの上に置き、一息ついて言った。

 

「はい、終わりっ!」

 

……やっと終わったか。とりあえず俺の右耳は無事のようである。

左耳の掃除はまだのような気がするがそんなことは気にしてはいけない。ともかく今はこの膝枕から抜け出すことが先決であると、膝枕から起き上がろうとして――

 

「ふふーん!」

 

幼馴染に頭を押さえられた。ちょうど見つめあうような構図で。

 

「……起き上がれないんだけど?」

 

とりあえず抗議してみる。

すると幼馴染はドヤ顔で言った。

 

「いいじゃない!女の子に膝枕をしてもらうのって男の子の夢なんでしょ?」

 

「どこでそんな無駄な知識を……」

 

しかもその知識は正しいから困る。

 

とはいえ頭を押さえられては俺にできることは無い。大人しくなされるがままである。

 

「……ねぇ」

 

「んー?」

 

出来ることもないので幼馴染の顔をぼんやりと見ていると、当の彼女が話しかけてきた。

 

「どうだった?私の耳かき?」

 

ふむ?

 

「あー、そこそこ気持ちよかったぞ」

 

嘘ではない。実際、彼女の耳かきの後は快適である。

……まあ緊張感の方が大きくて気持ちよさなんてほとんど味わうことはできなかったが。

 

「そ、そうじゃなくて!」

 

「ん?」

 

彼女は顔をほんのり紅くしながら言葉を続ける。

 

「その……ドキドキ、した?」

 

ドキドキ?

 

「……まあ、鼓膜破られんじゃないかとドキドキはしたが」

 

「そんなに信頼ないの!?」

 

お前はもうちょっと自分の不器用さを自覚したほうがいい。

 

「て、ちっがう!そうじゃなくて!」

 

「そうじゃなくて?」

 

「そ、その……」

 

言いどよむ幼馴染。何となく言いたいことは分かるが、面白いので黙っておく。

 

「な、何かあるでしょ!?こう、何と言うか!」

 

「何かって?」

 

「そ、そりゃ男の子と女の子の何と言うか、こう……!」

 

「んー、詳しくいってもらわないと分からんなー」

 

少し意地悪になって言葉で追撃してみる。

すると俺の言葉で限界に達したのか、幼馴染の体がプルプルと震えだした。

あ、これは……

 

「~~~!もういい!もう知らない!」

 

そう言って急に立ち上がる幼馴染。当然、膝枕されていた俺の頭は重力に従って地面に叩きつけられる。

 

ぐえ。

 

「ばーか!ばーか!鈍感男!一生彼女できずに泣いちゃえ!」

 

幼馴染はそれだけ言うと、痛みに悶える俺に目もくれず自分の部屋に帰っていった。

……しまった、少しいじめ過ぎたか。

 

痛みの残る頭を抱えながら起き上がると、リビングに置きっぱなしにされた幼馴染のカバンから一冊の雑誌が飛び出ていることに気付く。

 

ふと思いついて雑誌のページをめくっていくと……

 

『これで気になるあの人もメロメロ!?親密度アップ間違いなしの耳かき大作戦特集!』

 

案の定、耳かきの特集ページがあった。ご丁寧に付箋までしてある。

 

まあ最初から分かっていたことだが、やっぱりアレは女の子としてアピールだったようだ。

 

「……馬鹿なやつ」

 

――とっくの昔からあいつの恋心には気付いてて。

――とっくの昔から俺はあいつにメロメロだってのに。

 

「……そろそろ腹をくくったほうがいいのかねぇ」

 

幼馴染の関係を続けて十数年。この関係を心地よく感じている反面、早く進展したいと思う気持ちもある。

 

「――ま、とりあえず今のことを考えるか」

 

焦る気持ちもあるし、未来で後悔するかもしれない。だけどこの関係を変える勇気もない。

 

そう、これが俺たちの関係なのだから。

 

 

 

――ちなみにこの数時間後、勢いと流れで幼馴染に告白することになるのをこの時の俺はまだ知らない。

 




たぶん続かない

次は艦これのラブコメを投稿する予定です
……ただしいつ投稿できるかは不明

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