おっ始めようぜ!アヤメさんファン同士によるとんでもねぇ戦争(購入予約競争)をよ!
今回はロボット要素ありません(ロボットアニメネタがないとは言っていない)。
七瀬の周りの人間関係と彼の心境です。
新たに高評価を下さった
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「…で?なぜ夜中の11時なんかに俺の部屋に来たのか説明してもらおうか」
「らってぇ…一夏がぁ…一夏がぁぁ……わたひのぜいで…」
「はぁ……」
とある金曜日の夜11時。七瀬は自室にてため息をついていた。
夜中に突然、鞘に納められている木刀と真剣のみを持って七瀬の部屋に来ては泣き始めた彼女、篠ノ之箒が原因である。
「お前と織斑の部屋にいきなり酢豚女(?)が侵入してきて部屋を変われと言われたところだけは分かった。それとお前が泣いていることになんの関係がある?」
「…追い出された」
「はぁ?」
「だから、部屋から追い出されたんだ!!」
「理由を述べろ、理由を」
それから七瀬は箒から一連の事件の詳細を聞いた。
この間一組に宣戦布告に来た転校生、凰 鈴音が一夏と箒が同室だということにいちゃもんをつけてきたようだ。
そして、箒と同じ幼なじみである以上、自分にも一夏と同室になる権利があるはずだと主張してきたらしい。
「まぁ、年頃の男女が同じ部屋ってのは俺もどうかと思うんだがな。わざわざ男性操縦者が二人いるというのに別々の部屋にする理由がわからん」
山田先生曰く、部屋の調整をした先生が『男子を二人同じ部屋にしたら絡み合って【自主規制】してしまうから取り止めた』とのことだ。
「(とりあえずその先生は腐女子確定だな。関わらないのが懸命だ)」
七瀬はそう心に誓うのだった。
「で、篠ノ之よ、今回の件の君の失敗はなんだと思う?」
「失敗…?」
「あぁそうだ。とんでもない失敗をしている」
考えた素振りを見せる箒。
だが、自分の失敗とは自分では気づきにくいもの。心の状態が不安定な今の箒の場合、尚更だった。
「それはな……凰と織斑に木刀を振り下ろしたことだ」
七瀬にそう言われ俯く箒。
鈴音に部屋を変われと言われたあと、自分をないがしろにしたように二人は部屋交換の話をし始めたらしい。
無論、一夏も承諾はしていなかったらしいが。
そんな光景を見た箒は自分には関係ないことだと言われているようで腹が立ったらしい。
そのとき、偶然あった木刀を取り、鈴音に振り下ろしてしまったらしい。
それに気づいた鈴音はISを部分展開して木刀を防ごうとしたのだが、それよりも早く一夏が鈴音を守るために腕で木刀を防いだらしい。
当然、一夏も無事では済まずに腕を腫れさせてしまっていたらしい。
「本当は気づいていたんだろう?自分の失敗に。いや、考えなくてもこの失敗には気づけるはずだ」
「……」
「いや、認めたくなかったのか。自分の大切な人を自分で傷つけてしまったことを」
そのあとだ。
一夏を傷つけてしまった箒に鈴音が激怒したのは。
『出てって!!』
傷つく一夏を見た鈴音は箒にそう怒鳴ったらしい。
彼女もまた、箒と同様に一夏のことを大切に思っているが故に怒ったのだろう。
そして自分が一夏を傷つけてしまった事実と、幼なじみという自分と同じ立場にいる筈なのに人としての格の違いを見せつけられ、それに耐えられなくなって部屋を飛び出して七瀬の部屋に来たらしい。
「だがな篠ノ之」
七瀬の言葉に俯いていた箒が顔を上げる。
ようやく二人の目があった。
「失敗には責任が伴う。その責任からは逃げることも忘れることも許されない」
「…っ!!だが、どうすればいい!?今の私は一夏に会わせる顔が──」
「簡単だ。織斑にもうこんなことはしないと誓うことだ。それがアイツに対してお前が果たすべき責任だ」
普段と変わらずに淡々とした口調で告げる七瀬。
だが、それを語る彼の目は真剣だった。
「だが、一夏は許してくれるだろうか…?こんな最低な私を…」
「本当に最低な人間というものは最初から自分の失敗を隠すはずだ。お前は自分が織斑を傷つけてしまったことを隠さなかった。それは自分の失敗を理解しているからだろう?」
「…慰めのつもりか?」
「俺は上辺だけの関係は嫌いだ。…だが、織斑や布仏、オルコットも含め、お前という一人の人間とはそんな関係ではないと思っている」
「…そうか」
箒はそのとき思い出さされた。
東七瀬という人間はこういう奴だったと。
さっきまで自分に対して言っていた辛辣な言葉も、端から聞けば着飾っているとしか思えない口調も、自分や一夏を信用しているという隠れた言葉も、自分に嘘を言い聞かせることのできない彼の『不便な心』から出た本心であると。
だからこそだろうか、箒は自分の分身ともいえるそれを彼の前に差し出した。
「これは…?」
「今回使ってしまった木刀と、もう片方は我が篠ノ之家に伝わる秘剣だ」
今回使ったらしい木刀と一緒に添えられた秘剣は鞘に納められており、レプリカとは違う、人の命を絶つことのできる重さを持っていた。
その秘剣はまごうことなき『真剣』であった。
「名は『緋宵』。かの飛騨の名匠、『明動陽』の晩年の作だ」
「明動陽…聞いたことがある。女剣士を伴侶とし、なにより、剣を愛してやまなかった男であると。彼の残している短文や詞にも刀を我が身と呼ぶ表現が多く使われているのを見たことがある」
七瀬たちの世の歴史にも多く名を残す名匠の剣。それを間近で見て七瀬は驚愕していた。
「その明動陽が晩年に作り上げた二本のうちの一本だ」
「しかし、そんな代物をどうして持っている?」
「本来、篠ノ之家に代々伝わるこの剣は亭主が変わったときに引き継がれる。今、私の家族は訳あって一家離ればなれで暮らしている。家族との別れ際に父が私にせめてもの繋がりになればと渡してくれたんだ」
「そんなものを何故俺に?」
「私が今回のように力と感情を誤り、大切な人を傷つけてしまう内はその剣は握れない。…だから、預かっていてほしいんだ。私が本当の強さと力の意味を知るまで」
「…さっきのようなことを言っておいてだが、俺は他人の人生を左右できるほど大層な人間ではないぞ?」
「違う。私はお前の立場や価値でこの剣を預けるわけじゃない」
「なら──」
「私を『篠ノ之』ではなく、『篠ノ之 箒』として見てくれているお前だからこそ頼みたい」
そこまで頼まれて断る理由が七瀬にはなかった。
端から断るつもりなどなかったのかもしれないが。
「…期間は三年だ。それまでこの剣、確かに預かった」
「私もできるだけ早く返してもらえるよう、日々精進する所存だ」
箒はさっきまでとは違い、何かを決したかのような表情をしていた。
そんな彼女を見て、七瀬はもうひとつの本題に入った。
「どれ、今回の処方薬をくれてやろう」
「な、なんだこれは?」
そう言う七瀬から大きな紙袋を渡される箒。
箒はその中身を確認するべく七瀬から渡された紙袋を開く。
「これは…漫画か?それに映画まで…」
どういうつもりだ?そう目で訴える箒。
「君はさっきの事の他にもうひとつ、失敗があるぞ。自分の気持ちに素直になれず毎度遠回りをしてしまうことだ」
「それとこれとどう関係がある?第一、この…破廉恥な描写の多い漫画はなんだ!?」
「だから言っているだろう、処方薬だ。今の篠ノ之は恋愛知識が乏しすぎる。それらはラブコメを中心にした内容の物語たちばかりだ。お前にとっていい勉強になる。色恋の、な」
「い…色恋だと!?私はそんなもの──」
「まだ分からないか、お前は織斑が好きなんだよ。だからその酢豚女とやらに嫉妬した、違うか?」
「そ、それは……」
「好きという感情がなにを意味するものなのか、それくらいは分かる筈だ。ここから先は君が自分で答えを出すんだ」
箒は渡された漫画の数ページを捲る。
…が、すぐに顔をぼっと赤く染めた。まだ耐性がないようである。
「だが、その恋愛物語のセリフや行動を真似するだけでは駄目だ。それはあくまでその登場人物の気持ちの伝え方にすぎない。その漫画たちの使用用途は君の中の恋愛事に対する耐性を作るためのものだ」
そう言って処方薬の用途を説明していく七瀬。
「………」
「どうした?そんな不思議そうな目で」
箒は不思議そうな目で七瀬を見ていた。
そして、こんな質問を投げ掛けていた。
「お前は一体何者なんだ…?心理相談から…れ、恋愛事の相談までこうとことん時間を割いてくれる者はそうはいない。お前に得なことなどないというのに…」
「何者か、か。そうだな、強いて言うなれば──」
未だに恋愛という文字を口にするのに躊躇いがあるらしい箒の問いに七瀬は答えた。
「戦争(修羅場)屋です。ロボット同士による戦いの修羅場と純粋な恋情同士がぶつかり合う修羅場が好きで好きでたまらない、人間のプリミティブな衝動に準じて生きる最低最悪の人間、といったところか」
七瀬はそう言って嫌な笑みを浮かべた。
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七瀬は箒を一夏の部屋まで見送り、一時間ほど二人の騒動の仲立ちをしてきて帰ってきた。
結局、事は箒が謝罪を入れ、一夏も自分が怒鳴りすぎたことを謝罪して解決した。
現在は自室のドアの前で立ち止まり、そんなことをしてきた自分について考えていた。
「(なにをやっているんだ。俺は)」
自分の時間を他人のために使う。簡単なことに聞こえるがそれは相手のことをよほど思っていない限り到底できることではない。それこそ、友と呼べる関係でない限りは。
故に、中学時代の七瀬にそんなことができるはずがなかったのだ。
「(こんな俺を中学時代の野郎たちが知ったら何て言うかね。・・・いや、やはり考えるのはやめておこう)」
七瀬は中学時代の『完璧超人のボウヤ』を思い出す。
「少しは自分の悪いところも考えたらどうだ?」
かつて七瀬にそう言っていた太田というクラスメイト。
なんでも完璧にこなし、そのカリスマ性と人柄の良さから男女問わずに好かれていた彼であったが、自分からクラスメイトを遠ざける七瀬には厳しく当たっていた。
七瀬がクラスメイトを遠ざけていたのはクラスメイトからの陰湿ないじめからきていたものだったが、そんな理由に聞く耳を持たなかった彼は七瀬に自分からクラスメイトに接してみろと言い聞かせていたのだ。
「(向こうじゃあ自分から接するということをしても意味などなかった。だが、人間関係がリセットされたこの学園に入ってからはどうだ?俺は結局誰かに接して貰わなければ関わりを持てていない。…このままでは野郎に言われたことに反論すらできん)」
七瀬はこの学園に入ってからのことを思い返す。
最初に話したのは一夏。そして次に箒、本音、セシリアに鷹月、相川とこの学園に入ってからは多くの人間関係を得ることができた。
だが、全てにおいて共通していることがあった。
それはどの場合にせよ、相手から七瀬に話しかけてきてくれたことから人間関係が始まっていることだ。
「(やはり、俺は助けてもらってばかりだ。理想のロボットを造るなどという夢を掲げ、今までの機体を組み上げてきたものの、結局は布仏や織斑たちの助けがあったからだ。そして布仏や織斑と人間関係ができた始まりもアイツらから俺に話しかけてくれたからだ)」
理想のロボットを造るという七瀬の夢。
それを実現するには多くの人の力が必要になる。それこそ、今よりもずっと多くの人の力が。
「(今のままでは駄目だ。野郎に言われたことを気にするってのもシャクだが、それ以上に俺は変わらなければならない。夢のためにも、これまでアイツらが俺にしてくれたことを今度は俺が誰かにできるようになるためにも)」
変わる決意、それが固まっただけでも彼にとっては大きな進歩であった。
「(…しかし、これでは偽善者とでも言われるな、野郎に)」
そう思いながらドアノブに手を掛けた。
そして、七瀬は変わり果てた自分の部屋を目撃する。
「なんだ…これは」
一時間前に部屋を出ていったときとは違い、入り口から見ても分かるほどに変わり果てた姿の部屋を見て七瀬は絶句する。
「『積みプラの長城』が荒らされている…プラモ関連雑誌の棚も整理してあったはずだがぐちゃぐちゃだ。どうなっている…?」
積みプラ。作られていないプラモデルの箱が重なって積まれた状態のことをそう呼ぶが、七瀬の場合、その量が異常だった。
学園の寮が独り部屋だからといって家にあったプラモを片っ端から持ち出しまくった結果、七瀬の部屋には山のように積まれたプラモの城が築かれていたのである。
「誰がこんなことを…?」
七瀬が部屋に入り、辺りを見渡す。
すると、部屋の机に棚から消えていた本と積みプラの山から消えていたプラモの箱を見つけた。
そして、この部屋を荒らした犯人である人物を発見した。
「……何をやっているんだ、アンタは」
消えていた本とプラモがあった机、そこにはすやすやと寝息を立てている更識楯無の姿があった。
なにやらやりきったような顔をして眠っている彼女はまたもや水着エプロンという異常な格好で左手の人差し指だけを真っ直ぐに立てたまま、机にうつ伏せで眠っていた。
「どっかの団長みたいな眠り方だな。綺麗に希望のはな咲かせてやがる……ん?」
七瀬は楯無が指差していた場所を見る。
そこには消えていたプラモが組み立ててあった。
「人のものを勝手に組み立てるなよ…」
そう思いそれを片付けようとした七瀬だったが、ふと、楯無の周りのものに目が止まった。
「これは…初心者用のページだな。これを見て組み立てたのか…」
消えていたプラモ関連の本の中の初心者用のページにしおりらしきものが挟まっていたので楯無が読んだのであろうことを察した。
「だからって…よくもまぁ初心者が『レグナント』なんてものを組み立てられたな。しかも一時間足らずで…」
荒削りではあるが、手間をかけて作られたことが分かるそのプラモは七瀬の中に疑問を生んだ。
「なんでこんなことを?」
それを考えようとした七瀬だったが、すぐに答えが出た。
その答えが先程まで自分が考えていたことと繋がっていたからだ。
「(大方、俺がいなかったから暇を持て余していたんだろうが、わざわざやったことのないプラモを選ぶ必要はない。…俺がやっていることを知ろうとしているのか?この会長は)」
一夏たちとは出逢い方はもちろん、やり方こそも違うが彼女なりのやり方で自分のやっていることを知り、自分を理解しようとしているのだろうか。
そう思う七瀬はうぬぼれているのだろうか。
「そういえば、アンタとの関わりもアンタがこの部屋に侵入してきたことが始まりだったな。まぁ、布仏や織斑たちとは違って助けられたと思ったことは微塵もないが」
むしろドアのピッキングに勝手にプラモを作られるなどと、迷惑しかかけられていないわけなのだが、彼女と関わることは不思議と不快感は感じなかった。
「…少しくらい、俺からも関わってみるべきなんだろうな。これからは」
七瀬はそう言って異常な格好の楯無に毛布をかける。
そして楯無が作ったプラモと向き合った。
「レグナント…ダブルオーライザーと一緒に並べるために買ったってのに…」
レグナント。機動戦士ガンダムOOに登場する復讐にその身を投じたやたら楯無と声が似ている少女が乗るモビルアーマーである。
一方のダブルオーライザーも同じく機動戦士ガンダムOOに登場したモビルスーツであり、作品中の主人公の少年とレグナントのパイロットの恋人である少年の二人が乗った機体だ。
その片方の機体が発売することを知った七瀬は即座にもう片方の機体も一緒に並べるために購入したのだが、片方を楯無が作ってしまったために心底参っていた。
「どうしたもんかね。どう思う、会長さんよぉ」
眠っているために返事をするはずがない彼女に七瀬は語りかけた。
「えへへ…ガンダムを……倒したよぉ…誉めてぇ…」
「どんな夢を見ているんだアンタは」
たまたま七瀬の問いかけに寝言を返した楯無だった。
そんな楯無の寝顔を見て七瀬はふと呟いた。
「眠っていればなんとやらとはこのことか」
眠って危害を与えない間の彼女は七瀬の目にただの美少女として写っていた。
…あくまで眠って危害を与えない間のみに限るが。
「仕方ない…さっさとこっちも作って並べるしかないか」
七瀬は崩れた積みプラの山を整理しながらダブルオーライザーの箱を持ってきた。
そして彼女が右手に握っていたニッパーを持ち、楯無の作った機体の隣に並ぶべきそれを作り初めた。
「明日は休日だしゆっくり作るとするか。…が、その前に」
七瀬はいつぞやのサブアームの試作品を取り出した。
本音によって改造されたそれはどういう訳かくすぐりに特化した性能を持つ代物だ。
「レグナントの弁償代は文字通り体で払ってもらう」
その日の朝、起きたときが彼女の最後であろうことを彼の目とサブアームもどきの動きが語っていた。
勿論、楯無がその日一日中動けなくなったことは言うまでもない。
こういう日常回もあればいいかなと思い書きました。
次は一夏VS鈴ですね。
今回の人間関係の伏線め回収しつつ丁寧に書いてまいりますよ!シェンロンにもオリジナル要素を足していくのでご注目を。
あ、そういえばフルセイバー買いました。メタル塗装でガチで作ってます。
今回もありがとうございました!
ロボット愛を込めた感想、高評価お待ちしております!