私に表現力と語彙力を分けてくれ(悟空並感)
無茶無謀はやって後悔するタイプ
解せぬ(吐血)
桜の季節がまたやってきたようだ。
早朝に目を覚まし、日課の散歩に出掛けた矢先に膨らんだ桜の蕾が綻んだのを目にしたのだが。中々、時が進むのは早いものだ。
昨年に比べ、今年は開花が早いという。あと1週間程経てばこの公園の桜も満開になりそうな事であるし、今度また、花見に訪れるのも悪くない。
「……──────、」
どうしてだろうな、立ち止まって見上げた桜が、朋友と見上げたそれと重なって見えた。
あの桜はこれよりもずっと大きく枝を伸ばしていた筈なのに、何故重なるように見えたのだろう。
近くにあったベンチに座り、ぼんやりと嘗てを思い出す。
此処が、日ノ本だからだろうか。最近になって頻繁に彼らとの思い出が目に浮かぶ。
暫く瞑目して、ふと目を開いた。
「……、ああそうか、成程な、」
彼らと別れて、丁度100年が経とうとしていたからか。
火の手が全てを燃やしてしまった、あの中で。
折れてしまった刀達の、残骸の中で。
火が燃え移って炭と化した桜に悲しみながら。
思い出に浸り、2人見上げたあの月夜。
あれから、100年か。
「……碌に葬送もしてやれなかったか」
連れていく訳には……いかなかったからな。
彼らはあの場で、思い出の場所で、埋められる事を望むだろうから。寂しくないよう、同じ場所に埋葬したきりだ。
事あるごとに思い返してはいたが──────
……きっと俺は、改めて思い知る事を恐れていたのやもしれん。
彼らの死を、実感したくなかったのやもしれん。
……楽しかったあの時だけを胸に、生きていきたかったのだ。
「……今からでも、遅くはないだろうか」
優しい春風が返事をするように、柔らかく俺の髪を揺らした。
「……明日、また……」
見回りついでにそこに立ち寄った彼は、早朝故に静まり返った公園に足を踏み入れる。未だ満開とは言えない為、花見には些か早いか。
静寂は好ましい。木の葉の落ちる音でも目を覚ます彼にしてみれば、静けさというのは唯一安らげるもの。
その性能のいい聴覚が何かが動く音を捉えるのは、自明の理だったのだろう。
彼は視界の端に流れていく、幾つもの桜の花弁を見た。
「(桜は開花したばかりなのに)」
広場より少し離れた、芝生の茂る小さな場所。
桜に囲まれた、所謂穴場だ。彼は毎年この公園を訪れる為、確かに覚えがあったのだ。
「─────」
薄手の黒い狩衣のような服を纏った人影は、桜吹雪の中、何かを懇願するようにも見えた。
扇は何を表すか。
風か、水か、篝火か。
彼を中心に何処からか桜が舞い込んで、風に流され遠のいて。
それを惜しむように、悲しみながらも送り出す。
それは神楽。─────神に捧げる舞だ。
包み込むような慈愛と幸福。
温かな記憶。
それらを思い返すように、瞳を閉じた男は微笑する。
「……」
扇に顔を伏せた男は、次には厳かに目を開いて、流麗に腰の刀を抜いた。滴るように美しい刀を手に、今度は仮想敵に斬り掛かる剣舞となる。
舞うように剣を操るというのは、まさに。
扇は優美に、敵の猛攻を沿うように受け流し。
刀は三日月を描きながら、それらを弾き、斬り伏せる。
美しさの中の悍ましさ。
血を捧げ肉を裂き、骨を砕く。
報復と、憤怒と、途方も無い悲哀。
空を見上げて刀を翳し。
血潮に塗れながら、胸に思い出を抱いて。
止まらぬ歩み、血の道を敷きながら。
刀のように真っ直ぐとした
膝をついて、刀を捧ぐ。
「……嘗ての主よ、眠る友よ。どうか安らかに」
その顔はあまりにも切なげで、これ以上無いと言う程に安堵していた。
巻き起こる桃色の嵐は吹き散って、世界に色彩と音が戻る。
ゆっくりと刃を鞘に収め、漸く見物人がいた事に気付く。
「……あなや。見ておったか、少年」
少々照れ臭い思いをしながら柔らかく微笑む。
最近やけに縁があるな、雲雀恭弥よ。
桜の木に手を付き、じっとこちらを見る彼の目には、何やら疑心が見える。
「……、プルトーネ……?」
「ぷるとーね?冥王星がどうしたのだ?」
おっと何故バレた?
「似た声に覚えがあってね……。身内に兄弟か何か、いる?」
「すまんな、天涯孤独の身だ」
ああ、声か。うっかりしていた。
然して、変声機なるものはあまり好きではない。というより朋友の声を変えよう等とは、元より考えになかった。
「まあ、この世に似た声等多く居よう。俺もお主と似た声の者を知っておるしな」
こんこん。けして、図体が小ではありません。
偶に毛繕いさせてくれたものよな、っと。
納得したのかしていないのか、じーっと俺を見上げる雲雀恭弥。
「剣術でもしてるの」
「ん。まあな、我流だが……道場で剣道を教えている」
「……今の足運びは」
「まあ、剣士の間では珍しいものではあるまい」
疑われているなぁ。本人だからなぁ。
何か思案している様子の彼に、雲行きが悪くなっているのを感じて、思わず苦笑してしまった。
「考えている所すまぬが、帰って良いか?」
「駄目」
駄目か。
何やら目の前で携帯端末を使って何処かに連絡するらしい。
何か書くもの?役所で戸籍?履歴書?
「あー、少年?」
「雲雀恭弥」
「ああ、これは失礼した。俺は八朔政宗という」
「どうでもいい。君はアレの代わりだ」
代替か。
「アレを咬み殺したら君の役目は終わり」
「役目?」
「後で話すよ。今は判断しかねる」
……うむ。
それはかとなく予感がするのだが。所謂人生の分かれ道のような意味で。
「では少し座らんか。少しばかり早いが花見でもしよう」
「なんで僕も座らないといけないの」
「落ち着かんからだ、俺が」
「……」
よっこらせ、と。
近くの桜の根元に座り、まだ蕾の多い桜を見上げる。団子と茶が欲しくなるな。満開になったら持ってくるか。
霊力で作られた花弁が、目に見えぬ程ゆっくりと空気に解けていく様子は、いつ見ても不思議なものだな。刀剣男士の纏う霊力の関係上、感情が昂ったら桜が舞うのだとか。
雲雀"殿"は座る事はしなかったが、呆れた様相をしながらも隣の木に身体を預け、同じように桜を見上げた。
静かで穏やかな20分。
うつらうつらしていた俺は唐突なる打撃音に顔を上げる。
「む?」
「……ああ、目が覚めたの」
雲雀殿の足元には学ランとリーゼントの少年が。雲雀殿のトンファーには血糊が滴っている。
視線に気付いたのか、彼はたおやかに笑いながらトンファーを払った。
「時間掛かり過ぎだよ、君」
「も、申し訳、ありません……」
足元に来た紙を拾い上げてみれば、1枚目は白紙の履歴書、2枚目は"八朔政宗"の戸籍だった。どうやら役所も雲雀殿の手の内らしい。ははは、真っ黒だな。
雲雀殿は戸籍の方を俺の手から取るとボールペンを渡す。
「書いて」
「……雲雀殿?」
「咬み殺されたいの?2度は言わないよ」
流石に困惑したように眉根を下げると、雲雀殿はやはりトンファーをチラつかせる。
相手が相手だしなぁ。この並盛で生活出来なくなりそうだし、場合によって師範らにも迷惑が掛かるか。
まあ、従おう。
用意された戸籍と八朔政宗の設定は、事前に記憶してある。
潜入任務の基礎の基礎だな。どれだけ違和感無く演じられるかは個人差によるが。
……うむ、こんな所か。
書き終えたのがわかったのか、雲雀殿は履歴書を俺の手から取って目を走らせる。
「……、この2年間は何してたの」
「海外を転々としていた。父母もそのような気質でな。永住先で亡くなったのを機に、彼らの見ていた景色を見たくなったのだ」
大学の卒業と今の並盛道場の剣道アドバイザーの間の空白に指を沿わせる雲雀殿にそう答える。
「怪しい所は、まあ、ないね。……君」
「何だ?」
「この1年で教職免許、取って」
「……、」
雲雀殿……?
思考に空白が混じる中、雲雀殿は俺を見下ろして続ける。
「丁度人手が欲しかったんだ。どいつもこいつもビクビクして話にならない」
種族が違うのかな、と大真面目に言う雲雀殿。
「すまぬ、話が掴めんのだ。……俺は教師になるのか?」
「並盛中のね。科目は理科、数学、美術の何れか」
「卒業したのは3年前の上、経済学で教職課程はないのだが……」
「死ぬ気で勉強して」
それか死んで。
手にしたトンファーの仕込みを起こす。
「君に拒否権は無いよ、銃刀法違反者。一生ブタ箱で過ごしたいのかい」
……あっ。
弁明させてくれるのならば。
刀は俺そのものと言っていいし、それを言うならば周りの人間の殆どが違反者だらけであり、……何というか少々毒されていたのだ。多分な。
……うむ、言い訳にもならんか。
「それはそうと、教員免許を取るには1年は足りないのではないか?」
「特別免許状って知ってるかい?」
特別免許状。
優れた知識・経験を有する社会人を学校に迎え入れ、専門的知識等をいかしてもらう為の免許状。
この免許を取得するには大学での単位は必要なく、任命又は雇用しようとするものの推薦に基づき、都道府県の教育委員会で書類審査や面接審査等の教育職員検定を経て授与されるというもの。
「幾つか手段はあるけどこれが一番手っ取り早いね。ある程度なら経歴を改竄してあげてもいい。教育委員会も大半が僕の手中にある」
3年次編入と大学早期卒業制度を利用して通信大学で足りない単位を補うって手もあるね。成績次第で教員採用試験は免除にしてあげてもいいし。
どちらにしろ教職に相応しくなるまで勉強漬けだけどね。
清々しいまでの権力行使だ。かえって笑えるな。
まあ、それはいいのだが。
「何故俺なんだ?偶然目に付いたからか?」
「それもあるけど、」
過剰に恐れない、目の前で群れない、裏切らない手駒が欲しかったのだという。脅迫材料があればなお良し、だそうだ。
万が一裏切れば全権力を以て咬み殺されるらしい。というか恐らく正当な理由で留置所行きだな。雲雀殿の権力下ともなれば一生出られん気がするのは俺だけか?
加えて風紀委員会の勢力圏は年々広くなっているからなぁ、最悪日本に居れなくなるやもしれんしな。それは困る。凄く困る。諜報任務どころではなくなる。
「それに最近ムカつく事があってね。声も足運びも戦い方も似た君を下に置けば、多少溜飲が下がると思うんだ」
……結局俺の所為か。どうやら報いが降ってきたようだ。
ここまで怒らせてしまっていたか……悪い事をしたか……?
こう、良心まで敵に回ると、何というか、しんどいな。
……よし。
贖罪という訳では無いが、やれる事はやろう。
「あい分かった、出来るかわからんが努力してみよう」
「当たり前だよ。成果によって、アレが下った後の雇用継続も考えてあげる」
俺は苦笑して、雲雀殿の手を取ったのだ。
─────
……これは俺にとっても願ってもない事やも知れん。
来年、ツナが中学に上がる。それも、並盛中学校にだ。
個人的にも良い経験になりそうだしな。
縁とは唐突に紡がれるものよ。だから人の世は面白いのだ。
《あぁ゙ー……まあ、いいんじゃねぇかぁ゙?任務が疎かにならねーなら》
探りを入れるなら潜入しなきゃ始まらないしな。
毎度突拍子のない事を起こす三日月に、スクアーロは若干食傷気味にそう言った。
「うむ。ではそのようにするぞ……、というか、まだ意味があるのか?正直もう1年経つが全く動きがないぞ?」
《……それだが、こっちで多少動きがあったぁ゙》
スクアーロの声音が低く三日月の耳を打つ。
《どうやら9代目は数年の内に候補を選ぶつもりらしい。内々の噂程度だが、なぁ゙》
「!……、そうか」
それが意味するのは、日本の候補への注目だろう。それを踏まえてヴァリアー本隊による調査中らしい。そういう事なら、より一層気を張って見張らねばならない。敵対マフィアもそうだが、ボンゴレ上層部の狸共の動向にも。
《ともあれ来月には1度帰投しろぉ゙。少なからずヴァリアーにも目が向けられてくるだろうからなぁ゙。今はどうにかなっているが、そうなれば流石に怪しまれる》
「了解した」
観察報告・其ノ拾弐
監視対象に異常なし。
現地の表の権力者と接触。1年後組織に潜入する。
それに伴い監視対象との接触が今以上になる可能性がある。
本隊の判断を仰ぎ、優先順位に従って行動を行う。
尚、権力者自身の危険度はB。幹部であれば難なく処理は出来ると推定。変動する可能性は高い。
報告は以上、監視を継続する。
報いが来ましたねぇ(菩薩顔)
ミカさんすら愉悦の毒牙に掛けるのが私です(お前だったのか)
声ネタを突っ込みたかった人生でした(辞世の句)
表現力が氏にました。期待してくださった方に土下座theブレイキン。脳内想像で賄って……(すみませんでした)
少し説明くさい話になった気がしますし、明らかに話が進んでますね。すみません。ネタが早くも切れたという事でテコ入れです(これからが絶望)連続して雲雀さん出すとか……ネタに困り過ぎか、
しらばっくれるミカさんが最近狸ジィちゃんに見えてきたこの頃。ちょっと頭冷やしてきます
雲雀さんとメイりんは揶揄われ、揶揄う関係とすると、
雲雀さんとミカさんは互いに振り回したり、振り回されたりする関係で着地。案外相反したり気があったりしそうな……(予定は変更する可能性が以下略)
1年で教員免許は無茶振りでは?とか思うけど一応調べたので勘弁して欲しい。そういうものなのだ。私にはわからんのだ(デデドン)(そうなのだ専門じゃないから分からないのだヘケッ)
……まあ原作でも明らかに免許ないだろうディーノさんが英語教師やってたんで大丈夫大丈夫。部下がいないディーノさんでも出来たならミカさんでも出来る出来る(手の震えが止まらない)
学歴詐称してた某銅なんちゃらさんもいたし……
あら?やだ……並盛中ガバガバ?(咬み殺案件)
という訳でミカさんは教師になるぞ!お約束だよ笑えよ……!
なんの教科になるのかねぇ(しらばっくれ)
よし、ミカさんイタリアに帰るぞ!お土産宜しくな!
追記
お気に入り300ありがとうございます
まじでなにがあったんです?(困惑)
なんとか完結までいきますのでご安心くだしあ(誤字にあらず)
ミカさんをどうしてもかっこよく書きたいのに……!魅力があり過ぎるんだよォ