ついに七瀬の技術集大成の登場です!
しかしやりたいことを詰めまくったせいで文がおかしいところが多いかもしれませんね…
ご了承下さい!
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「なにがおきているのか...」
突然、アリーナのバリアを破壊して試合に乱入してきたISの襲撃によって強制ロックされるアリーナのドア。
そんなアリーナの様を見て呟く七瀬。
「これでは避難することも、機体をとりにいくこともできない...
すぐ目の前でロボット同士によるドンパチが繰り広げられているというのに...!!」
「あずさん、どうするの...?」
不安そうに七瀬を見つめる本音。
普段は見せない不安げな彼女の様子を見た七瀬は興奮状態から正気に戻る。
だが、本音はほかの生徒に比べればずっと落ち着いている方だった。
『あけっ!!開きなさいよ!!』
『だれか開けてよ!専用機持ちは!?』
機体を持たない生徒たちは専用機持ちであるセシリアに寄って集った。
「こんなに人が密集している場所でレーザー兵器を使うわけにはいきませんわ!皆さんにもしものことがあれば…!」
『なによ...いざってときに役にたたないわね、専用機持ちっていうのは!!』
セシリアに怒鳴りつける女子生徒。七瀬はその光景を見て呆れていた。
『アンタ、男でしょ!なんとかしなさいよ!』
そしてその矛先は七瀬にも向いた。
「おかしな理屈だな。第一、俺は専用機を持っていないぞ」
『男なら女のために戦ってよ!それが当たり前なんだから!』
力を持つ者に身勝手に言い寄る少女たち。危機に晒された人というのはここまで愚かになれるのか。
「戦うのが当たり前…か」
「東さんはあなたたちの盾ではありません!」
七瀬を人柱のように扱う少女たちに怒鳴るセシリア。
そんな扱いをされれば不快な思いをするだろう。
だが、当の七瀬は不気味に笑っていた。
「いいだろう!」
『な…なによ!?』
七瀬の言葉に驚く生徒たち。勿論、箒やセシリアも例外ではない。
「喜んで戦ってきてやろうと言っている」
『はぁ…?専用機も持たない男なんかに何が……』
「そうと決まれば始めるとするか」
『ちょっと!?話聞いてるの!?』
「聞く耳持たんな」
怒りを七瀬にぶつけ続けるだけの女子生徒を無視し、七瀬はアリーナのドアのシステムに戦闘データの収集用として持参していたPCのケーブルを繋ぐ。
そして状況の確認をする。
「非常事態レベル4…あの野郎、指令システムごと乗っ取ってやがる。無駄に手の込んだことを…」
「あずさん、まずはアリーナの隔壁を開けないと避難ができないよ?戦うにしても、ISを取りに行くこともできないよ…?」
「いや、方法はある」
「どうするというのだ、東」
七瀬に問う箒。
「流石に向こうさんも普通の通路以外は封鎖しきらんようだぞ、ほれ」
そう言って七瀬は換気口を指差すのだった。
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「織斑先生、この機体は…」
「聞くな。私にもわからん」
アリーナの第一管制室。そこで山田先生と千冬は襲撃してきたISを見ていた。
本来ならばISを使って鎮圧に向かうところだが、アリーナの隔壁が全てロックされてしまったせいで救出にも戦闘にも向かえずにいたのである。
「(これもお前の計画の内だというのか…束)」
こんなことをできる人物は千冬が知る限りでは一人しかいなかった。強力なISを作り、IS学園のアリーナのシステムを乗っとれるほどの天才を。
「(そうだというなら…私にも考えがある)」
考えはあってもその場では何もできないことに千冬は苛立ちを募らせていた。
だが、そんな千冬の前にティーカップが差し出された。
「今は信じましょう?生徒たちのことを。
織斑君たちのことを───」
山田先生から差し出されたティーカップを手に取る千冬。
今できるたったひとつのことを自分の後輩から教えられた千冬はそのティーカップの中身を口に運ぶのだった。
……そのときのコーヒーに塩味があったのは山田先生が塩と砂糖を間違えただけなのか、千冬の心が安定していなかったからなのかは分からない。
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「迎えに来たぞ、我が機体よ」
換気口を伝ってアリーナの整備室にたどり着いた七瀬と箒。
そして七瀬はハンガーデッキに片膝を着いて鎮座している機体に向かってそう語りかけた。
「東、この機体は…?」
「そうか、篠ノ之とオルコットは最近は織斑の特訓に付き合っていて見ていなかったな。
これが、俺の技術集大成第一弾だ」
「これがお前の…形こそ違うが、各部位に零式とエクス・トルーパーの面影を感じる…」
「そうだ。二機の長所を併せ持ちながら、更にその長所を限界まで引き上げた暴れ馬…それがこいつだ。」
七瀬は『技術集大成』である自分の機体のセッティングを始めた。
「まぁ、説明は後回しだ。今は奴を倒しに行く。
篠ノ之は隣のハンガーにある『真打』を使って先行したオルコットと共に封鎖された隔壁の破壊を。
但し重火器は絶対に使うな。周りの生徒を巻き込むからな」
箒に釘を刺しておく七瀬。
救出が目的とはいえ、怪我をさせてしまえば結局それは人を傷つけるだけの『兵器』にしかならないからだ。
「本当なら、私も一夏と戦う側に回りたかった。
…だが、力のない者の救出もせずに自分の我が儘を優先するほど私も愚かではない。
私の代わりに一夏を頼むぞ」
「あぁ。君も武運を祈っている」
それだけ言ってエレベーターで整備室のハンガーデッキごとカタパルトに移動していく七瀬。
箒は一人取り残された整備室で鎮座する真打に触れた。
「頼むぞ、皆を救うために力を貸してくれ」
学園の訓練機として配備された真打。
自分の命を預けるとはいえ、機体に語りかけてしまう辺り、七瀬に毒されているのかもしれない。
そう思いながらも箒は真打を起動させた。
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「布仏、そっちの準備はどうだ?」
『こっちは終わったよ~。無事に第二管制室に到着しました~』
「そうか。君には敵の機体の分析を頼みたい。俺の機体の通信コードを送る。
些細なことでもいい、何か気がついたことがあれば報告してくれ」
『じゃあ早速報告~。あれはISじゃないと思いまーす』
「その根拠は?」
『人間ではあり得ない可動をしているからかな。本来人間の関節がない場所まで可動してるよ~、あの機体』
「つまり無人のIS…純粋なロボットということか!!」
『う…うん?そうだよ~』
その場のノリで返事をした本音。
だが、そんなことも今の七瀬は気がつかない。
「できればなんだがあとでアリーナの監視カメラの記録を削除しておいてもらえないか?
鹵獲がバレると不味いからな…」
さらっととんでもないことを依頼する七瀬。
『了解~。あ、あとしののんとせっしーの方もうまくいってるみたいだよ~。頑張ってアリーナの隔壁を壊してくれてるみたい~』
「そうか、流石だな。いくらISといえど素手でアリーナの隔壁を破壊するのは大変だろうに…」
『せっしーは機体の性能もあるけど、おりむーと戦ってからはずっと格闘戦の練習をしてたからね~。しののんの方は真打を使ってるから大丈夫だと思うんだよ~』
本音は第二管制室から、アリーナに取り残されてた生徒の解放を行っている箒とセシリアに、アリーナのマッピングデータを送りアシストもしながら七瀬と通信をしていた。
そこから更にもうひとつ仕事を追加する。
『カタパルトの準備を始めるよ~?カタパルトのリニアボルテージの上昇を開始ー、あと500、450…』
本音がカタパルトの調整を始めた。
通信の確認をするのも兼ねて、七瀬は本音に通信を入れる。
「布仏、まずはここまで手伝ってくれたこと、本当に感謝している。ありがとう」
『私はできることをやってるだけだからいいんだよ~?』
「君がいなければ今こうして奴を鹵獲に向かえていない。
…いや、今回だけじゃないな。この機体を作れたのだってそうだ」
『…それはあずさんが頑張ったからだよ~。
何も知らない人は皆、私が全部やったっていうけど、私もあずさんがいないとその子を作れてないよ?私は設計ができないからね。
きっと、私たちにとって機体を作るってことは誰か一人でも欠けたら駄目なんだと思うよ~』
「(設計、技術、実践。どれも俺一人でも布仏一人でもてきない、か。確かにそうだ)」
本音の言うことに納得する七瀬。頼りきりでは駄目だと自分に言い聞かせ、全て一人でできるように努力をしてきた七瀬だったが、そんなことをする必要はなかったのだ。
たった一人で機体を完成させることなどできないのだから。
「俺は他者からの意見を気にしすぎていたのかもしれないな」
自分にはない技術を多く持っている本音に劣等感を感じていた自分。だが、劣等感を感じる必要などなかった。
自分にはできないことが、本音にはできないことがそれぞれあって当然なのだから。
『全部一人でやらなくてもいいんだよ~。
あずさんには皆がいるよ。だから──
もっと、私を頼ってね?』
「えっ…?」
一瞬、本音の声のトーンが落ちたことに驚き、そんなおかしな声を上げる七瀬。
『あっ、リニアボルテージの規定値突破を確認したよ~。射出タイミングを渡すね~、あずさん』
会話の途中で本音が七瀬にそう伝えた。
思うことは多々あるが、七瀬は機体をカタパルトに乗せた。
「了解。東 七瀬、『プロト・オーガント』、鹵獲行動に入る!!」
普通の機体よりも一回り大きい体格、そして胸部装甲に取り付けられた『鬼面』が特徴的な機体が飛翔した。
邪悪な欲望を抱いて。
「いただくぜ…!未知のロボット!!」
七瀬は無人機という完全なロボットに向けて飛翔するのだった。
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「くそっ…なんなんだ?コイツ…これでもISなのか…?」
先ほどから機械的な動きを繰り返しながら襲いかかってくる機体を見て一夏はそう言った。
「一夏、離脱して!!攻撃がくるわよ!!」
「駄目だ…ブースターがないと全然出力が…」
鈴音との戦いで、背部のウィングブースターを破壊された白式は空を飛ぶことさえ困難だった。
敵のISから放たれるビームマシンガンを、地面を走りながら避ける一夏。
「ビーム兵器かよ!あんなに小さい砲門なのに出力はセシリアのレーザーライフルより上!?
一体誰がこんなものを…」
敵のISの腕部から放たれるビームは機体内蔵式でありながらも十分すぎるほどの火力を持っており、満身創痍の一夏と鈴音の機体を退けることなど容易かった。
「一夏!!」
「!!」
瞬時に一夏の目の前に移動していた敵のIS。
鈴音に名前を呼ばれるまで全く警戒していなかった一夏に、敵のISの鋼鉄の爪が振り下ろされようとしたときだった。
敵のISの背部に何かが当たり、爆発が起こった。
突然の攻撃によろける敵のIS。
それを期に一夏は離脱し、敵のISと距離を取った。
「なんだ…?」
一夏が空を見上げると、そこには『鬼』がいた。
「ほう、機体自体の性能はよくても、プログラムされているAIの敵の認識数は少ないようだな!えぇ?無人機さんよぉ!!」
上空で飛翔している機体は、その巨体に加え、肩部のスパイクアーマー、そして胸部装甲に装着されている『鬼面』が見るものを恐怖させる威圧感を放っていた。
そして、その機体には一夏がよく知る人物が乗っていた。
「七瀬!?その機体…完成したのか!?」
「おうよ、これが俺の技術集大成第一弾!『プロト・オーガント』だ!!」
『鬼』の名を冠する機体が遂にアリーナの大地に立った。
普通のISよりも重量のあるオーガントが地を踏みしめる度に、同じく地に足を着いていた一夏たちにも振動が伝わる。
「ははっ…七瀬のやつ、とんでもない機体を作りやがった!」
七瀬の機体、『プロト・オーガント』から地面から伝わる振動から一夏は気迫を感じ、そんなことを呟いた。
『……!!』
無人機は腕部のビームマシンガンを七瀬に向けて乱射した。
「説明している最中に攻撃とは無粋だな」
七瀬はオーガントのブースターを吹かし、ビームマシンガンを避ける。
そしてそのまま上空にいた一夏と鈴音と合流した。
「流石はエクス・トルーパーのスラスターだ。
以前は機体重量に対して加速が大きすぎたが重量級のこの機体との相性は抜群のようだな!素晴らしい!」
自分の設計した機体に自画自賛する七瀬。
しかしシステムに誤差があったことに気づいたのか、その場で機体のコンソールを表示し、瞬時に書き換え始めた。
「(やはりISに乗っているときは頭が冴える。・・・いや、普段は理解できない情報まで処理できている辺り、機体自身から俺の頭に直接情報が提供されているんだろうな)」
システムの書き換えを終えた七瀬は一夏と鈴音に向き直った。
「織斑、こいつは俺に譲ってもらう。今のお前らの機体ではやつと対等に渡り合うことは難しいだろうしな」
試合後の白式と甲龍を見て、無人機との戦いを止める七瀬。
しかし、二人は納得いかなかった。
「一人で戦うなんて無茶だ!俺もまだやれる!」
「そうよ!それにここで引いたらアリーナに取り残されてる人はどうなるのよ!?」
大破している機体を動かしながらそう叫ぶ二人に七瀬は量子変換していたあるものを展開し、放り投げた。
「これは…スナイパーライフル?」
「奴がビームを撃つタイミングを狙って気を引いてくれ。
できるだけ被害がでないよう俺も戦うが、もうこのアリーナは崩落寸前だ。つまり、奴の強力なビームの流れ弾をアリーナに当てないように闘わなければならないんだ。
篠ノ之とオルコットが取り残された生徒を逃がしてはいるが、まだ時間が掛かる。
全員が逃げ切れるまでアリーナを守り抜いてくれ」
七瀬の目は真剣だった。
人の命が懸かっている以上、七瀬も生半可な覚悟ではこの役を任せられないと思っていたのだろう。
そしてその七瀬の姿勢に動かされたのか、一夏は返事を返していた。
「・・・分かった。流れ弾は俺たちでなんとかする。
最悪、俺たちの機体を張ってでも守ってみせるさ。だから、行けよ」
「感謝する!」
そう言い残して七瀬は無人機に向かって行った。
「随分無茶なことを依頼してきたわね、アイツ。
けど一夏、射撃はできるの?」
「正直、全然駄目だ。だけど、何もしないなんてのは絶対に嫌だ」
「はぁ…そういう奴よね。アンタは」
鈴音は昔から全く変わらない一夏の性格に呆れながらも、一夏と同じく七瀬に渡されたライフルを構えた。
「射撃のときは脇を絞めなさい。
あと機体の射撃補佐に誤差があるわ。修正しておいた方がいいわよ」
「なんで俺の射撃のこと知ってるんだ…?」
鈴音の自分の射撃スタイルへの適格な指摘にそんな疑問を持つ一夏。
「幼馴染みの勘ってことにしておきなさい!!」
本当は一夏の射撃練習を隠れて見ていた鈴音だったがそんなことを語れるような状況ではなかった。
鈴音がライフルを構えると一夏もそれに合わせてライフルを構えた。
その一方で、二人に流れ弾を任せた七瀬は無人機に向かって走り出していた。
「では、お手並みを見せてもらおう!!」
七瀬は無人機の上空からメイスの先端を向ける。そしてその先にある穴から何かが発射され、無人機に当たり爆発した。
メイスの先端の穴はグレネードランチャーになっていたのである。
「ランチャーメイス…実に使いやすい!流石は国連のIS委員会が設計した武装だ!真打や打鉄零式にピッタリの武器だな」
複合武器のランチャーメイスはIS委員会技術班が『真打』用として作った装備であり、メイスの内部に小型のグレネードランチャーが搭載された多目的装備である。
オーガントのランチャーメイスは七瀬の希望によって機体の背丈以上の大きさまでに改造されており、それにともない、内部のグレネードランチャーも撃てる弾数が増えているといった代物だった。
『…!!』
グレネードを遠距離で撃たれ続けるのを避けるべく、無人機は七瀬に突進してくる。
そして無人機は腕部の鋼鉄製の鉤爪を七瀬に向けた。
「格闘型のオーガントに格闘を挑むとは!」
七瀬は敵の鉤爪の連続攻撃をメイスで防ぐ。
「格闘戦ってのはなぁ!武器以外も使うんだよ!!」
無人機の攻撃の隙を見て、七瀬は肩部のスパイクショルダーアーマーによる体当たりを繰り出した。
『…!?』
巨体な機体であるオーガントの体当たりは無人機をいとも簡単に吹き飛ばし、スパイクショルダーアーマーによる装甲への損傷も与えた。
「逝っちまいなぁ!!」
七瀬は吹き飛ばされ、よろけた無人機にランチャーメイスを振り下ろす。
『……!!』
「(ほう、オーガントのメイスを受け止めるか。普通の機体なら抑えることはできんはずだがな)」
無人機は吹き飛ばされながらも、瞬時にブースターで姿勢を元に戻し、七瀬のメイスを受け止める。
全てのISの中でもトップクラスのパワーを持つオーガントと互角のパワーを持つ無人機の腕部はやはり脅威だった。
『……!!』
無人機は七瀬のメイスを押さえたままで、バックパックから何かを展開した。
先ほどまではボックス型に閉じていたバックパックから、機体に着いているものと大差ない大きさと太さを持つ腕が展開されていたのだ。
「腕が背中から!?」
無人機の背部に展開されたサブアームは目の前の七瀬に照準を合わせていた。
そしてその腕からビームマシンガンが放たれる。
アリーナを崩落させるわけにいかない七瀬はそのマシンガンの雨を機体を張って受け止めるしかなかった。
「ぐわぁぁぁ!!」
メイスを受け止められた状態でビームマシンガンを喰らってしまう七瀬。
だが、それで終わるほど七瀬の技術の集大成は甘くない。
「サブアーム…俺が考えていた装備を先に使いやがって…!!」
ビームマシンガンをまともに喰らい、よろける七瀬。
仕返しとばかりに無人機に向かって持っていたメイスを槍投げのように投擲した。
七瀬は無人機が投擲されたメイスを腕で防いだ一瞬の間に無人機の懐に移動していた。エクス・トルーパーのスラスターとブースターを搭載している本機だからこそできる芸当である。
「『ドリル・ブレイカー』展開」
七瀬は量子変換されていた武器腕『ドリル・ブレイカー』を展開する。
そのドリルは両方の腕のマニュピレーターを覆い隠すようにして展開されるため、それ以外の動作は制限されてしまうというデメリットがある代わりに、相手のシールドエネルギーを一転集中で大幅に削ることができるという代物であった。
「ドリルを使うからには、熱く戦わなければな!!」
『……!?』
七瀬は両腕部に展開されたドリルで無人機を貫こうとする。
無人機はそれを許すまいと七瀬の攻撃を受け止め続ける。
何度もぶつかり合うオーガントのドリルと無人機のマニュピレーター。だが、そのぶつかり合いにも終止符が打たれる。
「あえて言おう!俺のドリルは、夢への障害となるものを貫くドリルだと!!」
『……!?』
ぶつかり合いを制したのは七瀬だった。無人機の片腕を貫き、爆散させた。
「フハハハ、怖かろう!!」
『…!!』
無人機はビームマシンガンを連射して七瀬から距離を取り、バックパックの腕を外し、壊された腕と取り替えることで応急処置を施した。
「弾幕薄いぞ!AIの癖に何やってんの!」
無人機が張った弾幕を避けながら、ときに当たりながらも距離を詰めていく七瀬。
そんな七瀬を見て無人機も距離を取ることを諦めたのか、急旋回してそのマニュピレーターで七瀬を迎え撃つ。
「その首いただくぞ!!未知のロボット!!」
七瀬が腕部のドリルを無人機の首元に向ける。
しかし無人機は七瀬の腕を掴み、ドリルによる攻撃を避ける。
更に七瀬の腕を掴んだまま、バックパックのサブアームがビームマシンガンを発射する体制に入る。
「伊達に足が付いてる訳ではない!!」
七瀬のオーガントの膝部の装甲が展開し、そこからもドリルが現れる。
七瀬は無人機に捕まれた腕を軸にして膝蹴りを入れる。
その膝部に展開されたドリルによって無人機の胸部装甲に穴が開いた。
『!!』
だが無人機はすぐに体勢を立て直し、七瀬にその巨大な腕のマニュピレーターを振り下ろす。
更に、殴りつける寸前にマニュピレーターが高速回転、いわゆるスクリューパンチとなってオーガントの装甲を抉った。
「スクリューパンチ…そっちもドリルのような武装を使えるのか!ならばそれは勝負を望むと見た!!」
七瀬のドリルと無人機のスクリューパンチがお互いの装甲を削り合いながら壊れていく。
「こんなのがIS同士の戦いだっていうの…?」
シールドエネルギーは既に底をつきかけても尚、ただお互いを壊し合う二機。
それはもはやISの試合ではなく、ただの殺し合いといっても過言ではなかった。
そしてそんな二機を見ていた鈴音はそう呟いた。
『!!』
オーガントとの装甲の削り合いで大破した無人機はその場から立ち退こうとアリーナに向けてサブアームが展開された。
ビームマシンガンを発射する構えである。
「行ったぞ!織斑!!」
「分かってる!やるぞ、鈴!」
「あぁ、もう!どうなってもしらないわよ!!」
七瀬から受け取ったライフルで無人機を狙撃する一夏と鈴音。
だが、無人機はそれをお構い無しとでも言わんばかりにアリーナへの攻撃を辞めなかった。無人機もこの場から撤退することに必死なのだろう。
「鈴!体張るぞ!俺たちの機体を盾にしてアリーナを守る!!」
「はぁ!?アンタバカぁ!?
あたしらのシールドエネルギーだってもう少ないのよ!?」
「アイツだって体張って皆を守ってるんだ!
俺だけ自分の身を守ってるなんて、筋が通らない!」
「アイツ本当にそういう理由で戦ってるの!?ねぇ!?」
先ほどまで笑いながら戦っていた七瀬のイメージからは想像もつかない戦う理由を語られ、信じられずにいる鈴音。
「逃げたきゃ逃げてもいいぜ?」
「(カッチーン)」
一夏のその言葉に過剰に反応する鈴音。
そしてそんな鈴音の様子を見た一夏は、作戦成功と言わんばかりに口元を吊り上げた。
「誰が逃げるですってぇ!?そんな選択肢、最初っからあたしにはないわよ!!」
そう言ってビームマシンガンの雨の中に突っ込んでいく鈴音。
一夏との戦いで武器が壊された今、体を壁にする他なかった。
一夏も同じだ。鈴音との戦いで雪片は戦えるだけのエネルギーを無くしてしまったために使えずにいた。
「武器なんかなくても…!!」
鈴音は向かってくるビームマシンガンを腕部のマニュピレーターで殴り付ける。
だが機体のシールドエネルギーが削られていくばかりであるこちらに対し、無人機は半壊しているにも関わらず絶えずビームを撃ち続けていた。
「くそっ…やっぱり一発が重い…!!」
ビームマシンガンを喰らい、装甲が破壊される白式。
だが、それでも一夏は退こうとしなかった。
「まだまだぁ!あたしのこの手が真っ赤に燃える!!」
隣で同じく退かない幼馴染みがいるからである。
だがそれは鈴音も同じであった。
二人はこんな状況であるというのに意地の張り合いをしていたのである。
『!!』
ビームマシンガンを発射し終え、飛び去ろうとする無人機。
だがそれを許さない者がいた。
「逃げ仰せると思うか!!
行けよ!『ラケーテン・フィンガー』!!」
七瀬はドリルブレイカーを量子化し、通常のマニュピレーターに戻した。
そしてマニュピレーターを無人機に向ける。
すると、七瀬のオーガントの腕部のフレームのみが継ぎ目から分離し、有線式のマニュピレーターが無人機に向かって飛んでいく。
七瀬いわく、『有線式のロケットパンチ』である。
「ヒートォォ…エンドォ!!」
七瀬がそう叫ぶとオーガントから分離したマニュピレーターは無人機の足を掴んだ。
七瀬は有線式で繋がっているマニュピレーターを引き戻し、無人機を地面に叩きつける。
そして今度は無人機を捕らえたマニピュレーターの方へと機体を引き寄せ、無人機へ接近した。
「ようやく捕らえたぞ」
七瀬は地面に叩きつけた無人機に馬乗りの態勢になる。
そして無人機が動けない状態に持ち込む。
『!!』
「サブアームはもう見せていただいた!」
無人機の背後で狙いを定めていたサブアームを七瀬はマニュピレーターで潰した。
「今度はこちらの番だ」
七瀬がそう言うと、オーガントの鬼面の形をした胸部装甲の口が開く。
そしてその開いた口から砲台が出現した。
「見せてやろう。これがオーガントのフレームに搭載された特殊武装!!」
鬼面の装甲の口から現れた砲台が馬乗りになっている無人機に照準を合わせる。
七瀬は残っているエネルギーを全てその一撃に込めた。
「焼き尽くせ、『インフェルノ・アンガー』!!」
『!?』
特殊武装『インフェルノ・アンガー』。
ISコアの生み出すエネルギーを一点に集中させることで既存の装備よりも高い破壊力を持たせた特殊爆炎砲である。
超至近距離で放たれた火炎放射。
それは無人機はおろか、放ったオーガントの装甲までも溶解させ、この戦いに終止符を打った。
「…終わったのか?」
一夏がそう呟いた。
「馬鹿!なんでそう死亡フラグを立てるのよ!」
一夏の言葉に対し、そう叫ぶ鈴音。
「いや、完全に機能は停止したようだ。
今のでフレームまで溶かしちまったからな。もう動けまい」
二人に七瀬はそう言った。
「だが、まだ終わりではないぞ」
「「えっ…?」」
二人は揃ってそんな声をあげた。
「話が違うじゃない!!倒したんじゃないの!?」
「あぁ、倒しはしたさ。だがな──
まだ鹵獲行動は終わっていない!!」
「はぁ!?」
七瀬の言葉に鈴音は訳がわからずにいた。
「織斑、こいつの腕を片方斬れ!!
それが今回の報酬だ!」
「えっ…!?いやでも零落白夜はエネルギーがないから…」
「知るか!!泣き言なんか聞きたくないな、なんとかしろ!!」
「無茶言うなよ!!」
「教師共が機体の回収に来る前にこいつのビームマシンガン付きの腕だけでもいただくんだ!布仏に監視カメラを止めさせてはいるがあまり時間がない!急げ!」
「あぁ、もう!わかったよ!!」
一夏は白式のマニュピレーターを無人機に突き刺し、腕の部分だけを抉りだした。機械の壊れる音がアリーナに響き渡る。
「うわ…なんかグロい……」
「ユニコーンガ◯ダムのビスト神拳みたいだな」
それを見ていた鈴音と七瀬はそれぞれ違った反応を見せる。
そんな中、七瀬のもとに通信が入った。
『あずさん!しののんとせっしーも救出終わったって~。私もここから逃げるよ~』
「布仏か。こっちも終わったから撤退する。
あとで合流しよう。今日は労いの意味も込めて祝杯だ!」
『おかしはある~?』
「勿論。ケーキに紅茶も忘れずに用意しておこう」
『すぐにいくよ~!』
本音は上機嫌で通信を切った。
「よし、とっととずらかるぞ!先生方から尋問を受けたくなければな!」
「ま、待てよ七瀬ー!この気持ち悪い腕どうすれば──」
「(本当、アイツの頭の中ってどうなってるのよ)」
普段や戦いのときとは明らかに違う、上機嫌な七瀬を見て鈴音はそう思うのだった。
こうして一夏の周りに常識人が一名増えたのである。
次回がフランス転校生ですかね。今回でやっと難所を乗りきりましたよ。
そして本音ちゃんにヤンデレみたいな発言をさせたことを深く反省しております。
ちなみにオーガントはイフリートにグレンラガンとマジンガーの要素を足して改造したプラモがモデルだったりします(笑い)。
今回もありがとうございました!
ロボット愛を込めた熱い感想、高評価、是非是非お待ちしております!!