ゼロから始める『ぼくのさいきょうのIS』作り   作:星震

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本来は『革命機』の話を投稿する前に投稿するはずでした。
間に合わずに一度ボツになったものを編集しまくって今頃に投稿です。

今回はISの設定についてです。設定については全てオリジナルなのでこれから発売するであろうIS最終巻で設定が発表されても変えるつもりはありません。

今回はロボット愛マシマシですよ。

新たに高評価をくださった
RAIVOさん、アサルトさん、永樹さん、スタンドさん、お節介焼きの石油王さん、sou1588さん、黒羽 ファントムさん、機巧さん、永遠さん、ライデンジョニーさん、龍竜さん、ほたてさん、久遠秋人さん、沙香月 雪音さん、8毒海月さん、琥雨さん、いざやさん、Kazuma@SBさん
ありがとうございました!


授業1:ISの基礎について知ろう

 IS学園。

 そこはIS運用協定に基づいてIS操縦者の育成を目的として作られた国家機関である。IS操縦者の育成の他にも、技術者の育成に力を入れており、一大事業であるISに関係したキャリアに幅広く対応している。

 

 そんな学園の科のひとつである『整備科』。そこではISの基礎設計についての授業が行われていた。

 

「今日は前回の続きから。ISの基本構造についてです」

 

 皺の一つさえないスーツを着こなしている三角メガネの教員が授業の監修役として隣で見ている中で、山田先生は電子黒板に文字を書いていく。

 休み時間は騒いでいた生徒たちも各々教科書を開き、授業の態勢に入った。

 

「ISを構成する最も重要となる要素はいくつかに別れています。…では更識さん、その要素を覚えていますか?」

 

「はい」

 

 山田先生が指名したのはこの学園の生徒会長、更識楯無。

 彼女もまた、この『IS基礎開発科』の授業を受講している生徒の一人である。

 

「最も重要な要素は4つです。

 骨格である『インナーフレーム』。

 人間でいう血管となる『エナジーサーキット』。

 鎧たる『アウタースキン』。

 そして頭脳と心臓の役割を兼ねた『センターコア』の4つです」

 

「その通りです。流石は更識さんですね」

 

 山田先生は感心しながら電子黒板に文字を書いていく。一通り書き終えると生徒に説明を再開した。

 

「今回の授業ではそれぞれの要素がどんな役割を果たすか、それを説明していきます」

 

 山田先生はISの解体図の画像を電子黒板に表示した。

 

「まずは骨格である『インナーフレーム』から説明していきましょう。そもそもISにおいての骨格というのはコックピットユニットを含んだ骨組みの金属パーツのことを指します。

 ですが例外として、機体の重量やパワーバランスを支えるのに使用される『補助筋肉』も金属パーツではありませんが骨格の一部に分類できます。そして業界ではこれらのパーツを総じて『インナーフレーム』と呼んでいます」

 

 山田先生はISの解体図の、インナーフレームにあたる部分をズームして黒板に表示した。

 

「ISの『インナーフレーム』の基本的な役割は機体の形状を保つ他に、シールドエネルギーを貯蔵する役割があります。

 インナーフレームにはISコアが生成したエネルギーの一定量を貯蔵していくコンデンサが内蔵されており、イグニッションブーストや単一使用能力を使うときにこれが消費されていきます。

 このような動作を行った後に、しばらくシールドエネルギーの使用が制限されてしまうのはインナーフレームに内蔵されているコンデンサ内のエネルギーが減少しているためです」

 

 生徒たちはインナーフレームのパーツの断面図を目を凝らして見てみる。

 すると、インナーフレームの所々に円柱型をした部品が組み込まれているのに気がついた。

 

「インナーフレームに所々組み込まれている円柱型をしたパーツがコンデンサです。

 このコンデンサはISコアの生み出す膨大なエネルギーに耐えられるよう、篠ノ之束博士が一から設計を行い、その技術は世界に公表されています。

 篠ノ之博士が設計した円柱型のコンデンサは、搭載されるISによって様々な形へと変化しており、現在各国で開発が進められている第三世代型の機体ではその全てが一から設計されたオリジナルのコンデンサが使用されています」

 

「(コアの技術は公開していないのに入れ物であるコンデンサの技術だけは公開するなんて。篠ノ之博士は何を考えているのかしらね...)」

 

 山田先生の説明を聞いて楯無はそう思うのだった。

 授業に関して思うことはないのかと思うかもしれないが、自分のISを一から組み立てた彼女からしてみればこの程度の知識は頭の中にインプットされているのだ。

 

「次にエナジーサーキットについてです。こちらも先ほどと同様にその名の通りになりますが、主な役割はコアから生成されるエネルギーの伝達です。

 単純に聞こえるかもしれませんが、本機関の調整はISで最も困難となります。

 本機関の調整次第ではエネルギーの伝達率を大幅に向上させることが可能であり、操縦時のラグや出力の割合を最適な状態にすることができます。ですが、それは逆の場合にもいえることであり、調整によっては第三世代の機体であっても第二世代の機体に劣ることがあります」

 

「(私の機体の場合はナノマシンによってエネルギーが伝達されるから調整は必要ないんだけどね。この調整は私も苦手だからよかったわ)」

 

 楯無の機体『ミステリアス・レディ』はエナジーサーキットを搭載しておらず、機体のヴェール状の装甲を生成するナノマシンプラントがその役割を果たす。

 コアから供給されるエネルギーをナノマシンプラントが生成した水のナノマシンとともに機体へと伝達する。この仕組みは『ミステリアス・レディ』のプロトタイプである『グストーイ・トゥマン・モスクヴェ』には搭載されておらず、エナジーサーキットの調整が苦手な楯無が独自に開発した技術であった。

 この機体には楯無が独自に作り出した技術がほかにも詰め込まれているが、それについてはまたの機会に語るとしよう。

 

「次は『アウタースキン』です。これは装甲のことですね。

 説明することがあるとすれば、アウタースキンは『世代のフレームに対応したものしか装着させることができない』ということくらいです。

 『アウタースキン』はシールドエネルギーが破られたときに備え、防御力を上げるために装着されるものです。

 ですが高機動が主流になった第三世代の機体の多くは機体重量を軽くするために減らされています。これは第三世代機が展開するシールドエネルギーの防御力に信頼を置き、装甲による防御力を不必要としためです。

 第二世代機もシールドエネルギーによってほとんどの攻撃を防ぐことは可能ですが、やはり第三世代の防御力には劣ります。

 第二世代の機体で第三世代を越える防御力を持つシールドエネルギーを展開するには高度な『エナジーサーキット』のエネルギー伝達率調整が必要で機体の性能によっては限界があります」

 

「(第二世代機はシールドエネルギーが破られたときのために装甲を厚くしてある、第三世代機は展開するシールドエネルギーが頑丈だから装甲を限界まで薄くして機動力を上げているってことよね。第三世代機は重量を軽くして機動力を上げることもできるんだからこっちの方が得よね)」

 

 例として上げられるのはセシリアの『ブルーティアーズ』。

 ブルーティアーズは最低限必要なフレームと装甲で機体を構成しており、機体重量は全てのISにおいても軽い部類に入る。

   

「最後は『センターコア』です。いわゆるISコアのことですね。知っての通り、こちらの設計は完全なブラックボックスとなっており、篠ノ之博士以外は作り出すことはできません。

 その役割はISの動力であるエネルギーの生成、操縦者の身体状況の管理、そしてISの通信機能である『コアネットワーク』の構築です。他にも役割を多く持ち、まさに頭脳と心臓の両方の役目を兼ね備えた部位ともいえます」

 

 無限にエネルギーを生成すると言われるISコア。

 その力をIS以外のエネルギーに使えないのか、そう思った者の考えを絶つために山田先生は説明を続けた。

 

「ISコアが生み出すエネルギーはどういう訳か、篠ノ之博士が設計したISコンデンサにしか貯蔵することができません。

 更にISコアの生み出したエネルギーは、他のエネルギーに変換しようとすると再び大気へと還元されてしまいます。

 そのためISコアが生み出すエネルギーは『電気エネルギー』や『熱エネルギー』に続く『新たなエネルギー』として認識されています。

 これが無限機関であるISコアが他のことに使用されない理由です」

 

 山田先生が説明を終えると黒板に表示されていた画像が消える。

 そして山田先生の隣で授業を監修していた三角メガネの教員が教壇に上がった。

 

「山田先生、ありがとうございました。聞いてのとおり、ISの整備というのはこれら全てを把握し、我々女性の未来を切り開いていくという信念がなければいけません」

 

「(まーた教頭先生の話が始まったわ…この人の話って長いのよね…)」

 

 表情こそ変えないが、心底そう思う楯無。

 憂鬱そうにする楯無だったが、それを変える変化が訪れる。

 

「ですが、皆さんの中にはISを遊びか何かと勘違いしている生徒もいるようです」

 

 普段よりも低いトーンの声で語られた教頭の言葉に教室の空気が凍る。

 

「我々女性の未来を切り開くISを基礎すら知らない状態で悲惨な姿にし、あまつさえ大破させるという軽率な行動をとり、神聖なISを汚すというこの大罪。

 どう償うつもりなんでしょう…?ねぇ───

 

 

 ───東 七瀬君?」

 

 教頭の一言で教室の視線が一人の人間に向けられる。

 それはこの学園で二人しかいない男性操縦者の片割れであり、教頭の言う『大罪人』であった。

 

「前に出なさい」

 

 教頭に促され、七瀬はため息をつきながら前に出た。

 

「まず、一年の貴方がなぜ二年の授業を受けているのですか?」

 

「おや、山田先生から聞いていませんか?私共男性生徒二名は初の男性テスト生として全ての授業に出席しなければならないのですよ」

 

「一年の授業はどうしたんですか?一年の基礎が備わっていなければこの授業は受けられませんよ」

 

「入学前の春休みに全て終わらせましたよ。自分も織斑も。いやはや、あれは地獄のようでしたよ」

 

 七瀬の態度に憤りを感じる教頭。

 そんな教頭を嘲笑うかのように七瀬は言葉を紡ぐ。

 

「あぁ、そういえば…この間は織斑が随分と世話になったようで。

 なんでも『私たち男性は女性より劣っています』というセリフを聞いてみたいとか言ってくれたみたいですね。しかもそれを教訓とせよと強制したとか。

 是非とも自分にもその教訓とやらご教授願いたいものですね」

 

 七瀬の言葉に教室がざわつく。教頭が一夏に言ったということに対するものか、七瀬が教頭に口答えしたことに対するものかはその場にいたものにしか分からない。

 

「えぇ、言わせていただきました。神聖なISをその薄汚れた手で改造し、あのような穢れた姿にした者には再教育が必要だと思いましてね。

 貴方も同じですよ。女から手柄を奪うような輩をこの学園に置いておく理由が私には解りません」

 

「(こいつも布仏から手柄を奪ったと思ってるのか。俺は何回説明すればいいのか…)」

 

 七瀬は呆れながら教頭を睨み付ける。

 

「それで、アンタは何が言いたい?」

 

「では単刀直入に言います。今すぐこの学園から出ていきなさい」

 

「それを決める権利がアンタにあるとでも?」

 

「貴方をよく思っていない教師は私だけではないんですよ。私の一存では無理でも複数の教師の申請なら通るでしょう。

 国は人権を尊重するために貴方たちを学園に入れていますが、実際は貴方方を解剖して調査したい気持ちの方が大きい筈です。IS学園にいるからこそ貴方たちの安全は保証されていますが暴力沙汰を起こして退学、というシナリオにでもすれば国が貴方たちを保護する理由はなくなる。あとは国が貴方たちを処分するでしょう」

 

「たかが俺一人を処分するのにそこまで手を込ませるかよ。呆れたものだな」

 

 七瀬は目の前にいる教頭に礼儀を弁える必要はないと判断したのか、口調を変貌させた。

 

「大体、ISを扱うべきなのは女性だけだから俺たちを男性操縦者を消したいなどと考えている時点でアンタの言う信念はチープすぎる。

 散々馬鹿にしている男性がISを扱えるようになるのがそんなに怖いか?気に入らないことがあるならばその神聖な力とやらを駆使して立ち向かえばいいものを」

 

 七瀬は嘲笑いながら教頭に告げる。

 

「アンタは結局男って生き物が怖いんだろう?ISを持った男がISを扱えることで威張れていた自分に反抗するのではないかとな。

 アンタにとってのISは自分の高い地位を現状維持するためだけの踏み台でしかないのだろうな。なんと嘆かわしい…」

 

「・・・貴方のような世間知らずな子供に知ったような口を訊かれるなんて、私も嘗められたものです」

 

「だが、少なくとも俺は違う。アンタとは違うISの在り方を選ぼう」

 

 この教室の中で唯一、七瀬にとってのISの在り方を知っている山田先生は、彼がその先に言おうとしていることをわかっていた。

 

「(東君にとってのISの在り方…それは──)」

 

「ロマン溢れるロボット、そして俺の夢だ。俺はいついかなる時もこの在り方を変えるつもりはない。

 ・・・例えアンタにこの学園を追い出されようともな」

 

 他人から聞けば幼稚染みた発想でしかないその言葉を聞き、あるものは七瀬に冷ややかな視線を送り、あるものは男という生き物に対して落胆した。

 

「その夢見がちな言葉もいつまで続くか楽しみですね。

 ……いえ、ここまで言われた以上は私も黙っていられません」

 

「ほう?」

 

 七瀬は口元を不気味に吊り上げて教頭の言葉を待つ。

 教頭が自分の望む言葉を出してくれることに確信を持ちながら。

 

「貴方のその考え、私が粛正します。決闘です」

 

 来た。そう言わんばかりに七瀬が目を輝かせる。

 ロボット同士による決闘。それが七瀬の望んだ結末だったのだ。

 

「私が勝ったら貴方は自主退学なさい」

 

「いいだろう。それで、いつやる?今か?明日か?明後日か?できるだけ早くしてほしいものだ、俺はロボットに対する欲は我慢できない性分でね」

 

 七瀬の先ほどとは違う興奮した態度に調子を狂わされる教頭。七瀬の輝いた目を見て思わず舌打ちをした。

 

「貴方に期限を与えます。決闘は二ヶ月後。クラスリーグマッチの後です」

 

「期限、とは?」

 

「貴方が降参する期限です。期限内に降参すればこの話はなかったことに──」

 

「そんなものはいらん!だが、日にちは決まった。

 あとは機体だな。さて何を使うか、今から楽しみで仕方がない…!!」

 

 教頭の話を遮って答えを出す七瀬。

 話を途中で切られた教頭を見て吹き出す山田先生。教頭はそんな山田先生を睨み付けた。

 

 このとき、教室にいた生徒のほとんどが七瀬に反感を抱いただろう。

 だが、一人だけ彼に興味を持った者がいた。

 

「(学園の教頭に決闘を挑むなんて、正気の沙汰じゃないわね。けど───)」

 

 彼女は持っていた扇子を開く。そこには『興味』の文字が書いてあった。

 

「(面白そうだから、いっか♪)」

 

 これが更織楯無という少女が東七瀬に目をつけた日の出来事である。

 この出逢いが後に彼女にとって、よい出逢いとなるか、悪い出逢いとなるかはこれから次第となるのだろう。




まだ無人機戦の話が納得いく内容が書けずに投稿できずにいます。
執筆の気分転換にガンダムナラティブを見に行ってきました。
賛否両論ある作品ですが私はとてもよかったと思います。
これで元気も出たし、頑張って無人機戦の話も執筆して参ります!



今回もありがとうございました!!
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