月が揺蕩う復活譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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とても短いし内容が薄い。大分ガス欠し始めたしんどみ。

お久しぶりです。なんか色々あって執筆止まってました。再開します。

17ヶ月目の話。


第22話

先日、郵便受けを確認していた所、簡略化した花火の絵が書かれたチラシが入っていた。

祭囃子、揺れる提灯、笑う声、立ち並ぶ出店、空に咲く華。

日本の風流のひとつ……夏祭り。

また、この季節がやってきたのだ。

 

 

感傷に浸りながら先日ルッス嬢から送られてきた装いを纏う。

裾に掛けて紫紺に染まる黒の浴衣。

二重の三日月と、菊、萩、桔梗、楓、薄、撫子といった秋草の高台寺蒔絵が散らされた金模様。

地味過ぎず、且つ主張し過ぎない。帯は朱。……見るも艶やかなそれは女物ではあるが、男用に仕立て直したもので、そういう着こなし方もあるのだとか。

 

彼女は俺がイタリアにいた頃から俺に服を仕立ててくれたのだが、日本について知りたいと言われて語った中にそれがあったからだろう。俺の戦装束にも常から興味があったようだしな、まあ、なんだ。自明の理だ。

 

「半ば彼女のストレス発散になっているらしいからな……だが付き合うのも、案外悪くない」

 

俺にはお洒落は分からんしなぁ、寧ろこちらから頼む側か。彼女のセンスは中々らしいからな。

……それにしても良い時に良い機会がやって来たものだ。去年は生憎任務の為花火見物のみだったが、今年は祭り自体を見て回れそうだしな。

 

というのも、ツナが友人と夏祭りに出掛けるのである。当然監視の任を担う俺も、陰ながら参加するつもりだ。あくまで任務の為─────うむ、これは仕方ない事よ。その過程で一般人に紛れる為、俺自身祭りを楽しむのも致し方ない事なのだ。

 

「……なんてな」

 

誰にするでもない言い訳を舌で転がして、くすりと人知れず頬を綻ばせる。

束の間だとしても、表面的なものだとしても、俺はこの平穏を存外気に入っているのだ。

 

「行くか」

 

 

 

 

 

夜闇はまるで天鵞絨(ビロード)の幕のようにしっとりと町を包み込んでいる。祭囃子の太鼓が聞こえる。ひっそりとした闇の中、一角が、今宵限りはぼんやりと人の営みに照らされていた。

 

光の灯る提灯の下、人混みと喧騒に足を踏み入れる。

そこらに顔見知りが多く、ゆったりと言葉を交わしつつ。俺は並び立つ様々な出店を覗き、時に買い、視界の端に彼を入れつつも楽しんでいた。

珍しく了平が年下の妹らしき童と祭りを見て回っていたし、夏の大会を控える武や剣介も今日ばかりは各々の友と楽しんでいたように見受けられる。

 

……それにしても綿飴というのは、偶に口にすると良いものよなぁ。ふわふわとした甘いそれに思わず頬が緩む。逆の手には先程射的で落としたぬいぐるみが入った袋。あまり揺らさぬようにした赤い金魚の入った袋。射的は玩具と言えど銃、部隊の者に教わった甲斐があった。

それに対して童に混じって金魚すくいとやらをしてみたのだが、中々難しいものでな、残念賞で1匹だけ譲ってもらったのだ。

……ああ、因みに的屋の店主は桃巨会の系列のヤクザだった。表でも立派にシノギをこなして、勤勉で良き事だと思う。

 

周りの視線は少しばかり気になるが悪いものではなさそうであるし、話し掛けられないならまあ、それはそれで良いと思うぞ。

ゆったりと流れに沿い、後ろの方からツナの後を追う。

 

 

 

「……君」

「む?」

 

いつの間にか周りが不自然に静まり返ったのに気を取られ、声を掛けられた事に一瞬を置いて気付いた。

 

「おお、雲雀殿か。久しいな」

 

夏仕様なのか白い半袖のシャツに風紀の腕章。

少し不機嫌そうに見える雲雀殿は何故か俺の格好を上から下まで見下ろし、じっと俺を見上げた。

俺が人一倍楽しんでいる事に、何やら思うところがあるのだろうか。

 

「珍しいな?お主はこのような人混みの多い場所は苦手だと思っていたのだが」

「風紀委員の活動だよ」

 

祭りは別に嫌いじゃないしね。

逸らされた視線の先には、出店の店主から何やら金を徴収している風紀委員らしい面妖な髪型をした少年が。また別の所ではこぞって店を物理的に叩き潰している少年達が。

 

「あれは?」

「活動費。町を取り仕切る者への上納は当たり前でしょ」

 

ヤクザよりヤクザしていないか?

どうやら並盛町の伝統なのだとか。それ程以前から風紀委員会が一帯を取り仕切っているのか、それとも住人達は風紀委員会の暴虐を受け入れる為に伝統という形に収めたのか。はは、まあそれに何か物申すという訳では無いのだが、あまりやり過ぎるなよ。

 

来年には君も同行してもらうから、と言う彼からすれば、俺が教師として就職する事は確定しているらしい。粗方勉学は済んでいるが、まだまだ教師としては素人どころではないのだが……。

……まあ、彼が望んでいるのは唯の教師ではなく、無駄に物怖じしない、自身に忠実な大人なのだろうな。

 

「……それ、女物?」

「ん、そのようだな。実は外国の友人に貰ったのだ」

「性別を勘違いしている、……という訳でもなさそうだね」

「そうだろうな、どうやら俺用に態々仕立て直したのだとか。似合うか?」

「知らない」

 

体格からして女と間違う事はないだろう。帯も男性用のものだしな。

そもそも彼女はどちらにしろ着せただろうなぁ。彼女には似合っていれば良しという所が少し見受けられた。それに俺に性別等元々なかったしな、現代の少女のような短いスカートでなければそれで良い。俺の見た目からして乱のようなひらひらは、流石に似合わんだろう。

背も裾も俺用に調節してあるそれから雲雀殿は目を外す。

 

「風紀が乱れなければ何を着ようが構わないさ」

「それは良かった」

 

ぎらりと宙を睨むその目に殺気立った眼光を宿らせた。

 

「……、今夜、此処にアレが来る」

「アレ、というと……プルトーネとやらか?」

「そう」

 

どうやらこの祭りの裏で取引があると雲雀殿にバレてしまっているらしい。否、成程。寧ろ風紀委員会のシマでシノギを許したのは、裏取引の場を風紀委員会が定めた対価故か。

ふと顎に手を当てて思案。

桃巨会は風紀委員会の同盟、もしくは雲雀殿直轄の下部組織として扱われている。プルトーネはあくまで特別外部相談役、連絡は取れるが接触はプルトーネ次第。故に痺れを切らせるのも仕方ないところではある。……手を拱くならば罠に掛けようという訳か。現に俺は仲介役として西川に現場に来るよう言われているしな。成程……何か隠しているとは思ったが、そういう事か。

 

逸る気持ちを抑えるように腕を組んだ雲雀殿はにやりと獰猛に笑んだ。

 

「来るかい」

「邪魔になろうよ、遠慮しておくさ」

「そう。じゃあね」

「うむ、武運を祈るぞ〜」

 

颯爽と去っていく彼を見送り、浮かべた笑みに含みを持たせる。

……。

さて、どうするか。

すっぽかすのも手だが、それをすれば更に躍起になるだろうな。付き合いは短いが彼の性格はそこそこ掴めている。確実に荒れるだろう。

適度にフラストレーションを解消させつつ……任務に影響ない所で気絶に追い込むのがベター。

 

「……まあ、俺の負けでもいいんだが」

 

納得せんだろうなぁ。

嘗ての戦意と殺気に満ちた雲雀殿を思い浮かべて、思わず呵々と笑ってしまった。

あまり強くなれば任務に支障が出るやもしれぬ。危険性は重々承知の上だ。それでも俺は彼の先を見てみたいと思った。

 

……にしても雲雀殿と話をし始めてから、周りからの視線が恐ろしいものを見てしまった、信じられないものを見た、というようなものになったのだが、……気の所為か?

 

 

 

 

 

19時を過ぎた所でツナが帰宅し、俺はプルトーネとして再び並盛神社に降り立った。

20時。花火が上がり始め、視線が限りなく逸れた境内裏。

 

「先生!御足労ありがとうございます」

「……」

 

脚部には厚い鉄板入りブーツ、両手には手甲鉤。真夏である為コートは身に付けておらず、しかし肌の露出を極力抑えた姿を晒す。

相手側はトマゾファミリー。これは例によって、武器の受け渡しである。

木箱に詰められたそれを1つ手に取り、素早くバラして元に組み上げる。

異常は見られない。俺は西川に頷いてみせる。

 

「金だ。ユーロに換金してある」

「……確かに受け取った」

「今後も頼んだぞ」

「ああ。ではな」

 

撤収していくトマゾファミリー。

 

 

それを余所に、残った桃巨会の会長、副会長、そして幹部が2人。

それぞれが強い恐れと怯え、そして覚悟に身体を震わせていた。

 

「どうした、真夏だというに……青ざめて震えて」

「せ、先生……、」

「黙れ」

 

これは問い掛けではない、と。

声音は無機質。それが彼らの恐怖を煽る。

手近にいた幹部の1人の肩を叩くと、酷く震え上がった。

 

「く……ふふ、ははははっ!……よくやったな、この私を貶めるなどと」

 

ああ、いや、褒めておるのよ。貴様らの成長ぶりを。

嘲るように嗤えば西川は罪人のように俺の前に跪いた。

それに続くように同貫、幹部と頭を垂れた。

 

「何故首を差し出すか?」

「儂らは……先生を、」

「はて、何の事か分からぬな。……事実認めておるのだ。組の長らしく組の存続を第一に考えた良き選択よ。誇れ」

「ッ!」

 

ぎりりと歯を食いしばった西川らに立ち上がるように言う。

 

「取引したものを事務所に。行け」

「は、はいッ!」

 

俺の視線は既に、彼らにない。

 

「良くぞこの私を誘き寄せたなぁ?雲雀恭弥」

「……」

 

トンファーを携え木に背を預ける仏頂面の雲雀殿に、俺は目を眇めてにんまりと口角を吊り上げた。

 

「称賛しよう。迂遠なる小手先の技を覚えたか、獣」

「罠に掛けられたのは君の迂闊だろ」

「違うな。掛けられてやったのだ」

「……御託はいい。君と話してると不愉快になる」

「そう言うな。戯れてやろう、来い」

「ムカつく……」

 

トンファーの仕込みを起こす雲雀殿に対し、俺は両手を握り込んで手甲から鉤を引き出した。

花火は華々しく、空を彩っては散っていった。

 

 

 

 

 

《ミカちゃん!写真届いたわよ〜》

 

すっごく可愛いわ!私の見立て通りね〜!

ルッスーリアの声にいつものように穏やかに笑う三日月は、少し照れたように頬を掻く。

 

「うむ……自分で自分を撮るのは、少し照れくさかったな」

《上手く撮れてたわよ♥》

「はっはっは。そうか」

 

ルッスーリアが仕立てた浴衣だ、プレゼントの対価として着た姿を写真に撮って送るよう厳命されていた三日月は、約束通りルッスーリアに写真を送ったのだった。

 

「それにしても……ルッス嬢、あの衣服の模様は……」

《ビビっと来たのよ〜ミカちゃんに似合うと思って》

 

高台寺蒔絵は、三日月にとっては思い出深いものだった。何せ前の主の好んだ意匠。もしや正体が露呈したのかと、初めて着物を見た時は目を白黒させたものだった。

実際は単なる偶然と知り、三日月は思わず脱力したのだが。バレてもいいと心構えがあったが、自身の事を明かすにはやはり覚悟というか、流石の三日月も気を引き締める。

 

「いや、良い模様だった。俺は好きだぞ」

《まあ!良かったわぁ〜》

 

蒔絵の上に浮かぶ二重の三日月は、思いの外嬉しいものだった。

 

「ありがとう。大切に着させてもらうぞ」

《うふふ、どういたしまして》

 

 

 

 

 

観察報告・其ノ拾漆

 

監視対象に異常無し。

敵対組織と思われる刺客を止むを得ず捕縛、表向きとして警察に引き渡した。姿は見られていない為問題は無いと思われる。今現在ボンゴレやCEDEFに接触するのは時期尚早と判断。今後の展開によって本部の方で対応を求む。

現地にて武器の安定供給に目処。ルート確保。利用可能。活用するか否かは本部の判断に任せる。

 

報告は以上、監視を継続する。

 

 

 




ミカさんの家の一角にぬいぐるみが鎮座します。
何のぬいぐるみか?さあ、こんのすけじゃない?(適当)

祭りエンジョイ勢ミカさん。今年は回れてよかったね
多分盆踊りも混ざったんじゃないかなー(踊りの描写は色々おなかいっぱいで無理でした)
ミカさんの神々しさに周りの人も見るか写真撮るだけという(無断)(良い子の皆は真似しないように)
雲雀さんもいたしね

これを機に金魚を飼い始める
お祭りで取った金魚って最初弱ってるよね(無慈悲)

浴衣を女物にした理由?
男物って大体柄が地味だから(偏見)
それをルッス姐さんが許すとでも?
高台寺蒔絵柄の浴衣って……なんか派手過ぎた気も……いや、まあ、うん(目逸らし)

型はきちんと男性用です。腰あたりで帯してる感じ
女性の浴衣って見るも艶やかですよねぇ。ルッス嬢が選ぶならそういう柄だと思う
にわかですみませんそういうことにしといてくださいごめんなさい(ノンブレス)

メイりんぶっ込んだのはノリです(無計画)
祭りの裏ってこういう裏取引ありそうだよねっていう(偏見)

ミカさんのトリプルフェイスってバレたらかなり拙いよね。紙一重紙一重
教職・ヤクザ・暗殺部隊って

はよイタリア組出したい


私の迂闊もありまして某アプリのアカウントが乗っ取られるという
焦ったし迷惑掛けたしやめてくんねぇかなぁ(白目)


─追記─
20180708 ちょこちょこ訂正入れました。最近筆のノリが調子悪いにも程があるぜ……(白目)
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