抹殺された神の愛し子   作:貴神

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風邪orインフルエンザ?なのかぼーっとする
体の節々も痛い、熱はそこまで
一年ぶりの体調不良である

それでは、拙い文ではありますが、お楽しみいただければ嬉しいです。


14話

間に合わない、と絶望に染まりかける

 

深雪『私が火だけでも!』

 

いつの間にか発動準備が終わっている深雪

 

しかし、彼女にも自信なさげな表情も見えるが、火だけならなんとかなるという表情にも見える

 

それに倣って十文字も魔法の発動に入る

 

 

だが、この想子(サイオン)の嵐の中でどうやって

彼女の魔法力は解っているつもりだ、模擬戦でも見ている、あの圧倒的までの魔法力に十文字でさえ防御するしかなかったのだ

 

それでも不安が拭えない

 

 

しかし、その不安が杞憂に変わる

 

荒れ狂っていた想子(サイオン)の嵐が掻き消され、重ね掛けされていた魔法が破壊されたのを目撃する

 

誰もが目を疑い、数拍動きが止まる

 

ーーその間が命取りになることに誰もが気付かなかった

 

その僅かな時間にも横転したオフロード車が距離を詰め突進してくるのは明白

 

ハッと気付いたときには約六十メートル未満の距離になっていた

六十メートルならまだと思うかも知れないが、高速道路での六十メートルは大した距離ではない

それを自覚はしてないだろうが、慌てて魔法の発動に入る

 

なるべく手前で止めることに越したことはない

 

完成の時間とオフロード車がバスとの距離を詰める時間

どちらが早いかー

 

 

 

そのとき、全員の視線がバスとオフロード車との間に集まる

 

人影だ、誰だ?という思考は無い

 

見ただけで判る

 

守夢 達也

 

一年生であれだけ目立つことをしたのだ

模擬戦や新歓の剣道部と剣術部の騒動を治め、二科生として九校戦のエンジニアに抜擢ーー

 

その人物が目の前にいる

 

いつの間に、何しにといった外野での思考が飛び交う

 

すると、達也は炎を纏いながら向かってくるオフロード車に正面から向かっていく

 

 

その行動に一同は息を呑む

 

ーー無謀

 

という言葉が脳裏をよぎる

 

 

魔法でなければ防ぐことは不可能、生身など自殺行為に等しい

誰もがそう思っていた

 

距離にして約十メートル位か

突然、達也の姿が消えたと錯覚するほど姿勢が低くなる

 

達也と車との距離は数メートルにも満たない

 

ぶつかる!と思わず目と耳を塞ぐ

 

それと同時に

 

轟音と共に道路が揺れて、次いであまり聴きたくない

 

盛大なクラッシュ音が響き渡る

 

 

数秒位だろうか、時間の経過は判らないが揺れとクラッシュ音が消えていた

 

ゆっくりと耳を塞いでいた手を離し、瞼を上げる

 

 

そこには

 

 

ここまで凄惨な交通事故は見たことが無いくらい潰れ方をした炎上するオフロード車

 

そして

 

ボーっと突っ立っているようにも見える達也の後ろ姿とその足元には大きく陥没し、蜘蛛の巣のように広範囲にヒビの入ったアスファルトがあった

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

真由美『皆、無事?』

 

現在、事故のため、警察から事情聴取を受けている最中だ

それと平行して道路を通行可能にするように進められている

 

事情聴取と言っても達也と運転手が受けているだけである

そのため、後から合流するから行ってくれて構わないと達也は真由美と十文字、摩利に伝えるも拒否される

 

 

真由美『私も直前まで眠ってて、気付かなくてごめんなさいね?とりあえず、何とかなって良かったです。十文字君、深雪さん二人ともありがとう。二人の行動と勇気に感謝します。』

 

真由美が気付いたのは、バスの急ブレーキで止まった後で状況が整理出来ていなかったため見守るだけだった

 

だから、十文字や深雪達の行動に礼を言う

 

深雪『いえ、私など何もお役に立てていません。』

 

十文字『俺も同意見だ、それよりもあいつの活躍が大きい。あいつに礼を言ってくれ。それと、市原にもな。』

 

あいつとは、ご存じの通り達也のことだ

 

深雪『そうですね、市原先輩のバスのブレーキと同時の減速魔法がなければ魔法の選択の余裕がありませんでした。ありがとうございます。』

 

市原 鈴音

彼女もまた、優秀な魔法師の一人と言えるだろう

 

目の前に迫り来る脅威に囚われるだけでなく、しっかりと足元も見据え、常に安定した対応が出来るよう心掛けるその姿勢

 

深雪と十文字の感謝の言葉に彼女も会釈を返す

 

花音『…嘘、全然気付かなかった。』

 

思い返せば、想像に難くない

 

急ブレーキをしたとしても僅か数十メートルの間で止まれる訳がない

 

そこは減速魔法による功績が大きい

 

摩利『全く、お前もまだまだだな。魔法は早ければそれで良いというものではない、周囲の状況を把握する必要があるんだ。』

 

花音『ううぅぅぅ。』

 

摩利は花音に説教しているつもりだが、そのやりとりが一年生にも聴こえている

摩利の言葉にまるで自分が叱られているような気分になる

 

真由美は項垂れている一年生をこのままにしておくのは良くないことは理解している

 

魔法は良くも悪くも精神の影響が大きい、そのため、何かの拍子で魔法が使えなくなるというのはあるのだ

 

失敗は誰にでもあることし、それを次に活かせば良いだけのこと

 

例外は存在するのだがー

 

 

真由美『今回は緊急性もあり、仕方のない部分も多くありました。こういうときは、周りとコミュニケーションを取って、役割分担などでそれぞれが出来ることをしましょう。無理は禁物です。私達は一人ではないのですから。』

 

真由美の言葉に一年生も安心した表情をする

 

今回の出来事は異常だろう

 

乗用車と衝突しかけたのだから

 

それを対処しようとした生徒達を責めることは出来ないし、逆に誉めてあげてもいいくらいだろう

臆せず、立ち向かったのだから

 

 

 

 

達也『すみません、七草会長。よろしいでしょうか?』

 

数分後、警察から聴取を受けていた達也が真由美に声をかける

 

バスの運転手も帰ってくる

 

真由美『どうかしたの?守夢君。』

 

達也の表情が申し訳なさそうに見えたため、不思議に思う真由美

 

達也『聴取の件で警察署に行くことになりました。このまま道路を封鎖している訳にもいきませんので。そのため、私は後から合流しますので、先に出発してください。』

 

摩利『おいおい、穏やかではないな。…もしかして、お前の道路破壊がいけなかったんじゃないのか?』

 

真由美と達也のやりとりを聴いていた摩利が首を突っ込む

心なしか声音が弾んでいる

 

達也『そんな訳ありませんよ。委員長は私を何だと思っているのですか?…少し、ムカついたので敢えて文句を言わせていただきます。』

 

摩利の言葉にムッと顔をしかめる達也

 

普段なら冷めた回答をする達也だが、今日は顔にまで出ている

 

さっきの彼らの失態と今の言葉にカチンとくる達也

少し位、毒を吐いても構わないだろう

 

 

真由美『え?え?』

 

摩利『お、おう。』

 

なんか、可愛らしい言葉が聞こえた気がした

 

が、それとは裏腹に容赦ない言葉が返ってきた

 

 

達也『…先ほどの車に対する対応は酷すぎます。あんなに魔法が重ね掛けされた状態で魔法力で何とか出来るとかそんなことありません。確かに十文字会頭や司波さんならもしかしたらかもしれません。しかし、そんな一か八かの賭けにのるなんて大馬鹿ですか。そんなにあなた方の命は軽いと見えます。』

 

服部『!?…なんだと?』

 

 

命が軽いと表現されたことに服部が図星なのか、心外な言葉に反応する

 

それはそうだろう、誰しもが命なんてものは軽いと思ってはいない

 

しかし、達也はそれを逆撫でするような言葉を発していく

 

 

達也『皆さんは魔法を勉強中の身だ、それをあたかも自分達は魔法が使えるから誰よりも凄いんだと自惚れる。断言してもいいです。皆さんと一般市民の違いは魔法が少しだけ使えるだけ。魔法というものがなければ徒人と同じです。』

 

今度の言葉は明らかにバスの車内に居る生徒全員を魔法師として失格と罵倒するかのようなものだ

 

大半の生徒が怒りを露にする

 

それはそうだろう、ここに居る全員はエリート高校である第一高校の九校戦という全国から猛者が集まる魔法師(の卵)が競い合う場に選ばれた謂わば、エリート中のエリートなのだから

 

さらに言うなれば、第一高校は全国九つある中で最もレベルが高いと云われている

 

 

2-B生徒『黙って聞いてりゃ調子にのったことを言いやがって、二科生如きが。』

 

とうとう服部以外の生徒が達也に噛み付く

元々、服部は達也を毛嫌いしている節があるためさほど問題はない

 

というよりも、達也にこれほどまでに自尊心を傷つけられてよく暴言を吐かなかったものである

 

それに、そこまで達也を認めていないのは確かだ

ポッと出の一年生でしかも、二科生が九校戦のメンバーなんて普通はあり得ない

 

まあ達也からすれば、そんな傷ついて困る自尊心なら棄ててしまえと言うだろうが

 

 

達也『何か間違ったことを言っていますか?…たらればの話は嫌いですが、十文字会頭と司波さんで止められた可能性は二分の一です。止めれたか衝突したかのどちらかです。』

 

正直、確率の問題でいえば、七割から八割程度で無事の可能性はあっただろう

しかし、そんな確率は当てにならない

 

その現場一つ一つが無事でなければ、その人物の魔法力など役に立たないのと同義だ

常に100%、確実が当然なのだ

 

幸運だったなどという曖昧な言葉など死の前には無意味だ

 

2-A生徒『そんな訳ないだろうが、会頭なら止められた!』

 

十文字『…』

 

他の生徒の十文字を擁護するその声に十文字は黙したまま

 

随分と信頼の高い言葉だが

十文字が絶対なんてことはあり得ないのに

 

相変わらず、魔法第一主義は変わっていないようだ

軽く嘆息する

 

 

達也『そうですか。では、止められなかった場合は皆さんはどうしましたか?逃げる時間もなく、衝突に巻き込まれて、怪我もしくは、死んでいたかもしれないのですよ?』

 

全員『!?』

 

結果として、無事だったから良いのではない

 

何が起きても万全の態勢で挑む

 

何度も言うが、名誉や権力を持っていたとしても死の前には無意味なのだ

 

達也の指摘に全員が気が付かなかったといった表情をする

 

 

達也『ほら、そんなことにも気付いていない。私からすれば魔法は絶対ではありません。自分が今何をすべきかを考え、何が大事か、やらなければならないことは何かを考える。…確かに誰かを信じることは大事ですが、時と場合によります。あの状況に陥ったときには、まず自分の安全の確保もしくは、対応するための役割分担ではないですか?』

 

魔法というものはとても便利なものだ

ある程度の事象は魔法で片が付く

 

しかし、それを過信してしまうと時として魔法は自身に牙を向く

 

全員の反論が無いため尚も達也は続ける

 

 

達也『車がぶつかってくるから止まれって、小学生じゃないんだから。魔法があれば何でも出来るからそれに溺れて頼りきった結果がこれだ。』

 

同じバスの車内に居なくても手に取るように解る

 

達也には、何の魔法を使ったか解る眼もある

 

 

そして、いつの間にか丁寧語からタメ口に変わっている達也

 

達也の素を知っている家族や独立魔装の人間はこの変化に苦笑を洩らすだろう

 

ああ、我慢の限界だったのだなと

 

 

 

1-A生徒『ふざけるなよ、お前も魔法科高校の一人だろうが!魔法が全てだと思ってるんじゃないのか。』

 

差別思考に染まりきっている同学年の1-Aの生徒

 

何か反撃をしようと苦し紛れの反論をするも矛盾だらけの言葉

 

達也『何を馬鹿なことを。俺にとって、魔法なんてものは唯の道具にすぎない。結果を得るために最善と思える方法の一つだ。…今回は、魔法よりも確実な方法があったからだ。しかも、どこぞの戯け共が魔法を重ね掛けしてくれたから魔法を使わなかっただけだ。』

 

達也にとって、魔法は道具であり手札の一つなのだ

 

必要であれば魔法は使うが、それよりも最適なものがあるならそれを使う

 

そういう認識なのである

 

まあ、達也の魔法は人前では目立ちすぎるため使えないといった表現が適切だろうか

 

 

摩利『!?…ちょっと待て、それじゃああの重ね掛けされた魔法を消し去ったのはお前の魔法じゃないのか?』

 

後半の達也の言葉に摩利は疑問を憶える

 

模擬戦といい、今回の魔法式を破壊した人物は達也の可能性が高いと認識していたからだーーというより、絶対に達也だと確信があった

 

達也『当たり前です。そんな、魔法式を吹き飛ばす魔法力はありませんよ。しかも、あれくらいの車程度止めるのに魔法は必要ありません。…愚痴になってしまいましたね。すみません、七草会長。そういうことなので、おそらく、一時間程度遅れて合流します。機材等は残しておいて下さい。運んでおきますので。』

 

摩利の言葉に達也は眼の付け処は悪くはないと内心思うも何をしたかは言うつもりはない

教えれば、厄介事に巻き込まれることになる

 

それに、あんな車くらい止められなければ師匠や義父達に笑われる

 

魔法力は無いと言った達也の言葉に不可解な感じを覚える一部の生徒

 

とりあえず、言いたいことは無くなったため警察の元に行く達也

 

時間は有限だ、この場所に長居しても自分にも彼らにもメリットはない

 

真由美『ち、ちょっと守夢君!?』

 

摩利『あいつ、言いたいことだけ言って逃げやがった。』

 

さっさとバスを離れた達也に戸惑う真由美と苛立つ摩利

と他の生徒達

 

一応、他の生徒を代表して摩利が文句を言った訳だが、正論のため反論が出来ない

 

十文字『…あいつは本当に痛いところを突く。……一応皆に言っておくぞ。あいつの弁護をするつもりではないが、あいつは俺達を早く宿舎に行かせるように聴取を一手に引き受けてくれているんだ。その善意を無駄にするなよ。七草、これは、お言葉に甘えて俺達は行くべきだと考えるが。』

 

十文字は辛酸をなめさせられたような表現だけに留める

 

何故、達也があの状況で出てきたのか解っているからだ

あの場で僅かにも判断能力を残していたのは、自身と摩利と深雪、鈴音だろう

真由美は直前まで眠っていたため手を出せなかった

 

そして、あの状況に動じない達也

しかも、魔法を使わずに蹴り一つで車を破壊した力

 

正直、恐ろしいと感じる

 

また、先のことまで考えて自分達を宿舎に行かせるために聴取を一手に引き受ける献身さ

 

十文字も精神的、体力的にもここに留まるのは好ましくないと考えていたが、自分は幹部の身であるからおいそれと残ることも出来ない

 

そういった条件もあり、

現場を見ており、選手でもない達也がこの状況では適任なのは間違いない

 

それを考えて行動をしている達也は年齢を詐称しているのではと疑いたくなる

 

十文字の説得力のある言葉に真由美も頷くしかない

 

 

 

 

ゆっくりと、バスが現場から離れていくのをじっと見送りながら、自己嫌悪に陥る達也

 

達也『…随分と柄にもないことをした。』

 

正直、十師族が居ながら、あそこまであれに手こずるとは思わなかった

 

最低限、魔法式を破壊した後は対応出来ると踏んでいたが、破壊されたのが衝撃的だったのかもしれないが、おかげで出張る羽目になった

 

それに対する説教もするなんて

 

ストレスが溜まっていたのかもしれない

 

まあ、少し解消出来たから良しとしよう

 

 

達也『(早々に仕掛けてきたか、やはり狙いは九校戦で、恐らくだが、第一高校か)』

 

達也が第一高校と推測したのは理由がある

第一高校は九校戦の会場に近いため現地入りは最後なのだ

 

もし、他の高校が妨害工作を受ければ、何らかの連絡がくるはず

それが無いということは第一高校に焦点を当てたものだと言うこと

さらに、間接的に狙ってくる可能性もある

 

目的は不明だが、念のため、対策は立てておいたほうがいいだろう

 

達也『(あくまで、死人が出ないようにするだけだがな)…さて、時間は有限だ、行くか。』

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

現在、達也は窮地?に立たされていた

 

 

真由美『守夢君?何を勝手にサボろうとしていたのかしら?言い訳はあるかしら?』

 

ブラックスマイルの真由美に何の申し開きをしようとしても結局、自分が悪い

 

達也『いえ、そうい…申し訳ありません。』

 

警察署での事情聴取が終わり、宿舎に合流を果たしたのは17時30分頃

そこから、荷物の搬入を三十分で終わらせた達也は懇親会の時間を確認すると、開会は19時とあるため一時間の自由時間が発生したため

 

達也はこの時間を仮眠の時間に充てることにした

 

というのも、寝る間も惜しんで研究に勤しんでいたため今日が九校戦の集合というのも気が付かなかった

そのため、睡眠不足だった達也

 

今日の出来事を振り返ると、明らかに思考が儘ならないことと不自然な達也らしからぬ行動があった

 

その事を踏まえると、仮眠をとっておくことに越したことはない

 

身支度の時間を考えると、三、四十分は仮眠出来ると考えた達也

 

 

 

もうここまで来たらお分かりだろう

 

そうーー遅刻

 

しかも、三十分オーバーで

 

 

 

真由美『全く、校章の入っていない制服だし。』

 

校章が入っていないと、目立ち過ぎる

現に他校から「え、あれって、仕立てミス?」「一高は一科生と二科生と分けられるからあれは、二科生なんじゃあ?」等々

 

鈴音『…会長、時間もありませんし、着替えさせるかそのまま参加なのか決めて下さい。』

 

このまま何も解決しないような雰囲気のため鈴音が進言する

 

というより、真由美の愚痴になりそうだからである

 

真由美『そうね、他校の目もあるし今すぐ着替えて来なさい。』

 

達也『わかりました。』

 

達也としては、このままでも良いのだが。公式の場では、統一が望ましい

 

幸い、司会から開会の挨拶があっただけのため、すぐに着替えに戻らせる

 

 

 

 

深雪『だらしないわね、あの男が事故を防いだとは思えないわ』

 

真由美に叱られていた達也を眺めていた深雪は毒を吐く

 

深雪は達也を毛嫌いしているため達也の話題になるととことん機嫌が悪くなる

 

言わなきゃいいのに、と言いたくなるが藪蛇だ

 

ほのか『つ、疲れていたんじゃないかな?いくら守夢さんとはいえ、車を止めるなんて荒業をしたんだから。』

 

深雪に達也の話題はご法度だが、今回は特別だ

 

深雪『ほのかったら、まさかあんな男の味方をするわけ?』

 

まるで、敵として見なすというような口振にほのかもたじろぐ

 

達也も大事だが、深雪も友達でいたい

 

 

ほのか『ち、違うの。ただ、今回は…その…』

 

雫『私もほのかと同意見。…守夢さんは、私達を守ってくれた。仮に、深雪や十文字会頭が止められたとしても、今回の結果は守夢さんが止めてくれた。深雪は恩を仇で返すの?』

 

ほのかが弁解しようにも深雪の雰囲気が言わせない

 

語尾が萎んでいくほのかを援護する形で深雪と真っ向から達也のフォローをする

 

深雪『…そういう訳ではないわ。懇親会とはいえ、九校戦は始まっているのよ?意識の問題を言っているの。』

 

と言い残して去っていく

 

その背中を見送るほのかと雫

 

ほのか『ありがとね、雫。』

 

雫『ううん、これくらい。ほのかの一言が勇気をくれた。』

 

ほのか『そうかな?…それにしても、なんで深雪は達也さんをあんなに嫌っているのかな?』

 

ほのかが深雪に言ってくれて良かったと思っている雫

 

もし、自分がほのかより先に言っていたなら確実に喧嘩に発展していただろうから

 

互いにお礼を言い、先程の会話に疑問を抱く

 

雫『さあ?』

 

はっきり言って、理由が見当たらない

 

二科生であることと模擬戦の敗北しかない

 

それを理由に嫌うなど器が小さいとしか言い様がない

 

が、深雪に限ってはそれは無いと信じたいところだ

 

 

 

 

ーーーーーー

 

ところ変わって、ある高校の生徒達が注目を集めていた

 

??『どうしたの?将輝、何かあったのかい?』

 

将輝『あぁ、ジョージ。何でもない。』

 

一条 将輝と共にいる、彼の顔半分位低い身長の少年が声を掛ける

 

見た目は色白で病弱のような容姿だが、体躯は高校生のそれだ

 

ジョージと呼ばれるこの少年の名前は「吉祥寺 真紅郎」別に外国の血を引いている訳でもない

 

生粋(日本人は縄文時代辺りを言うため現在は混血のため定義は曖昧だが)の日本人である

 

吉祥寺『そうかな?将輝の顔が赤いから誰かに見惚れていたのかと思っていたんだけど?』

 

将輝『うっ、鋭いな。一高の彼女を見ていた。』

 

吉祥寺『?彼女?…あぁ、黒髪のね。彼女は司波 深雪 出場種目はピラーズ・ブレイクとミラージ・バット(フェアリー・ダンス)だよ。一高の一年生のエースだよ。』

 

将輝『司波 深雪…。』

 

口に出して記憶するかのような感じだが

 

直接、会話すれば良いのではないかと思わないでもない

 

ーーヘタレなのか

 

三高生徒『一条が見惚れるなんて珍しい。たしかに、すげぇ美少女だよな。』

 

普段、彼は周囲の女性から注目の的であるのだ

 

一条という家柄で甘いマスクに、世の女性達は魅了されまくりなのだが、今回は逆のようだ

 

 

 

一方、

 

??『全く、お気楽なものね。懇親会といえ、もう九校戦は始まっているというのに』

 

どこぞの誰かと似たような内容の人物

 

彼女の名前は「一色 愛梨(いっしき あいり)」師補十八家の一つ

一色家の娘である

 

容姿は申し分無く美少女の分類に入る

髪は綺麗なブロンドのロングで、キリッとした目元も特徴の一つだろう

 

何故、魔法師はこれほどまでに容姿が見目麗しいのか魔法以外の要素があるのではないかと疑問に思うほどである

 

??『なんじゃ?一色は戦いが好きと見えるのぉ。』

 

彼女は「四十九院 沓子(つくしいん とうこ)」百家の一つだ

口調からなんとくなるわかるかもしれないが、少し爺k…老成した喋り方(あまり変わってない?)だが

 

人懐っこそうな元気な少女

 

 

??『私も愛梨と同意見よ。もうすでに九校戦は始まっているわ。沓子はもう少し真面目にしたら?』

 

少々容赦ない口調の彼女もまた、百家の一つの

「十七夜 栞(かのう しおり)」という

 

容姿は愛梨には少し劣るものの可愛いではなく、美人という表現が適当だろうか

物静かな雰囲気の少女だ

 

 

沓子『そうかのう?まあ、わしはやるときはやるから心配は無用じゃ。』

 

ニヤッと笑い返す

 

毒舌にも気にしないというか芯の強い少女である

 

伊達に九校戦の選手として選ばれていない

 

 

栞『まあ、私達の目的は三高を優勝に導くこと。それは忘れてないわね?』

 

沓子『勿論じゃ。わしたちで優勝に導くぞ!』

 

 

あくまで意思確認といった風の問い掛けに

 

言われるまでもないという返しに相当の覚悟が窺える

 

愛梨『気合いも入ったところで、一条君達が騒がしいから様子を見に行きましょう。』

 

先ほどから将輝達が騒がしい

 

詳しくは聞き取れないが、絶世だとか、美少女とかが微かに聞き取れる

 

沓子『そうじゃのう、一条親衛隊も騒がしいから気になっておったのじゃ。』

 

一条が見惚れる高校生なんて親衛隊が黙っていない

 

その状況に何もしないのは異常である

 

しかし何故、何もしないのかはすぐにわかることになる

 

 

愛梨『!?(ゾクッ)(何なの?この美しさは。これほどまでに整った容姿は初めてみたわ。)』

 

深雪の容姿を目の当たりにした者は基本的には愛梨のようにソレに呑まれる

 

栞『…凄いわね。親衛隊が逃げたのも頷けるわね。』

 

沓子『うむ、三高も十分名家が多いから見慣れていると自負しておったが…』

 

沓子の言う名家が多いから見慣れるとは

先にも言ったが、魔法師は基本的に容姿はそれなりに整っている

 

そして、魔法力がある魔法師はそれ以上に容姿端麗なのだ

 

特に十師族や百家の魔法師はそうなのだ

 

しかし、何故そうなのかは判っていない

 

愛梨『…さぞかし、素晴らしい家柄とお見受けするわ。私は一色 愛梨と申します。隣にいるのはー』

 

彼女を睨んでいた訳ではないが、凝視していたことには変わりはない

それは非礼にあたるので、まず自分から自己紹介をする

 

栞『十七夜 栞です。』

 

踏子『四十九院 沓子じゃ。』

 

深雪『第一高校一年の司波 深雪と申します。』

 

深雪も彼女達を責める事もなく、淡々と名乗り返す

 

尤も、深雪にとっては相手がどんな人物なのかという意識はない

 

 

深雪『(あの人に逢えるように精進するのみ、もしかしたら逢えるかもしれない。)』

 

自分が出来る限りをするだけなのだ

 

 

愛梨『(しば?…そんな家名はあったかしら?)そうですか、どうやら私の勘違いでしたわ。お互い頑張りましょう。』

 

愛梨は司波家という名前を反芻し、該当を探していた

 

だが、そんな名家は存在せず

 

自分の勘違いかと納得し、当り障りのない言葉で彼女をあしらった

 

 

 

 

水尾『いやー、九校戦懇親会恒例の鞘当てをやってるねー。』

 

三高3年『そうね。まあ、私達は一高が凄まじすぎて近づけなかったけどね。』

 

愛梨達が一高の生徒と話しているのを遠くから見物している人物

 

第三高校 生徒会長 水尾 佐保(みずお さほ)である

 

水尾『(一色、どんどん経験をしていきなさい。それが貴女を成長に導いてくれるから。)』

 

後輩達を見守る姿はどこか親のようなだった

 

 

 

 

 

そして

 

当の主人公はというとーーー

 

達也『(懇親会というだけあって、そこまで雰囲気は殺伐とはしていないな。)』

 

着替えたがなるべく見つからないようにして(気配は消していない)料理に舌鼓を打っていた

 

 

エリカ『あ、達也君。漸く見つけた。』

 

達也『エリカ…なるほど、アルバイトか。それにほのかと雫まで来たのか。どうした?』

 

この場にエリカが居るのが不思議だったが、服装を見るとウェイトレス姿のため、この懇親会のアルバイトの人手としていることがわかる

 

それにあの千葉家は警察や軍関連に門下生を輩出している

 

その事を踏まえると、ここは軍の施設だが容易に入り込めることが予想出来た

 

そして、ほのかと雫を連れて来たのは謎である

 

 

雫『どうしたもない。着替えに戻るだけなのに、遅いから何かあったのかなと思ってたら、一人で黙々と料理を食べてる達也さんに怒ってるの。』

 

達也が着替えに戻って三十分以上経過している

 

宿舎に着替えに戻るだけなら十分程度で足りるのに、会場に入って姿を見なかったのは、こういうことか

 

探そうにもこの会場は広い

何せ九校戦に参加する各校の生徒数が約五十~六十人でそれが九校あるためそれの九倍だ

 

そういった計算から数百名の人間が入れる広さなのだから、達也一人を見つけることは困難なのである

 

しかし、エリカは広い会場を給仕として動き回っているため達也の姿を見留めることも可能なのだ

 

達也『それはすまなかったな。二人とも他校と話し込んでいたから邪魔をするのは忍びないと思ってな。』

 

もしかしたらーー

 

ほのか『違います。私達が怒っているのは私達もお腹空いているのに、先に食べていることです!』

 

とんだ八つ当たりである

 

達也が会場に来てから約一時間経過しているわけで

 

その間に食べようと思えばいくらでも食事が出来たのだ

 

雫『というわけで食べさせて。』

 

あーん、と口を大きく開けて待っている雫とほのか

 

謂わんとしているのは皿に料理を取ってくるのではなく、達也が彼女達に食べさせること

 

まるで親鳥が餌を雛鳥に食べさせる図だ

 

エリカ『いいなぁ、私も食べさせて貰おうかしら?』

 

二人に倣って達也におねだりを敢行するエリカ

 

達也『おいおい、エリカは給仕なんだから。二人とも、そんなことを請われてもするつもりはないよ。』

 

二人を諌めつつ、エリカにも仕事(アルバイト)を持ち出し難を逃れる

 

エリカ『ちぇ、つまんないの。』

 

ーーーーー

 

懇親会も中盤を過ぎ、来賓の挨拶にプログラムが移る

 

長々と話す者もいれば、あっさりと終わる来賓もおり、それに真剣(形だけ)に聞き入る生徒達

 

来賓の挨拶が残り二名となり、少し気の抜けた表情になる高校生

 

その姿を見て、達也はやはり高校生かと思った

 

何処でもそうだが、気の緩みは命とりになる

 

比較的平和な国だから良いが、常に争いのある国では表情を崩しても気を抜くことはない

 

そういう意味では、ずっと気を張り続けていることになる

 

それを高校生に求めるのは酷であるため、仕方ないといった表情に留めた

 

 

が、次の司会者の言葉に自身にブーメランが返ってくるとは夢にも思わなかった

 

 

 

 

司会『続きまして、予てより参加のお願いをしていた努力がついに報われることになりました。CADメーカーのエリシオン社 社長である 森城 昌浩様より激励の言葉を賜りたいと思います。』

 

 

達也『………は?』

 

数拍分の間を置いて出てきた言葉は一文字とクエスチョンマークのみ

 

今の達也を表すなら、【マヌケ】この言葉が最適だろう

 

そんな達也の状態などより司会者の言葉に高校生達は興奮状態だ

 

それはそうだろう

 

エリシオン社と言えば、最古のCADメーカーであり、値段はそれなりに高価だが、購入者からのリピート率は100%

 

謎の天才魔工師

トーラス・シルバーも在籍している会社

 

そして、待遇面も充実している←実はここが高校生に人気だったり

 

 

昌浩(以降浩也)『ご紹介にあずかりました。エリシオン社 の森城 昌浩と申します。…実を言いますと、あまりですね、その、スピーチは得意ではありません。九校戦の役員の方々に根負けして挨拶に立つことになりました。…あの、上手く話せてますかね?』

 

ネガティブ発言に会場が笑いに包まれ、空気が弛緩するのを確認する

 

無理もない

 

エリシオン社の社長が出てくるとなると、敏腕の人物を想像する

 

それがどうだ、目の前に登壇している人物は少しオドオドしている風にすら見受けられる

 

浩也『とりあえずですね、皆さんにお伝えしたいことは一つです。全身全霊で楽しんで下さい。』

 

こう話す浩也だが、この会場で達也だけがこれが演技であると判っている

 

強張った体はパフォーマンスを下げる

 

確かに緊張感は大事だが、それは別の問題だ

 

 

 

しかし、浩也の言葉がこれで終わるとは思っていなかった

 

 

浩也『短いですが、これで私の言葉とさせ…あ、忘れてました。』

 

全員(達也以外)『?』

 

浩也の言葉がこれで終わると思っていたため最後の来賓の挨拶に意識が向いていた

 

それを狙っていたのだろう

 

策士である

 

 

浩也『選手とエンジニアの方々に心にとどめ置いて欲しいことがあります。私は毎年、九校戦を観戦しており、良い成績に関わらず私達の目に留まった方をスカウトしています。本番だけでなく、この宿舎にいる間も見ていますので、エリシオン社に入社を希望される皆さん。くれぐれも気を抜かないように。それでは、失礼いたします。』

 

 

 

現在の会場の様子を表すなら【嵐】だろう

 

それも特大の

 

浩也の激励の言葉は会場を混乱の渦に巻き込んだ

 

会場にいる全員が茫然としている

 

 

達也『(やられた、まさかここに来賓として出席しているとは。…しかも、最後には俺を見て笑っていたということは…。)』

 

ブランシュの件だろう

 

あのとき、説教だと言われていたから数日間身構えていたが、何も無かったのだ

 

凛が浩也を治めてくれたと思っていたのだが、それが今になってやってくるとは

 

しかも、浩也が懇親会に出席するのはおかしくないのだ

 

達也自身が九校戦のエンジニアになった時点で視野に入れておくべきだったのだ

 

達也『狐につままれた気分だ。』

 

達也は天を仰いだ

 

 

司会者『え、えーと。森城 昌浩様、ありがとうございました。続きまして、九島 烈様より激励のお言葉を賜りたいと思います。』

 

九島 烈

 

日本の魔法師の間で敬意を以て「老師」と呼ばれる

 

十師族という序列を確立した人物であり、約20年前までは世界最強の魔法師の一人と目されていた人物

 

当時は「最高にして最巧」と謳われ、「トリック・スター」の異名を持っていた

 

第一線を退いて以来、ほとんど人前にでることはないが、全国魔法科高校親善魔法競技大会にだけは毎年顔を出すことで知られている

 

達也『(さて、九島も俺を探しているらしいが、それが九島家だけなのか。それとも、九島 烈もなのか見極めさせて貰おう。)』

 

九島家が達也を探しているということは知っている

 

それが、九島 烈もならばそれ相応の対応をするまで

 

 

全員が見守る中それは起きた

 

 

パッと壇上のスポットライトが点灯した瞬間

 

現れたのはパーティードレスに身を包んだブロンドの髪の長い妙齢の女性

 

九島 烈とは外見が違うと思われる、何故なら齢九十歳近いはずだからだ

 

しかし、その思い込みは良くはないため気配を探るのは欠かさない

 

 

達也『(…なるほどな、これは手品の要領だな。スポットライトが当たっているモノに注意を引き付ける。そういう類いでの大規模な魔法を発動させたのか。凄いな、俺はそこまでの魔法力は無い。)』

 

そして、当の本人は後ろに控えているわけである

 

達也『(それにしても、ここにいる人間達の危機察知の無さには呆れる。さて、どうやって気付かせるか。…しかし、あまり情報を与えるのは良くないが、俺を探している理由とそれを主導している人物がどちらなのかは知っておく必要はあるな。)』

 

会場のほぼ全員を騙す九島 烈の腕を認めるが、達也からすれば小賢しく感じる

 

達也『(老害に気配を悟られるのは癪だからな。)』

 

普段から達也は無意識に気配を消している

 

それは忍びの師である八雲の教えでもあった、忍びたる者、忍ぶのが務めだと

 

しかし、家の中ではスイッチが切り替わる

というよりも気配を断っても見つかるのだ

※特に双子の義妹によって

 

神夢家恐るべし

 

 

 

しかしながら、高校に入学してからは意識して気配を断たないようにしている

 

そうだろう、気配が無いのに授業を受けている生徒がいるなど恐怖だろう

 

幽霊が隣で勉強しているようなものである

 

しかし、これは逆に集中力を必要とするため達也にとってはある意味、修行と言える

 

そういう経緯もあるが、現在達也はいつも通りに気配を消している

 

達也『(手品に近いなら、意識を逸らすだけで見破れるはず。)』

 

達也はこの会場に用は無くなったため退出と同時に魔法の解除を実行する

 

方法は扉の音

 

ギィィィ、バタン

 

重厚な扉が普通は音をたてないはずが達也の怪力によってフロアヒンジが嫌な音をたてる

 

それをきっかけに声が上がりだす

 

 

高校生『女性の後ろに誰かいるぞ。』

 

高校生『本当だ、あの人が老師?』

 

次々と会場から声が上がる

 

かの老人は前にいた女性に声をかけ、女性は舞台裾に退く

 

そして、スポットライトが九島 烈を照らす

 

 

九島 烈『(…ほう、私の魔法にイチ早く気付き尚且つ、魔法を使わず周囲の人間にそれを知らせるとは。どういう人物かも不明だが、可能性としては高校生か。恐ろしいな。…もしかしすると…。)まずは、悪ふざけに付き合わせてしまったことを謝罪しよう。今のは、魔法というより手品に近い。』

 

自分の魔法を見破り、それを音という形で皆に判らせた手腕に感嘆する

 

しかも、自分に気配を悟られずに実行するほどの人物など自分が会った過去の人物には居なかった

 

 

九島 烈『私の見たところ、この会場で私の魔法を見破れたのは4人だけだった。』

 

高校生達『?』

 

九島 烈の言うことが理解出来ないといった表情をする

 

見破れたから何だと言うのだろうか

 

だが、この人物が言うのなら何か意味があるのかもしれないと、耳を傾けるが不信感を抱く

 

九島 烈『何が言いたいのかというと。もし、私がテロリストで鏖殺(皆殺し)や毒殺を目論んでいたとき、それを阻むべく行動出来たのは4人だけだったということだ。他の諸君は私が魔法を解除してから気付いたということは…言わずともどういうことか分かるだろう。』

 

会場全員『!?』

 

殺されていたという言葉に衝撃を受ける

 

世界からも一目置かれる人物がこのような行動をし、あまつさえ、自分がテロリストだったらなどと発言したからそれは、驚嘆や尊敬、そして、畏怖すら抱いた可能性すらある

 

だが、それを差し置いても彼の言葉には説得力はあった

 

それが今でも現役というに相応しい魔法力を備えていたからで

 

だから、老師と呼ばれるのかもしれない

 

 

九島 烈『魔法を学ぶ若人諸君よ。魔法は絶対的な力でも、目的でもない。魔法とは道具であり、手段の一つだ。私が今用いた魔法は規模こそ大きいものの、強度は極めて低い。

だが、君達はその弱い魔法に惑わされ、私がこの場に現れると分かっていたにも拘わらず、私を認識出来なかった。

魔法を磨くことは大切だが、これから言うことを肝に銘じて欲しい。

使い方を誤った大魔法は使い方を工夫した小魔法に劣るのだ。

私は諸君らの工夫を期待している。』

 

魔法は道具

 

一高の生徒達はこの言葉にバス内での達也を思い出した

 

彼も同じ言葉を使っていたからだ

 

ということはーー

 

彼らの中で九島 烈という日本の魔法界の頂点の言うことが正しいと思うなら、達也の言葉もまた正しいということになる

 

それを認めたくない一高生は渋い表情になった

 

 

 

ーーーーーーーー

 

扉の向こうで声を確認すると、部屋へと戻る達也

 

道すがらふと歩みを止める

 

達也『…義父さん、あれは卑怯です。』

 

達也の後方の角から浩也が現れる

 

そこには、悪戯が成功したようなの表情の浩也がいた

 

浩也『今回は俺の勝ちだな。あとで、部屋に来るか?』

 

達也はこの時期は修行や軍関係で居ないため初めての旅先での家族団欒である

 

浩也は達也を部屋に来るよう誘う

 

達也『いえ、睡眠を摂っていなかった所為で自分らしからぬミスをおかしましたので。もう眠ろうかと。』

 

しかし、達也は今日のことで反省と休息を含めて眠ろうと思案していた

 

浩也『それなら、尚のこと、部屋に来なさい。』

 

達也『?…なるほど。そういうことですか。お言葉に甘えます。』

 

達也の言葉に浩也は合点といった表情と最良の提案をする

 

達也は浩也の提案に疑問を浮かべるも、すぐにどういう意味なのかを理解する

 

浩也『あぁ。そういうことだ。』

 

達也『仕度が終わり次第伺います。それで、義父さんの部屋はどちらに?』

 

浩也『このホテルのーーー』

 

今更であるが、

浩也の言った部屋とは浩也達の部屋ではない

 

軍に所属している関係での達也の部屋だ

 

達也も人間であるため気を抜ける場所は必要だ

それはただ、体を休めるだけではなく、精神的にも休めることが出来るのは、プライバシーが守られた場所

 

九校戦で割り当てられた部屋ではいつ何時誰が来るかもしれない部屋では意味がない

 

そのため、諸事情により達也に部屋が軍から割り当てられている

 

 

とりあえず、制服から部屋着に替えるために一度部屋に戻る達也

 

その後で、その部屋の詳細と家族に会いにいくために

 

 

 

 




如何でしたか?

①深雪さんはこのサイオンの嵐でも出来ると思いますが、なにぶん、経験値が足りてませんので
②魔法式の破壊は達也君の十八番です
③達也君は身一つでどこまで破壊出来るのか?※それは作者次第(笑)
④懇親会では、敢えて二科生ということを見せました
⑤というより、仮眠する達也君はどうなんでしょうか?
⑥来賓にオリジナルキャラ混ぜました
⑦九島烈の演出を台無しにする達也君、愉快ですね


とまあ、これからもワケわからん投稿していきますが、生暖かい目で見ていただければ幸いです
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