ゼロから始める『ぼくのさいきょうのIS』作り   作:星震

14 / 23
連続投稿2話目です!
新たに高評価をくださった
ビグ・ランクさん、シニー・フェレライさん、
にけさん、yuuki7611さん、禅吉さん、シューティングスターフォールダウンさん、ゼオンさん、ネッシーさん、ありがとうございます!

投稿が遅れていた原因である余り物改造ガンプラの画像を後書きに添付してありますのでよければそちらもご覧ください


Core Connect Error

「また戦うことができて光栄です。山田先生」

 

「東君と戦うのは入試のとき以来ですね。よろしくお願いしますね」

 

「は、はぁ…これはご丁寧に……」

 

 アリーナの空中にて二人は試合の準備をした。

 山田先生の機体はラファール・リヴァイヴの教師仕様、対する七瀬側は超兵の和名を持つ機体、『エクス・トルーパー』である。

 二機とも万全の整備状態でその力を使われるときを待ち望んでいた。

 

「ねぇ一夏。アンタどっちが勝つと思う?」

 

「そうだな…って鈴!?なんでここにいるんだよ!二組は向こうの席で観戦だろ!」

 

「だって簪が二人の機体データを採取するって言って構ってくれないんだもん。それに今は織斑先生もいないんだからいいでしょ」

 

「あとで怒られても知らないからな?」

 

「で?アンタはやっぱりもう一人の男が勝つと思うの?」

 

 鈴の問いかけに一夏は少し考えてから答えを出した。

 

「いや、多分勝つのは山田先生だと思う。どれだけ健闘できるかが問題だ…ってさっき七瀬が言ってたんだけどな」

 

「ふ~ん」

 

 この学園に来たばかりの鈴には解らなかった。なぜ簪がそこまで彼の機体が気になるのか、なぜ一夏が先程の勝敗の問いに一瞬考えたような素振りを見せたのかを。

 

『それでは両者、試合を開始せよ』

 

千冬のアナウンスで試合が開始される。

 

「行きますよ、東君!」

 

山田先生はその手に51口径アサルトライフル『レッドバレット』を構え、七瀬に放つ。

 

「どれ、実機試験開始と行くか!」

 

 七瀬は回避行動を取ろうとエクス・トルーパーのブースターを吹かす。

 すると、ブースターは青い炎を巻き上げて爆発の反作用によるすさまじい加速力を得た。

 

「ぐぅっ!?」

 

 一瞬で七瀬の視界が変わる。

 ほんの数秒前まで目の前に山田先生がいたはずなのに視界が一転し、今の七瀬はアリーナのシールドバリアの壁に叩きつけられていた。

 

「(この加速力…俺の体の負担を全く考えてないな)」

 

 エクス・トルーパーのデータの多くには、処女ビッチ会長こと更識楯無の機体である『ミステリアス・レイディ』のデータが使われている。

 無論、それは加速力やブースターの出力も含まれており、七瀬が体験したこともない第三世代の機体の瞬間速度を発生させたのだ。

 

「(データやOSが要求してくる機体スペックに機体の完成度が達していない…覚悟はしていたが、リミッターがないとこんなにも扱いづらくなるのか!)」

 

「あ、東君!?大丈夫ですか!?」

 

 山田先生が心配して静止する。

 

「大丈夫です。戦えます」

 

 七瀬は返事を返し、すぐに壁から離れる。

 

「(今からデータを調整する時間も技術もない。なら、乗りこなすしかあるまい!)」

 

 七瀬は機体の状況を確認するべくして装備を試しに呼び出す。

 

「来い、『レイジ・スパイク』!」

 

 『レイジ・スパイク』。エクス・トルーパーに新たに追加された近接格闘用サーベルである。

 七瀬は武器が呼び出せることを確認すると山田先生のラファール・リヴァイヴに向かって突撃する。

 

「(速い!こんな機体が本当に第二世代の改修機!?)」

 

 アサルトライフルでは対応できないと悟った山田先生は近接格闘用の短剣を展開して刺突を防ぐ。

 

「相手に喰らい付いた状態なら!」

 

 山田先生とつばぜり合いになる中、七瀬は機体のブースターを吹かす。

 ブースターから青い炎を出しながら山田先生のリヴァイヴを押していく七瀬のエクス・トルーパー。

 だが、それで終わるほどこの学園の教師は甘くない。

 

「スピードが速い分、コントロールが上手くできていませんよ!」

 

「なっ!?」

 

 山田先生はスラスターの一部だけを吹かし、コントロールの利かない速度で押し合っていた七瀬の機体を受け流した。

 

「なんとぉぉぉぉぉっ!?」

 

 受け流された七瀬はそのまま、アリーナの壁に向かって回転しながら突っ込んでいく。

 七瀬が突っこんでいく場所、その先にはクラスの観戦席から離れて一人でこの試合を観戦していた生徒がいた。

 その生徒は試合の解析に使っていたものであろう端末を落とし、その顔を恐怖に染めていた。アリーナの壁のシールドバリア越しではあるものの、自分よりも巨大なISが向かってくれば当然の反応だろう。

 

「(このままではまた壁に…!)」

 

 壁越しに恐怖に怯える少女を目の前に、七瀬は壁に機体の足を向けた。

 

「ぐうぅっ…!」

 

 機体の加速力と壁に板挟みにされた脚部のフレームと装甲が軋みを上げる。

 その圧迫力はフレームの中の七瀬の足にまで影響していた。

 

「上がれぇぇっ!」

 

 七瀬は一度ブースターを切り、脚部フレームに僅かに仕込まれている補助筋肉の恩恵を受け、壁を蹴って跳躍する。そして、跳躍した瞬間に再びブースターを吹かして飛翔した。

 

「『ヘリオス』、展開!」

 

 アサルトライフル『ヘリオス』を瞬時に呼び出し、それを放ちながら七瀬は飛ぶ。

 

「(次の壁までの距離、残り50m…)」

 

 再びさっきとは向かい側の壁に向かっていく七瀬。そして壁との距離が縮まったとき、七瀬は再び壁を蹴って飛翔した。

 

「(駄目だ。まだタイミングが遅い!蹴るときに壁との距離を離さなければ機体のフレームが壊れる!)」

 

 壁を蹴り、加速した七瀬は山田先生に再び近づき、アサルトライフルのアンダーバレルに装備されているグレネードランチャーを発射する。

 だが、山田先生の対応は迅速であった。イグニッションブーストに匹敵する速さで動きながら攻撃を仕掛けてくる七瀬の機体を目で捉え、発射されたグレネードを瞬時展開したハンドガンで撃ち落とした。

 

「いくら速くてもこれなら!」

 

 山田先生はグレネードを撃ち落とすと同時に巨大なミサイルランチャーを展開する。その巨大な砲台から放たれたミサイルの大群は七瀬の機体を追従するように追い回す。

 

「誘導ミサイル…ここまで追い回すことができるとは!」

 

 ひとつひとつが小さなミサイルであるが、大量の数のそれを喰らってしまえばいくら七瀬の機体とて持ちこたえることは難しい。

 これらを避けるだけでさえ、精一杯であった七瀬に更なる攻撃が加えられる。

 

「そこです!」

 

 山田先生は、ミサイルを回避しながら撃ち落としていく七瀬に大火力のロケットランチャーで射撃する。

 

「(こっちを撃ち落とすだけでも精一杯だというのに…!)」

 

 追尾ミサイルを撃ち落としていた七瀬は腰部から取り出したバリスティック・ナイフの刃の部分を飛ばしてロケットランチャーの弾頭を爆破させた。

 七瀬が本機に刃の部分を飛ばすことができるバリスティック・ナイフを採用した目的は攻撃はもちろん、防御手段としても使えるためである。

 だが、山田先生の射撃の防御に気を取られていた七瀬は追従してきたミサイルの雨に打たれることとなった。

 

「ぐあぁぁぁぁ!」

 

 七瀬はミサイルの雨に打たれ、爆炎の中に飲み込まれた。

 数人を除いた全員が試合の終了を確信した。一夏の隣で観戦していた鈴音も試合の終了を確信したその一人であった。

 

「あーあ、もう終わっちゃった。機体もそうだけど操縦も無茶苦茶ね、アイツ。決められた操縦モーションに従おうともしないなんて」

 

 七瀬の操縦を見た鈴音がそう呟く。

 代表候補生として高い操縦技術を持つ彼女にとって、七瀬の操縦は目に余るものであったようだ。

 

「なぁ、鈴って代表候補生なんだよな…?」

 

「なによ、藪から棒に。そうだって言ったじゃない」

 

 一夏の問いにそう答える鈴音。

 その答えを聞いた一夏は頭を押さえてため息をついた。

 

「たくさんの修羅場をくぐり抜けてきた鈴でも、七瀬みたいなやつはいないのかぁ…ほんと、普通なんだか規格外なのかわからないぜ、七瀬は」

 

「それどういう意味よ」

 

「ほら、見てみろよ」

 

 今度は鈴音が一夏に問いかける。その問いに一夏は試合が終了したはずの場所を指差すことで答えた。

 鈴音がその場所を見ると、そこには信じられない光景が広がっていた。

 

「各部の反発爆破装甲の機動を確認、および機体のダメージレベルをCと確認。なら、まだやれる!」

 

 そんな声が爆炎の煙の中から聞こえた。

 やがて煙が消えていき、倒れたと思っていた機体の姿が現れる。

 

「(嘘…!?なんでまだ立っていられるわけ!?)」

 

 鈴音はアリーナのシールドバリアに張り付いてその場所を見つめていた。

 

「(あれだけのミサイルを喰らって助かるわけがない…ならどうして──)」

 

 鈴音は爆炎の煙から現れた七瀬の機体を見る。

 すると、半壊している機体の、一部の装甲のみが綺麗に跡形もなく消えていたことに気がつく。

 

「(あれだけのミサイルが命中してあんな綺麗な壊れかたはしない。…まさか、リアクティブアーマー!?けど全身の装甲がリアクティブアーマーの機体なんて聞いたことないわよ!?)」

 

 驚く鈴音とは別に隣で頬杖をついて観戦している一夏。

 それを見た鈴音は一夏に怒鳴る。

 

「なんでそんなに平然としてるのよ、アンタは!!」

 

「いや、もういつものことだし。それにあの機体の改修、俺たちも貢献したからあの装甲のことも知ってるし」

 

「機体の改修!?アンタ、自分たちだけで機体の改修をしたっていうの!?」

 

「あぁ。のほほんさんの技術やアイツの執念は凄いだろ?それに比べて、俺なんて自分の機体を理解するだけでも精一杯さ」

 

「アンタも自分の機体を整備できるの…?」

 

「まだひとりではできないけど、順調に覚えてるところだ」

 

 一夏のその言葉を聞いた鈴音は、この学園の生徒が持つ技術の高さを思い知らされる。

 

「(あたしは整備なんてできないのに…この学園にいる生徒はあんな奴らばかりだっていうの…?)」

 

 鈴音はアリーナで戦う彼に再び目を向けた。

 フレームの一部から火花を散らしながら、それでも尚、稼働し続ける半壊した機体。爆破に失敗したのであろう装甲がところどころ残っていた。

 既に満身創痍であるはずの機体がなぜまだ動けるのか、代表候補生である鈴音にも分からなかった。

 

「まだ行けるか、エクス・トルーパー。ならば、超兵の和名を冠するお前の力、もっと俺に見せてくれ!!」

 

 七瀬は普段の生気が宿っていない目とは違う、ロボットに乗っているときの輝いた目で機体に向かって叫ぶ。

 すると、機体のフレームが七瀬の体に合わせてスライドし、完全にフィットする。それはフォーマットとフィッティングと呼ばれる専用機の初期動作だった。

 

「この現象は…オルコットと戦った打鉄・零のときと同じものか…?」

 

 本来、原型が学園の訓練機であるエクス・トルーパーは

フォーマットとフィッティングは行われない。訓練機であるために操縦者との同調率も、引き出せる力も制限されているのだ。

 だが、それを無視して起こるこの現象は七瀬自身にもわからなかった。

 

「(ようやく枷のひとつが外れたか。だがされど、山田先生と対等には戦えまい。ならば…)」

 

 七瀬は整備用の空間投影型ディスプレイ出し、飛翔しながら機体のコアから送られてくるデータをもとに命令を下す。

 

「(脚部PIC干渉領域誤差調整、脚部ブースターを5プラス、背部ブースターを8マイナスで再点火。破損ブースターの機体フレームからのエネルギー装填を停止。保存領域内データファイル『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』から空間投影レティクルのファイルをコール、拡張領域内に保存。ヘッドマウントディスプレイにバイザーを装着。ヘッドユニットバイザーに照準サポートを表示。バイザー表示照準サポートと空間投影レティクルをリンク…完了。空間投影レティクルを表示。保存領域内データファイル『ミステリアス・レイディ』から『蒼流旋』刺突実戦データをコール、空間投影レティクルのデータにコネクト。ファイル名『刺突レティクル』を保存領域に保存。保存領域内データファイル『ラスティー・ネイル』斬撃実戦データを『刺突レティクル』のデータにコネクト。これより『エクス・トルーパー用サーベル攻撃補助プログラム』として保存、およびヘッドユニットバイザーに表示。不要になったコネクトデータを消去、完了)」

 

 専用機となったISから送られてくるデータは訓練機の比ではなく、七瀬の頭に負荷がかかる。

 だが、その恩恵によって人間離れした速さで専用の補助機能をプログラミングすることができた。

 

「(あぁ、これを俺が操作している!このような人間離れした操作をこの俺が!!)」

 

 送られてくるデータの結合の承認と起動以外は機体が思考して行ったものだが、その膨大な量のデータが何を意味するものなのか一瞬で見極めるのは困難である。ましてや、機体の飛行を行いながらならば尚更だ。

 それをやってのけるあたり、この学園で着けられた『弾丸まで作る変態ビルダー』の異名は伊達ではないようである。

 

「来い、『レイジ・スパイク』」

 

 七瀬はサーベル『レイジ・スパイク』を再び展開し、山田先生の機体に接近する。

 

「これ以上学園の機体を傷つけるのは気が進みませんが…いきます!」

 

 山田先生はアサルトライフルを二丁拳銃で持ち、突撃してくる七瀬を迎え撃つ。

 

「(二丁拳銃とは…まだそんな隠し手を持っていたか。…だが!)」

 

 七瀬は自身の目を覆い隠しているバイザーに表示された通りにサーベルを振るう。

 システムに従いながら、山田先生の放った小さな弾丸を細いサーベルで跳ね退けて接近していく。

 

「このシステムはいいものだ!!」

 

「きゃあっ!?」

 

 山田先生に接近した七瀬はそのサーベルで山田先生の片方のアサルトライフルを貫く。

 アサルトライフルが爆散を起こし、山田先生の周囲を煙が覆った。

 

「え…?東君はどこに──」

 

 一瞬の間に姿が見えなくなった七瀬。

 山田先生がハイパーセンサーで七瀬を探そうとしたそのときだった。

 山田先生の背後で爆発が起きた。

 

「うぅっ!!」

 

 背部のウェポンラックが備え付けられたウィングを破壊され、地面に落下していく山田先生のラファール・リヴァイヴ。

 山田先生が空を見上げると、そこには両手にロケットランチャーを持った七瀬の姿があった。

 山田先生が視界を失った一瞬でイグニッション・ブーストを使い、山田先生の背後からロケットランチャーを放ったのである。

 

「ようやく一撃を与えたか」

 

 七瀬は空中から地面に降り立ち、低空飛行のまま、山田先生の機体にアサルトライフル『ヘリオス』を放つ。

 

「(PIC発生部が破壊されて機体の力学バランスが悪くなっている…ですがまだ、ウィングをパージすれば!)」

 

 山田先生はリヴァイヴのウィング部をパージして脚部のPIC発生部のみで飛行を行った。

 このまま大破したウィングという重りを背負っていては機体の重量を支えきれなくなると判断したのだろう。

 

「(シールドエネルギーには余裕がある。…ずるい手段かもしれませんが、東君から接近戦に持ち込んでくるのを待つのが得策ですね)」

 

 今の七瀬はシールドエネルギーが僅かな状態だ。

 ならば、射撃の腕が自分よりも上である相手に遠距離で勝負は挑まないだろうと山田先生は考えたのだ。

 

「(遠距離で勝負するのはエネルギーの残りを考えるとキツいな。山田先生はこのことを見越しているだろうし。…死ぬな、このままでは)」

 

 七瀬はしばらく考えたような素振りを見せたが、すぐにサーベルを呼び出して行動に移した。

 

「今は考えても答えは出ない。活路はロボット愛の中にあり、だ!!」

 

 七瀬は機体のブースターを吹かして山田先生に接近する。

 

「(やっぱり速い!ライフルで弾幕を張ることができない!)」

 

 一瞬で山田先生の目の前まで現れた七瀬はその手に持っているサーベルで連続刺突攻撃を繰り出す。

 

「(なんて的確な攻撃!さっき東君がプログラミングしていたものってもしかしてこれの…!?)」

 

 山田先生は短剣を握り、七瀬の刺突をできるだけ防いだ。防ぎ切れなかった刺突がラファール・リヴァイヴの装甲に穴を開けていく。

 そして、七瀬がまたも刺突を仕掛けようと思ったときだった。

 

「これ以上はさせませんよ!」

 

「なっ!?」

 

 山田先生が投げた手榴弾が七瀬に命中し、爆発を起こす。

 

「(一体何種類の武器を収納できるんだ、あの機体は!)」

 

 ラファール・リヴァイヴは大容量のバススロットが備え付けられているために多くの武器を量子変換して収納できるが、その量は七瀬の予想を越えていた。

 七瀬が初めてISを動かしたのもリヴァイヴだったが、そのときは企業の不手際で武器が一種類しかなかったために本来の性能を発揮できていなかった。つまり、七瀬はリヴァイヴを理解しきっていなかったのだ。

 

「あぁ…!そんな一面もあるとは、益々欲しくなったぞ、リヴァイヴ!!」

 

 吹き飛ばされている中、山田先生が短剣を持って接近してきていることに気がつく。

 

「まだ終われん!その機体の更なる性能に俺は心を奪われた!!もっと、もっと知りたい!!」

 

 七瀬は吹き飛ばされる中、ブースターを吹かし、山田先生にサーベルを持って突撃する。そしてそれを短剣で防ぐ山田先生。

 以前のように、七瀬のサーベルと山田先生の短剣がつばぜり合いになる。

 

「強くなっていますね、七瀬君。入試で戦ったときとは別人のようです!」

 

「あのときは一撃しか与えられませんでしたね。なのに学年次席という結果は驚きましたよ」

 

 七瀬が学年次席ということは、七瀬のクラスの生徒は誰も山田先生に一撃も与えられなかったということになる。

 もちろん、セシリアと一夏は例外だが。

 

「ですが、私も先生として負けられません!それにこの子(リヴァイヴ)だって本気を出しきりたいと望んでいますから!」

 

「ほう。俺を相手に全てをさらけ出してくれるかリヴァイヴ!ならば、俺とエクス・トルーパーも限界以上の力を出さなければ失礼というもの!」

 

 七瀬はエクス・トルーパーのブースターを全開で吹かす。

 依然としてコントロールの利かない速さによる力が七瀬の体を押す。

 

「ぐうぅぅぅっ!?」

 

 七瀬は先程のプログラミングの中でブースターの出力を自分に合わせて調整したが、それでもこの機体の速度は七瀬に耐えられるようなものではなかった。

 

「調整してもこれか!…なら、あとはこの機体への愛だ!!」

 

 七瀬は思い切り歯を食い縛り、背中から押されるその力に耐える。背骨から鳴るはずのない音が聞こえはじめる。

 だが、戦況に変化はあった。

 

「(押されている!?東君、あの機体の速さをコントロールして…!?)」

 

 山田先生のリヴァイヴがアリーナの壁に向かって押され始める。

 

「これなら!」

 

 山田先生はこれ以上は押されまいと脚部のパイルバンカーを地面に突き刺して体を固定する。

 

「ところがぎっちょん!」

 

「!?」

 

 山田先生はエクス・トルーパーの両腰部の『バリスティック・ナイフ』がマウントしてあったウェポンバインダーを見る。目をやるとそこには、『パンツァー・ファウスト』がマウントされていた。

 

「(さっきまではなかったのに、いつの間に!?…まさか、今展開したんですか!?)」

 

 自分を押し潰すような力を反射しながら、量子化されているパンツァーファウストを呼び出すためにイメージを固め、思考する。そんな芸当ができる者はそういないだろう。

 …だが、実際はこの男が普段からロボットのことしか考えていないために武器のイメージが一瞬で固まり、すぐに武器を取り出せただけであり、あとは愛の名の元に機体の力に耐えていただけなのである。

 

「爆!散!」

 

 七瀬はパンツァー・ファウストのひとつをパイルバンカー、もうひとつを山田先生に向けて発射した。

 爆発によってパイルバンカーが壊れたところで七瀬は更に加速する。山田先生の機体が七瀬の機体に押され、アリーナの壁に向かって進んでいく。

 

「きゃあっ!」

 

「(この機体性能に影響している『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』のデータすごいよ!流石はミステリアス・レイディのお兄さん!!)」

 

 機体のデータを流用した事実上ではミステリアス・レイディの弟に当たるこの機体。

 そしてそのミステリアス・レイディの兄に当たる機体が『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』である。

 その機体はもともと高いパワーを持っていたのだが、楯無がミステリアス・レイディに改修した際に扱いやすくするべくしてパワーを削られたのだ。

 だが、そのデータをそのまま使用した本機はそのパワーを失っていなかったのだ。

 

「どこかで見ているか、処女ビッチ会長さんよぉ!!」

 

 七瀬は見ているであろう楯無に向かって叫ぶ。

 

「これがアンタが切り捨てた『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』のパワーの…いや!

 

 

 

 

 

これが、超兵(エクス・トルーパー)の力だァ!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁっ!」

 

 山田先生の機体がアリーナの壁に叩きつけられた。

 そして、七瀬が壁に叩きつけられた山田先生にサーベルを向けた。

 だが、その攻撃は届かずに終わる。

 

「ん…?なんだ?機体が……」

 

 七瀬の機体が突然、動作を停止した。

 七瀬が原因を調べようとした刹那、文字が空間に投影された。

 

「『Core Connect Error(コア・コネクト・エラー)』だと?」

 

 それは整備中、ISの機体とコアの同調率が低下した際に起きることがある『整備中に起きるエラー』である。

 

「(なぜ戦闘中にこのエラーが…?コアと機体の同調率が戦闘中に下がること自体がない筈だが…)」

 

 七瀬は今行ったことを思い出す。

 ブースターの出力を限界まで高めて山田先生の機体を壁に叩きつけられたこと、そしてその前の『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』のOSを起動し、パワーを限界まで上げたこと。

 それらがコアに与える影響についてを考えた末にある結論にたどり着いた。

 

「(どちらもコアから膨大なエネルギーを要求する動作…ということは、コアから機体へ送られるエネルギー伝達が間に合わなかったということか…?)」

 

 無限のエネルギーを生成するはずのISコア。それが一定時間で機体へ伝達するエネルギーに限界があるということが発見されたのはこの事件が初めてであった。

 

 アリーナには多くの生徒がいたが、この事件の真相が分かる者は七瀬の他には存在しなかった。

 七瀬がこの事実を伏せたためである。この情報が世界に衝撃を与えると見越してのことであった。

 

***********************

 

 

 

「(ISコアのエネルギー伝達の制限があったなんて…3つもの別のOSを搭載し、尚且つ並外れた速さとパワーを持つあの機体だからこそ気づけたのね…)」

 

 七瀬と山田先生の試合から数時間後のIS学園生徒会室。

 そこで深刻な顔でディスプレイを見つめていたのは、生徒会長である更識楯無であった。

 

「(念のため全てのデータに監視プログラムを組み込んでおいてよかったわ。データの流出元を突き止めるための機能だけど、こんなところで役に立つとは思わなかったわ)」

 

 楯無が七瀬の部屋に落としていったデータ。そこには監視プログラムが組み込まれており、そのデータを使って作られた機体の情報や場所を開示するという代物であった。

 

「(これからあのデータを利用した機体は全て監視プログラムに記録されていく。一部でも利用すれば、ね。)」

 

 楯無は罪悪感を感じながらもその機体の詳細情報を見ようとデータを開示する命令を端末に下した。

 すると、真っ先にデータに添付されていたファイルが独りでに開いた。

 

「(何かしら…)」

 

 楯無はそのファイルを開く。そこにはこう書いてあった。

 

 

 

 

 

  気づかないとでも思っていたか?

                  』

 

「!?」

 

 その一文を見た楯無の体から血の気が引いていく。

 心臓を掴まれたかのような、そんな気分になる。

 

    アンタは知りすぎた

                  』

 

 次々にファイルが変わっていき、内容もその文字を変えていく。  

 ホラー全般が苦手な楯無はこの僅かな文字だけで顔を青白く染めていく。

 そして、ザザッという機械的と共に、突然画面が砂嵐になった。

 

「(気づかれていたの…?初めから…?ならどうして機体にあのデータを搭載したの…?)」

 

 彼をよく知る者ならその単純な理由が分かるだろうが、このときの彼女にはまだ分からなかったようである。

 

「(え…?また通信…?)」

 

 砂嵐になっていたその端末をもう一度見ると、そこにはメッセージが送られてきていた。

 

『ps,

 コアの件は内密にしておいたほうがいい。

 アンタの家族や友人にも影響が及ぶ可能性がある』

 

 楯無はその追伸を見て少しばかり表情を和らげた。

 そして、生徒会室で独り、こう呟くのだった。

 

「...わかっているわ。それに、このことを公表しても無益な争いの火種になるだけだもの」

 

 楯無は、ISコアを研究材料に使っている国家や組織にこの情報を流出させまいとコアの秘密を守りきる覚悟を決めたのだった。




次回がクラスリーグマッチですね。
今回出てきた超兵は武器ジオン系、中身ハルートもどきというミスマッチな感じになってしまいましたが個人的には満足しています。

で、こいつが問題のガンプラです。


【挿絵表示】


【挿絵表示】


余っていたパーツを駆使してジムスナイパーベースでいろいろ張り合わせた結果がこれですよ。ジムなのにいろいろ盛りすぎましたね。
メイン武器はアサルトカービンと盾。そして盾にヒートナイフがマウントしてあります。
背部のエネルギータンクとビームスナイパーライフルはガナーザクウォーリアを参考に製作しました。
脚部装甲内部にはビームサーベルがマウントされています。
そしてこの機体、名前がないので募集したいと思います。何かいい名前があれば『ガンプラ名前募集』とある私の活動報告へよろしくお願いいたします!
こちらでは製作したガンプラの画像を添付していきたいなと思っています。

ジオン系改造機ばかり作っているので連邦系も改造機作るかと思ったのが始まりでした。その結果が投稿を送らせてしまい申し訳ありませんでした。
これからはできるだけ投稿と併用してできるように致します。


今回もありがとうございました!
ロボット愛を込めた感想、高評価、是非是非お待ちしております!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。