Fate /World Record~樹海聖杯探索~   作:片倉 陸翔

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 二週間ぶり応援してくだする皆様。
 お待たせしました。
 タイトルを変えました。書いていてすごい失礼な感じがしたので...
 感想等お待ちしております。
 では、どうぞ('ω')ノ
 



召喚者と迷走者

 二人はホテルに戻ると、夕食を済ませ、夜を待った。

 そして、夜。満月が蠱惑的に輝いている。

 所々に雲が漂っていて、ときどき風が吹いて、それを隠してしまう。

(まるであの日のようだ)

 しみじみと空を見上げたウェイバーは過去を振り返る。

(彼と出会ったのもこんな日だったか)

「先生?どうかしましたか?」

 背後からロザリアの声がし、現実に戻される。

「ああ、すまない。ちょっと昔を思い出してね」

 笑いかけると、彼女も安心したのか、笑顔を浮かべた。

「とうとうですね」

 ロザリアが言う。その声には、期待と不安が混ざっている。

「そう緊張するな。サーバントの召喚には精神の安定も必要だ。気楽になれ」

「は、はい」

 彼女が体が強張っている様子に、かつての自分が重なる。

 あのころ、自分もこんな感じだったのかもしれない。

 彼女の背中をポンとたたくと、歩き出した。

「行くぞ」

「はい!」

 二人は、目的地に向かって、夜の街を歩き始めた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 結局二人が選んだのは小山の上の神社だった。

 階段を上がっていくと、その鳥居が見えてきた。

「頂上か、ここからは別行動にしようか」

「え?なぜですか?」

 ウェイバーの提案に驚くロザリア。

 無理もない。初めて別行動を提案されたのだ。彼にしては珍しい提案にロザリアは不思議に思った。

「召喚は一人で行いたい。心配するな。何かあったらこれを使え」

 そういうと、小さな球体を差し出してきた。

「これは?」

「単純に大きな音が鳴る。ただ、その規模がとても広い。ただの失敗作だが、こういう時には役に

 立つだろう」

「はあ」

 ポカーンとする彼女をしり目にウェイバーは残りの階段を上がっていった。

 階段を上り終えると、ウェイバーは社の奥の森に向かって歩いていった。

「それでは召喚後またここで落ち合うとしよう」

「はい。わ、わかりました」

「あせるな。お前なら大丈夫だろう」

「が、頑張ります」

 二人は言葉を交わすと別の方向に歩いていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ううう。不安だよ~」

 初めての召喚それに誰も付き添いもないことがロザリアにはとても心細い。

 しかし、これまで自分がついていきたい願いを通してくれた彼に、今更反論はできない。

(後で再集合するし。これくらい一人で頑張らなくっちゃ)

 自分に気合を入れると、開けた場所を探す。

 しばらく歩いていると、ちょうどいい塩梅の場所を見つけた。

(見つけた。ここなら大丈夫かな)

 周囲に人がいないことを確認すると、彼女は召喚の魔法陣を描き始まる。

(えーと。こんな感じだっけ?)

 村を出発する前に渡された写本を見ながら書き進めていく。

 よく見れば見るほど、複雑な魔法陣だ。

(この端の紋様はどういう意味なのかな?)

 彼に質問したいことを増やしながら、順調に書き上げていく。

 およそ30分ほどかけて、完成させた。

 書き終え、立ち上がると腰のポシェットから、触媒を取り出す。

 小瓶に入った木の枝。それを魔法陣を中心に自分と反対側に置く。

 右手には、モミジのような令呪がある。

 それを前に伸ばし、呼吸を落ち着ける。

 息を深く吐くと、静かに言葉を紡ぎだした。

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。そには我が大師ヴァナデューク」

 ゆっくりと、間違えないように紡いでいく。

「降り立つ風には壁を、四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 魔法陣が仄かに光だし、風が吹き荒れ始める。

「閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ。繰り返すたびに五度ただ満たされる刻を破却する」

 触媒も光始めた。光は徐々にその輝きを増していく。

「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従う

 ならば応えよ」

 魔法陣から噴き出す風がさらに威力を増す。足を踏みしめ、残りの詠唱を行う。

「誓いをここに。我は常世総ての善を成すもの。我は常世総ての悪を敷くもの」

 輝くは反対側が見えないほど強くなり、少しでも気を緩めれば吹き飛ばされてしまいそうだ。声を振り絞って、叫ぶ。

「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ!天秤の守りてよ!!」

 瞬間。膨大な光と風がロザリアを包み込む。

 思わず目をつむり、足を踏ん張る。

 やがて収まると、魔力を使いすぎたのか。へなへなと崩れ落ちた。

 魔法陣の中心には、いままでいなかった人物が立っている。

 彼はゆっくりと顔を上げると、目の前に座り込んでいるロザリアを見た。

「えーと。あんたが俺のマスターかね?」

 彼は、砕けた口調で話しかけてきた。見た目は二十代前半に見える。

 全体的に緑色の服装をしている彼は、短く切られた髪をさすりながら、こちらを見据えていた。

「え、ええ。そうだけど...」

「おいおい、そんな自信なさげに言わないでくれよ。こっちだって不安なるだろ」

「ご、ごめん。サーバントの召喚初めてだから、いろいろ戸惑っちゃって」

「へえ。こんだけの魔力量なのにね~」

「うう。いいでしょ別に」

「ほいほい。そんじゃ。え~とお嬢でいいかな?お嬢の名前を教えてもらっていいかい?」

「・・・・・ロザリア・オーギュスト。ってこういうのはあなたが先に名乗るんじゃないの?」

「俺はそういう形式とかが苦手でね。まあ、勘弁してくださいよ」

 青年は一息置くと、真剣な目つきでこちらを見直した。

 ロザリアも、気付いたのか、立ち上がり、彼を見据える。

「クラスはアーチャー。真名はロビンフッド。よろしく頼むぜ、マスター」

 こうして、ロザリアは召喚に成功したのだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 一方、ウェイバーはロザリアが召喚に成功していたころ、すごい勢いで山の斜面を下っていた。

(どこだ。どこに逃げた?)

 彼は別に気が狂ったわけではない。ここまでにいたった理由は数十分前にさかのぼる。

 ウェイバーも同じように開けた場所を見つけ、魔法陣を描く。

 そして同じように触媒を置くと、令呪がある右手を前にのばした。

「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公———」

 召喚の呪文を紡いでいく。魔法陣が輝きだし、風邪が吹き始める。

 こなままならうまく召喚されるだろう———例外を除いて。

 突然。目の前の茂みが揺れると、人が出てきた。

 日本人だろう。見た目からしてまだ若い。二十になるかならないかのころ合いだろう。

「なんだよ。これ」

 青年は驚きのあまり、じっとその光景を見ていた。

「そこの君、ここから立ち去れ。おとなしく帰るんだ」

 ウェイバーは一端召喚を止め、彼にここから去るように言う。

 青年はそれを聞くと、急にいやそうな顔をした。

「なにをしている。ここは君がいる場所じゃない!!」

 語気を強めて言う。少し心苦しいがしょうがない。

 しかし青年は、

「なんだよ。ここでもかよ。なんで俺ばかり」

 何やらぶつぶつ言っているが、ウェイバーには聞こえない。

「おい。聞こえていないのk...」

「あああああああああああああああああああああああああ」

 突然発狂すると、近くにあった触媒を強引に拾うと、森の中に走り去っていった。

「なんだと!」

 突然のことで思考が追い付かない。

 その間にも青年は森の中に逃げて行った。

「くそっ」

 ウェイバーは急いで彼を追いかけるのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 青年said 

 深い森の中を彼はただ歩いていた。

 青年の名前は島崎康太。大学では2年に所属している。

 成績は優秀で、受験に成功していれば、地元の京都で進学ができたほどだった。

 しかし、結果は失敗。1年浪人をすると、だんだん地元に嫌気がさしてきた。

 しかも、父方の家はきな臭いことをやっていて、父は自分を後継者にしようと躍起になっていた。

 それを知った彼は遠く離れ、都会にも近いこの大学を選び見事合格。

 当然親は反対した。

「お前は神秘を知りたくないのか?」

 これが父が発した言葉だ。

 これを受け入れる歳ではもうない。

「うるさい。中二病患ってんじゃねえよ」

 周囲に笑われるようなことでの喧嘩だが、父には本当に頭に来たのだろう。

 時間も解らないほど口論をし、最後は母が止めなんとか認めてもらった。

 彼とすれば、大学合格くらい、喜んでくれればいいもののそれを喜ばしく思う人はいなかった。

 悔しかった。やっと認めてもらえると思った。

 むしゃくしゃしたまま大学に入学。始めの式に親の姿はなかった。

 それから、環境の変化、言葉、文化の違いなど、さまざまな要因が相まって彼はストレスを抱えて行った。

 その結果、1年が経つ頃には彼は大学を休む回数が多くなった。

 メンタルケアを受けるように勧められるが、彼は頑なに拒否した。

(自分の気持ちがわかるやつがいるわけがいない)

 誰も認めてくれない。誰も必要たしない。

 この悩みを彼はずっと抱えていた。ストレスも相まって、彼は限界だった。

 結果。彼が下した決断は、自殺だった。

 そして一番近いスポットであるこの富士の麓に旅を口実にやってきたのだ。

 それを、実行するために森をさまよっていたのだ。

 しかし、彼は一つ勘違いをしていた。

 彼の目的を成功させる場所は、今彼が歩いている場所ではない。

 歩いていると、右手に河口湖の街明かりが見えた。

(ここは違うのか)

 歩き疲れ、地面に膝をつく。

 よくよく考えれば、バカバカしいことをしたと思った。

 今日は戻ろうと、借りている小屋に引き返そうとしたとき左手に違った光が見えた。

 歩いていってみると、アニメの魔法陣のようなものが地面に描かれてあり、自分と反対側に、一人の男性が右手を前に出して何かを呟いている。

「なんだよ。これ」

 あまりの光景に言葉が出てこない。

 すると、男が自分に気付いたのか、大声を発してここから立ち去るように言ってきた。

 普通はいそいそと立ち去る。しかし彼はそれをしなかった。

 彼には男性の言っていることが、自分の過去と重なっていた。

 ここでも認められない。居場所と認めてくれない。

 勝手に彼はそう解釈してしまい、だんだん怒りが込み上げてきた。

「なんだよ。ここでもかよ。なんで俺ばかり...」

 目の前が真っ白になってきた。

「おい」

 声が聞こえた。瞬間何かが外れたような気がした。

「あああああああああああああああああああああああああ」

 発狂した。もう抑えが聞かなった。荒い息を吐きながら、足元を見ると、小さな布切れがあった。

 これを盗んだところで何もならない。しかし彼はそれを拾い上げると、来た道を全速力で駆け出した。

「ああ、あああああ。ああああああああああああああ」

 もう訳が分からなった。今までの怒りを払うような叫び声は、夜の森の中に溶けていった。

 

 

 




 何かあったら教えてください。
 読んでいただきありがとうございます。
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