今回遂にロボットアニメネタと中二病が炸裂します。分からない人はごめんなさい。
炎上しないか不安だなぁ……
新たに高評価をくださった
北条カズキさん、エドナさん、Cowboyさん、カスタムさん、レヴィ0910さん、スーパースター☆さん、アストラッドさん、MK/シュウさん、戦逃基盤さん、ultrakussyさん、 ヴァル樽さん、ブレンドコーヒーさん
ありがとうございます!
「…どういうことですか」
『それが、上からは滞った事情としか聞かされていなくて…機体の譲渡は次を待ってくれということでして……』
IS学園のとある学生寮の一室、一人の少女と企業の人間による取引が行われていた。
いや、行われれるはずだったという方が正しいだろう。
『こちらの勝手で簪さんにご迷惑をおかけしていることは重々承知です。…ですがどうか、呑み込んでください』
「…でも、先日連絡したときには順調だって」
『…………』
簪と呼ばれた少女の質問に電話の相手は黙る。そして少し考えたかのように時間を空けてこう答えた。
『…実は、織斑一夏さんの白式を開発する際に人員を総動員しまして…それで開発が遅れていたのだと思われます。それが原因で今日の譲渡までに間に合わないと判断し、開発を断念していたのかと…電話の際には伝達に誤りがあったことを謝罪いたします。申し訳ありませんでした…』
「(どうして…!?これじゃあクラスリーグマッチに間に合わない…姉さんにも……!!)」
彼女は歯を食い縛る。
簪にはその電話に出ている相手が全て悪いわけではないということはわかっていた。だがそうとわかっていても、相手の声に、態度に、やり方に苛立ちを覚えていた。
「(…なら、もういい)」
そのとき簪の中の何かが壊れた。何かが狂ったのだ。
そして彼女はこんなことを口にしていた。
「…今の完成率はどのくらいですか」
『えっ…?確か50%位だったかと思いますが……』
彼の言葉を聞いて彼女は心の中で笑みを浮かべた。
「なら、予定通りに搬送をお願いします」
『え…!?ですから、機体は……』
「結構です。あとは自分でやります」
『いえ、しかしそんな突然言われても…』
「予定の時刻までに搬送が確認できなかったそのときは、私は日本の代表候補生を辞退します。…その原因を貴方たちに押し付けて」
『な…!?そんな、待っ──』
簪はそれだけ言うと通話を切る。
そして一人しかいない部屋の中、自分のベッドにダイブする。
「…ふふ、はははは……」
ルームメイトがいない彼女の乾いた笑い声だけが一人で暮らすには広すぎる寮内に響く。
「(…これでいいんだ。私は自分の力だけで…姉さんを……!)」
簪の中でそれは歪んだ決意となって彼女の心に縛りついた。
だが、そんな決意も次の瞬間に途切れることとなる。
『おりゃあああああああ!!』
「!?」
そんな声と共に簪の部屋のドアからドォォン!と轟音が響く。
簪はドアのある方に振り向いた。
『やっぱり歪んでたのね…誰かいる?』
ドアを破壊した犯人は部屋に侵入してくる。突然のことで簪は咄嗟にベッドの毛布で自分の顔を隠した。
「あ、いたいた。
「だ、誰…!?何なの…!」
「何って…あたし、今日から貴方のルームメイトになったんだけど」
「ルームメイトだからってどうしてドアを壊したの!?」
「うーん…部屋の鍵をもらったからそのドアの鍵穴に差したんだけど何故だか開かなくて。しかも何回もノックしても開かなかったから。壊れてたのね」
「え…ノックしたの……?」
「気づいてなかったの?何回もしたわよ」
「え…あの…ごめんなさい……」
簪はドア破壊の犯人であるツインテールの少女に謝る。
少女は荷物を床に降ろして簪に近づく。
「いや、こっちこそ。怖がらせたみたいね…」
「え…?」
「いや、すごい泣いてるじゃない。貴方」
「泣いてる……?」
簪は少女に言われて初めて自分が泣いていたことに気がついた。そしてそれを強盗のような登場をした彼女は自分が泣かせたものだと思ったようだ。
「ち、違うの!これは貴方のせいじゃなくて…」
「そうなの?じゃあどうして泣いてるの?」
「そ、それは……」
簪は彼女のストレートな質問に戸惑う。
「ま、言いたくないならいいんだけどね」
「ごめんなさい…」
「そのごめんなさいって言う癖、あたしといるときはなし。これから同じ部屋になるのにそんなに謝ってたらストレス溜まるわよ、あなたが」
「ご…わ、わかった」
また謝ろうとした簪だったが少女に言われたことをすぐに思いだし、やめた。
「なんて、右も左もわからないあたしが言っても何様ってなっちゃうわね」
「そ、そんなことない…よ?あと、ルームメイトっていうのは…?」
「え?先生から聞いてなかった?」
「…うん」
「はぁ…確かにあの先生、話した感じ適当そうだったしな…」
少女は額を手で押さえてため息をつく。
未だに困惑する簪は少女に訪ねた。
「あの…貴方は…?」
「あぁ、ごめん。自己紹介してなかったわね。」
普通は一番先に聞くことだが登場の仕方の問題もあって簪は聞くのが遅れてしまった。
「あたしは凰 鈴音(ファン リンイン)。中国の代表候補生よ。よろしく、更識さん」
彼女、鈴音は簪に手を差し出した。自分に手を差し出してくれた彼女の姿は簪の目にはとても輝いて見えた。
「さ…更識 簪(さらしき かんざし)…です。一応、日本の代表候補生。よ…よろしくお願いします!」
鈴音の手を握ったその瞬間から簪の独りぼっちだった時間は終わりを迎える。
そしてこれが同時に自分の機体の完成へも繋がるということを、簪はまだ知らない。
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IS学園には訓練に使われる多くの施設がある。その中でもISの模擬戦を行う『アリーナ』のひとつ、『第三アリーナ』では二人の生徒による模擬戦が行われていた。
片方は白い装甲に一本の刀を携えた機体。その機体の右腕部には最近追加装甲と一緒にされたばかりの滑空砲が、そしてもう片方の左腕には新たに製作された『新装備』が目立っていた。
「おのれ…中距離武器をひとつ手にしただけでここまで厄介になるか、白式!!」
その白い機体と対戦している人物が叫ぶ。一撃必殺の力を持つ刀に中距離武器。近づけば一撃必殺の刀で、距離を取れば滑空砲で狙われる。どちらを許しても対戦相手である彼にとって不利になることは共通していた。
「エネルギーもそろそろ切れる、ならその前に倒す!『零落白夜』発動!!」
白式の操縦者、一夏は単一使用能力である零落白夜を起動する。白式の装甲の継ぎ目が分離し、内部にあるフレームの廃熱口からエネルギーが放出される。そして雪片弐型にレーザー状の刃が構成された。
「行くぜ、七瀬!」
一夏は対戦相手、七瀬に向かい加速する。
「世界第四位のシェアを持つこの量産機…そして布仏が調整してくれたこの機体の力は伊達ではない!!」
七瀬はあろうことか、一撃必殺の力を持つ零落白夜を発動している一夏に向かって突撃していった。
「はぁぁっ!!」
一夏が、自ら間合いに入ってきた七瀬に零落白夜を突き刺す。七瀬の機体の装甲を零落白夜を使用している雪片弐型が貫通した。
「いや、これは…浅い!」
雪片を突き刺した一夏が異変に気がついた。
一夏は咄嗟に距離を取ろうとする。だが、雪片が七瀬の機体の装甲を突き刺したまま離れなかった。
「言っただろう。伊達ではないと!!」
「リアクティブアーマー!?まずい!!」
雪片が突き刺していた装甲が爆発を起こす。
「ようやく捕らえた!!」
「くっ!!」
七瀬は雪片を持っている一夏の片手を掴んでいた。一夏は七瀬を引き離そうとするが離れないでいた。
そんな一夏に向けて七瀬はガトリングガンを連射する。至近距離から発射されたガトリングガンの弾丸は白式のシールドエネルギーを削っていく。
「お次はこいつで!!」
「なんだ!?…うっ!!」
七瀬は閃光弾を投げた。閃光弾の光を直に見た一夏の視界が真っ白になる。投げた本人である七瀬は、ISと操縦者を繋ぐヘッドユニットが変形したバイザーで光を遮った。
「くそっ…視界が……」
一夏は七瀬を探す。視界が回復しない一夏はブースターの音が聞こえた場所に滑空砲を放つ。
「音を頼りに砲撃しているのか。…だが!!」
七瀬は砲撃をしている滑空砲に向かって腰のサイドアーマーから取り出したアサルトナイフを投げる。
投擲されたナイフは滑空砲の砲身を切り裂いた。白式の右腕が爆発を起こした。
「七瀬はどこに…」
未だ視界が完全には回復しない中、一夏は周りを見渡す。
目は相変わらず見えないが、背後に気配を感じた。
「!?」
「この距離なら外さん」
刹那、轟音と共に一夏は地面に落下していく。
ようやく視界が回復した一夏がその試合で最後に見たものは、背中に背負っていた二つのロケットバズーカを両手に構えて自分の後ろにいた七瀬の姿だった。
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『凄かったねぇ、さっきの』
『あぁ…布仏さんと東君が改造した機体?あれで訓練機なんて信じられないけどね…』
『織斑君大丈夫かな?クラス代表戦までに強くなってくれるといいんだけど…』
『けど東君はどうして訓練機でずっと戦ってるんだろうね?この間も企業からの話を断ったらしいよ?』
『勿体ないよねー。その話私にくれないかな…』
一夏と七瀬の試合の後、見学に来ていた数人の生徒は各々アリーナから出ていく。放課後は彼女らも部活なり訓練なりに時間を費やすのだろう。
「言われているぞ、バカ男子共」
「返す言葉もありません」
「放っておけ。一から機体を造るロマンを知らない者の言うことだ」
二人の試合を見に来ていた生徒の一連の会話を聞いていた箒が二人に言う。そんな彼女に、七瀬は白式と自分の機体のデータを見ながら適当に返事を返した。
一夏は自分に時間がないことを理解しているため、言い返せなかったが。
「それで装甲式装備の調子はどうだった?」
「う~ん……なんとも言えないっていうのが正直なところかな。確かに白式に雪片以外の装備を持たせられるっていうのは凄いけど、あの『滑空砲(?)』っていう武器が大きすぎるから余計操作が難しくなってさ…」
七瀬の質問に一夏は唸りながら答える。
「装甲式装備?なんですの、それは?」
二人の口から出てきた知らない単語にセシリアが反応する。
「それを話すならまず織斑の機体について話すところからだな。普通ISというのは武器を量子変換するものだ。だが、織斑の白式はバススロット…もとい、量子変換した武器を収納する器の容量がない。これは零落白夜という一撃必殺の力に容量を使いきっているためだ」
「その零落白夜を外すことはできないのか?」
箒が七瀬に訪ねた。
「できたらとっくにやっているよ。基本ISの単一仕様能力ってのは操縦者に合わせてIS自身が造り出すものらしいから外れないんだ」
「だからおりむーの機体は武器は刀しかないんだよね~」
本音は整備室の扉をカードキーで開けながら言う。
話しているうちに整備室まで移動していたらしい。
「まぁ、実物を見た方が織斑の意見が分かると思うぞ」
七瀬は整備室に移動されていた白式を指差して言う。
女子三人が白式を見るとその腕には巨大な砲台が取り付けられていた。
「これがその『装甲式装備』ですの?」
「あぁ。さっきも言った通り、白式には武器を追加することができない。だが、装甲を追加することは問題なくできた。だから武器を装甲と一緒に外装パーツとして取り付ければいいのではないかという目的の元に造られたのがこの装甲式装備というわけだ。装甲兼武器の役割をする部位になったがために装甲式装備という名前になった」
「けど、見ての通り、砲台が大きすぎるんだ。なにより、雪片を振るときに邪魔になっちまってた。確かに便利なものではあるけど、これは改善する必要があるかな」
「なに、最初の試作品というものが大型化してしまうのはロボットの理だ。これから時間をかけて小型化すればいいさ。データは十分に得られたしな。だが、クラス対抗戦にはあまりいい手とはいえない。残念だが、今は外しておこう」
七瀬は白式の装甲式装備を取り外す作業を開始する。たかが滑腔砲を付けただけに見えるほど単純な造りをしている装甲式装備だが、白式のフレームにある廃熱ダクトに干渉しない位置に取り付けているために構造はかなり複雑だったりする。故に取り付け、取り外しができるのは設計した七瀬だけなのである。
「もうかたっぽの腕についているものは外さなくていいの~?」
作業をしている中、本音が白式のもう片方の腕に付いていた装甲式装備に気がついた。
「こいつは今回使いどころが見つからなかったな…七瀬、こいつも外した方がいいのかな?」
「いや、お前がそっちの腕に雪片を持つことはないのだから取り付けたままでもいいと思うぞ。それにソイツはお前の雪片と相性がいいものだからな」
「相性がいい…?どういうことだ?」
「それはクラス対抗戦までのお楽しみだ。それよりも今日の本題はこっちだ」
七瀬は白式の隣のハンガーデッキを指差して言う。
そこには元の緑を基調とした迷彩模様の色から灰色に彩られた機体が鎮座していた。
「これこそがアメリカの第二世代量産機『アサルト・ソルジャー』を改造した機体。その名も『エクス・トルーパー』だ!」
灰色と黒に機体色を変更されたその機体は背中に2つの巨大な武器を背負っていることが特徴的であった。
「外見はともかく名前がまた激しく微妙だな」
「気にしているところを抉ってくるあたり君は流石だよ篠ノ之…一応理由はあるんだがな」
「理由だと?」
「まずは機体のデータから見てもらおう」
『エクス・トルーパー』
和名:超兵
型式:AZ-06R
世代:第2世代
国家:IS学園訓練機
分類:中距離対応型
装備:
アサルトライフル『ヘリオス』
シリンダー式グレネードランチャー(ヘリオスのアンダーバレルに装備)
ガトリングガン
強襲用ロケットバズーカ×2
腰部収納バリスティックナイフ×2
パンツァーファウスト
閃光弾
仕様:高性能射撃OSによる精密射撃
「戦闘スタイルは原型となった『アサルト・ソルジャー』と変わらず実弾兵器とナイフのみで戦うのが特徴的な機体だ。だが、武器を根本的に変えた。『アサルト・ソルジャー』が全ての距離に対応した実弾武器を持っていたのに対して『エクス・トルーパー』は大火力な実弾兵器のみを選出して使っている」
「背中に背負っている二つのデカイ武器は何なんだ?」
「ロケットバズーカだ。ちなみにこいつもさっき白式で説明した装甲式装備の技術を使っている。外付けでロケットバズーカを背負わせて量子化して収納できる武器を増やしている」
「さっきの模擬戦で一夏にとどめを刺した武器だな」
箒が模擬戦での出来事を思い出しながら言う。
「だが、この機体の原型『アサルト・ソルジャー』は世界第4位のシェアを持つほどの名機だが、ある問題があった」
「問題?」
「一言で言うと、飛べる時間がISの中でも特に短いんだよ~」
「つくづく東さんは飛ぶということに縁がありませんわね…」
前回の零式のときといい、今回といい七瀬は飛ぶことを禁じられているのだろうかと思うほどに高機動な機体に恵まれないのである。
「だから、少しでも機動がよくなるように脚部と背部にブースターを増設した。ちなみにこのブースターのバーニアは白式とブルーティアーズで使い古されて取り替えられた中古品を使っている」
「そんなの使い物になるのか?」
「飛行時間自体は伸びているから問題ない。このブースターを取り付けた目的はあくまで飛行時間を伸ばすためだからな。ただ俺の今の技術だけでは取り付けられないから大方布仏がやってくれたんだがな。俺はある細工をするので手一杯だった」
「大変だったけどなんとかできたよ~」
本音と七瀬の目の下にはまた隈ができており、後で箒に怒られることとなるのだがそれはまた別の機会に語るとしよう。
「それで東、ある細工というのは?」
「あぁ…これから話すことが『エクス・トルーパー』名前に繋がることなんだが…ときに篠ノ之、ISのCPUやOSとはどんな働きをするものだと思う?」
「そうだな…戦闘スタイルの変化、機動力の変化などといったことか?」
「大方その解釈で構わない。つまりは機体の動きを左右することになるわけだ。お前ら、この間話した『処女ビッチ会長事件』のことは覚えているか?」
「あぁ…七瀬の部屋に裸エプロン姿の女の人がいてその人の機体が『ステルス装備』を持っているからくすぐって拷問して装備を貰ったってやつ?」
「それだけ聞くと超クソ野郎だな俺は。あと裸エプロンではない。一応下に水着を着ていた」
「こんなこと言うのもなんですけどー、裸と大して変わらないんじゃないかな~?」
本音は自分の身内のことを思い出しながら言う。更識楯無は彼女にとっての主でもあるからだ。
「で、そのときだ。あの会長、ステルス装備がなくなって身を隠しながら廊下を歩けなくなったから一応水着の上から俺の予備の服着せて帰らせたんだが…何かを落としていったのだ」
「ゲームでモンスターを倒したときのドロップアイテムみたいだな…」
一夏が呆れながら言う。
「落としていったのはあるデータが入ったメモリーカードだった。それを解析してみたら驚くべきことに会長の機体のOSデータだった」
「この先の展開がわかりましたわ」
「その素晴らしいデータに俺は感動した。あの会長もただのビッチじゃなかったんだと。この機体を開発するにあたって俺の元にやってきた鴨……ではなく天使だったのだと」
七瀬はあろうことかそのOSのデータを表示した。そう、この男、そのデータを目の前の機体『エクス・トルーパー』に組み込んだのである。
「俺はこのデータを必死に組み込んだ。…そして気がついた」
七瀬は機体のスペックデータを見せた。そして全員がそのスペックデータを凝視する。
「これは…!?」
「どうしてこうなりましたの…?」
箒とセシリアが困惑する。明らかに訓練機が有するスペックを越えているのだ。
そしてこの機体のスペックが改造以前の原型を留めていない理由を語った。
「OSだけ第三世代のものを使ったせいで機体のリミッターがほぼ全て解除された状態になっているのだよ」
ISのリミッターを全て解除するということは機体の持つ力を越えて操縦するということである。
例えばバーニアを増設して飛行時間を長くしたとすれば通常伸びた筈の時間より多く飛行時間が伸びるということになる。
「そして改造して手に入れた機体の飛行時間、それを第三世代のOSで手に入れた反射能力と思考の融合。まさに超人と呼べる力を手にした兵士を体現したような性能になったために付けた名前が『エクス・トルーパー』、『超兵』という名前になったわけだ」
「果たしてガンダムOOを知らない人が今の話についてこられるか不安なところだな」
「『超兵』を『エクス・トルーパー』と呼ぶのは自分でも中二病っぽいと思ったがな。…それよりも、OOは知ってるのか、篠ノ之よ」
「姉さんが見ていたのを思い出した」
「君に姉さんがいるのか」
七瀬が箒に姉がいることを知ったのはこのときだった。といってもこの面子の中で箒に姉がいることを知っているのは一夏だけであったが。
「しかしOOとはな。そのお姉さんと今度ゆっくり話がしたいものだ」
「………」
一瞬箒の表情が暗くなったのを見た七瀬はこれ以上詮索するのはやめた方がいいと思い、話を変えた。
「しかしよかったよ。他の企業から専用機の勧誘を断り続けて。…これで俺はあと10年は戦えるな」
「10年もこの子と戦うってことは7年留年することになっちゃうよ~?」
「おっと、それは嫌だな」
訓練機であるこの『エクス・トルーパー』を10年も使えば必然的に10年学校に残らなければならなくなる。
この機体を訓練機と呼べるか否かは別として。
「そういえばさっきの生徒も噂していたが、また企業からの話を断ったのか?お前は」
「あぁ。今回は倉持技研(?)とかいう企業だったな」
倉持技研。日本のIS研究のほとんどを行っている企業である。ちなみに日本の量産機、打鉄を開発した企業も倉持技研である。
「これで何件目~?」
「23件目だ」
白式の整備パネルを操作しながら質問してきた本音に平然と答える七瀬。
「ちなみに今回断った理由は~?」
「出してきた機体がピンとこなかった。俺のタイプに合わない機体だった。以上」
「おぉ~…あずさんを攻略するのは大変そうだよ~」
本音はそんなことを言いながら操作を終え、休憩スペースである机に置いてあったホットココアを飲む。ときどき茶請けとして用意されていたクッキーを幸せそうに口に運ぶ動作が可愛らしく、先ほどまで一夏と七瀬に説教をかましていた箒までもが表情が柔らかくなっていた。
「倉持技研というと一夏さんの白式の開発元でしたわね。そこならば東さんの望む機体とまで言わずとも、欲している技術くらいは手に入るのでは…?」
「まぁ、確かに俺が欲している技術が機体に積まれていた。『マルチロックオン』に『リボルバーブースター』。どれも今すぐにでも欲しい技術だった」
「ひゃあほうひへ(じゃあどうして)~?」
「まずは口の中を空にしてからにしよう。むせるぞ」
七瀬が言うと本音はクッキーをゆっくりと噛んでから飲み込みリスのように膨らませていた頬を縮めた。
そして七瀬は茶請けとして持ってきたクッキーの山が消滅していたことに驚愕する。箒とセシリアも口をモゴモゴと動かしていたことから犯人は明確である。二人も甘いものは嫌いではないらしく七瀬は安心した。
「んくっ…じゃあどうして~?」
「なんと言うべきかねぇ…あれは俺のために造られた機体ではなかった、そんな気がしてならなくてな」
「けど、七瀬のために持ってきた機体なんだろ?それなら七瀬の戦い方に合わせた機体を造るのが普通なんじゃ…」
「そのはずなんだがな。だからこそおかしいと思った」
「ちなみに…もぐ…専用機を渡す目的は……もぐ…なんだったのだ?」
「篠ノ之、君も食べ終えてから話したほうがいい」
七瀬は本音のときと同様に箒に言う。
以前の箒ならこんなことはしなかったはずである。一体どこで道を踏み外してしまったのか。
「…で、専用機を渡してくる目的だったか?織斑と同じで男性操縦者のデータの回収は勿論だが、もう1つ変わった理由があるらしい」
「それはなんですの?」
「今後その機体を改造して得られたデータの一切を提供すること、だそうだ。なんでもその機体、完成してないから俺が手を加えて完成させろとのことでな」
「なるほど。東さんのデータを回収するだけでなく、これを機に開発にも貢献させようということですわね」
七瀬が打鉄・零式を設計したことはIS委員会を通して企業に知れ渡っていた。
そのため一応企業からの注目はあるのだが、一部の企業や学園の生徒からは本音に頼りきりで自分が開発したことに仕組んだ卑怯者という扱いを受けていたりする。
「それであずさんは今回はどんな機体をフったのかな~?」
「告白を断ったかのような言い方はやめてくれないか。される日など来ないだろうから余計虚しくなるだろう」
七瀬は機体のスペックを思いだしながらロボットを語るときの輝いた目に変わる。
「ふむ…マルチロックオンシステムによる高性能誘導ミサイルによる攻撃を主軸とし、そして脚部に搭載されたリボルバーブースターによる細かい旋回飛行動作が可能になった機体だった。武器の薙刀にはロマンを感じたな。名前は確か………」
「打鉄弐式(うちがねにしき)といったか」
思考と反射の融合、それが真の超兵だ!! byハレルヤ。
簪を2組にした理由は鈴と簪だけ1組じゃないというのがかわいそうというのと一夏グループと過ごしているとき以外はどうしているのか不安になったためです。ようするにぼっt(自主規制)にならないか不安だったからということです。
今回もありがとうございました!ロボット愛を込めた熱い感想や高評価、お待ちしております!!