インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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特別編 part.13 戦士 仮面ライダー

ジリリリリン!ジリリリリン!

 

レトロな雰囲気が漂う小さな部屋で、帽子を被った男が静かに、忙しなく鳴き声を上げる電話を取った。

 

「はい、どんな事でもハードボイルドに解決します。鳴海探偵事務sy『しょーちゃん!大変だよぉ!』だぁ!なんだようるせぇな!ウォッチャマンか!」

 

先程までの雰囲気は電話のコールより大きい怒鳴り声によって、崩れ去った。

 

『空見てって!凄い事になってるから!』

 

「空?」

 

男は窓から差し込む日を遮るブラインドをずらし、空を睨んだ。

 

「あー、大体分かった。情報サンキュー、ウォッチャマン」

 

『良いって事よー!とにかく、なんとかなる?』

 

電話越しに聞こえる声に、男はフッと笑って答えた。

 

「当たり前だろ。この街は俺の庭だ。その庭を脅かす物があるなら、俺はなんでも解決してやるぜ。なんたって俺は「ハーフボイルド」そうそうハーフってオイ!フィリップ!いい所で邪魔するんじゃねぇよ!」

 

『ハハハ!相変わらず仲が良いねぇ。とにかく、街の平和は任せたよ?探偵さん!』

 

「あぁ、任せとけ」

 

男は電話を切った。それと同時に、声のした方に視線を向ける。

 

「フィリップ。依頼じゃねぇが、やってくれるか?」

 

「当然だろ?僕達は二人で一人の探偵で、”仮面ライダー”だろ?」

 

「あぁ、そうだな」

 

男は笑いながら帽子を被り直した。そして、視線の先の扉が開き、題名の無い本を持った青年が出てきた。

 

「行くぜ?相棒」

 

「あぁ、翔太郎」

 

 

…………………………

 

 

「んー、日本に帰るのは久しぶりだな」

 

まるでどこかの民族の様な服装の男は、空港の通路の真ん中に立っていた。

 

「一先ず、あれをどうにかしなきゃね。半年前にも同じような事あったなぁ」

 

男は空港の大きな窓から見える空に浮かぶ、もう一つの地球を見ながら言った。

 

「お前がいたら、力も持ってないのに首を突っ込むなって怒るのかな?なぁ、アンク」

 

男はポケットから手を出して、その手を開いた。その手の中には、二つに割れた金縁の赤いメダルがあった。

 

「まぁ、皆の明日を守る”仮面ライダー”は、力があるとか無いとかじゃないよな」

 

男はメダルをポケットに仕舞うと、再び歩き出した。少しの小銭と、明日のパンツだけを持って。

 

 

…………………………

 

 

「よーしお前ら席に着けー。ってあれ?ミヨッペはどうした?」

 

青い制服の学生達の視線の先にいるのは、スーツを着込み、だが髪型はそれにそぐわぬリーゼントの男だった。

 

「ゲンちゃーーーーん!」

 

その時、教室に生徒達と同じ制服を着た少女が駆け込んできた。

 

「おぉ、どうしたミヨッペ。遅刻の言い訳か?」

 

「違うって!ほら空見て空!凄い事になってるよ!」

 

「空?」

 

少女の言葉に、男は窓に寄った。

 

「おいおい、なんっだありゃ!」

 

男は口をあんぐりして驚いていた。その時、男の懐に仕舞っていた携帯が振動した。

 

「ん?お、賢吾からか」

 

ピッ

 

「よう賢吾。お前にも見えてるか?」

 

男は電話を取った瞬間に相手の名前を呼んだ。

 

『あぁ、見えている。分かっているとは思うが、あれは紛れも無く本物だ。半年前のあの時と同じだろう』

 

「多分な。で、俺に電話してきたってことは、どうにかできるんだな?」

 

『あぁ、試作品ではあるが、フォーゼドライバーが完成した。五回しか変身は不可能だが』

 

「いや、それだけあれば十分だ!今から行く」

 

『あぁ、頼んだぞ』

 

男は電話を切り、教卓の前に立った。

 

「皆すまねぇ!俺行かなくちゃいけねぇんだ」

 

男が頭を下げると、一番後ろの席の男子が立ち上がった。

 

「いいよ先生!だって先生は、”仮面ライダー”なんだから!」

 

「三郎……おう!じゃあ行って来るぜ!」

 

男はリーゼントを整えながら、走り出した。

 

 

…………………………

 

 

「紘汰!」

 

森の中で静かに佇む鎧の男の下に、一人の女が駆け寄ってきた。

 

「地球に異変が起こってるの、気が付いた?」

 

「あぁ、半年前と似ている」

 

男は静かに答えると、腰にドライバーを出現させた。

 

「ちょっと行って来る」

 

「うん。無茶しないでね」

 

「それは無理だ。無茶しなきゃいけない場面になったらするしかないだろ。だって俺は」

 

男は振り返る。するとその体を包んでいた鎧は消え、そこに居たのはどこにでもいそうな一人の青年だった。

 

「”仮面ライダー”なんだから」

 

 

…………………………

 

 

「泊刑事!」

 

廊下を走るスーツを着込んだ男の背後から、それを呼び止める声が響いた。その声の方を向くと、そこには一人の警官が立っていた。

 

「分かってる。例の上空に現れた地球の事だろ?」

 

「第三大会議室で捜査会議が行われています。捜査一課長が出席を確認したいとの事です」

 

「分かった。俺も今やってる事が終わり次第向かう。そう現さんに………いや、追田捜査一課長にそう伝えといてくれ」

 

「はい!」

 

男の言葉を聞いて、警官は走り去った。

 

「進兄さん!」

 

男の進む方向にある自動ドアが開き、そこには白いパーカーを着た青年が立っていた。

 

「剛!情報はあったか?」

 

「いや、まだ全然。進兄さんは?」

 

「流石にあの規模となると、普通の警察じゃ無理だ。こんな時、ベルトさんなら……」

 

男は悔やむような、そしてどこか悔しいような表情を浮かべる。だがそれもすぐに切り替わる。

 

「いや、ベルトさんは居ないんだ。そういえば剛、マッハドライバーは?」

 

「ちゃんと進兄さんのもあるよ。ほら」

 

青年はバッグの中からバックルの様な物を取り出すと、男に渡した。

 

「ありがとう。行くぞ剛!」

 

「オッケー進兄さん!」

 

男と青年は走り出した。それと同時に男は、そのバックルを胸に当てて小さく呟いた。

 

「行くぞ、ベルトさん」

 

そして青年の方を向いて口を開いた。

 

「俺達の、仮面ライダーとしての使命を果たすぞ!」

 

 

…………………………

 

 

「タケル殿ーーーーーーーー!」

 

厳粛な寺の本殿に、慌しい声が響く。

 

「御成?どうかしたの?」

 

本殿の真ん中で座禅を組んでいた青年は、その声に応えて振り返った。

 

「空に!もう一つの地球が!不可思議現象ですぞ!」

 

「え?またぁ?」

 

青年は痺れる足を引きずりながら廊下に出て、空を見上げた。

 

「うわ、本当だ。けど、あれ?一つじゃない?」

 

「タケル殿。既に他の方たちは動き始めているようですぞ。拙僧達も」

 

「うん、行こう!」

 

青年は走り出した。そして階段をジャンプしながら下り、下に泊めてあるバイクに跨った。

 

「御成!俺は先輩たちと合流するから、御成はマコト兄ちゃん達に連絡して!それまでは、俺達がなんとかするから!」

 

青年はそう言いながらヘルメットのバイザーを下ろした。

 

「おまかせあれぇぇ!タケル殿!それでこそ”仮面ライダー”ですぞ!」

 

 

…………………………

 

 

「もう大丈夫だからね。悪い病気は、もう治ったよ」

 

白衣を纏った青年が、自分より遥かに小さな少年の背丈に合わせてしゃがみ、自愛を込めて微笑む。

 

「宝生先生、ありがとうございました」

 

「いえいえ、仕事ですから。それに」

 

青年は立ち上がりながら少年を見た。

 

「この子の笑顔が見られて、僕も嬉しいです」

 

青年の言葉と笑顔で、辺りの人達の顔も穏やかなものとなる。その時、それを切り裂く喧騒を引き連れて一人の女性が走ってきた。

 

「永夢!大変よ!」

 

「明日奈さん?どうかしたんですか?」

 

「空にもう一つの地球が!半年前と同じ!」

 

その言葉と同時に、青年の顔が引き締まる。

 

「飛彩さん達は?」

 

「もう動いてる。さっき警視庁から連絡があって、衛生省に”皆”集まるって」

 

「分かりました。明日奈さんはもしもの時に備えて非難の準備を!」

 

青年は駆け出しながら振り返って女性に向って言った。

 

「分かった!気を付けてね!永夢!」

 

そして女性は、ピンク色の一頭身キャラのキーホルダーをそっと握り、呟いた。

 

「頑張って。仮面ライダーエグゼイド」

 

 

…………………………

 

 

その頃、それに釣られる様にして、幾つもの時空が歪み始めた。それは本来ありえる筈の無い、戦士達の邂逅。彼らには、ある一つの共通の呼び名があった。それこそが

 

「仮面ライダー、か」

 

一人の男が、邪悪に微笑む。その笑みは人ならざる者の様で……いや、実際にそうなのかもしれない。だが、それが分かるのは貴方方、いや………我々にとっては、まだ未来の話。

 

「潰し甲斐があるぜ」

 

一人の少女の絶望から始まり、世界の絶望となるのか。はたまた、そんな世界に反抗する者が現れるのか。それも、まだ分からない。だが、一つの決まっている事がある。

 

「さて、行くか」

 

誰かが悲しむ時、彼らは必ず手を差し伸べる。対価が無くとも、感謝されずとも。

だからこそ、彼らは人々にこう呼ばれる。

 

英雄(ヒーロー)と。




なんと、昨日の夜募集をかけてもう既に五人もの方が名乗りを上げてくれました!
しかも!個人的に尊敬する先輩の……いや、これ言ったらネタバレですね笑
次回から平成ジェネレーションズ編に入ります!乞うご期待!

ちなみにコラボはまだまだ募集中です!興味のある方は是非!

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=198218&uid=195590
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