Fate /World Record~樹海聖杯探索~ 作:片倉 陸翔
ただ、名前は全然有名ではありません(本当に)。
バリバリの新人ですので、温かく見守ってください。
では、どうぞ('ω')ノ
人の望みとは、また様々である。
時に、それがどんなものでも、どんな形ででも叶うときはあるのだ。
これから始まる物語は、その大きな物語の序章である。
いずれ世界を周ることに少女たち....の物語ではない。
彼女たちを導き、教える者の物語である。
彼が見たものはその物語の元凶となるもの
果たしてそれがこの後にどのように働くか、その時の彼は知る由もないだろう。
ただ、止めなければと、己の使命のような感情に突き動かされた彼がそこで何を目にしたのか、
諸君らそれを知って欲しい。
これは全てが混ざった世界。日本のあの戦いも、ルーマニアの戦いも全てが行われたことを前提とした、
Ifの物語だ。
誰かはありえないと思うだろう。無理だというだろう。だが、現実はあったのだ。
さあ、語り始めよう。この物語は、とある日の、一通の手紙から始まった。
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キーンコーンカーンコーン。
時計塔ののチャイムが自室に流れ込んできた。
昼の時刻を告げる音に彼———ロード・エルメロイ二世は走らせていたペンを静かに机の上に置いた。
昼ともなれば、彼の教室に所属している学生が学的または私的な内容で高確率で彼の部屋に乗り込んでくる。
彼としては、昼ぐらい自由にさせて欲しいと思っている。しかし、これが講義の質問だったなんてこともあるので、なかなか追い返せない。おまけに、最近は学生間で謎のランキングまでつけられてしまい、それの影響なのか、他の教室に属する学生(主に女子)まで来る始末だ。
椅子の背もたれに体重を預け、ひと時の休養を取ろうとすると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
来たか。と小さく愚痴をこぼすと「どうぞ」と、ドアの向こうにいる人物に、入室を促した。
「失礼します。先生」
入ってきたのは自分の教室に所属する、フラット・エスカドルだった。
「なんだ、フラットか。冷やかしに来たなら下がってくれ。仕事の疲れもあって、昼ぐらいはゆっ
くりしたいだ」
「いえいえ、違いますよ先生」
つかつかとロードの前まで来ると、一通の封筒を差し出してきた。
「これは...」
「封筒です」
「見ればわかる。それで、どこで受け取った?」
「庭を散歩していたら、郵便屋さんのような人がうろうろしてまして、聞いたらこれを先生に渡し
てくれって」
「ふむ」
ロードはそれを受け取ると、神妙な顔でそれを眺めた。裏に返すと差出人としてこう書かれていた。
「ガーネット・リーバウス」
顔に手をあてて、ため息を吐いた。
「あの女。なんで急にこんなものを」
「あ、やっぱり。女性の方だったんですね。いやーやっぱり先生はもてるなー。教え子として鼻が
たか...ふぎゃ!?」
言いかけた途端、おでこに強烈なデコピンが放たれた。
「いい加減にしておけ、まったく、、なんでこいつが家の教室のトップなんだ」
重ねてため息がこぼれる。
「っつー。ええっと。それでそのガーネットっていうのはいったい誰なんですか?」
「古い知人だ。主に聖遺物に関する研究をしているフリーランスの魔術師だ」
「聖遺物?というと...」
「ロンギヌスの槍、聖骸布がそれに値する」
「ってことは、聖杯もですか?」
「ああ、そうだ。昨年のルーマニアの一件でも彼女は現地に赴いて調査をしたメンバーの一人だ。
最後にあったのはそのときか」
思いを馳せるように先ほどまで書いていたレポートに目を向ける。現在も調査中ではあるが、途中経過の報告を行ってくれと上から要求されたのだ。これを要求したのは、ここの学長なのだが、なぜそんなに急かすのか彼としては見当が付かなかった。まあ、個人的な研究に使うのか、時計塔の財産として扱うのか、ロードには彼の底が見えない。
「そうなんですか。いやー。いいですね。僕も参加したかっ...ふぎゃ!?」
「やめろ。被害が甚大なだけにおいおいとそんな軽口をたたくな」
「はひ。すみません」
因みに放たれた場所は鼻である。
「そんなことより、昼。終わるぞ」
部屋に時計を指すと次の講義まであと15分となっていた。
「うわー!やばいお昼食べてないや。すみません。失礼します!!」
あわててフラットは部屋のドアを開けて駆け足で去っていった。
誰も居なくなったところでロードは封筒を開けた。
中には、手紙と写真が数枚入っていた。
まずは写真に目を通す。そこには広大な森を空から撮った写真が一枚と、美しい山の写真が一枚だった。
「この山は...」
美しい形と、頂上に積もる白雪。世界中の山の中でもこれは素人の彼でもよく知っている。
「Mt.富士、か」
日本最高峰の山にして古来より日本の象徴となってきた霊峰である。信仰対象でもあり、呪術的な関係性から研究を行う魔術師も少なくはないと聞く。最も、それは主に日本の魔術師達が主立っているわけだが。
「となると、こっちは麓の樹海か」
そう結論づけると、今度は手紙の方に目を向けた。
シンプルな便箋に書かれたそれを開くと中にはこう書かれていた。
To Mr ロード
は~い。元気?私は元気だよ。いつもおっかない顔してるけど、血管破裂してない?
まあ、いいや。本題に入るけど、私は、今日本の弦琉っていうところの大学で講師をしてるんだ。
表面はそれだけど、本当はあるものの探索が主な目的。実は一緒に送った写真、その周辺正確に言えば、富士を中心とした樹海のあたりから非常に高い魔力の数値が計測されたんだ。どれくらいかって言うと、以前のルーマニアで測ったやつ。あれは本体が持ち去られちゃっても残滓がかなり強かったでしょ?多分あれの数千倍以上もしかしたら、大聖杯に匹敵するものが一時的とは言え、観測されたんだ。私はその発生源を調査するために、ここに来たんだけど、なかなか難しくてね。半年探してるけど、あの広さじゃ、見つけるのにかなりの時間を要しそうなんだ。そこで、君の力を借りたいと思っていてね。理由はもしかしたら、聖杯戦争に発展する可能性が見えてきたんだ。私は戦闘能力もマスター適正も無いから、対応のし甲斐がない。君なら十年くらい前に経験しているから、何とかなると思うんだ。詳しくは、君が私のところに来た時に話したい。君の決断に期待しているよ。
From あなたのガーネット♡
「.........」
途中ムカつく内容がちらほら見られたが、大体のことはわかった。かなりの大問題である。
(大聖杯に匹敵するだと?そんなものが日本に。いや、まだあると決まったわけではないが)
その衝撃に戸惑ってしまい、整理するのに少し時間を要した。
やっと落ち着いて、もう一度考え直す。
(やはり、現地に行って詳しく聞いてみるしかないか)
いつからだろう、自分がこれまでにこのような内容に惹かれるようになったのは。
別に叶えたい願いは無い。エルメロイの家の再興はいろんな形で押し付けられたが、別に急ぐほどの物でもない。優秀な当主がいるし、再興も遠くは無いだろう。自分の家の再興もまた然りである。
机の引き出しを開け中にある小さな小箱を取り出す。それをまた開けると、小さな赤い布切れが入っていた。
何の関係もない一般人からすればただの布切れにしか見えないが、魔術師からすればとても高位の触媒。そして彼にとっては、何よりも代えがたい大切なものなのだ。
(やはり、貴方の影響か)
十年前、同じ日本のある都市で出会ってから、自分の運命は大きく変わった。だからかもしれない。
あの時の自分の考えていたことは、今になってくれば笑えて来る。だがその時は、自分も必死だったのだ。
ロードは先程まで書いていたレポートを一端端に寄せると、新たな紙に、日本への渡航願いを書き始めた。来週から夏季長期休暇になるため、それを使うつもりだ。
予定は約三週間ほど、変更があればまた報告する。目的は聖遺物の調査。
このようなことを、紙に書き込むと、それを封筒に入れた。レポートの提出とともに一緒に出すのだ。
一通りの作業を終えるころには、時計の針が一周していた。
(さて、レポートも終わった。次の講義が終わったら提出に行くとするか)
仕事三昧だがこれだけはサボれない。ロード・エルメロイ二世とはこれで一躍有名になったのだから。
彼は多くの学生の待つ教室に向かうべく、重い腰を上げた。
因みに、今のところ原作から登場する人物は二人しかいません。名前だけ出る人物は多数いると思いますが、予定が狂った時だけ入れると思います。
ありがとうございました。
弦琉という街はありません。当然仮想の街です。