抹殺された神の愛し子 作:貴神
スピードシューティング(本戦・新人戦)
バトルボード(本選・新人戦)
以下省力
各種目で本選→新人戦の流れにします。
物語作成の都合上…
五十里『…もうこんな時間か、守夢君は終わりそうかい?』
五十里 啓
百家の一つ 五十里家の嫡子で千代田 花音とは許嫁の間柄である
中性的な容姿で女性の服を着せると見紛うほどの柔和な顔立ちと雰囲気をもつ男子生徒
現在、達也達はCADの調整でエンジニアは今日に追い込みをしている
達也『はい、一応、予選の分は終わっています。』
時刻は23時を過ぎたところ、あと半日も経たない時間で九校戦が始まる
エンジニアは最終調整に追われるのが九校戦の醍醐味の一つといえる
五十里『速いね。なら、キリのいいところで終わらせて明日のために備えて寝ておくことをお奨めするよ。僕はまだやることがあるからもう少ししてから体を休めるからあがって構わないよ。』
エンジニアも体力勝負だ
体調不良でCADの調整が出来ないでは困るのだ
そのため、休めるときに休む
これもエンジニアとしての努めだ
達也『わかりました。では、お先に失礼します。』
作業車から降りると、夏特有の湿気を含んだ風が頬を撫でる
明日も暑い日になりそうだと考えていると
妙な緊張感が達也の感覚を揺さぶる
達也『?』
その気配のする方に足を向け、その歩は次第に走りに変わっていく
その気配は息を殺し、動きに無駄が少ない
訓練された人間の動きだ
その一方で、別の気配は戸惑いがあり、体が強張っているようだ
その様子から複数の何処かの構成員(以降賊と称する)とそれを知覚した素人に見受けられた
しかし、それだけでは情報としては不十分
瞬時に
すぐさま、現場に駆け出す達也
幹比古は賊に攻撃を仕掛ける
幹比古の攻撃は精霊魔法つまり、視覚的には見えないが攻撃方法が問題なのだ
幹比古の放った三枚の札のようなものが敵の上空で雷光を纏う
しかしそれよりも先に、賊の持つ拳銃が幹比古を狙う
間に合わないと達也は悟る
手元にCAD等は無いが問題はない
アレは補助のみであるため対処は出来る
そして、右手を広げ前に突き出す形をとる
照準は賊の拳銃
他にも小型の爆弾を隠し持っているようだが、それよりも対処すべきは拳銃だろう
賊が引き金を引く前に【分解】をする
賊『!?』
持っていた拳銃が文字通りバラバラになり、賊達の行動が止まる
そして、その瞬間に幹比古の放った雷撃が賊を行動不能にする
討った賊に近づき、周囲を警戒する幹比古
幹比古『誰だ!?』
誰が自分を援護したのか判らない、助かったと思うものの今の自分の心境では、それさえも受け入れがたい
ー本来、お前が立っているはずだった場所を見て来いー
身内に言われたこの言葉にどれだけ自分を打ちのめしたか
泣きたくなる衝動を抑え込む
達也『俺だよ、幹比古。』
闇の中から声がして、達也が幹比古の前に姿を現す
幹比古『た、達也?君が援護をしてくれたのかい?』
達也『形上はね。それにしても…良い腕だ。一撃で仕留めている。』
降参のように両手を上に挙げながら姿を幹比古に見せた達也
賊に近寄り、脈を測る
心拍は止まっていないが、気絶しているということはそれだけ幹比古の腕が良かったに他ならない
幹比古『達也のおかげだよ。僕一人では無理だったよ。』
達也『…(面倒な展開になってきたな)』
なにやら、ネガティブな幹比古の言葉に達也は何も言わず聴くに徹する…間違えた、聴き流すである
幹比古はそのまま続ける
幹比古『そもそも、賊を見つけたのだってたまたまだよ。散歩をしていたら見つけただけだし…。ーーー』
散歩は方便だろう、大方この辺りで精霊魔法の練習をしていたのだろう
しかし、尚もネガティブ発言をする幹比古に聴き飽きてきた達也
達也『…吉田 幹比古。』
地を這うような声音が幹比古を現実に引き戻す
幹比古『な、何?達也…?』
目は口ほどにモノを言うと表現させるが、達也の目はなんというか、恐い
聴き飽きたやネガティブ発言は止めろではなく
黙れ
と聴こえてきそうな目であった
達也『…お前、面倒な性格だったんだな。』←いや、お前の方がめんどくさいよ
幹比古『な、こっちは本気で悩んでるんだ。それをそんな…』
達也『少し、黙れ。』
達也の言葉にショックを受ける幹比古
自身にとって真剣な悩みに対して軽く一蹴されたのだ、少なからずショックだろう
幹比古『っ!……。』
睨みに負けた幹比古は項垂れ、沈黙する
達也『お前の悩みは贅沢というものだ。大方、今回の事を一人で対処出来ればとか考えていたんじゃないのか?』
幹比古『うっ…』
図星を突かれ、何も言えなくなる
達也『一人で何でも解決するなんて、何を目的としている?そんなものは誰だって不可能だ。』
何かあったときにすぐに駆けつけ解決する万能な存在などこの世にありはしない
かつて、そう願った状況が達也の脳裏を掠める
達也『それぞれが役目を果たして賊を討った、これだけの事実以外に何がある?』
幹比古『達也に解るわけない。そして、解決なんて夢のまた夢だよ。』
達也の言葉に理解はしつつも納得した表情を見せない
さらに、ひねくれる幹比古
まるで、駄々を捏ねる子供のようである
そんな幹比古にこれも何かの縁かと、思い直す
正直、クラスメイトだが赤の他人だ
そこまで助けるつもりは無いが、義父達なら何かの縁だから出来るだけ力になるというだろう
そう考えて自分を納得させる
達也『…まあ、何とかなるだろうな。』
幹比古『え?』
達也の言葉に幹比古は鳩が豆鉄砲を食らったような表情をする
達也『お前が悩んでいるのは、魔法の発動速度。俺の眼からしても魔法に違和感は無い。残る問題は、その吉田家が改良した術式にある。』
幹比古『そんな、あの術式は改良に改良を重ねて引き継いできたものだ。それを悪いの一言で済ませるなんて。』
達也に自分が問題としている術の発動速度を見抜かれる
そして、その原因が自分の家にあると指摘されれば怒るか悲しくなったりもする
しかもそれを高校からのクラスメイトから躊躇いもなく言われるとは
達也『誰も悪いとは言ってないぞ?現在のお前と術式が合っていないと言っているだけだ。前にも言ったが、俺の眼は特殊で見たら全て解ってしまう。』
幹比古がおかしな勘違いをしているため補足をいれる
幹比古『え?どういうこと?』
達也『そうだな、ヒントをやろう。古式魔法の特性はなんだ?現代魔法との違いを考えろ。それが解れば俺の言いたいことが解るはずだ。…さて、そろそろこいつらをどう処理するか考えないといけないから警備の人間を呼んできてくれないか?』
ここで見張っているからと達也
二人でこの場に居ても解決への方向には向かわない
達也がこの場に居た方がもし賊が目覚めた場合押さえられる
ならば、達也が適任だろう
幹比古『え、あぁ。』
達也に促され、跳躍の魔法で現場を離れる
ある程度離れたのを確認し、暗闇の中に声をかける
達也『この対処は高校生ではなく、軍の仕事では?』
達也の声に反応して暗闇から
風間『いや、なに。達也の珍しい場面に遭遇して感慨深くてな。それに特尉は軍人だろう?』
目頭を押さえる仕草をする
それに対して達也は眉を動かすに留める
達也『軍人ですが、ここへは高校生として来ていますので。こいつらの処理はおまかせしても?』
こんなところにまで来て警察紛いな行為をするとは思わなかった
というよりも軍の施設なのにこうも易々と侵入されるとは警備はどうなっているのやら
と言っても、九校戦のために貸し切っているため軍が出張る必要もないために警備も最小限なのだろうが
風間『あぁ、承知した。気をつけろよ?』
風間に事後処理を依頼し現場を後にする
途中で幹比古に連絡をすることも忘れず
ーーーーーー
全国魔法科高校親善魔法競技大会
通称、九校戦が幕を開ける
高校生の大会であり、プロが行うわけでもないのに関わらず来場者数は延べ十万人にのぼる
一日平均約一万人がこの辺鄙といえる交通の便が悪い場所に態々足を運んで観に来る
現代でいう、高校野球だろうか
開会式が滞りなく進み、終了すると同時に九校戦の競技に入る
余談だが、昨晩の出来事は秘されている
高校生がそんなテロ組織がこの会場にいると知れたら、試合処ではない
パニックになるのは目に見えている
そういう観点から当事者の幹比古(達也は例外)には他言無用になっている
九校戦 初日
初日の競技はスピードシューティング本選と新人戦の予選・決勝
第一種目はスピードシューティング
三十メートル先の空中に射出されるクレーを魔法で破壊する
制限時間内に破壊したクレーの数を競う
いかに素早くクレーを把握し、破壊するかが重要になってくる
予選はスコア型で五分以内にどれだけクレーを破壊できるかで予選通過が決まる
上位八名が決勝トーナメントに進む
準々決勝から対戦型となり、紅白の百個クレーが用意される
決められた色のクレーを多く破壊出来れば勝ちとなる
今日の達也が担当する一高の選手は本選では七草 真由美、新人戦では北山 雫と明智 英美だ
先に行われるのは本選の予選のため、真由美のCADの最終調整を行っている
真由美『…凄いわね。私自身、それなりに調整技術はあるつもりなんだけど。家の専属よりも良いかも。』
達也からCADを受け取り、
達也『それは光栄です。会長の組み上げた魔法式は効率的なので、私がエンジニアとしてお役に立てることなどありません。』
真由美『…謙遜ね。(相変わらず、私達には畏まった口調だし。親しくなるなんて難しいわね、何かきっかけがあれば…!)そうだ、守夢君。』
真由美は達也の自分達に対する接し方が堅苦しいのが気になっていた
聞けば、同級生となら砕けた喋りをしているとか
なんとか、達也との距離を縮めたいと真由美は考えていた
達也『はい、なんでしょうか?』
何故か、ニコニコと笑顔を見せる真由美
達也には嫌な予感しかしないため、距離をおく
真由美『私、九校戦の選手じゃない?』
達也『そうですね。』
真由美『しかも、二種目の選手じゃない?』
達也『エンジニアとして、CADの調整はしっかりとしますので、体調管理は万全にお願いします。』
真由美『そうじゃなくて!…その、ね?競技種目で優勝したら、ご褒美が欲しいんだけど。』
達也の素っ気ない対応に業を煮やした真由美
達也に言わせようとしたが、そう上手く運ばず
結局、恥ずかしがりながら達也におねだりをする
達也『…どういうことでしょうか?』
ご褒美が欲しい
まさか年上からこんな言葉を聴くとは
青天の霹靂とはこのことか
真由美『だ、だから、優勝したらお願いを聞いてほしいなと思ってね?』
達也のいつも通りの雰囲気にたじたじの真由美
しっかり願いを聞き届けて貰えるようにハッキリと言葉に出す
達也『…(何を寝惚けたことを言うのだろうか。こちらは嫌々参加させられているのに、向こうはご褒美が欲しいとかふざけているな。こちらが報酬が欲しいところだな。)…無理な注文はご遠慮願いますので。』
内心では、達也らしからぬ荒れ模様
だが、参加を決めたのは達也自身
それを否定するということは自分で矛盾を体現することにもなる
言ったことは必ず責任を持つ
これが社会人(←いえ、高校生です)として当たり前のこと
しかし、お願いの度合いもあるため釘は刺しておく
真由美『え?本当?(パアッ)』
ーが、それが相手に伝わればの話
案の定、ご褒美が聞き届けられたことに感動して達也の言葉の内容を一切理解していない
達也『えぇ。ですからmー』
真由美『必ず優勝するからね!』
達也から無理な注文はご遠慮願いますと念押しする間もなく
言うや否や颯爽と競技会場へ走っていく真由美
ポツンと
控え室に残された達也は安易に応えたことの後悔の念に苛まれた
観覧席では、ほのかや雫、深雪の他にエリカ達も真由美の競技を観るために来ていた
特に雫はこの種目の選手のため真由美から何か学ぼうと来ている
ほのか『雫、体調はどう?』
雫『ん、大丈夫。万全。ほのかも明日、バトルボードの試合なんだから。気遣ってくれるのは嬉しいけど、ほのかも万全にね。』
ほのかの気遣いに感謝するも明日はほのかの試合のため雫もほのかを気遣う
ほのか『うっ。それはそうなんだけど、こういう雰囲気に馴れないというか…。』
とはいえ、ほのかにとって緊張は軽い問題でもない
雫のように家が大富豪でパーティーで大勢の前に立つという経験もない
性格的にこういった場に苦手意識があるのだろう
深雪『大丈夫よ、ほのか。少しずつ馴れればいいから。誰だって緊張はするものよ。』
若干、涙目になっているためもう一人、説得材料を与えてくれる人が欲しい
それを勝手出てくれたのは深雪で、諭すように語りかける
ほのか『あ、ありがとう、深雪。』
雫と深雪のタッグでほのかをなんとか浮上させることに成功する
そうこうしているうちに競技選手の真由美が入場する
先程説明した通り、予選はスコア型のため一人で行う
入場してきたのは真由美一人のみ
このスピードシューティングでの真由美には異名があり、
エルフィン・スナイパーと愛称のような形で呼ばれている
本人は嫌っているがー
第一レンジに立ち、単発小銃のように細長いCADを構え開始の合図を待つ真由美
触れれば、引き裂かれそうな雰囲気に会場は息を呑む
開始のシグナルと共にクレーが空中に射出される
その数瞬後、クレーはものの見事に破壊される
ドライアイスによる亜音速弾
エリカ『…速い。』
何がとは言わない
判る者には判る
クレーが射出されてそこから把握するまでの時間が短いいや、短すぎる
控え室でモニター越しに競技を観戦している達也
達也『流石はマルチスコープを使いこなすだけはあるな。』
【マルチスコープ】遠隔視系知覚魔法
実体物をマルチアングルで知覚する
視覚的多元レーダーともいえる
達也は真由美が校内をこの魔法を使って見ていたのを知っていた
全校集会のときもこれを使っていたのも
でなければ、ブランシュ襲撃にいち早く察知出来なかっただろう
しかし、驚くべきはその視覚から得た情報を処理出来るだけの頭脳だろう
終了のブザーと共に歓声があがる
パーフェクトを達成した真由美
当然か、一発も外さずクレーを百個破壊したのだから
まさしく、百発百中
深雪『凄いわね。おそらくだけど、七草会長は一発も外さず全て破壊したと思うわ。』
結果はパーフェクトなのだが、深雪もそれを確信できる自信がない
この場に達也が居たならば、もしかしたら実況解説してくれたかもしれないが
達也と深雪は水と油のため同席するかどうか怪しい
ほのか『そうなの?』
雫『判らなかった。ドライアイスの亜音速弾でミスはしてなかったとしか。』
スピードシューティングの要素としては、クレーを早く見つけることも大切なため雫も集中してクレーを把握しようとしたが、中々上手くはいかず
数個把握が遅れた
エリカ『流石は、首席なだけあるわね。』
深雪の分析に素直に称賛をするエリカだが、深雪にとっては二科生から称賛の言葉をもらっも嬉しくはない
深雪『おだてても何も出ないわよ?貴女も魔法力が足りない分は他で補うことね。』
こちらは憎まれ口をたたき、エリカを牽制する
エリカ『当然でしょ。司波さんも足下を掬われないようにね。』
場外バトルに発展しそうな雰囲気の二人に周りは肝を冷やす
水波『深雪さん、七草会長の次の競技には時間がありますので小し休憩しませんか?』
深雪『…そうね、ありがとう。水波ちゃん。』
天の助けか三つ編みをしたショートカットの女の子が深雪とエリカに割って入る
それのおかげで事なきを得る
次の競技までには戻ると言い残し、深雪と水波は席を外す
エリカ『ずっと、思ってたんだけど。あの子、誰?』
二人が屋内に入ったのを見計らって、エリカはほのか達に彼女のことを聞く
雫『詳しいことは私も知らない。名前は桜井 水波。深雪の親戚で1-Aの生徒だよ。九校戦に出ては無いけど、魔法力は結構あるよ。』
エリカ『ふーん、そうなんだ。ありがとう。』
雫から水波の少ししか分からない情報を聞いて、ますます怪しげになるエリカだった
スピードシューティング女子決勝
真由美は予選を当然通過し、準々決勝と準決勝も難なく勝利
残るは決勝のみ
達也『問題はなさそうですね。』
競技用CADと真由美の体調に問題はないことを確認する
真由美『えぇ!それより約束、忘れないでね?』
達也『分かっていますよ。七草会長の出場種目は二つ。優勝する毎に一つでしたね。』
真由美『そういうこと。優勝してくるから待っててね?』
語尾に音符が付きそうなほどの機嫌がいい真由美
対して達也は、テンションが一段と低い
準々決勝からは対戦型だったため真由美の他にもう一人選手が入場する
両者レンジに立ち、開始のシグナルを待つ
真由美は紅のクレーを破壊する
対して相手選手は白のクレーを破壊する
開始のシグナルが点灯すると同時に紅白のクレーがそれぞれ空中に射出される
序盤は一定のリズムでクレーが射出され、それぞれの選手の得意とする魔法が小気味良くクレーを破壊していく
中盤に差し掛かり、それそろ選手にも疲れが見え始める頃合い
同時に複数射出されるのは当然のことだが、同じ射出口から紅と白のクレーが出てくるのもこの競技の醍醐味
それを選手がそれを見分け、破壊出来るか否かでどれだけの腕前かも判り、そういう状況でこそ選手の真価が問われる
また、運営側としても何か捻りがないことには選手がだらけ、観客としてはつまらないものになるだろう
ーそして、
射出口が横一列に並んでいるところからクレーが二つ、空中に射出される
選手側から見ると、クレーが手前と奥にある
それは一方の選手からすれば、手前のクレーが死角となりクレーが破壊出来ない
それが今回の場合、紅が奥で白が手前と真由美にとっては狙いずらいというより不可能な状況
観客は無理だろうと諦め、観戦していたほのかや雫達も半ば諦めていた
自分のペースが作れていた人間は時として、不意にペースを崩れるとそこから立ち直ることが出来ないことがある
それは、真由美にとっても言えることかもしれない
相手選手もこの状況には、幸運と思ったに違いない
だがー
次の瞬間、白のクレーに隠れていた紅のクレーはあり得ない方向から破壊される
誰から見ても、圧倒的に狙えない位置
しかし、真由美はそんなことを気にするまでもないということなのか
クレーを真下から撃ち抜いたのだ
これには観客も興奮せずにはいられない
スピードシューティング会場は一気に盛り上がりを見せる
雫『…【魔弾の射手】。去年よりも速くなってるね。』
深雪『えぇ、それに精度も去年も高かったけど今年はより精度も完璧に近いわね。』
【魔弾の射手】
遠隔弾丸生成・射出の魔法
ドライアイスを生成し、狙撃した遠隔魔法
魔弾(魔法の弾丸)を作り出すのではなくその銃座である
普通ならクレー自体に魔法を掛けるのが通常だ
その方が確実であるし、魔法は物理的な障碍物に左右されないから振動系か移動系の魔法を使用するのか主流なのだ
ではなぜ、真由美はこの魔法を行使し続けるのか
理由は簡単
一つ目が対戦相手と魔法の系統が被った場合、発動しないか超音波の衝撃波を起こす可能性がある
二つ目は対戦相手の魔法行使領域外から狙撃することにより一人で魔法を行使するのと同じ状況を作り出すことが出来るからだ
と言っても、一つ目のは魔法力が相手より勝っていれば問題は無いし、二つ目も相手選手も一人で魔法を行使出来るため、後は選手自身の力量が試されるだけなのだ
その点に関して真由美はすでに高校生のレベルではない
世界最高水準を誇るため高校生など相手にならない
当たり前だが、結果は真由美の圧勝で優勝を飾った
真由美『守夢君、優勝したわよ!…ってなんか喜んでないわね。もう少し、表情を変えてもいいと思うんだけど。』
達也『おめでとうございます。表情と言われましても、嬉しくは思いますが、会長なら大丈夫という確信はありましたし。…それより、何か願い事があるんでしたね?』
真由美の優勝に達也は表情を一切変えることなく彼女を労うもその表情に不満を漏らす
はっきり言って、真由美が負ける状況は考えられなかった
真由美『ちょっと、話を逸らさない!まあ、いいわ。それに関してはクラウド・ボールの後でいいかしら?』
まとめて願い事を言うほうが真由美にとっては都合がいいのだろう
達也『それは構いません。それでは、私は北山さん達のCADを最終確認がありますので。一旦、失礼します。』
達也としてはどちらでも構わないため次の試合の準備のため真由美の元を離れる
真由美『ドライなのか、恥ずかしがり屋なのか判らないわね。』
新人戦スピードシューティング 一校 控え室
達也『調子はどうですか?北山さん、明智さん?』
最終調整が終わり、担当選手に競技用CADを渡し確認してもらう
いくらエンジニアが完璧に仕上げても選手のフィーリングが合わなければ意味がない
雫『うん、バッチリ。自分のよりしっくりくる。』
明智『私もバッチリ!』
どうやら、二人とも問題ないようである
雫『…ねえ、守夢さん。私の専属として雇われてくれない?』
すると、雫は達也の前に立ち自分の思いをぶつけた
明智『へ?』
それを横で聴いていた英美は告白にも似た言葉に思考が追いつかない
達也『…お断りします。あの時も言ったように私が調整をするのは家族のためだけ。今回は特殊です。』
突然の雫の言葉にも動じることのない達也
今回は特殊な事例だ
達也自身、家族のため以外に動くことはほとんどない
雫『…。』
達也に拒否されるも雫の表情はあまり変わった様子はない
基本、嘘は言わない彼女
しかし、何か言質を取ろうと目だけが雄弁に物語っていた
達也『今は新人戦に集中してください。心配しなくても高校の間は私の練習みたいで申し訳ないですが、調整はしますから。』
雫『うん。』
達也のその言葉だけで十分だったのだろう
返事の声音が弾んでいた
二人の様子を窺っていた英美もほっと胸を撫で下ろした
達也『だから、二人とも頑張って下さい。』
ここは一高の各種目毎の控え室ではなく、一高の天幕
摩利『さて、これが守夢の初めてのエンジニアとしての腕を見ることになるのか』
真由美『そうね。私の時はお手伝い程度だったし。』
鈴音『北山さんと光井さんは自分のCADを調整してもらっているらしいですよ?』
少し、羨ましそうな表情をしているようにも見受けられる鈴音
彼女にしてはそれはあり得ないので気のせいだろう
摩利『ほう?真由美よ、出し抜かれたな。』
それよりも真由美をからかえそうなネタが手に入り、愉しそうな摩利
真由美『べ・つ・に~。…私だって(ボソッ)』
摩利『?何か言ったか?』
雫とほのかが自身のCADを調整してもらっていることに頬を膨らませる
そんなところまで進んでいるなら自分ももっと凄いことをしようと目論む
鈴音『始まりますよ?』
鈴音の言葉に黙り込む
言葉通り、雫がレンジに立ちCADを構え開始のシグナルを待つ
ランプが全て点灯し、クレーが空中に射出される
クレーが有効得点エリアに入った瞬間、クレー粉々に砕け散った
次いで別の射出口からのクレーも同様だ
同時に二つ、三つと粉砕されていく
エリア『うわぁ、豪快。』
エリカがそう呟くのも無理はない
クレーが小石の大きさまで砕かれているのだから
深雪『おそらく、有効得点エリア全てを魔法の作用領域にしてるのね。』
ほのか『そうなの。雫は振動波の魔法でクレーを破壊してるんです。』
深雪の分析にほのかは肯定し、一緒に観戦しているエリカ達に説明していく
鈴音『ーより正確には、得点有効エリア内にいくつかの震源を設定し固形物に振動波を与える仮想的な波動を発生させています。魔法で直接標的を振動で破壊するのではなく領域内に入ったものに振動波を与える事象改変の領域を作り出しています。震源から球状に広がった波動に標的が触れると、仮想の波動が標的の内部で現実の振動波となって標的を破壊する。
スピードシューティングの得点有効エリアは空中に設定された一辺15mの立方体。それの内部に一辺10mの立方体を設定して、その各頂点と中心の九つのポイントが震源となるよう記述しています。』
深雪やほのか達と異なる場所で真由美と摩利に解説をする鈴音
事前に達也からどのような作戦で戦うのか所謂、作戦プランを提示されていたため鈴音が今回の雫の起動式や魔法の特徴を説明している
鈴音『各ポイントは番号で管理されており、1~9で設定されています。展開された起動式に変数としてその番号を入力すると、その震源のポイントの半径6mの球状破砕空間が発生するという訳です。』
摩利『それを聞いていると、北山は座標設定が苦手なのか?』
その説明を聞く限りでは、雫は細かい作業が苦手なように認識してしまう
鈴音『…確かに、北山さんは高威力が持ち味ですがー』
摩利の言葉はあながち嘘ではない
しかし、それは若干の語弊がある
今回はあくまで、起動式の話で雫自身への評価ではない
鈴音『ー誤解のないように申しますと、この魔法の特性は精度を犠牲にしての魔法の発動速度を上げることです。』
今回の話の流れは達也の調整技術のため、些か話の論点がずれているため、鈴音は軌道修正をかける
真由美『ということは、ピンポイントの照準も可能ということね?…じゃあ、なんで?』
精度も落とさず、スピードも問題ならそんなまどろっこしいことは必要ない
鈴音『この魔法は震源ポイントを番号で管理していること。スピードシューティングは選手の立つ位置、得点有効エリアの距離、方向、エリアの広さが常に同じです。それはつまり、魔法の発動仮想領域等を変える必要がないということ。起動式に座標を変数ではなく、選択肢として組み込むことでその番号を選択するだけで魔法発動が可能ということです。また、威力や持続時間は変数として処理しておらず、起動式には定数で処理されています。そういった細かい処理はCADが対応させ、選手は補助に従い番号を選択して引き金を引くだけ…ということです。』
真由美の疑問を解決しつつ、最後の説明を終える
その説明に二人は開いた口が塞がらない
真由美『そんなのありなの?』
摩利『なんて奴だ。』
ここまで複雑な起動式なのに、選手の行動は簡素化する
なるべく選手に負担を掛けないCADにするのはエンジニアとしてのセオリーだが、これ程とは思っていなかった
良い意味では、選手に負担が少ない
悪く言えば、選手が機械になりかねない
ここに達也が居ればこう答えたであろう
【道具は使いやすくするものだ】
と
鈴音『魔法の固有名称は【
真由美・摩利『…』
オリジナルと聴いて唖然とする
これだけ複雑で大規模な起動式を高校生が造ったということに驚きを隠せない
終了のブザーが鳴り響き、パーフェクトという文字が掲示板に表れる
摩利『これが奴の本領か…』
鈴音『それはなんとも言えませんが、凄腕だということははっきりしましたね。』
豪快な魔法で観客を湧かせた雫
それに隠れた達也のエンジニアとしての腕は確かであった
ー三高の控え室ー
愛梨『栞、あの魔法はどういうものかしら?』
モニター越しで雫のスピードシューティングを観戦していた愛梨達
栞『あれはー』
達也から見せられたプラン通りに説明した鈴音程ではないが、理解すべきポイントを的確に説明する
そして、この魔法の短所とも呼ぶべきものも理解していた
愛梨『流石、いい目をしてるわ。』
この魔法を見破った洞察力に感嘆する
栞『ーー対戦形式だと、より精度が要求されるわ。そこは私のテリトリーよ。』
自信ありげに口角を少し上げた
達也『お疲れ様、雫。さすがに新人戦だからか、死角をついたクレーは無かったな。それにしてもパーフェクトとは流石だな。』
雫のパーフェクトの成績に労う達也にあまり表情は変わらずだが、声は弾んでいる
雫『達也さん心配しすぎ。…ねえ、達也さん…。』
新人戦でそこまで意地悪なことをするなど一年生にとってはトラウマものだろう
達也『嫌な思いをさせたことはすまないと思っているが、今回は特殊な事例だ。俺で良ければこの三年間だけは調整はしよう。』
雫『…ごめんなさい。』
それよりも雫は試合前の達也の返答にどうしても諦めきれない雫
しかし、達也の意思は鋼の意思で変わることはない
達也『…さあ、次から対戦形式だ。先程とは雰囲気が変わるから少しでも休憩するといい。俺は明智さんの所に行ってくる。』
雫『…わかった。』
英美のスピードシューティングも予選通過をし、現在は三高の選手 十七夜 栞の予選
尚武の三高と呼ばれる
その生徒の実力がどれ程のものか気になるところだ
開始のシグナルが鳴る
複数のクレーが射出され、有効得点エリアに入る
一つのクレーが砕かれると、その破片が他のクレーに当たり破壊する
そして、破壊されたクレーの欠片が別のクレーへ
そんな事象が続いていく
明智『な、なにあれ!?』
最初のクレーは振動系魔法で破壊したあと移動魔法で他のクレーを破壊しているが、それだけの量の把握しているのは驚きである
愛梨『…以前よりも速くなってるわね。』
モニター越しに栞の魔法を見ている愛梨
クレーの欠片がクレーを破壊していく様に彼女は栞と出会った時のことを思い起こす
リーブルエぺーの試合での栞の切っ先の精確な腕に驚きを隠せなかった
試合は愛梨の勝利で終わったが、栞の能力に魅力を感じて金沢魔法理学研究所に誘った
その誘いは大成功で栞は視たものを数式化し魔法に応用する特別な眼を手に入れた
栞自身しか誰も真似できない魔法
スーパーコンピューターをも凌駕するその演算能力
その名は
【
観客①『すげぇ、こっちもパーフェクトだ!』
観客②『これも
雫に次いでのパーフェクトに観客も興奮を抑えきれずにはいられない
女子スピードシューティング 控え室
達也『…流石は元第一研究所。個々の能力を伸ばすのはお手の物か。(それよりも、インデックスの件をどうやって雫に押しつけるか)』
三高の予選通過は判っていたが、決勝トーナメントで対決するのは分かりきっているため対策を練る必要がある
対決相手の情報は少しでも多いほうが良い
ーーーのだが、達也の問題視するところは違うらしかった
魔法界の歴史に残る偉業を成し遂げた者の名を残せるというもの
それは人物にあらず、モノという形で
現在で言えば、特許に近いのかもしれない
それが今回、達也が造り、雫が使用した魔法に登録の申請が来ているという噂がある
火の無い所に煙は立たないという諺の通り多少の事実が無いことにはこのような話が出て来ないため可能性は高い
達也『(…とりあえず、それは一旦、横に置いておこう。)さて、どうやって勝とうか。』
三高に勝つために今はこちらに集中だ
何せ一条の御曹子とカーディナル・ジョージもいるのだ
油断は出来ない
決勝トーナメントの対戦相手も決定し、次の会場に移動する
雫『達也さん、インデックスの件はどうするの?』
達也『それは、追々な。今はトーナメントに集中するんだ。』
達也が何食わぬ顔でいつも通りでいるため、逆に興味津々の雫
魔法界の歴史に名を残すような偉業なのだから、誰であれ試合に集中が難しいのだが、達也はその時になれば考えるというスタンスらしい
達也『それよりも雫にお客さんだぞ?』
達也の言葉の通り通路の奥から二人の女子生徒が歩いてくる
栞『第一高校の北山さんですね?私、第三高校の十七夜 栞といいます。予選を拝見しました。大変素晴らしい腕をお持ちのようで、準決勝を楽しみにしております。』
まるで、準々決勝は当然の如く勝ち進み、雫と対戦することが当然という風だ
さらには、雫の魔法を値踏みするような口調
雫『…わかった、準決勝楽しみにしてるよ。』
雫と栞の間で火花が散る
場外から激しくぶつかり合う二人
熱いなと傍観していると、隣にいる金髪の長髪の美少女からの視線を感じる
愛梨『…そこの貴方、お名前を伺ってもよろしくて?』
達也『…守夢 達也と言いますが、私に何かご用ですか?』
ほのかや雫達と歩いていると何故か、他校から視線をよく向けられる
理由を探そうにも思い当たらない、あるとすれば女子のエンジニアだからだろうか
当の理由としては、意外と達也は容姿はそれなり(中の上位だが、纏う雰囲気で)に整っているためほのかや雫と並ぶとカップルに見えてしまうというのが現状なのだがーー
正直、視線を集めるのは好きではない
ここで断ってもいいだろうが、角が立つのも面倒なため事務的に返す
内心では、何故、話しかけてくる?と思っているが
愛梨『いえ、そういう訳ではありませんわ。…名乗り忘れてましたね。私は一sh…』
達也『いえ、結構です。貴女方の名など一寸も興味はありませんので。…北山さん、最終調整をしないといけませんから行きますよ?』
彼女からの大したことのない返答に対応する価値が無いと判断する
まあ、お喋りに付き合うほどこちらも暇ではないという理由もあるのだが
北山『うん。』
達也からの言葉に呆気にとられる愛梨
それを横でみていた栞も状況についていけていない
栞『…愛梨、ある意味では私達フラれたということになるのだけど?』
愛梨『そういう気持ちで声を掛けた訳じゃないわ!』
栞『あの状況ではそう捉える方が多いわよ?』
只の好奇心で声を掛けたが相手はそれさえも、不快だと言わんばかりに切り捨てきたため何も言えなかったのだ
しかし、第三者目線からは愛梨の言葉は好意を匂わせるには十分だ
とりあえず、栞の誤解を解くしかなかった
準決勝
栞の言葉通り勝ち進み、対戦する二人
一高 スピードシューティング控え室
達也『雫、今回のCADは仕様が異なるから違和感を感じたら遠慮なく言って欲しい。』
今回のCADは予選と準々決勝で使用したものではない
雫『ん、全然問題無い。』
達也『そうか、じゃあ勝ちに行くか。』
雫『うん!』
三高スピードシューティング控え室
吉祥寺『十七夜さん、北山さんの予選と準々決勝の魔法を検証してみた結果、おそらく彼女はパワーファイターに近いじゃないかと思う。精度はそれなりだからそれを補正するよりも圧倒的な力で捩じ伏せる。』
吉祥寺『魔法の系統は収束系で、空間にそれを掛けて自分のクレーの密度を高めているんだ。その所為で相手選手はクレーの軌道が変えられて得点が伸びなかったという構図だね。でも、十七夜さんなら出力の変わった九つの起動式でも対応出来るでしょ?』
対戦相手である雫の実力も分かり、余裕の表情の栞
勝つのは自分だと
栞『勿論よ。』
準決勝
いよいよ、北山 雫と十七夜 栞の決勝戦と言っても過言ではない試合が始まった
雫は準々決勝で使用した収束系魔法で紅のクレー同士を衝突させ破壊する
しかし、栞はそれをものともしないで移動系魔法で軌道を反らされたにも関わらず破壊を連鎖させていく
観客『すげえ、パーフェクト同士の高レベル戦いだ!』
観客『けど、十七夜選手の方が僅かにリードを広げていってるぞ!』
観戦しているほのかや深雪、さらには真由美や摩利までがこの状況に心配そうな表情だ
何故なら、雫の魔法を容易く看破して、雫より得点をリードしているのだから
達也『(ほう、もう対応してきたか。雫の収束系魔法は準々決勝からなのに、流石は元第一研究所。…九つ位は対応は可能か、だが、九十九ならどうだ?)…勝ったな。』
雫の収束系魔法に早くも対応してきた三高
素直にその対応力に称賛の拍手を送る達也
しかし、それに何の策も無しに雫を送り出している訳ではない
真由美『ねえ、鈴ちゃん。このままじゃあ北山さん勝てないんじゃあ?』
試合も序盤から中盤に差し掛かり、点数差は少ないもののこのまま行けば、不味い状況だと危機感が募る
鈴音『会長、落ち着いて下さい。守夢君が何の策も無しに試合に臨むとお思いですか?』
摩利『まぁ、そうだよな。あいつがそんなことをするはずはないもんな。』
鈴音『落ち着いてきたようなので、今回のCADを説明します。』
今回の?と、疑問を浮かべる
鈴音『結論から言いますと、CADは汎用型です。』
二人は特化型だと決めつけていたため話についていけない
真由美『え!?小型銃形態のCADなんて聞いたことないわよ?じゃ、じゃあ、照準補助機能を付けた汎用型CADってこと?』
鈴音『そうです。収束系と振動系魔法の連続発動ということになります。昨年、ドイツのデュッセルドルフで発表された新技術で、特化型と汎用型の両方の特性を併せ持ちます。』
一年前というのは昔のように聴こえるが、実用化するには最低数年を要することが当たり前であり、それを使いこなすなんて夢のまた夢なのだ
だから、新技術と言われて当然なのだ
鈴音の説明に理解が追いつかない二人
鈴音『…説明を進めます。収束系魔法は主に紅のクレーを一ヶ所に集め、クレー同士をぶつけて破壊するというもので、起動式にはその空間の密度を紅のクレーが集まるよう書かれています。そのためそれ以外の、今回は白のクレーがその魔法領域から弾き出され、軌道が変わります。より詳しくは、得点有効エリアを魔法領域で覆います。そして、その中央に近づけば近づくほど紅のクレーの密度を高い空間にする魔法です。また、別で振動系魔法が発動するという仕組みです。』
ちなみに、雫のCADに付いているのはエリシオン社で発売されているものだ
シルバーシリーズではない、666シリーズという
深い意味はないが、6というのは完全な数字7から一つ欠けていることを意味する
それに足す1で完全な数字になるため、何かと接続するためのCADというわけである
それを達也は改良し、競技用CADに繋げたのだ
だが、それを見破るにも固定観念を取り払って見なければ特化型ではないことに気が付かない
しかも、これを実現させたのが高校生という事実が恐怖さえ感じる
真由美『…もし、彼と同年代で対決したら負けるかもしれないわね。』
ボソッと独り言のように漏らす真由美
摩利『おいおい、十師族とあろう者が穏やかじゃないぞ。』
真由美『負けるは言い過ぎかもだけど、油断すれば足元を掬われるのは確かだわ。』
たちの悪い冗談と思いたくなるが、こんな状況ではそういう意味では捉えられない
下手なプロより数段上の技術を持った達也
そこに魔法力のある選手が組み合わされば鬼に金棒だ
それが今、現実にある
雫『(…そろそろかな?達也さん。)』
引き金を引きながら意味深げに口許を緩める
栞『(…おかしい、ここまで疲れが出ているなんて。確かに、【
鈴音の説明と同じ頃
栞は妙な疲労感を感じていた
それは、自分の無意識下にある魔法演算領域に負荷が掛かっている可能性があること
いくら雫が高い魔法力を備えているとはいえ、吉祥寺と調整はしている
まだ試合は中盤なのに、相当の疲労が押し寄せている
三高選手『よし!十七夜がリード出来ている!このまま突き放せ!』
三高控え室では、栞と雫の対決に栞がリード出来ていることに大半の生徒達が安心しきっていた
吉祥寺『(…おかしい。北山選手の魔法が収束系なのに、たまに振動系も出てくるのは…!?まさか。)将暉!』
将輝『…不味いぞ、ジョージ。あれは、収束系と振動系の二つ。特化型じゃない、汎用型だ!』
栞と雫の対戦で違和感を覚えた吉祥寺
雫の魔法を分析しているとCADが特化型ではないことに気付く
一条と吉祥寺の驚愕ぶりに周囲もあり得ないと目を見張る
愛梨『!?(まさか!じゃあ、栞は私達は敵の術中に嵌まっていたというの?…担当エンジニアはおそらく守夢達也)栞!』
選手だけではない、客観的に見れる立場の自分達でさえ騙されたのだ
そんな人物に恐怖する
達也『想定通り、特化型だと決めつけて対応してくれた。雫にとっては余裕をもって対応出来る。相手選手は堪ったものではないが。(なにせ、テニスコートを端から端まで走らされたり、バスケットコートで切り返しの早い試合をしているのと同じだからな。)…不運は自分達の思い込みだ。』
疲労により集中力が低下し、連鎖が途切れて得点出来なくなることが数度出てきた
それと共に栞に焦りが出始める
栞『(まだ、負けている訳じゃない。)』
意地でも勝つという気迫が連鎖を再度作りだす
愛梨『栞…!』
モニター越しでも栞の勝ちたいという気迫は消えていない
勝って、と心の中で叫ぶ
栞『(こんなところで躓いていられないの!私は愛梨と共に魔法界の頂を目指す!)』
元々、彼女は百家の出身ではなく、養子として十七夜家に来ている
両親はくだらないことで言い争いをし、自分達の保身しか考えていなかった
それを端から見ていて滑稽でもあり、反面教師としてなりたくないとも思った
そのために自分の力を鍛え続けた結果として、愛梨と出会い両親と決別のために百家の養子になった
それが今になってあの頃のことを思い出し、彼女自身の邪魔をする
栞『(なんで、あの頃の記憶が…!私はあんなところに戻らない!)』
その決意も空しく、クレーを外し最後の連鎖が止まった
結果、雫の僅差ながらも決勝進出が決まった
内容とは対称的に栞の能力を戦略的に封じた勝利であった
真由美『凄いわ!!これは快挙よ!一高が一位から三位全て独占なんて!』
バシッバシッと達也の肩を叩く真由美
興奮覚めやらず言葉があまり出てこないため達也を代わりに叩くという訳の分からないことになっている
三位決定戦で栞は準決勝の影響か精彩を欠き、四位に終わった
真由美『インデックスも出たし、今年はいい感じね!』
この調子で行くわよ!と意気込む
達也『その件ですが、登録の名前は北山さんで申請しています。』
全員『えっ!?』
摩利『それはどういうことだ?』
その言葉に全員が驚く
達也としてはどうでもいい話だったため、皆がそこまで驚くとは思わなかった
達也『別に大したことではありません。元々、そうする予定でした。あの起動式は北山さんの腕があって実現出来たものですし、登録されるのが使用者の名前になるのはよくある話です。』
業界としては、達也の言う通り開発者の名前は最初の使用者が登録される
納得いかないような表情をしているが、当事者の達也は良しとしている
その温度差はひどい
摩利『…お前、本当に人間か?』
普通の人間なら欲もあるものだが、達也は縁遠い感じしかしない
何処かで悟りを開いたのか、人間をやめたのか
達也『…失礼ですね。ただ単に、こういう話は興味もありませんし、私では使いこなせないので北山さんにしているだけですよ。』
自分を何だと思っているのかと、嘆息するしかなかった
ーーーー
三高控え室
三高選手『…ということは、あの魔法は選手の個人技能じゃないのか?』
将輝『そうです、先輩。』
スピードシューティングの全試合を終え、女子スピードシューティングの栞の敗退に陥らせた原因を分析し、開示する
結論を言うと、担当エンジニアが凄いということだが、それだけで事を済ますことは出来ない
何故なら、選手の魔法力があってこそあのパフォーマンスが出来たのだから
吉祥寺『デバイスは同じなのに、差がつくのか。それはソフトウェアに関して化け物がいるということです。おそらく、2.3世代は確実に上です。』
吉祥寺も相当の腕を持つがそれでも足下にも及ばない
将輝『昨年、ドイツのデュッセルドルフで発表された新技術で汎用型と特化型の両方を兼ね備えるというものでした。』
吉祥寺『しかし、あの時はただ繋げただけのモノでしたが、今回は違う。本人の魔法力もあってこそですが、完璧な仕上がりでした。』
CADの新たな可能性が開かれたが、それを実用化するまでには程遠い
それをやってのけた人物は凄いという一言に尽きる
愛梨『…(あのときの、彼がそれを作り出したというの?文字通り、化け物というしかないわね。)』
愛梨はその話を聴きながら、達也と会ったときのことを思い起こす
そのときは、はっきり言ってとるに足らない存在だと決めつけていたが、
それは試合が始まった瞬間に恐怖や越えられない壁として立ちはだかった
しかし、何故か彼の纏う雰囲気なのか、何かが気になる
もう一度、この目で確かめる必要があると感じた
将輝『今後、そのエンジニアの担当選手と当たる時は苦戦は免れない。』
守夢 達也
この試合を契機に全校から注目の的になるのだった
沓子『栞の調子はどうじゃった?』
愛梨『さっき様子を見てきたけど、放っておいて欲しいって。…それに、アイスピラーズブレイクの代役も立てて欲しいとも言ってたわ。』
栞の消沈ぶりには何も言えなかった
けれども、こんな処で終わってほしくないと叱咤して帰ってきたが
沓子『そんな気にせんで、大丈夫じゃろ。』
愛梨『?』
栞の落ち込みが愛梨にまで移ったようである
しかし、沓子はというと然して気にした風もなく
沓子『あれは当事者でなければ、どれ程衝撃的だったかは判りかねるがのう。それでも、栞は挫けんよ。わしの勘じゃがの。』
愛梨『…!フフッ、そうね。信じて待つわ。…!?踏子、また後で。』
栞の復活を確信しているかのように振る舞う
そんな沓子に愛梨も持ち直す
そのときー
愛梨の視界にある人物が飛び込んでくる
愛梨『少し、お時間よろしいかしら?』
ーー遡ること一時間程前
時刻は午後5時を過ぎ、エンジニアは担当の選手の仕事が終われば、基本的には休める
そして、その時間も利用して明日の試合に向けて最終調整に充てているのが通常なのだ
しかし、達也は気掛かりなことに加え、風間から連絡を受けてとある部屋の前にいる
コンコンコンとノックを三回
入れと声の従い、入室する
達也『失礼しm響子『た・つ・や君!』…響子さん、何故貴女がここに?』
響子『?ここは少佐の部屋でもあるけど、うちの隊が集まる場所でもあるのよ?』
部屋に入るや否や達也めがけてダイブを敢行する響子
首元への衝撃に若干、呼吸がしづらくなったが顔には出さない
達也の疑問は尤もだが、言われてみれば部屋が3つ程あり、扉で区切られた部屋
相当の地位のある人物しか使用出来ないはずだが、風間の地位からすればここは不相応なのだが、部隊の特殊性もあり使用を認められている
風間『…藤林、達也に甘えるのは良いが、後にしてくれ。』
良くないです
と達也は心の中で叫んだ
達也『…呼ばれたのは、昨日の件ですね。』
風間『まあな、一旦かけろ。』
達也『いえ、自分はこのままで』
扉の前で立つ
上司から座れと言われても自分の地位や信条が是としない
真田『達也君、今はプライベートと言って良い。ここでは友人として、兄弟としてだ。』
柳『そういうことだ。達也、少しゆっくりしていけ。』
達也『…じゃあ、お言葉に甘えまして。山中先生もお元気そうで何よりです。』
兄とも呼べる人達に窘められては、素直に従う他ない
山中『ありがとうな。まあ、医者の私が真っ先に体調を崩してはなんとやらだ。』
ここ最近は、軍内部での医者という特殊の地位にある山中とは会ってはいなかった
その会話の間に響子はティータイムの用意をしていた
響子『ティーカップじゃ様になりませんが、乾杯といきましょう。』
風間『昨晩の賊だが、正体は
一息ついたところで風間から達也に説明がされる
標的の一つとして一高は含まれているのは判っている
あとは、どのような目的があって九校戦を狙ったのかはもう少し調べる必要がある
響子『それにしても、よくあの場に居たわね。見張ってたの?』
達也『いえ、エンジニアとしてCADの最終調整を終えて寝ようかと思っていたところたまたま発見したという感じです。』
あの場には風間も居合わせたため達也が出張るまでもなかったが、イレギュラーもあり風間としては達也が現れてくれたため僥倖だったのかもしれない
真田『しかし、…高校生の大会に戦略級魔法師と謎の天才魔工師トーラス・シルバーが居るなんて反則的だね。』
この話は終わりということで達也の九校戦参戦に話題の路線変更をする
山中『…メンバーにはシルバーの事は話しているのか?』
達也が戦略級魔法師ということは当然の秘匿事項だが、魔工師としては、達也は超一級品の腕前を持つ
秘匿事項の一つでもあるが、達也の匙加減でそれは公開することも可能なのだ
達也『いいえ、これは彼等に話す必要もありませんので。しかし、七草の情報網でエリシオン社の社長の(義)息子とバレまして。メンバーにはシルバーの弟子という当たらずも遠からずの回答で誤魔化してます。…というよりも、俺としては九校戦に参加するはずではなかったので。』
現在、師族会議で選ばれた十師族の半分が達也を探っている状況だ
だが、隠すと知りたくなるというのが心理的に働くため、ある程度の情報を与えて大人しくさせている
響子『えぇ~、達也君の独壇場を観たかったなぁ。』
達也『響子さん…。俺は魔法力もありませんし、殺傷ランクAの魔法なんて見たら全員卒倒しますよ。』
達也の魔法
【分解】は殺傷ランクAに相当する
しかし、軍のみではこれともう一つの魔法をSというランクで管理している
物質を分解するだけでなく、部分的に分解も可能なのだ
さらに、物質でないものも分解出来る
響子『アイス・ピラーズ・ブレイクとスピード・シューティングは大丈夫だと思うけど?』
達也『秘匿魔法をバラす訳にもいきませんよ。…まあ、あの魔法なら全競技出場出来ますけど。』
風間『…藤林、達也の言う通りだ。秘匿すべき魔法をおいそれと見せる訳にはいくまい。それに、我々だけの秘密というのも良いのではないか?』
達也の説得では響子は納得の表情はしておらず
それを風間が援護射撃をする形で響子を納得させる
響子『…!そうですね!』
秘密という言葉に独占欲を感じるらしい
風間『達也、解っているとは思うが…。』
達也『大丈夫ですよ。そうなったら、負け犬に甘んじます。』
秘密は少数だからこそ守れる
達也に関する秘密は世界を根底から覆す類いのもの
風間『すまないな、達也。』
達也『…義父さんが、そんな気を負う必要はありませんよ。俺の魔法は家族を守るためにある。』
義父の申し訳なさそうな表情に達也は苦笑を洩らす
柳『…俺としてはもう少し我儘をして欲しいんだがな。』
達也『もう16歳ですよ?』
真田『まだ、と言った方が良いね。』
基本的に大人として扱われる年齢はほぼ変わらない
しかし、この時代や昔においても何をもって大人なのか明確な定義もない
けれども、達也の年齢でこうも理性的に判断し、行動する人間は居ない
経験から来るものかもしれないが、それを隅に置く
達也の雰囲気は老成したそれに等しい
それの所為もあるのかもしれない
基本的に達也の味方である響子でさえ、この時ばかりは頷く
四面楚歌の状態に達也も降参の意思表示しか出来なかった
ーーーーー
愛梨『守夢 達也さん?』
自分の部屋に戻る達也に声をかける
達也『?何故、私の名前を?…あぁ、北山さんのエンジニアで名前と顔は出てますね。』
自分の名前を呼ばれ、振り返る
何故知っているのかは雫のエンジニアとして名前が挙がっていたからその所為だろうとアタリをつける
実際は達也自身が名乗っているから相手は知っているのだが、興味の無いことには見向きもしないため愛梨達のことは忘れている
愛梨『違いますわ。…本当に興味が無いのね。準決勝前に私と栞が北山選手と一緒にいた貴方達に挨拶をさせていただいたのだけれど。』
達也『…そういえば、そんなこともあったような。それで、私にご用というのは?』
どこまで相手に興味が無いのかハッキリと解った愛梨
怒るどころか呆れるほどである
愛梨『賞賛の言葉と思いましたが、止めましたわ。…けど、貴方のその纏う雰囲気が、何というか…気になったのでもう一度会って確めようと思っただけです。』
達也『それで、何か掴めましたか?いたって、平凡な人間で何もありませんが。』
愛梨『謙遜ね。平凡な人間があんなCADを作れる筈はない。』
達也『足りないものを他で補おうというのは当然です。魔法力の無い私に出来ることはそれ位ですよ。』
それほどまでに達也の努力は才能だと言いたいのだろうか?
そういった事に関しては、劣等感や心の貧しさが起因していることが多い
どうしても自分達が努力をしていないのを守りたいだけの発言なのだ
愛梨『そうかしら?何か隠していない?』
達也『それは、貴女の勘違いというものです。』
愛梨『…そろそろ、名前を憶えていただけないかしら?私の名前は一色 愛梨よ。』
普段なら名前を言われただけで不快なのに、この男に二人称を使われるとどうも気になってしまう
第三者目線で分析すれば、それは気になる異性には名前で呼んで欲しいという意味も含まれるのだが、果たして愛梨の心境はどうなのか
達也『何故そこまで私に執着するのですか?十師族が私に興味を持ったところで名家で無い。特に家柄や名誉を気にしている一色 愛梨さん?』
愛梨『!…どうしてそれを?』
達也『記憶力は少し良いものですから。懇親会で突っぱねていたら目にはつきますよ。』
あれだけ、数多の男子生徒を蹴散らしていたのだ
気付かない筈がない
愛梨『…ふーん。何はともあれ、貴方は他校から集中マークされたわ。気をつけることね。』
愛梨の言う通り、達也のエンジニアとしての腕前は雫と栞の試合で有名だ
達也『それはわざわざ、忠告ありがとうございます。今年のみの参戦の私にそこまで執着するとは思いませんでした。』
愛梨『今年のみ?あれだけの腕前がありながら。予選のあの魔法、インデックスに登録されたと聴きましたけど?』
少しでも達也自身の情報を得ようと話題を投げ掛ける愛梨
達也『随分と情報を集めたがるもので。私は私で、性格や何を信条とするかも異なる。十人十色という言葉はご存知でしょう。申し訳ありませんが、明日もエンジニアの仕事がありますのでこれで失礼します。』
随分と自分に興味を持っているようだ
達也の周りを嗅ぎ回っている輩の所為もあり、段々と十師族が鬱陶しくなってきている
これ以上関われると本音が出てしまいそうだ
自分のスタンスを早口に捲し立て、静止を聞かず自分の部屋に戻る
愛梨『あっ!ち、ちょっと。』
達也『…あぁ、忘れていた。』
ふと何かを思い出し足を止める達也
愛梨『?』
それに不思議がり、首を傾ける
達也『もう夕方の6時を回っています。まだ明るいとはいえ、こんな場所で一人の男と話していると(というより密会?)秘密の逢瀬と勘違いされますよ?容姿は可愛らしい美少女なのですから。このような事は控えた方がよろしいですよ?』
愛梨『なっ///』
可愛いと言われて顔を真っ赤にする愛梨
美人と言われることはあったが、可愛いや美少女とはあまり言われない
それもあり、達也の言葉は絶大の破壊力があった
愛梨『……』
何か返答しようにも先程の衝撃から戻れない
アワアワと狼狽えながら達也の背中を見つめることしか出来なかった
ーーー夢を見た
それは夢でもなく、記憶の中の一場面
横たわる四肢
濁った水溜まりのような血
そしてそれは、止めどなく広がり血の海となる
そこには死した者しかおらず
聴こえるのは銃声や爆発音、怒声、悲鳴のみ
『と…s…、…aさ…、…y…め』
横たわる人物に声をかけても返ってくることはない
『ど……うし…て。そ…んな。』
すでに息絶えており、動くこともない
『あ、あ…ああ…あ"あ"あ"ぁぁーー』
平穏な日々が一瞬にして崩れ去ったあの日
もう二度とあのような悲劇と愛する者達も失わないためにーーー
…長かった
如何がでしたか?
創作の都合で試合の順番は変わりますので、ご容赦下さい
①真由美さんからの達也へのご褒美とは何なのか?(それは作者のみぞ知る(笑))
②原作通り、インデックスには雫で登録!
③やはり、優等生のキャラクターもいいですね。
④愛梨さん、達也君が気になる様子
今回はほぼ、原作通りに進めたはずですが、長くなりました。
次も頑張っていきますので、またお読みいただければ幸いです。