Fate /World Record~樹海聖杯探索~   作:片倉 陸翔

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 大分遅れました。
 しばらくこんな感じです。
 では、どうぞ('ω')ノ


選択と決断

「クソッ。どこに行った」

 彼が逃げてからそれほど時間は経っていない。

 それにもかかわらず、ここまで距離が空いてしまうことにウェイバーは強い違和感を覚えた。

「一般人ではないな。しかし、見たところ、魔術に精通しているわけではなさそうだ」 

 となると、答えは大まか読めてくる。

「魔術師の素質を持った人間か」

 ほとんどの魔術師は、一族の中で魔術回路を遺伝していきながら後をつないでいく。

 また、それに選ばれるのも一族の魔術に適応率が高い者が後を継ぐ。

 それは当然、血縁者なのだが、必ずしも一人が適応するわけではなく複数出る場合もある。その場合、当主がどちらかにするかを決め、片方を違う家に養子に出すか、幼いうちに一般人の家庭に入れ、魔術そのものに触れさせないかなどがある。

 他にも、すでにすたれたため、あえて子供に教えない家もあるらしい。

 先程逃げた彼は、最後に挙げた可能性が高いだろう。

 逃げる最中に、無意識のうちに魔術が発動してしまったと考えられる。

「しかし、こうなると厄介だぞ」

 魔術師の素質に本人が気づいていない場合。このような聖杯戦争では、ますたマスターと間違われる可能性がある。

 そういうこともあって、彼を早急に見つけ出すことが必要なのだ。

(走っていった方角からするに、あちらは...)

 昼間の下調べでは、自分たちが泊っているホテルの反対側、別荘が多く立ち並ぶエリアだ。

(一軒一軒探すのには骨が折れるぞ)

 ウェイバーは、考えながらも急いで下って行った。ロザリアとの集合を忘れていることも気づかずに。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あれ?おかしいな?」

 神社の社前。ロザリアは、集合場所にきていた。

 しかし、そこに彼の姿はなかった。

「本当にここで合ってるんですか?お嬢」

「あってるよ。先生がそう言っていたから」

「ところで、その先生はいったいどんな人なんすか?」

「会ってからのお楽しみだよ」

 彼女の言葉にサーバント———ロビンフッドはため息をついた。

 彼女は恐らく頭はいい、しかも相当すごい。

 しかし、子供っぽいところがたまに傷である。今でもそれが出ていて、せっかくのいでたちも台無しである。

「はあ。敵が来ても知りませんよ」

「大丈夫」

「その自信はどこから来るんですか?」

彼女にもそれはわからない。ただそんな気がしたのだ。

「もう少し待って、それでも来なかったら、一回ホテルに戻ろう」

「了解」

 彼は返事をすると、周囲を警戒しだした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そのころウェイバーは未だ、盗んだ少年を探していた。もう夜中で、あたりはほとんど見えない。

 しかし、あきらめるわけにはいかなかった。何としてでもあれは取り戻さなければならない。

 どんどん下っていくと、家の明かりが見えてきた。

 まばらにチカチカと見える。どうやら別荘が立ち並ぶエリアに来てしまったようだ。

 どうしようか、そう悩んでいると、後ろから声がかかった。

「あれ?お兄さん。ここで何しているんですか?」

 振り返ると、どうやら日本人のようだ。しかも若い、二十代前半だろう。

「いや」

 ここで詳しく話しても一般人にはわからないだろう。

「人を探していたら、ここまで来てしまったんだ。君は同じくらいの青年が走っていくのを見なかったか?」

「ん?ん~?見なかったですね」

「そうか。すまない。失礼する」

 ウェイバーはその場を立ち去ろうすると、

「ところでお兄さん。ここらで変な人見ませんでしたか?」

 突然彼が話しかけてきた。

「変な人?」

「ええ。何て言いましょう。具体的に言いますと...」

 にやり、と笑うと。

「魔術師と呼ばれている。外国の人です」

「っ・・・・!?」

 この一言で、ウェイバーは察した。彼は敵だ。彼女から聞いた日本古来の呪術師の一人だろう。

「・・・いや、申し訳ないが、知らない」

 平静を装い、返す。青年はにこっと笑うと。

「そうですか。それじゃあ...」

 急に真顔になる、

「なーんちゃって、やれ。狂戦士」

 瞬間危険を察知したウェイバーは後ろに避けた。

 すると、ちょうど彼が立っていたところに、クレーターができる。

 その中心に一人いや、一騎立っていた。

 その禍々しさが離れていても伝わってくる。

 顔以外を日本の甲冑で身を包んでいる。髪はぼさぼさで、その顔は狂化のせいか、怒りに満ちているように見える。

「まさか、相手がバーサーカーとはな。やはり参加者の一人か」

「ええ。あんたのことは大体知ってました。だけど。不安なんで聞いてみたら。まああたりですね」

「どこで分かった?」

「あんたは知らないといった。だけど、まず、自分の言い分をおかしいとは思わないかい?」

「なるほど、一般人なら魔術師なんておとぎの世界だから、いるなんてありえないのか」

「そう。だけどあんたはさも平然と言った。そこが肝なんですよ」

 彼はにやりと笑うと、

「さて、答え合わせが住んだところで、そろそろ、死んでくれませんか?」

「あいにく、はいと答えられることはできないな」

「そりゃそうだ。やれ、狂戦士」

 彼の声とともにサーヴァントは動き出した。目にも止まらないような速さで、突進してきた。

「くっ」

 ウェイバーはポケットから試験管を一本取りだすと、それを地面にたたきつけた。

 すると、そこから非常に濃い煙が発生した。

「悪いが、そう簡単にはいかない」

 それを言い放つと来た道を引き返した。

「あ~らら。まあそう簡単にはいかないよね」

 彼は札を一枚取り出すと、前方に放つ。するとたちまち風がおこり、煙を飛ばしてしまった。

「森の中か、逃がさんよ」

 そして、彼はサーヴァントに指示を出すと、森の中に入っていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 暗い森に中、ウェイバーは必死で走っていた。

(今日は悪いことばかりだ)

 どうするどうする。これからの行動を必死に考えた。

 相手は追ってきている。このままでは逃げ切れない。

 選択肢は二つある。

 一つは、ロザリアがいるところまで逃げ延びる。

 彼女はサーヴァントの召喚には成功しているだろう。しかし、それまで逃げ延びれるかが不安だ。

 確率は1%あるかどうかである。

 結果、二つ目の確立が最も生存率が高い。それは...

(サーヴァントを召喚する)

 あと少しで召喚の術式のあるエリアまで来る。ここでイチかバチかかけてみるしかない。

 しかし、それを彼は渋った。彼にとって召喚したい彼が来るとは限らないからだ。

 触媒なしの召喚の場合、その召喚者に近いサーヴァントがよばれる。

 彼が召喚される確率は極めて低い。

 彼を裏切るのか、それがウェイバーの思考を迷わせる。

 すると、後ろから木々をなぎ倒す音が聞こえた。敵はすぐそこまで来ている。もう迷ってはいられない。

「許せ」

 呟くと、サークルに向かって手を伸ばす。

「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公・・・・」

 もはや時間は無かった。口惜しさを抑え、詠唱を開始する。

「降り立つ壁には風を、四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 後ろの音が大きくなってきている。敵は、近い。

「告げる。汝の身は我がもとに、我が命運は汝の剣に、聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従

 うならば答えよ」

 迫る。せまる。セマル。

「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の護り手よ」

 背後で巨大な衝撃波が遅い、ウェイバーは吹き飛ばされてしまう。

「やれやれ、大分にげたな。あんた、サーヴァント相手に良くできるな」

 ぶつぶつとつぶやくと、木に寄りかかっている彼をにらむ。

「たく、時間かけさせじゃねえよ。狂戦士!」

 彼は背後のサーヴァントに命令する。

「Ooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!」

 サーヴァントが駆け出そうとする。その時、召喚のサークルが輝きだした。その光は次第に強くなり...

「な、なんだ!?」

 敵のマスターは突然のことに目を覆う。

「っ...」

 ウェイバーも目を細める。

 光が弱めり始めると、中心に立っている人物が浮かび上がった。

 女性だ。美しい服装の見た目は十代後半くらいだろうか。背中伸びた金髪が彼女を引き立てている。

「使い魔を召喚しやがったか。だが関係ない。潰せ狂戦士」

 敵マスターが言うと、再び、サーヴァントが動き出す。目標は彼女だ。

「・・・・・!?」

 声が出ない。飛ばされた衝撃で、木に打ち付けられてしまったのだ。

 いくらサーヴァントでも、あの一撃は食らえばただでは済まない。

 すると、

「何?ここ」

 召喚された少女が口を開いた。とても澄んだ声だ。

「おい。よけろ」

 ようやく声が出せるようになり、必死に声を絞り出す。

「あなたは誰?」

 のんきな声で彼女が聞いてきた。

「いいからよけろ!」

 彼女のすぐ背後で、敵サーヴァントが武器を振り上げた。

 彼女が振り返る。

「ふん。久しぶりに人間(・・)と話しているときに、無礼よあなた」

 彼女が手を前に突き出す。

 すると、何もない空間から突然紐のような物がが飛び出してきて、彼を縛った。

「これは...」

 突然のことに声を失う。その光景は彼に昔の出来事を思い出させた。

「はあ、いつの世も、争いがあるのね」

 彼女はため息をつくと、振り向いて、ウェイバーを見る。

「もう一度聞くわ。貴方は誰なの?」

 その微笑みは言葉にできないほど、美しかった。

 




 バーサーカーの声って難しいですね。
 彼女は誰でしょう。因みに、原作には彼女の姿はありません。
 ありがとうございました。
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