抹殺された神の愛し子 作:貴神
『もう、鈴ちゃんたらそんなに仕事をボイコットなんてしないのに!ちょっと手持ち無沙汰だけだったから、校内の様子を見てくるっていっただけであんな冷ややかな視線をくれなくていいじゃない!』
魔法大学付属第一高校 3年 生徒会長である 七草 真由美(さえぐさ まゆみ)は日本の魔法師を牽引する十師族(ナンバーズ)の七草家の長女として生まれた超の付くエリートである。そのエリートが愚痴を漏らしたのは理由がある。
8:45
講堂内
入学式のリハーサルを殆ど終え、新入生総代の生徒との打ち合わせも滞りなくすませ、後は開場を待つのみになったため10分程校内を周ってくると会計の 市原 鈴音(いちはら すずね)に伝えたところ、脱走しないでくださいと言われたからだ。
真由美『そんなに信用ないかしら。しっかり生徒会長として勤めは果たしてると思うんだけどなぁ。』
真由美は魔法力も然ることながら、筆記や事務処理能力は十分ある。しかし、「する」と「出来る」は大きく意味合いが変わる。何故なら、目を離すとサボっていたりいつの間にかデスクから居なくなっているからだ。
真由美の場合は当然、後者の方で重要な書類はしっかり処理するが、一般的な書類は溜めて、いつも周りから催促を受けてからでないとやらない。
こういった事の積み重ねが鈴音や周りから釘をさされる要因としてあげられる。
そういった面もあるが、基本的には人望の厚い人間である。
そうこう考えていると
講堂の入り口付近で何やら少し荒々しい会話が聴こえてきた。
確認すると、現代の高校の入学式では珍しく、家族で参加している様子だった。
そこには、我が校の制服に身を包んだ男の子が弟妹を宥めている様子に見えた。
弟と妹2人はやはり兄妹なのだろうか3人とも似ていて、容姿も整っており、そこそこの魔法師の家の出なのだろうと推測できる。
しかし、長男はというと顔立ちが似ていなかった。容姿的には、大人びた雰囲気を纏っており、偏差値的には上の下位だろうか。何故か目から離れない何かを感じさせた。
真由美『(なんだろう。ほっとけない気持ちn……って、何を考えてるの私!それより入学式の時間だわ。ちょっと助けてあげましょう。)』
いつも通りの生徒会長の顔になった。
こうゆう切り換えの速さは流石なのにどうして書類を…と鈴音は愚痴をこぼしているのだが、本人のやる気の問題が大きいとため何も言えないのであった。
達也は悩んでいた、どうやってこの双子の冷戦を鎮めることができるか。
最終は引き分けが常なのだが、それまでに要する時間が長いため短期でこの場を治める案をトーラス・シルバーの片割れとして考えていた。案はあるのだが、高校生活初めから目立つようなことは避けたいため破棄していた。
ちなみに、その案は抱きしめて愛を囁くという大胆かつ相手を気絶させるという案である。欠点としては、相手がその場で行動不能になるため家の中で発動することが多い。
達也『(俺の良いところって、俺の何が好き(LOVE)に繋がるんだか。俺より容姿が整っている奴なんか幾らでもいるし、魔法力なんて俺以上はごまんといるが…そろそろ止めないとマズイな式の時間が。)2人とm…真由美『そろそろ開場時刻ですが、どうかされましたか?』
達也が声に主を探すと、ある1人の女性の先輩が歩いて来ていた。
達也『そんな時間でしたか。知らせていただきありがとうございます。』
内心では双子の争いを止めてくれて感謝をし、軽く会釈で返した。
そこで漸く、双子も熱くなっていたのが醒めたのか家族一同で挨拶をした。
真由美『いえいえ、家族全員でいらっしゃるのが珍しかったので声を掛けさせていただいたまでですから。』
あまり相手に気にさせないように話題を逸らした。
達也『私では、どうしようも出来なかったことを助けていただきましたから。』
真由美『ふふっ、家族仲がとても良いのですね。少し、羨ましいです。あ、申し遅れました。私、第一高校 三年 生徒会長を務めております 七草 真由美(さえぐさ まゆみ)といいます。七に草と書いてさえぐさと読みます。』
微笑みかける。
恭也・結那・加蓮は七草(数字付き)と聴くや否や見た目ではわからないくらいではあるが身構えたが、達也と浩也・凛は七草(数字付き)と聴いてもどこ吹く風で飄々としていた。
達也としては、数字付きーナンバーズーだろうとその上の十師族だろうと恐ろしくもない。むしろ、この冷戦の方が厄介だからだ。
お礼の意味も含めて返事をした。
達也『そうなんですかね?家族は仲が良いのは当然という認識でいたので、…失礼しました。名前を言っていませんでしたね。守夢 達也(もりゆめ たつや)と申します。こちらが私の弟の恭也と双子の妹の結那と加蓮です。そして、』
浩也『達也の父の浩也と申します。』
凛『達也の母の凛と申します。』
名乗らないのは、失礼と思い家族の名前を伝えた。
真由美『えっ!貴方があの守夢 達也君ですか。』
何故か相手には、驚愕の表情が出ていた。
しかも、名前を知られていたのは、これからの高校生活に支障をきたしそうだとおもった。
ここで、結那が質問を投げかけた。
結那『あの、とはどういうことでしょうか。』
笑顔であるものの目が笑っていないのを達也は内心冷や汗だった。
真由美『あ、ごめんなさいね。言葉が悪かったわね。ここの先生方の間で貴方が噂になっているの。もちろん良い意味でよ。』
何故かその表情は嬉しそうな笑みでもあったため困惑した。
続けて、真由美が説明した。
真由美『入学試験、七教科平均、96/100点 圧巻されたのは、魔法理論と魔法工学が小論文も含めて、満点ということです。だって、毎年の合格者の平均でも70/100点満たないのに、ぶっちぎりの1位で試験を合格よ。私だって、今解いてもこんな成績は無理よ。この魔法科高校創設以来の天才ではないかと呼ばれてるのよ。』
と、自分の事のように話した。
達也『そんな過大評価です。自分に満足に出来る事が筆記試験であって、この魔法科高校では何の役にも立たないですから。』
と自分を卑下した。
真由美『そんな事は無いと思うんだけど。』
恭也『そうですよ。兄上は誰よりも優れていると思います!』
ここで、義弟の援護射撃が入った。
加蓮『そうそう達也は世界一カッコいいの!』
結那『そうですよ。達也さんを認めてくれている人がしかも生徒会長なんですから。自信を持っていいと思いますよ。』
四面楚歌に陥ってしまった。義両親に助けの視線を送ると浩也は誇らしげな表情で凛にあっては、認められて当然という表情だった。
嬉しさはあったものの素直に喜んでいいものか考えあぐねていた。
達那『それは入試ですので当たり前です。魔法力がない分筆記で全力を出さないと不合格になりますから。でも、ありがとうございます。これからの高校生活を頑張っていけそうです。』
ありがとうと伝える事は大事だと幼いころから教えられているためか最後はお礼の言葉を述べた。
真由美『開場の時間ね。それでは、私はこれで失礼します。』
そう言って、真由美は講堂に入って行った。
結那『よかったですね、達也さん。この高校に達也さんの素晴らしさを 一部 理解している人がいらっしゃいましたね。まあ、私達が一番達也さんを知ってますけどね。』
一部という言葉を強く発言したのは、気のせいではない。
恭也『兄上、僕の言った通りでしょ。兄上が注目されない訳はないのですから。』
自慢げに言う恭也に
達也『俺にとっては、高校に通うのもただの資格をとるための過程にすぎないと思っているよ。早くライセンスを取得して、お前たちの立派な兄貴になれるようにな。』
何げ無しにつぶやく達也に恭也達はもちろんのこと義両親の浩也や凛までもが達也を非難の眼差しで見た。
加蓮『達也のその自虐癖は早く直した方がいいわよ。今でも十分立派よ。自分に足りないところを他で補う努力と結果はそうそう真似できるものではないわ。』
達也を窘めるように加蓮は言った
達也『…すまない。』
加蓮『もし、そんな弱気発言と自虐発言が出たときは、結那と私でオソウからね。』
何かを企む顔で結那に抱き着きながら達也を睨んだ
結那『加蓮、オソウって、具体的に何をするの?』
加蓮『おやおや、結那さんは一体ナニを想像されたのですかな。』
何も考えない発言に加蓮は結那をいじめにかかった。
結那『っっ!な、何って。そ、それは…達也さんと…(ゴニョゴニョ)』
加蓮『私は、達也さんに罰としてキスするつもりだったけどムッツリ結那ちゃんは達也さんとあんなことやこんなことを考えてるんですかぁ。』
さらに追い打ちを掛ける加蓮と顔を真っ赤にして今にも倒れそうな雰囲気な結那
達也『加蓮、そろそろ開場の時間だ。俺の自虐癖は直す努力はしよう。結那、トリップする前に戻ってきてくれ。』
結那『っ。すみません、達也さん。』
加蓮『ちぇ~、つまんない。これからがいいところなのに。達也、直せなかったら、本当にキスするからね。』
凛『加蓮、そんな人前でキスするなどと淑女が言ってはいけません。…そんなことを言わずとも正面からキスしてしましなさい。』
浩也、恭也、達也は思った。最後の言葉は要らないと。
達也『そこに関しては、義母さんは味方だと。』
凛『あら、娘の恋路を応援しない親がどこにいますか。しかも、達也さんという優良物件は他を探してもそう簡単に見つかるものではありませんよ?』
蛙の子は蛙、結那と加蓮はたしかに、凛の子だと改めて認識した。
浩也『さあ、早く行かないと席がなくなってしまう。達也、終わったら連絡してくれ。一緒に帰ろう。』
微妙な雰囲気の中でも、しっかり方向修正してくれる浩也。流石は神夢家の当主だ。
達也『わかった。式が終わって、HRがあると思うから時間としては11時過ぎが予定と思うから、休憩でもしていて下さい。じゃあ、また後で。』
そういって、達也は家族と別れ、講堂に入っていった。
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妹様が出せませんでした。
次回は必ず出ます。