Fate /World Record~樹海聖杯探索~ 作:片倉 陸翔
では、どうぞ('ω')ノ
ロザリアと合流して二人は部屋に向けて歩き出した。
「部屋が隣なのはいいですね」
「まあ、まとまっているから。危険はないがな」
「ところで」と、ウェイバーが話を切り出す。
「お前の一族は、時計塔とどれほどかかわりがあるんだ?」
「急にどうしたんですか?」
「ここまで、お前とともに来たが、私はまだお前を信じたわけではない」
「・・・・・・・」
「不自然なんだ。ここまで非常に馴れ馴れしいというか、一番最初に声をかけてきたときも偶然
ではないだろう?」
彼の問いに、ロザリアは彼の前に出ると、振り返った。その顔は笑っていた。
「時計塔には植物の学科がありますよね?」
「ああ、アーシェロットが学部長を務めているな」
「彼女の学部では、たびたび、オーギュスト家の森にやって来て、サンプルを取るんです。それでオーギュスト家が森を案内することがあって、
その中でも、私の家は最も彼女と親しい仲でした。今回の聖杯戦争が開かれる場所を探していると、彼女から、貴方が日本に行ったということをしり、相談したら。サンプルをくれる礼という形で、ここに来る手はずを整えてくれたんです」
「あの女...」
近頃スムージーばかり飲んでるところしか見たことがなかったが、そんなことをしていたとは思わなかった。
「だから、貴方に近づきました。私たちのルールに誰かに力を貸してもらうというのは入っていませんから」
「なるほど...」
そういうと彼は服のポケットから一つの小瓶を取り出し、確かめた。
「どうやら、嘘ではなさそうだな」
「それは...」
「こう見えて、錬金術の心得があってな。これは水銀に一定の魔術式を組み込むことで、相手の言葉に嘘偽りがないかを確認するものだ」
確かに水銀が淡い光を帯びて下に沈んでいる。
「この場合、偽りがないことを表す。逆は浮く。いたって単純なつくりだ」
「すごいですよ。初めて見ました」
「さて、とんだ茶番だった。許してくれ、この時代こんな物でも作らないとこういうところには行けなくてな」
「いえ、非があるのは私ですから」
「ふっ。部屋に荷持をおいたら、廊下で待っていてくれ、少し着替えてくる」
「わかりました」
部屋の前で二人は別れた。
ロザリアは、彼が部屋に入ったのことを確認すると、自分も部屋に入った。
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「ふう」
長い移動の末、ようやく一息つくことができるようになった。
ロザリアは荷物を一通り整理すると、ベッドに腰かけた。
帽子を脱ぎ、横になる。きれいな銀髪がベッドに広がった。
ぼんやりと天井を眺める。彼女の家でもこのようなことはできた。しかし、ここは実家とは全然違う。
隅から隅まで人工物の塊だ。自然とともに過ごした彼女にとってありえないことだ。
幸い、ここは自然が多いのでいいが、空港周辺では、息が詰まりそうになった。
「長かったな。でもこれから始まるんだよね」
ぽつりとつぶやくと、ポケットからペンダントを取り出した。
それの真ん中にある写真を見つめる。
「私、できるのかな」
時計塔の三大貴族よりはるか昔から、イギリスに住まう四家でもオーギュスト家は最古にあたる。
そんな一族に生まれた自分を一時期は恨んだりもした。
この森の中では学べることに限界がある。たまに来る時計塔の人々から聞く話が、彼女の好奇心をますます刺激した。
そんなもやもやしてきたときにこの後継者争いがおき、彼女は外に行くチャンスを得た。
いいのか悪いのか、自分にはわからない。最悪このまま逃げることができる。
でも、
「私は家を変えたい」
森に置いてきた家族の為にも、そして、自分の為にも。
なぜ一族が聖杯戦争の参加、そして生き残りことを課したかはわからない。
外に行ってはいけない掟を破ってまで、これは決めなければならないものなんだろう。
一族もそろそろ、外に目を向けなければならないと気にしだしたのかもしれない。
だが、彼女はそれだけでは足りないと思った。
掟はもう古い。これからは外にもっと足を延ばさなければ、一族は変わらない。一時では十分な収穫はない。
自分がその見本にならなければ、
「その前に、生き残らないと」
戦闘経験は彼女には皆無だ。
一人で勝ち残る、基生き残るなんて、自分には到底無理だ。
だから事前にロード・アーシェロットに聞いたのだ。すると、
『この間、会議があってね。ロードの一人が日本に行くんだよ。どうかな。彼についていくのは』
即答した。ついていくと。
「まあ、あんな人とは思わなかったけど」
これまでのことを思い出し、小さく笑ってしまう。
彼は教えるのはぴか一なのだろう。だが、どうも人付き合いが苦手なようだ。
森でもあんな人はいなかった。本当外に出てよかったと思った。
「さて、いいかな。召喚は夜だし、今は楽しもう」
そう思うと、彼女は部屋を出ようとした。
すると、
「ん?」
カバンが小刻みに震えている。開けてみると、石板がその原因だった。
これは、一族内だけで情報のやり取りをするものだ。
今回の場合、彼女以外に二人の候補がいるが、彼らの状況を把握することができる。
突然のことで何が何なのかよくわからないが取り出してみると、
「嘘!?」
そこに書いてあった内容に衝撃を受けた。
「ウィリアム・フォン・オーギュスト。死亡...そんな」
膝から崩れ落ちた。こんなに早く、脱落者しかも死亡者が出るなんて。
今までの意気込んでいた自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。
彼は候補者の中でも最有力候補だった。そんな彼が真っ先に死んでしまう。
聖杯戦争とはそんなに厳しいものなのかと、思い知らされた。
石板をカバンに入れ、ふらふらと立ち上がる。
こんな心構えでいいのか?それだけで戦えるのか?ぐるぐると彼女の頭を言葉が周っている。
「どうすればいいの...」
そこでふと、彼の顔が浮かんだ。
「そうだ、私は一人じゃない」
この悩みを彼はどう答えるだろう。
彼女は急いで部屋を出た。
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コンコン
ドアをノックされた気がした。
覗き窓から見てみると、顔色を変えたロザリアが立っていた。
どうしたのだろう。彼女に少し待つように言うと、荷物をクローゼットに押し込み、私服に着替えると、改めてドアを開けた。
「どうした?別れてそれほど時間は経っていないが...」
「あの...」
絞り出すように声を出す。
「相談に、乗ってくれませんか?」
「ふむ」
こういう学生は幾度とみてきた。おおよそ検討は付く。
「入れ」
ここで立ち話するのも変なように思われるので、彼女を部屋に入れた。だが、これも一たび見られれば、通報されてもおかしくない。だから、迅速に物事を済ませようとした。
「それで、どうした?」
彼女を椅子に座らせ、自分も向かいに座る。
彼女が口を開いた。
「先ほど、ウェイバーさんと別れたあと、部屋で荷物の整理をしていた時です」
ぽつりぽつりと、言葉を紡いでいく。
「連絡用の石板から、この後継者争いの中で最有力候補だった人が死亡したという連絡が来ました」
その顔は沈んでいた。さっきまで自分が見た。あの明るいさは無い。
「それを知った途端。これまで、自分が本当に生きて帰れるか、不安になっちゃって」
その目は涙で潤んでいた。ウェイバーは黙ってその話を聞く。
「そしたら、自分がなんで来たのか、わからなくなっちゃって、本当に来てよかったのかって」
涙がこぼれて手の甲を濡らした。
ウェイバーが口を開いた。
「確かに、それは悲しいことだな」
「だが」と続けて、
「それで、お前がどうなる?」
「え?」
「もう来てしまったんだ。今更だろ?」
「確かにそうですけど」
「くどい」
彼女のおでこにデコピンを放つ。
「痛い!?」
「お前が選んだ道は果てしなく険しい。聖杯戦争に突入すれば、間近で見るかもしれないんだぞ」
「それは...」
否定できない。しかも経験者が語るのだ。それは明白な事実だろう。
「我々はそんな世界にいる。だからこそ、真実から目を背けるな。それを飲み込め、そして伝えろ」
「ウェイバーさん?」
「彼らの足跡を、生きざまを、たとえ、それが一瞬の出会いだとしても」
これまでにない、声に力がこもっていた。
「涙を拭け。そろそろ外に行くぞ。召喚場所の下見だ」
彼の言葉で現実に戻されると、袖で涙をぬぐった。
「はい。先生」
「先生?」
「はい。先生です」
「まあ。普段言われているから、いいか」
そういって立ち上がると、二人は部屋を後にした。
ちょっと文章に不安があります。
アドバイスありましたらよろしくお願いします。